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糸の切れた凧はどこに行く

2月12日 水曜日
【エクアドル】 テナ




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朝、とても気持ち良く目が覚めた。

森からの鳥の声が心地いい。



いつもならなかなか起き上がれない俺だけど、すぐにベッドから出る。

体が充実しているのがわかる。

肉を食べ、ビールを飲み、力が漲る。
サンペドロの毒気はもう完全に体から抜け去っていた。






「よーし!!フミ!!今日は1人50ドルずつ稼ぐぜ!!」


「フミヒッピー!!フミヒッピー!!」


今日も楽しいヘロニモとマリアンナ。
本当は2人は今日キトに行く予定だったけど、フェスティバルのことを聞いて出発を延期した。

もともと予定のない2人。
いつもゆっくりしているけど、こういう時は融通がきく。


そんな2人と張り切って町に向かった。








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いつも人影もまばらな小さな町が活気に溢れかえっていた。

通りを人が埋め尽くし、露店や物売りが道路に並び、ものすごいお祭り騒ぎだ。

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その時、上空をすごい音をたてて5機の戦闘機が飛んできた。

陣形を組んだ戦闘機はいきなりひるがえりながら花火を吐き出し、空に煙の線を描いて飛び去った。

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見物人たちから歓声が上がり、ミリタリーたちは屈強な胸を張って歩いていく。

日本の自衛隊の航空ショーと同じだ。

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賑やかなパレードをずっと見ていたかったけど、俺たちには仕事がある。

町はものすごい人で溢れかえりどこのレストランも満席で、席が空くのを待ってる人の列まである。


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稼ぎどき以外のなにものでもない。




「フミ!!すごいぜ!!今日は俺たち最高記録が出るぜ!!」


みんなではやる気持ちを抑え、まずは腹ごしらえに市場の食堂へ。

ここもまた座りきれない人たちでごった返し、外からブラスバンドの賑やかな音楽が聞こえてくる。

猛ダッシュでいつものチキンとポテトとライスをかきこみ、さぁ仕事だ。




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ただでさえお客さんでギチギチになっている店内に強引に入り込んでいく。

マリアンナが店員さんに許可をもらい、ヘロニモが挨拶する。

ガヤガヤと騒がしいのでヘロニモも声を張り上げてみんなの注目をひく。

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そしてマリアンナと2人で店内を動き回りながら歌いまくる。

お金の入りは半端じゃない。
みんなお祭りで財布の紐もゆるくなっている。

声を枯らしながら、弦をぶち切っては修復しながらレストラン巡り。

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お祭りに遊びに来ていたリーナとパウロも合流して、みんなで店内を盛り上げながら歓声の中次の店へ、次の店へ。


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汗をぼたぼた流しながら1時間半かけて町のレストランを周り切ったころ、ヘロニモのポケットはかつてないほど膨れ上がっていた。

イェーイ!!とみんなでハイタッチした。






あ、歩いてたら友達ができました。

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フレンドリーでなかなかいい奴でした。
忙しそうだったけどちょこっと歌を聞いてくれボニートって言ってくれた。


なんかちょっと前にエクアドルの大統領やってたそうです。
いい奴でした。









お祭りもひと段落したみたいなので、みんなで一旦家に帰ることに。

タクシーを捕まえて乗り込むみんなにギターを渡してドアを閉めた。

俺は行かないといけないところがある。




そう、







歯医者!!!!




昨日、奇跡のピンポイント停電で治療ができず明日来てくれと言われている。

今日こそ銀歯をはめてしまうぞ。






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というわけで1人ボチボチ歩いて昨日の歯医者さんにやってきた。

町外れの森の脇にある建物。
玄関のところには日本の歯医者さんでも見かける機械が放置してある。

中に入る。






んー………人がいない。



治療前なのでとりあえず奥のトイレに行き入念に歯磨き。

別に水を口に含んでも、歯ブラシで磨いても、お菓子を食べても痛みはない。

虫歯だから銀歯が取れたというわけではないみたいだ。




建物の中を探し回ったけど誰もいない。
どういうことだよ……?
まさかお祭りに遊びに行ってるのか?




すると2階に人を発見した。



「あの、歯の治療に来たんですが。」


「あー、マニャーナに来てね。」











………………なめてんのかオラアアアアアアアアア!!!!!!!



マニャーナマニャーナマニャーナ!!!

マニャーナってなんだ!!!

果物か!?

頼むから治療してくれえええええええ!!!!!





それから町の中の歯医者さんを手当たり次第に5軒回ったが、どこもお祭り効果のせいかマニャーナ1点張り。

もういやだ………





がっくりと肩を落として歩いた。

とぼとぼとリーナの家に向かう。



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どこまでも続く一本道。
リーナの家までバスで15分くらい。
歩いて1時間くらいか。

リーナの集落はとても小さいのでバスは1時間に1本くらいしかやって来ない。
暑い日差しの中、いつ来るかもわからないバスを待てず、ずっと歩き続けた。






早く進まないといけない。

時間が背中を押す。
もどかしさと焦りで頭が混乱してくる。

ちくしょう……どうしたらいいんだ………

心を落ち着かせようと歩き続けた。






その時、後ろからやってきたタクシーが横を通りすぎた。

そしてどこからかユミー!!という声が聞こえた。

タクシーが少し向こうで止まった。



窓から顔がのぞく。


「ユミ!!ユカカンタモナニ!!」


「あー!!ヨパイチャイニー!!」


パパがいつもの笑顔で手招きしていた。










パパの笑顔にだいぶ落ち着きを取り戻し、タクシーに乗って家に帰ると誰もいなかった。

家族のみんなに聞くと、どうやら川に泳ぎに行ってるそう。

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テーブルの上にはお昼のあがりのコインが数えられた状態で綺麗に置いてあった。

まだ取り分けられていない。

俺が帰ってきてから精算して分配しようとしてくれているヘロニモたちの誠実さがとても嬉しい。

あがりは67ドル。










焚き火に木をくべながら日記を書いていると、しばらくしてみんながワイワイ帰ってきた。


「ヘーイフミー!!歯医者どうだった!?」


「ちゃんと出来た?」


「泳ぎに行こうぜー!!」


屈託のない笑顔のみんなといると、まだこのまま彼らと行動したくなる。
でも心はもう次の国へと向いている。


「フミ、アイゴーコンフミ、クスコ。フミ、マリアンナ、シングレストラン、ビエン!!」



マリアンナがびっくりすることを言った。
なにやら俺と一緒にペルーに行きたいみたい。

ヘロニモとパウロはキトに北上する。
そんなヘロニモと別れるとは言っていたが、まさか俺と行きたいと思っていたとは。




確かにマリアンナはいい子だ。
陽気で可愛くて、一緒にいて楽だし楽しい。
レストランでもバスでも、マリアンナとならいつでも稼げる。
いいコンビだと思う。



でも、もう俺は俺の道を進みたい。
気づけばずいぶんとこの3人で過ごしていた。
そろそろ1人旅が恋しくなっていたし、これから猛スピードで南下していかないといけない。


マリアンナは気分屋だ。いきなり機嫌が悪くなったりして、いつも俺とヘロニモでうまいことなだめていた。
どこにでもいる女の子だけど、今の俺に女の子を気遣いながら旅する余裕はない。

それにヘロニモにもなんだか悪い。



「ごめんマリアンナ、こっから先は俺1人で下るよ。」


「えー!!フミと一緒に行きたいー!!私クスコ大好きなのにー!!私と一緒なら言葉が通じなくても困らないよ!!」


「マリー、無理言うなよ。フミにはフミの予定があるんだよ。」



もし俺の旅に時間の期限がなかったら、きっとどこまでも行っている。
面白そうだと思うところや、困難な場所にひたすら突き進んでいるはず。

お金がなくなれば北欧に飛んでガッツリ稼いで、またいくらでも旅は続けられる。
そんな中でどこかに腰を落ち着けることもあるかもしれない。


5年、10年、どこまでもやり続けるはず。


社会から完全に離れてしまっているヒッピーたちとたくさん出会ってきて、そんな生き方もあると自然に受け入れられるようになってきている。
日本にいた頃には考えられないほど、頭は柔軟になってきていると思う。






糸の切れた凧はどこまでも飛んでいけるけど、いつかはどこかに落っこちてボロボロに崩れてしまうだけだ。

素晴らしいものは見られるかもしれないけど、きっと俺はとことん1人になることを恐れている。

繋ぎとめてくれる糸があるからこそどこかに行きたいと思うのかもな。


ミーアンドボビーマギー、クリスクリストファーソンのしゃがれた声が聞こえる。


彼女との約束があるからこそ、旅を続けられる。

早く先に進むぞ。










夜、本当に最後のバスキングに出かけた。

お祭りの打ち上げ的なもので賑わっていると踏んでいたんだけど、予想に反して町は静まり返っていた。


祭りの後の静けさは例えば女で紛らわしー、なんてポロポロ歌いながらレストランを見て回るが、どこも早めの店じまいをしており、とても歌える雰囲気ではない。



「なんてこった。今日は俺たちのベストの稼ぎとワーストの稼ぎが同時にやってきた日だな。」


最後がこんなのもなかなか面白いねと3人で笑いながらリーナの家に帰った。


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