3月12日 水曜日
【チリ】 イースター島
バタバタバタ!!!とすごい音で目を覚ます。
寝返りを打つ。
雨がテントを叩いていた。
大きな音が直接中に響く。
今までのテント泊では雨は天敵だった。
染み込んできた水で寝袋やギターが濡れ、いつも飛び起きて雨が止むのを願うことしか出来なかった。
バタバタバタという音がどれほどトラウマになっているか。
しかしやはりちゃんとしたテントは防水がしっかりしている。
これだけ雨が打ちつけているのに内幕は乾いたままで染み込んでくる様子はひとつもない。
底のビニールもしっかりしている。
安心してそのまままた深い眠りに落ちた。
次に目を覚ますと暑くて汗をかいていた。
チャックを開けると太陽の光が一斉にテントの中になだれ込んできた。
島の天気はとても変わりやすい。
風が強く、雲がみるみる形を変えてザッとスコールを降らせる。
でも1時間も続かずにすぐに青空へと戻る。
そして南国の太陽が真夏の気温へと上昇させる。
さて、今日は何をしよう。
音楽のことは考えずにゆっくりハイキングにでも行こうかな。
このイースター島の観光ポイントは大きく分けて4つだと分かった。
まずこの島の拠点であり唯一の村であるこの滞在エリアと、メインストリートから歩いて15分くらいのところにある目のあるモアイが立つ儀式村エリア。
レストランやカフェがポツポツと点在し、儀式村からの夕日はとても綺麗だと宿の人が言っていた。
次に、村から南に1時間ほど歩いたオロンゴエリア。
ここは国立公園になっておりチケットが必要な2ヶ所の公園のうちのひとつ。
歩いて3時間もあればグルリと回って村に戻って来られるみたい。
3つ目が、村から海岸線を北上して途中から内陸に入りアウアキビという7体のモアイ像を見て戻ってくるハイキングコース。
海岸線には車道がなく、あぜ道をのんびりと歩いていくみたいで7時間ほどの徒歩コースになる。
最後が、島の反対側にあるもうひとつの国立公園、メインである15体のモアイ、帽子をかぶったモアイがいるビーチなど、見所がたくさん固まっているエリア。
車で30分ほどかかる距離なのでたいがいの人はレンタカーを借りて行くみたいだけど、俺はヒッチハイクで行こう。
全て行く必要はないけど時間はたっぷりある。
とりあえず今日は手始めにオロンゴエリアから行ってみようかな。
トロールとお金を持って宿を出発した。
前述したようにこの島には2つの有料エリアがある。
メインの15体のモアイにはチケットはいらないし、他にもたくさん無料の場所に行けるみたいなのでチケットを買うのを若干迷った。
なんたってこのチケット、30000チリペソ、60ドルもする。
むちゃくちゃ高え(´Д` )
野宿が出来ないので毎日千円の宿代が確実にかかり、細かい食費もハイパー高いし、さらに路上演奏禁止ときている。
その上で60ドルの出費はキツすぎる。
でもなぁ………ここはあのイースター島だからなぁ………
憧れ続けた世界で1番行きたかった場所に来てるのに60ドルをケチるのはなぁ………
そう簡単に行ける場所ではない。
もう2度と来られないかもしれない。
隅から隅まで楽しまないともったいないよな。
60ドルのチケットを買って国立公園まで全部見尽くしてやろう。
村を抜け、とぼとぼと1人で歩いていく。
気持ちいい風が吹いて、荒れたアスファルトに木洩れ陽が揺れている。
雑草の生えた歩道や遠くに見える水平線が、日本の忘れられた離島を思い出させた。
気持ちいいなとゆっくり歩いていると、1台の車が後ろから通りすぎ、向こうの方で止まった。
なんだ?と思ったら車のドアが開いて誰か出てきた。
「金丸さーん、歩いて行ってるんですかー?」
運転席から出てきてこっちに歩いてきたのは星マニアのユウタ君だった。
「金丸さんだー!!」
「金丸さんじゃー!!はじめましてー!!」
車からぞくぞくと出てくる日本人たち。
ユウタ君、そしてコロンビアで会ったカズヤ君以外は知らない人だけど、みんな俺のことを知ってくれてる人たちみたいだった。
「オロンゴ行くんですよね?荷台のとこなら狭いですけど乗れますよ。」
「うわー!!ありがとー!!」
そうしてユウタ君たちが借りているレンタカーにヒッチハイクされるという形で乗り込ませてもらい、オロンゴに向かうことに。
ありがたやー。
途中、森の中にあるチケットオフィスの建物で国立公園のチケットを購入。
このチケットは島の空港内とここの2ヶ所でしか買うことはできないみたい。
値段はやはり30000チリペソ、60ドル。
そこから坂道を登っていき、草原が広がる海に突き出した丘の上にあがっていく。
そして10分ほどで最初のチェックポイントに到着。
道路脇に観光客たちのレンタカーが止まっている展望台に降り、草原の上に立った。
眼下に広がる巨大な火口湖。
がっぽりと大地がえぐり取られた穴があいており、その測ったようなスロープの形があまりに綺麗でまるで人工物かのよう。
湖には水草が生い茂り、青い水とまだらに模様を描いている。
草原がさらさらと揺れる。
風の音以外、何も聞こえない。
壮大なスケール。
ていうか、こんなこと書きながら一切景色に集中できてないんですけどね。
もうひとつも感動できない。
それはこの人がいるから。
ただのアイドル。
美人すぎ。
間違いなくこの旅1番の美人ですね。
しかも高飛車な感じではなく僕みたいな愚民にも気さくに話しかけてくれます。
エロすぎるのに。
普通ここまでのレベルだったら男たちは私の奴隷、とかそんななってもいいくらいですよ。
もう火口湖とかマジでどうでもよくて、それからオロンゴ国立公園を散策ですけど、僕のオロンゴがそれどころじゃないです。
多分男子全員のオロンゴが大変なことになっていたと思います。
この丘の上にはかつての集落跡が広がっており、石積みの建造物群が草に埋れて佇んでいます。
青い空、紺碧の海、風に戸惑う草原とかマジで集中できない。
ヒカリちゃん可愛すぎ。
この丘から見下ろす海に小さな島が浮かんでいるんだけど、なにやら逸話があるみたいで、かつて島に暮らしていたラパヌイの人々にとって重要な儀式がこの島で行われていたそう。
島のそれぞれの集落を代表する男たちがこの島に泳いで渡り、飛来する海鳥の卵を1番早く持ち帰るという競争をする。
この戦いに勝った集落の首長がその年の島の政治、権力を手中に収めていたらしく、敗れた者は戻ってくることが許されずこの小さな島で餓死しなければいけなったという。
鳥人の儀式と言われていたそうだけど、ヒカリちゃんのせいで完全に体の一部が鳥人になってましたけどね。
よし、下ネタはこの辺にしよう。
憧れのイースター島だし………
それからもみんなで近場をドライブして、海沿いの洞窟なんかを散策して宿に送ってもらった。
みんなありがとう。
すごい助かったよ!!
昨日一緒に釣りをしたカルロスおじさんともう一度釣りをするために売店でエサとビールを買って海岸に向かう。
世界一周ブログランキングでぷにょみさんが大好きでぷにょみさんに憧れて世界一周を決めたというキヨさん、そして歌が大好きだというユキさんも釣りをしてみたいということで3人でカルロスおじさんを探しに出かけた。
なにやらこのユキさん、かつて日本で音楽事務所に所属して活動していたシンガーさんだったみたいで、歌で旅をしているやつがいるという俺の話を聞いて会ってみたかったんだそう。
おお、こりゃ巡り合わせだ。
昨日から村を歩いていてたくさんの観光客向けのレストランがあるのを見て、路上がダメならレストランバスキングで攻めてみようと思っていたところ。
そしてレストランバスキングにはお金回収の相方が必要。
「あ、明日からレストランでやろうと思っていたんですけど、よかったら一緒に歌いませんか?」
「えー!!本当に!?やってみる!!」
民謡系の歌が得意だというユキさん。
これまで女性1人で世界中を旅してきているツワモノ旅人さんなので旅の話も面白い。
心強い相方が出来たぞ。
しばらく海岸線を歩き回ってみたんだけど、どこにもカルロスおじさんの姿を発見できず残念ながら釣りはなし。
しかしそこらへんに釣りをしてる別のおじさんがいたので、カルロスおじさん知りませんか?と声をかけたら、知らねーよー、これ持ってけー、と魚をくれた。
は、話しかけただけなのに魚もらっちゃった(´Д` )
イースター島の人たちなので、観光客ズレしててもいいのにみんな本当に素朴で優しい人ばかり。
それがとても心を落ち着かせてくれる。
ああ、どんどんこの島が好きになっていくなぁ。
宿に戻ってゆっくりしようと思っていたらユキさんたちがこれから日本人のみんなで晩ご飯を食べに行くという。
なにやらこの島には甲太郎という日本食レストランがあり、モアイ寿司なるものが名物なんだとか。
「金丸さんも行きましょうー。」
んんん………話ではかなりのお高いお店だとか………
せっかく節約のためにサンチアゴから食料を持ってきたのに、そんなところ行ってたら元も子もないよなぁ………
でも今夜がユウタ君やカズヤ君の最終日なんだよなぁ。
ここで別れたらもうこの旅中では会うことはない。
んー………
迷った結果、やってきました。
島の日本人宿ハレカポネに泊まっているメンバーと一緒にビールで乾杯。
おおお………缶ビール2000チリペソ、400円………
お好み焼き2000円………
唐揚げ1800円………
日本人と行動をするとシェア飯とかして色んな節約ができるという噂がありますがあれは完璧なる都市伝説です。
日本人と行動すると、まぁいっかで金銭感覚が麻痺してめちゃくちゃ使ってしまいます。
2千円のお好み焼きとか普通なら視界にも入らないですが、食べてしまいます。
そしてこれが噂のモアイ寿司ですね。
てっきりシャリがモアイみたいに立っていて頭に帽子の代わりにネタが乗っかってるってやつを想像してたんですが、ただ単にネタを並べてモアイ風の絵を描いてるだけでした。
頑張れば見えなくもない!?
味は全部美味しいです。
これでまずかったらモアイ倒し戦争が勃発するレベルですが美味しいので満足です。
ヒカリちゃん、可愛すぎる。
そしてお会計です。
気になるお値段は…………
僕35ドル。
一瞬で鳥人から愚民に戻る。
ヒョオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
金銭感覚うううううううううううううう!!!!!!!!!!
「ユキさん、明日がんばって歌いましょう………」
「そうだね!!」
イースター島、怖いです。
さぁ、この島で稼ぐことが出来るのか。
今夜も月は綺麗です。