6月26日 木曜日
【タイ】 チェンマイ
9万円盗まれて東南アジアで残金が6万5千円になった男が象と仲良くなるという感動物語でも書きましょうか。
ゆうべはね、9万円あったら何ができる?という不毛な話で盛り上がりましたよ。1人で。
いやー、9万円あったらバンコクのゴーゴーバーで5Pくらいできたでしょうね。
毎日のご飯でオカズを2品にするか3品にするか迷って50円を節約していましたけど、9万円あったら屋台ごと買えるかもしれないですね。
300円のコーヒーたっけ!とか言ってましたけど300杯飲めますね。
え?キレてないですよ。
俺キレさせたらたいしたもんですよ。
今日は僕、機嫌いいです。
なんたって僕今日は象遣いになりますからね。
象遣いですよ。もうターちゃんと同レベルです。
象遣いになった暁には、ボンベルタに象に乗って買い物行って帰りに肉巻きおにぎり買います。
そして子供の風船が木の上の枝に引っかかってたらまず鼻でとってあげますね。
そしてお父さんとお母さんを象に乗せてあげて美々津の浜を歩いて親孝行したいです。
ああ!!想像するだけでヤバイ!!
マジやべぇ!!
所持金6万5千円とかマジやばい!!
朝、1階に降りるとママが美味しいエスプレッソとブレックファーストを作ってくれた。
こんな最高の朝ごはん久しぶりだ。
別にどこにである普通の朝ごはんだけどアジアではなかなかお目にかかれないし、食べようと思ったら欧米人向けのお店に行かないといけなくて、値段も150バーツとかする。500円。
タイラーメンなら50円。
「もしどこか行きたいところがあったら言ってね。バイクで連れて行ってあげるし、バイクも貸してあげるから山の方のお寺も見に行ってみるといいわ!!」
優しすぎる上に英語が喋れるママのおかげで心もだいぶ落ち着いている。
今日はとにかく目一杯象と遊ぶぞ。
朝8時半に迎えの車がやってきた。
大きなバンにたくさんの白人たちが乗ってるのかなぁと思ったら、なんと俺たちだけ。
今日は他のお客さんがおらず、1日コースは俺たちの貸し切りみたいだ。
なのでドライバーさんもゆっくりでいいよーと言ってくれ、朝のエスプレッソで優雅に一服。
おひょおおおおおおおおおおお!!!!!
象大好きいいいいいいいいいいい!!!!!!!
「はい!これ!お昼に食べてね!!」
そう言ってママがもち米でバナナをくるんだおやつをくれた。
今、朝ごはん食べたばっかりだし、お昼ご飯もエレファントキャンプで出るので食べきれるかなぁと思いながらも、もちろんお礼を言って受け取る。
それじゃあ行こうかーとこれまたニコニコの柔らかい笑顔のおじさんの車に乗り込むと、今度はおじさんが行く途中でコンビニに止まっては俺たちにジュースを買ってきてくれたり、屋台で焼き鳥を買ってきてくれたり。
タイの田舎の人、ご飯くれすぎ。
だからタイではいつもお腹いっぱい。
でも9万円あったらこの焼き鳥を丸ごと100羽くらい買えたね………
車はチェンマイの町を出てかなり田舎のほうまで走り、1時間ほどで山奥へと入っていく。
くねくねの山路が続き、穏やかな田んぼが森の中に見える。
茅葺きのあばら家が畑の中に散らばり、これぞ東南アジアといった光景だ。
そんな山深い地の奥地にほんの小さな数軒の集落があり、人々が家々の前でなにかの実をより分けている。
そしてようやくエレファントキャンプに到着した。
田舎の畜産農家みたいな敷地に入っていく。
うおおおお!!!象おおおおおおおおおお!!!!!!!!
象大好きいいいいいいいいいい!!!!!!!
こんな大きな動物なのにおとなしくて可愛くて鼻長え!!!
大興奮で服投げ捨てて作業着に着替え、早速体験開始!!!
まずは外のフィールドで簡単なお勉強。
象の生態やらなんやら。
次に象の言葉。
象に支持を出す時、象遣いたちは独特な言葉で呼びかけるらしく、それらの基本的なワードを勉強。
クワウ 右
サーイー 左
ヨッカスー 膝を曲げて足を上げろ
パーイ ゴー
ユート ストップ
トイ バック
他にも色々あったけど忘れた。
そしてついに象さんに乗ることに!!!
いやぁ!!象すげぇ!!
バナナくれ!!
「ヨッカ、スー。」
すると象は右足を曲げてくれた。
耳につかまってその足の上に乗ると、すいーっと足を上げてくれ、一気に勢いをつけて背中に飛び上がった。
頭の後ろの部分はほどよくくぼんでおり、跨がるとピタッとフィットして座り心地がよかった。
ゴツゴツした肌は予想以上に硬く、でも場所によってはプニプニとお肉が動く。
体に生えている毛はまるで針金みたいで、足に刺さって少し痛い。
やった、象に乗ったぞ……
タイで必ずやりたかった夢を達成したぞ。
魚屋さんが使ってるようなカギで象に指示を出し、覚えたての言葉を使って象を動かしてみる。
ある程度指示を出せるようになったら、ひとまずここでお昼ご飯タイム。
どうせろくなものじゃないはずと思っていたけど、なかなか豪勢で美味しかった。
ご飯を食べ終えると、今度は象さんのエネルギー補給のためにスーパー高カロリーのお菓子を作ってあげる。
黒角砂糖、米、岩塩、あと謎のねとねとした実。
これらをこねてボールにして象さんに食べさせてあげたら、メインのトレッキングに出発だ。
俺たちは2人で象1頭に乗るコースにしたが、お金を払えば1人1頭に乗ることができる。
「9万円あったら1人で1頭に乗れたねー。」
「いやもう1人で3頭くらい乗るよ、無駄に。」
鼻でフラフープ回したり、背中に豪華な椅子を乗っけたような象ではなく、あくまで素朴なここの象たち。
観光客相手なのは変わらないし、その素朴さを売りにしてるってのも大いにある。
このエレファントキャンプに泊り込んでボランティアで象の世話をするというのも人気みたいなのだが、ひどいとこではボランティアなのに高額な参加費がかかるという謎のシステムがあったりする。
それでも人が来るんだから象の人気は世界共通だな。
こんなキスしてくれるし。
象に乗って森の中を歩いていく。
すごい!!
歩くと肩が上下してバランスを取っていないと落っこちてしまいそうになる。
椅子ではなく直に跨っているので、象が生き物だということがすごく伝わってくる。
象の背中は3mくらいあるので、目線は4mほど。
落ちたら下手したら骨折ものだ。
象は気まぐれに草を食べながら歩いていく。
食べるのはもちろん鼻を使ってだ。
その長い鼻で草を掴み、勢いよく引っ張ると一瞬にしてなぎ倒され、あっという間にそこらへんの草を食べ尽くしてしまう。
象は1日に300kgのご飯を食べて200リットルの水を飲むそう。
山の中をのんびりと歩き、今度は水浴びタイム。どのエレファントキャンプでもやっている目玉アトラクション。
綺麗で広々とした清流や、滝つぼなどに行くみたい。
さーこのキャンプではどんな川で象と水浴びするのかなぁとワクワクしていたら、到着したのは肥溜めみたいなため池だった。
ほう?
ウンコ浮いとるじゃないですか?
水流れてないからよどみまくりのただのため池じゃないですか?
俺たちの動揺をよそにザバーン、ザバーンと泥水の中に入っていく象。
象は水浴びが好きらしい。
そして池の真ん中で象が座り込んだ。頭だけ出して水にほぼつかった象。
その瞬間、象遣いの兄ちゃんがバケツで俺たちに水をぶっかけてきた。
そこらへんにウンコが浮いている泥水をまるで初デートの恋人のように笑顔でかけてくる。
よし殺そう。
なんで9万円失ってウンコまみれにならないといけないんだ。
おっと、いかんいかん。
一瞬殺意を覚えたけど、これも象遣いになるための試練。
若草通りを象に乗って歩いて太鼓焼きの白あんを買いに行くためにも我慢だ。
気持ち良さそうに水につかっている象の体を何かの木の皮でゴシゴシ洗ってあげ、ため池を脱出。
そして最後のアトラクションが1番楽しみにしていた泥遊びタイム!!
うわぁ!!あんなに楽しみにしてたのに全然ワクワクしない!!
だってまたため池だもん!!
泥を塗りあって泥パックしましょう!!ってパンフレットに書いてあったけど、間違いなくただのウンコだもん!!
人間のお肌にもいいらしい!!って泥を全身に塗ってる人の写真とかあったけど、ただのウンコだもん!!
ほら、ため池。
淀んだため池。
池の真ん中でおそるおそる象さんを降りると、足もとがぬちゃあああっとした。
にゅるにゅるの泥を塗りあって遊びましょう!!
「イヤッホウ!!」
象遣いの兄ちゃんがまるで青春映画の主人公みたいな笑顔で泥を俺の顔に塗ってきた。
おい!!この野郎殺すぞ!!
クソを人の顔に塗るな!!
しかしお構いなしに兄ちゃんに泥まみれにさせられてしまった。もちろんカンちゃんも。
もう開き直って俺も水の中に手を突っ込んで泥をつかみ、象の体に塗りたくった。
ていうかこの前アユタヤに行った時に初めて至近距離で象を見たときはあんなにビビりまくっていたのに、もうなんの遠慮もなくペタペタ触って泥を塗りたくっている。
象ってやっぱり体大きいので実際は怖いのかなぁって思ってたけど、本当に温厚でとてもいい友達だった。
向こうはどう思ってるか知らんけど。
1日の日程を全て終え、ウンコにまみれた体をシャワーで洗い、最後に写真選び。
水浴びをするのでiPhoneなどは持っていけない。
なので専門のスタッフがカメラを持って撮影してるんだけど、その写真はもらえるのではなく買わないといけない。
CDRに20枚焼いてくれて300バーツ、千円。
ちょっと高いけど何も無しは寂しいので買っとくことに。
そして全てが終わり、ついにゲット。
カウェマルさん。
カウェマルさん、象遣い。
よし、象乗ってきっちょうにうどん食べに行こ。
やったぁ!!!
念願の象乗り体験、そして象遣いの初歩コースをクリアーし、もうヘトヘトの大満足なんだけど、
現実からは逃げられない。
えーっと、なんで俺は8万しかないのにこの状況で1万5千円もつかったんだろう………
歌いに行くか………
宿に戻ってシャワーを浴び、ギターを持って夜市をやってる場所へと向かう。
チェンマイといえばマーケット。
毎日ナイトバザーという夜市が開かれており、さらに週末には土曜市、日曜市が行われ、町は近隣からの人々で溢れかえりとにかく賑わいに賑わうそう。
ということは路上は夜市狙い。
まずは有名なナイトバザーの通りへ。
しかしここはモロに観光客相手の土産物屋やレストランが並んでるだけ。
高そうなお店がどこまでも連なっており、こんな日本人向けのお店もわんさかある。
風俗店多すぎ。
和泉村のみなさんー!!見てー!!
というわけでこっちは雰囲気が好きじゃない。
ここはなし。
次にワロロッコというローカルエリアの夜市へ。
ここが当たりで、完全に地元の人たちのためのマーケットになっており、野菜や衣類などの屋台が所狭しと密集していた。
人通りも申し分なし。
こいつはいい雰囲気!!
よーし!!かますぞ!!と気合いは入るものの、またもや屋台がひしめきすぎてまったく歌えるスペースがない………
ほんのわずかな隙間でも何かを売る人たちがいるので、もはやよそ者が入る余地なし。
といつもならここで引き下がる。
が、今の俺はもう引き下がるわけにはいかない。
稼げなかったら日本に帰れない。
インドでカレー作る人生なんて嫌だ!!!
嫌われたって歌ってやる!!
おばちゃんごめんなさいね………
気合いで声を振り絞る。
こちらを見てくるタイの人々。
路上で稼いで生き抜く放浪の旅。
今もまだ旅の途中。
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コメント欄がなくなってから一方的に日記を読んでいただく形になって少し寂しい気持ちはありますが、それでも閲覧数はほぼ変わらないままです。
みなさん、いつも本当にありがとうございます。
7月10日発売の雑誌、ポパイの冒険家特集というところに載せていただくことになりました。
日本では今日の分だと思うので、みなさんもしよかったら見てやってください。
僕は見ることが出来ないので、みなさんからどんなだったか聞きたいところなんですが、なんせコメント欄ないですからね。
もしお時間ありましたらホームページからGmailをいただけると嬉しいです。
みなさん、いつも本当にありがとう。
体調は回復してきています。もうすぐあの国に行きます。そのためにガンガン移動中です。
最後まで駆け抜けます。
みなさんの明日が良い1日でありますように。