2016年2月13日(土曜日)
【シンガポール】 シンガポール
太陽がギラギラと照りつける真夏の気温のシンガポール。
そこにとても涼しくなるメールが届いた。
北海道の富良野からだった。
雪原となっている農地の中に、雪に埋もれたバスがある。
旅人バスだ。
最初の日本一周をしていたときに北海道にたどり着いて、1人でこの旅人バスを作った。
22の頃だった。
無料、寄付金で泊まれるバスということで話題になり、富良野の観光マップやライダーズマップにも載るような場所になり、10年間、たくさんの旅人たちがこのバスに泊まってきた。
若い頃、やりたいことは強く願えば必ず叶うと信じ、そして実践してきた。
そんな旅人バスを撤去しなきゃいけなくなったとき、悲しかったとともに、簡単に諦められている自分がいた。
大事な大事なバスだったのに。
どんどんこうやって手放して、身軽になりたくなるんだろうな。
去年の夏、富良野に行って地元の人と一緒にバスを移動し、跡地を片付けた。
現在旅人バスは農家さんの農機具置き場兼休憩所となって生き続けている。
たくさんの旅人たちのメッセージとともに。
わざわざ写真を撮って送ってくださった磯江さん、本当にありがとうございます!!
また富良野にお邪魔します!!
よーし!!今日も気合い入れて行くぞ!!
チャンギでシンガポールの大衆料理、チキンビーフンを食べて電車に乗り込んだ。
汗だくになりながらドビーゴートの石段に座って歌う。
今日は新しいことにチャレンジしてみた。
それはCDの販売。
前回の一周中に、あなたのCDはないの?って何度聞かれたかわからない。世界中で。
なので今回はCDを売ってみることも視野に入れてみた。
幸いっていうか、切ないことではあるんだけど、まだ前回作った分のCDが家にあるのでそれを15枚くらい持ってきている。
路上の稼ぎの助けになるといいんだけど。
問題なのは値段設定。
いくらで売ればいいんだろ?
日本では1000円で売っていた。
普通CDってCD屋さんで買ったら3000円だけど、無名のアーティストのインディーズものならまぁ1000円が妥当なところだ。
これをシンガポールドルに換算すると12ドルくらい。
でもそれじゃあ半端だ。
15ドルか?
それとも頑張って日本から持ってきたんだから20ドルにするか?タバコが10ドル以上する物価の高いシンガポールならありえない数字じゃないと思う。
うーん、どうだろ。
とりあえず目の前に置いて歌っていたんだけど、早速日本好きのシンガポール人が食いついてきた。
「これあなたのCD?全部日本語の歌?ワオ!クールだよ!!いくら?」
15ドルと言ったらすぐに売れた。
おおお…………売れるやん……………
こりゃいい感じだわ。
15枚なんてすぐになくなってしまいそうだ。
でも日本からまた送ってもらうとして、送料とか持ち運びの重量を考えたらあんまりばらまくことも出来ない。
大事に売っていきたい。
売れるのは嬉しいんだけど運ぶの大変だよなぁ………………
3日連続で灼熱の太陽の下で歌ってるとさすがに疲れがたまってきて声に張りがなくなってきた。
シンガポールには9日しかいないけど、どっかで1日くらい休みをとりたいなぁ。
あー、気合いだぞーと歌ってるところだった。
向こうの方に見たことのある顔があった。
「うおーーー!!ジェイクーーーーー!!!」
「うわああああ!!!!フミさーーーーーん!!!!」
思いっきりハグした。それは前回の一周中に仲良くなったシンガポール人の男前、ジェイク。
隣にはめっちゃ可愛らしい彼女も連れていた。
「ナイストゥーミーチュー!!フミです!!」
「デニカよ!あなたのことはいつもジェイクから聞いてるわ。ジェイクはいつもあなたの話をするの!!トゥーマッチミスユーなの!!」
「うおおお!!ジェイク!!俺もトゥーマッチミスユーやし!!」
このドビーゴートの石段で歌ってる時に出会い、よく路上を見に来てくれたジェイク。
イクゾーたちと一緒にみんなでホーカーに行って夜遅くまで大騒ぎしていたあの大好きなジェイクとまた会えるなんて。
「フミ!あれから日本に帰って本とかCDとか作って大きなライブもしたんだよね!フェイスブックで見たよ!ところでイクゾーは元気にしてる?」
「わかんない、あいつはいつもミステリアスだから。」
「ハハハー!!そうだよね!!イクゾーはいつもディスアピアだよね!」
「そう、イクゾー、サドンリーディスアピア!!」
サドンリーディスアピアて(´Д` )
面白すぎるわイクゾーのあだ名。
現在21歳のジェイク。
めっちゃ若い。
今はマリーナベイサンズの中にある靴屋でオーダーメイドの靴を手作りしてるらしい。
ギターは上手い、ピアノの弾ける、アパレルのデザインしてる男前、遊び上手、
マジでただのモテ男。
こんなイケてるシンガポリアンと仲良くなれて嬉しいよ、ジェイク。
ジェイクがビールを買ってきてくれたので、もう今日は路上はこの辺にしとこうかと2時間ないくらいで切り上げて遊びに行くことに。
あがりは136ドル。
近くにあるジェイク行きつけの楽器屋さんに行き、しばらく遊んでいたらエッちゃんからメールが来た。
今日はみんなで飲みに行こうと約束していたのだ。
ドビーゴートの階段で待ち合わせしエッちゃんと合流したら、これまたジェイク行きつけのご飯屋さんへ。
イケてる若者なので、ナイスなハンバーガー屋さんがあるんだけどどうだい!?と言われたけど、ここはやっぱりローカルフードが食べたいと言うと、ドビーゴートから少し歩いた古いビルディングの中にあるかなりマイナーな大衆料理屋さんに連れて行ってくれた。
ここのこれが美味しいんだよ!と注文してくれたのは、フライドワンタンヌードル。
見た目は味濃そうだけど意外にあっさりしており、パリパリに揚げられたワンタンもすっごく美味しい。
これにテーブルに置かれている青唐辛子の酢漬けを乗せて食べると、シンガポールの暑さと相まって最高に美味しい。
「美味しいー!!」
「でしょー。このワンタンがいいよね!!」
「ていうかデニカってガッキーに似てるよね。」
「ガッキー?ちょっと調べてみる!!……………えー!!これは可愛いすぎるよー!!うふふ!!」
デニカ可愛いなぁ…………
さらにそこに仕事を終えたチューさんからもメールが来て、またドビーゴートの石段で合流。
「オーケー!じゃあ飲みいこうぜ!!」
「ジェイク、どこかいいとこ知ってる?」
「任せてよフミ!!」
というわけでやってきたのはシンガポールの一大歓楽街、クラークキー。
度肝を抜かれる凄まじい飲み屋街で、きらびやかでけばけばした照明が入り乱れる中に無数のパブやクラブがひしめいている。
クラークキーのクラブとか行ったら1杯20ドルとかするらしい。
怖すぎる(´Д` )
マジでここはアジアの中でも世界の富豪が集まる異世界だ。
「フミ!こっちだよ!」
しかしジェイクが連れて行ってくれたのは、クラークキーの中心部から少し離れた静かなエリア。
こんなとこに飲み屋なんかあるのかと思ったら、ひとつのビルの角になんともイカしたバーがあった。
その名もスティッキーフィンガーズ!!!
うおお!!ジェイク、ナイスチョイス!!
薄暗いバーの店内はとても落ち着いた雰囲気で、お客さんもそんなに多くなく、若者たちが好きそうなラフなムードが漂っている。
店の壁に貼られている写真は全てローリングストーンズのもの。
いやー、テンション上がるよ!!
「フミさん、ぼ、僕あんまりこういうところに来たことないから何を飲めばいいかわからないです……………」
見た目通り、これぞシンガポリアンといった真面目で品行方正なチューさんがバーの雰囲気に落ち着かない様子だ。
それに比べてジェイクやデニカは遊び慣れた感じですぐにウィスキーのボトルとコーラ、グラスと氷をオーダーしてくれた。
チューさんもたじたじしながらソファーで笑っている。
みんなで乾杯して盛り上がっていると、ジェイクの友達である女の子や男の子がやってきてどんどんお酒が進んでいく。
さっきまで静かだった店内はいつの間にかたくさんのお客さんで溢れており、真ん中にある小さなステージに置いてあるギターを鳴らして、お客さんの女の子がめちゃめちゃだけど楽しそうにギターを弾いている。
「ねぇねぇ!フミ!!俺の友達にイクゾーの話を聞かせてあげてよ!!イクゾーは本当にクレイジーなんだ!!」
「誰?イクゾーって?」
「イクゾーっていうのはね、東南アジアで滞在日数をオーバーしてしまって国境で警察に捕まったときに、警察にiPadを渡して切り抜けようとしたんだけど、そのiPadの中にイカれた写真がめっちゃ入ってて爆笑されてiPadを返してもらっておとがめなしで国境を越えたという男なんだよ。」
「アーハッハッハ!!クレイジーね!!」
「いえーい!!それじゃあゲームしようぜ!!」
こういった状況になると飲ませるゲームが始まるのは日本と一緒だ。
ジェイクがトランプを持ってきてくれ、早速ブラックジャックが始まった。
この前カンちゃんのお父さんにブラックジャックの必勝法を伝授された俺に叶うかな、このイケてるシンガポリアンたちめ!!
そしてものすごくカッコつけてカードを配ったはいいものの、綺麗さっぱり必勝法を忘れており、まったくいつもと変わらない運任せ勝負。
や、やっぱり練習が必要だよね………
次にジェイクがシンプルなゲームをしようぜ!!とテーブルにピラミッド型にカードを並べた。
そして下の段のカードを1枚めくる。
次の伏せてるカードが最近のカードの数字より大きいと予想したらビガー、小さいと予想したらスモーラーと宣言。
カードをめくって外れていたら酒を飲むという流れ。
ただ1番下の段は一口飲むだけだけど、2段目になったら二口、3段目になったら三口といった具合に飲む回数が増えていく。
さらにビガーでもスモーラーでもく、同じ数字のカードが出たら2倍だ。
つまり4段目で同じ数字が出てしまったら8口飲まないといけないという危険なゲーム。
「7だとおおおお!!!!うおー……………スモーラー!!!!」
「イエーイ!!9だぜー!!三口飲みなー!!!」
「イヤッフウウウウウウウウ!!!!!」
シンプルだけどめっちゃ盛り上がってガンガンお酒がなくなっていく。
このゲーム、世界中でやれるだろうな。
チューさん頑張れ!
「んんん…………スモーラーです!!!」
「日本のゲームもやろうぜー!!!」
よーし、ここは10代の頃に飲み会キングと言われ、さらに20代前半に大阪でホストもやっていた俺の飲み会テクの見せ所。
紳士に振舞いつつ華麗に飲ませ、女の子を酔わせトイレに連れ込んで立ちバックだ!!
シンガポリアンガールに俺のマーライオンのデカさってやつを見せつけてやるぜ?
そしてお買い物ゲームスタート。
「セブンイレブンに行ってコンドームを買いました!!」
「コンドームとトゥースペーストを買いました!!」
「コンドームとトゥースペーストとシュガーを買いました!!」
「コンドームとトゥースペーストと、えーっと、わからん!!」
「フミ飲めえええ!!!!」
「イエーイ!!」
え、英語でお買い物ゲーム、難しい(´Д` )!!
覚えられん!!!
でもこのゲームがシンガポリアンたちにめっちゃウケて、叫びまくるくらい大盛り上がり。
「フミ、他にもないの!日本のゲーム!!」
「王様ゲームというものがありまする。」
「なにそれ!!」
「王様のカードを引いた人がなにを命令してもいいってやつ!!日本の若者はだいたい1度はやったことがあるよ!!」
「フォォウ!!なんだそのエキサイティングなやつは!!!!やろうぜ!!!」
よおおおおおおし!!見事な誘導!!!!
俺天才!!
ここで最初はマーライオンの真似をして口からカルピス吹き出すとかどうでもいい命令から始めて、氷の口移しとかいい感じにアレがアレでアレしてアレ!!
「よおおおし!!みんなカード引いたか!!誰がキングだーーーーーー!!!!!!!オッパイ揉ませろ!!」
「私がキングです。」
「おお!!チューさん!!じゃあなんでも好きな命令お願いします!!」
「わかりました!!それではナンバー2とナンバー5が…………」
「ナンバー2とナンバー5が!!??チューですか!?チューさんだけに!!」
「5回腹筋をしてください。」
「そんなチューさんが好きです!!!」
店の中で腹筋とか腕をクロスさせて酒飲むとかそんな健全なやつをしました。
ビリヤードをしてポーカーをして親指ゲームをして外の植木にゲロ吐いて、
最高に楽しかった。
前回の世界一周で出来た友達が、これから世界中にたくさんいる。
全員のとこに行くことはできないけど、みんなと出会って別れてからの旅の話をみんなに聞いてもらいたい。
みんなにあの時助けてもらったから、こんなに素敵な旅ができたんだよ!って伝えたい。
旅は孤独を味わうのに最適だ。
そのために旅するといってもいいくらい、孤独ってのは美しいもの。
でもその中で知らない土地で友達を作ることも、同じくらい素晴らしい。
どんなに道に迷っても
いつかはたどり着くはずなのに
どうしてこんなに苦しくなってしまう
遠回りして帰ろう
知らない道を歩こう
思いがけない何かが待っているかもしれない
現地に溶け込む旅をするんだ。
もっともっと深いところに潜り込んでしまおう。
心から相手と向き合おう。
みんなありがとう!
植木にゲロ吐いてごめんね!!
ば、罰金とられないかな(´Д` )
シンガポール怖い(´Д` )