3月10日 月曜日
【チリ】 サンチアゴ ~ イースター島
世界で1番行きたい場所ってみんなはどこですか?
僕は今博多の元祖長浜が地球上で1番行きたい場所です。
ベタカタああああああああ!!!!
イースター島ってすごいですよね。
広大な太平洋にポツンと浮かぶ絶海の孤島にモアイなんていう巨石でできた擬人のモニュメントがあるんですよ。
外界と果てしなく隔絶された小さな島に。
もうこの世のロマンの粋みたいなところです。
誰だってモアイってやつを知ってるし、その神秘に夢と憧れを抱くものです。
海外に出る前の僕にとって世界はそういうものだったし、全てがロマンに彩られていました。
世界一周を始めるにあたって、最初のスタート地点をどこにするか考えていた時期がありました。
こんな果てしない旅をするんだ。できるだけわけのわからないところから始めたい。
これぞ旅、という場所からスタートしたい。
初めての海外なので、どこがどういう場所かもまったくわからない。
フランスの誰も知らないような田舎町の教会からスタートするか。
ニューヨークの路地裏の危ないクラブからスタートするか。
そんな中で1番有力だったのが、イースター島のモアイの前に寝転がって朝焼けを見ながら旅スタートというものでした。
結局、ロシアのウラジオストクというわけわからん度合いでは他にひけをとらない場所から始まったわけですが、それくらい僕にとってモアイとは特別な存在です。
みなさんご存知ないとは思いますが、宮崎の日南にはサンメッセ日南という美しい海岸沿いのテーマパークがあります。
お客さんいつも全然いないので野尻湖ピアに並んで存続の危機であることは間違いないんですが、僕はあそこが大好きです。
そうです、このサンメッセ日南にはイースター島公認のモアイ像があるんです。
なぜこの宮崎とイースター島が繋がっているのかという理由はちょっと忘れてしまったのですが、ここには忠実に再現されたモアイたちが日向灘の雄大な水平線をバックに並んでおります。
それはそれは美しい公園で、いつも県外から友達が来たら連れて行き、ソフトクリームなめながら小動物をつくじって遊んでいます。
宮崎人にとってモアイと天領うどんは心の拠り所と言っても過言ではないと言えるでしょう。うん、大袈裟ですね。
まぁ別にサンメッセのおかげでモアイが好きというわけではないですが、小さい頃から親しんでいたという点ではなんらかの影響はあったでしょう。
あと昔グラディウスかなんかのシューティングゲームで口から弾をいっぱい吐き出すモアイのボスがいたんですけど、あれマジ怖かったー。
というわけで今日、ついに、イースター島です。
宮崎のみなさん、本物のモアイをお届けする日が来ました。
これから9日間、ソフトクリームなめながらモアイをお楽しみ下さい。
「じゃあ、またどっかで。」
「うっす、宇都宮来たら餃子食べに行きましょう。」
「金丸さん、また会いましょうー。」
3泊したサンチアゴのホステルタレスを出発。
ボスのスコットはなかなかの気分屋だけど冗談が好きで気さくなおじさん。
そして何よりお手伝いをしているスウェーデン人のドナがめちゃくちゃ可愛くて若干惚れそうだった。
フミ寂しくなるわ、とか言われたら行きづらくなるやんか。
見送りに出てきてくれたみんな。
ヨウスケ君、マジで助かった。
ヨウスケ君がおらんかったらギターも失ってたし、ハーモニカポーチも戻ってこなかったかもしれないし、オーストラリアに行けずに南米でエンパナダ売って暮らしてたかもしれないし、栃木の中学の半端ない卒業式の話も知らないまま人生を送ってしまうところだったよ。
帰ったらマジで餃子食べに行こう。
あ、佐野ラーメンも。
みんなありがとう。
楽しかったよ!!
バッグパックとキャリーバッグ、ギター、さらに島のために買いこんだ食料を全て抱えると、どんなこの世の果てにアタックしに行くんですか?みたいな荷物量。
洗練されたサンチアゴの人々が軽快に歩く通りを腕引きちぎれそうになりながら根性でバス停までやってきた。
宿から歩いて10分くらいの大通りから空港へのバスが出ている。
1350チリペソ、280円で40分、サンチアゴの大きな空港にやってきた。
おおお………空港って久しぶりだな………
アメリカを空港で寝ながら旅していたあの日々を思い出す。
今回のフライトで4回目の飛行機移動か。
あんまり飛行機は好きじゃないけど南の小島に行くんだ。
チケットもあるし、同じ国内。気楽に行けばいい。
と、言いたいところなんだけど、心配事がひとつ。
俺はイースター島行きのチケットを2ヶ月前にエクアドルで購入した。
往復で6万5千円。
かなり安いと思う。
うん、安いよな。
で、ここで気になっているのが、この価格が現地人プライスなのではないかということ。
南米ではよくあるシステムだけど、このイースター島でも、チリ在住のチリ人と外国人では航空券の値段がかなり違うのだ。
インターネットでチケットを買う際に、サイトの言語表示をスペイン語のままで進め、住所もチリのホテルなどの住所を入力する。
そうすることで現地人プライスの格安チケットをゲットできるわけだ。
しかしもちろんこれは悪いこと。
バレたらペナルティが発生する。
なのでバレるのを避けるため、窓口での有人チェックインではなく機械の自動チェックインでチケットを発券しイースター島に飛ぶというテクニックが存在する。
最初にそれを聞いた時は、そんなことできるんだ!!って一瞬思ったけど、嘘が下手だから2秒でバレるのでちゃんと正規の観光客価格で買いました。
嘘はいかん。
でもだ、このことを旅行代理店の人が知らずに現地人プライスで取っていたとしたら?
いくらか知らんけどペナルティなんか払えんぞ?
もちろん代理店の人には買う際にこういうことがあるんですが大丈夫ですか?と何度も確認した。
多分大丈夫。
でも心配。
でも2秒でカウンターでチェックイン完了。
はい心配しすぎ。
ウッヒョオオオオオウウウウ!!!!
サンメッセ行きのチケットゲットしたもんねええええええ!!!!
関係ないけど空港に来ると設備がラグジュアリーだしスタッフさんたちがみんなとても丁寧なのでなんか偉くなった気になりますよね。
俺ヤリ手、みたいな。
そう、ど田舎者の思考ですね。
ちなみに美々津には信号機が3つしかありません。
久しぶりの飛行機。
えーっと20番シートはー………ここだな。
とビジネスクラスのシートに座ろうとして、ゴミは向こうだよと超美人の女の人に優しく教えてもらうといういつものやつを漏れなくクリアーして、超恥ずかしいと思いながら後ろの狭いエコノミーシートへ。
そんなゴミではあるけど、持ち込みのギターを奥のロッカーに預かってくれるという優しいスチュワーデスさん。
やっぱり飛行機すごい。
お母さん!!飛行機ってすごいんだよ!!
ご飯が出るんだよ!!
中米のチキンバスではご飯なんか1度もでたことなかったのに!!
しかもビールとかワインとかもらえるんだよ!!
ここぞとばかりに飲んだのは言うまでもないです。
映画もそれぞれのモニターで見放題だし、コンセントはあるし、窓の景色はウユニみたいだし、こんなサービスされたら6時間のフライトなんてマジ超短い。
本当にあっという間に飛行機は陸地に着陸した。
飛行機を降りて小さなエアポートの建物の中へ。
機内で入国カードのようなものを渡されていたのでなにかイミグレーションみたいな場所があるのかなと思っていたんだけど、実際にはなんのチェックもなし。
カウンターに人がおらず全員素通り。
そしてベルトコンベアで荷物を受け取ったら無事イースター島に到着だ。
簡素な空港内にはいくつかのホテル・ホステルの窓口がある。
日焼けした島人らしいおじさんたちがカタコトの日本語で声をかけてくる。
時差が2時間発生したのですでに時間は21時。
早いところユウタ君が教えてくれたキャンプ場へ行きたいと名前を尋ねたら、すぐにお迎えのおじさんがやってきた。
こいつは便利だ。
流れるようにおじさんの車に乗り込むと、すぐに走り出した。
車は真っ暗な道を走り、さらにガタゴトの脇道へと入る。
どこに連れて行かれるんだ?と思っていたら、車はすぐに広々としたキャンプサイトのある宿に到着した。
「よう!!よく来たなこの野郎!!」
いかにも島の男と言った感じのプロレスラーみたいな体格をしたおじさんが豪快に出迎えてくれた。
浅黒い肌と彫りの深い顔、大きな体。
暗くてよく見えないが、広い芝生の上にいくつもの大小のテントが張ってあり、その中のひとつをあてがわれた。
Wi-Fiあり、ホットシャワー、トイレの紙あり、キッチンあり、
スタッフも英語が喋れてすごくフレンドリーで親身だ。
文句のつけようなし。
「日本人の男性が泊まってるはずですけど、いますか?」
「いるぞ。でも今は出かけてるんじゃねえかな。」
このキャンプ場に星マニアのユウタ君が泊まってるはず。
積もる話もあるし早く会いたい。
荷物をテントにぶち込んで、早速共有スペースも兼ねているキッチンへ。
キッチンの中はたくさんのテーブルが並んでおり、宿泊者の若者たちがご飯を食べながらわいわいと賑やかに話していた。
俺もパンを持って中に入ると、すぐに1番盛り上がってるテーブルに呼ばれた。
「ヘーイ!!お腹空いてるかい!?これ食べなよ!!一緒に飲もうぜ!!」
「どこから来たんだい?ギター持ってたけどどんなの弾くんだい?」
サンチアゴから来ている連中とフランス人の旅人。
陽気なやつらとすぐに打ち解けホットドッグを食べながら大盛り上がり。
パイナップルの缶詰をあけ、それをボウルに移す。
そこに白ワインをなみなみついで、さらにシロップを垂らした。
これがマジで美味かった。
さすがはワインの国チリ。みんな美味しいワインの楽しみ方を知っている。
ひとしきり騒いでからみんなで外に出た。
寝静まったテントサイトを抜けて敷地の外へ。
デコボコの土の上を歩くと少しワインか効いているのがわかった。
月がこうこうと輝き、早い雲が流れていく。
ヤシの木のシルエットが夜空に浮かび、柔らかい風がそれを揺らした。
まだ実感がない。
ここはイースター島なんだよな。
あの憧れ続けたモアイの島なんだよな。
今いる場所が太平洋の真ん中の孤島だなんてにわかには信じられない。
これから9日間、どんな島生活が待っているだろう。
楽しみ尽くしてやるぞ。
「フミー、ほら。」
夜空に浮かぶ孤独な月に煙を吹きかけた。