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島で歌うとどうなるか

3月13日 木曜日
【チリ】 イースター島





なんて綺麗な空なんだろう。

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遮るもの何ひとつない青空がどこまでも広がっている。

白い雲が流れ、色とりどりの花が咲き誇り、すぐ目の前に見える太平洋はどこまでも紺碧だ。

海に続く坂道は荒れたアスファルトで、孤島の寂しさが染みついている。


静かな風が潮騒を連れてきて、髪の毛をなでていく。

とぼとぼ歩く俺の上には青が一面に広がっている。

なんて綺麗な空なんだろう。

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村から海岸沿いに歩いて行く。

すぐに民家がなくなり、ゆるやかな草原が広がる海に面した丘を歩いていく。

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ところどころ黒い岩がのぞいており、馬の糞がそこらに落ちているので足元を気をつけてないといけない。


海がきらめき青い空と溶け合う。
どこまでも解放的で、旅の孤独さえ吹き飛ばされしまいそう。









そんな草原にモアイがいた。

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海を背に立つ大きな石の像。

帽子をかぶった白いギョロっとした目のモアイ。

風雨に朽ちて原型をとどめていないものや、顔の欠けたもの。

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みんな無表情に空を眺めている。
口をつぐみ、くぼんだ目には悲しげな影をふくんでいる。

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宮崎でいつも見ていた、子供の頃からテレビや本で見ていたモアイの、本物がそこにぼんやりと立っていた。

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草原に座ってずっとモアイを見つめた。

この太平洋の真ん中にある小さな島で、もの言わず何百年も立ち尽くすモアイ。

雨の日も風の日も、ずっとずーっと。

俺が生まれる前からずーーーっと。



そして今、俺はモアイの前にいる。

嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
じんわりと、身体中から充実感が溢れた。
地球は広い。果てしない神秘が世界中に散らばっている。
行きたいと望んだ場所にたどり着くには、きっと勇気やその他の様々な巡り合わせがいると思う。

今ほどその奇跡を強く感じたことはないかもしれない。
いや、ない。断言できる。


イースター島に来ているという事実が少しずつ信じられるようになってきて、生まれてよかったとそんな大袈裟なことが言えるほどに感動している。

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まぁこんなつらつらと言葉を並べてはみるけど、この気持ちを上手く表現することができない。

言葉に出来ないんだよな。


風の中、海と空に抱かれたモアイをずっと見つめていた。











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「どうもー、こんな格好でもいいですか?襟付きの服これしか持ってなくて。」


日本人宿のハレカポネに行くと、まるで少年探検隊みたいなボーイッシュな格好のユキさんが出てきた。

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若い頃から世界中を旅していて、そしてかつてはプロとして歌を歌っていたユキさん。


今日のレストランバスキングの相方をお願いしていたんだけど、唯一の襟付きシャツを着てきてくれた。

気合いは充分!!





路上演奏が禁止だというこのイースター島。
実際警察とかまったくいないし、自由な空気に溢れたこの島で本当に路上演奏禁止なのかはわからないけど、まぁ宿のママが言うならきっとそうなんだろう。

っていうか人まったく歩いてないので路上でやる意味ないけどね。




というわけで人が1番増えるディナータイムにレストランで歌うことにした。
観光客向けの高級レストランばかりのこの島でマリアッチが受け入れられるか怪しいところだけど、やる価値はある。
っていうかやらないとマジで宿代払えねぇ(´Д` )








ひとまず腹ごしらえしときましょうと、俺のキャンプ場に行き昨日もらった魚を料理することに。

どんなして食べましょうかーとキッチンで準備をしていると、宿のおじさんがやってきて彼女は誰だい?と聞いてきた。

他の宿に泊まってる人は中に入っちゃダメとのこと。



おお……厳しいですね……
今までそんな宿あんまりなかったんだけどな………

どうやら日本人宿のハレカポネも宿泊者以外の立ち入りは厳しく規制しているみたい。
まぁ秩序が乱れるというところはあるよな。


仕方なくユキさんには敷地の外で待っててもらうことにして、俺1人でダッシュで魚をさばいてワイン蒸しと唐揚げを作った。

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そしてお皿に持って外に出て芝生の上で2人で食べた。


「美味しーい!!」


「うお!!うめぇ!!」


淡白な白身の魚のほのかな味わいが口いっぱいに広がり、さらに太陽の下で食べる開放感がたまらなく気持ちいい。

あー、なんて自由な島なんだ。









さぁお腹も膨れたところで歌いに行くぞ!!

ユキさんは民謡っぽい曲が得意ということだったので1曲目は涙そうそうをチョイス。

島の空気を感じさせるこのオリエンタルな日本語の曲の後に、スペイン語でウンベソイウナフロアという旅の歌。

うん、完璧すぎる内容。



まずはいつもたくさんの人で賑わっている海岸沿いのレストランへ向かった。










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夕日が海に沈んでいく。
なんでもない1日が終わっていく。


天気が不安定なこの島で、雲に隠れずに太陽が海に沈むところを見られるのはなかなか珍しいことみたい。
たくさんの観光客たちがカメラ片手に小走りで海岸沿いに出てきて水平線に向かってシャッターを切っている。


モアイが夕日を受けて黒いシルエットとなって空に浮かび上がる。

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誰のためのものでもない1日。
俺の時間は俺だけのもの。
そして全ての人のためのとても貴重な1日。

毎日繰り返される、どこででも見られるただのサンセットがこうして特別な出来事のように感じられる時がたまにある。

そんな場面に出会える度に、自分の命の儚さに震える。


みんな夕日に包まれた。
モアイと一緒に空に浮かぶシルエットになった。










夕日が沈んで島が夜に包まれると、人々はレストランへと入っていく。

さぁバスキング開始だ。


最初のレストランへとやってきた。

海に向かって客席が開かれた開放的なレストラン。



うふー、緊張する………
やっぱりレストランバスキングは路上とはわけが違う。
しかもお客さんたちは耳の肥えた欧米のお金持ち層ばかり。

俺の歌が通用するか。



「よ、よし!!もうなかったことにしてそこらへんでビール飲みましょうか!!イヤッホウ!!モアイさいこ」


「えーっとまず私が歌って、それから金丸さんが歌ってる時にお客さんの数を見て2曲目が終わると同時にお金回収完了になるように調整して、君への想い涙そうそう………」


隣でマジ本気の顔のユキさん。

や、やらないとダメです……よね?(´Д` )






めちゃ緊張しながらも意を決してレストランの中へ。
お客さんたちが、なんだ?と俺たちを見ている。

そして店員さんに演奏の許可を……


「え?歌う?ここで?ここでギターを弾いて歌うの?どういうこと?」


レストランマリアッチというものがまったく一般的ではないらしく、店内で歌わせて下さいという意味を理解してくれないお姉さん。


「歌うといっても……私はここのオーナーじゃないから私じゃわからないわ。」


「そうですよね、店内で歌うとか寝ぼけたこと言ってすみませんでした。今からモアイに頭打ちつけて死にます。ブエナスノーチェス、アスタルエゴ。」



またお客さんたちにジロジロ見られながらお店を出る。


「い、いやー、まぁこんなこともありますよ、まいったなー、1軒目から断られるなんて幸先悪いですね、本当困っちゃったなぁ、よし今からビール買ってきて星でも眺めながら花山薫の話でもしま……はっ!!」



隣で不信感丸出しの顔をしてるユキさん。

このボケはあれほど偉そうなこと言っておいて本当にレストランでマリアッチした経験なんてあんのか?
ていうかてめー歌なんかうたえんのか?

という視線ビンビン。


ち、違うんだ!!
花山薫は本当は母親想いの優しい男で………













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はい、5軒回って50900チリペソ。


1時間もやってねぇのに1万円超えた。


断られたのは最初の1軒だけで、あとのお店は全部超ウェルカム。

お客さんたちもめちゃくちゃフレンドリーで拍手喝さい、大合唱、立って踊る人もいればブラボーとアンコールで大盛り上がり。

お金はコインがほとんど入らず紙幣ばかり。
5000チリペソも数枚。千円。


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お店の人たちもお金を入れてくれるし次はいつ来てくれるの?とありがたいオファーまで。

これ飲みなさいこっちも食べなさいで、節約して自炊してる身には贅沢すぎる食べ物をたくさんいただいた。

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初めてのレストランマリアッチで興奮しているユキさん。
いつもクールで真面目なユキさんだけど、テンションが上がって口数が多くなっている。

無理もない。俺だってこのイースター島にここまで受け入れられたことが嬉しすぎて興奮している。



もちろん初めてのマリアッチだしマイクがないので、緊張していたユキさんの声量では少しキツイところはあったけど、さすがの人前で歌ってきた人なので見せ方を心得ている。

日本の民謡の節回しが海外ではミスに聞こえてしまうんではないかと不安はあったけど、そういうこともなくとてもいい演奏が出来たと思う。


「マヌイアー!!」

「マウルール!!」


乾杯!!ありがとう!!という意味のラパヌイ語を何度も言われた。
やはりここも音楽を愛する人々ばかりだった。

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充実感に包まれて日付が変わる頃にバスキング終了。

レストランの数は結構あるんだけど、お客さんがたくさん入っている人気のお店はそんなになく、5軒しか演奏できなかった。
でもその分ひとつひとつの店で濃密な時間を過ごすことができた。

分前はユキさんと半分ずつ。

あっという間に5千円も稼いでしまった。

これなら宿代や国立公園のチケット代も全部まかなえてしまうぞ。









ユキさんを宿まで送っていき、1人で静かな道を歩いてキャンプ場に戻る。

興奮が少しずつ冷めて、じんわりと喜びへと変わる。

外灯がポツポツと光る夜道にひと気はなく、俺だけが歩いていた。



憧れ続けたイースター島。
まさかここで歌を歌う日がくるとは。
そしてこんなにも受け入れてもらえるなんて。

一気にイースター島との距離が縮まった気がする。




月が雲を照らしている。

風に吹かれて飛び去る雲を見ていると、まるでこの島が空を飛んでいるような気にさえなる。




なんて綺麗な空なんだろう。

イースター島がどんどん好きになっていくよ。


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