11月24日 日曜日
【グアテマラ】 アンディグア
iPhoneがなくなったので、久しぶりにノートに手書きで日記を書いている。
やっぱり手で書いてないと漢字が出てこないですねとかそんなことマジでどうでもいいくらい頭が沸騰している。
一気にまとめて書いているので、現在もiPhone捜索中。
こんな山の中の小さな村。
99パーセント出てこない。
でもまだ諦めんぞ。
はぁ………そんな気にはとてもなれないけど、楽しかったアンディグアの日曜日について少しでも書いとくか………はぁ………
えーっと、確か路上で歌って55ドルくらい稼いで宿に帰って飯食ってウンコして寝たんだったっけな。
これじゃ土曜日と一緒か………
もうちょっと詳しく書くか。
いい日だったし。
土曜日にエビちゃんとヨシコさんが宿を出て行き、俺とケータ君、ナオコちゃんの3人になり、さらにオーストラリア人の女の子もみんな、月曜日に出発するそう。
俺も月曜日に出る。
一気に寂しくなる。
スタッフのウィンが陽気に振る舞いながらも悲しげな顔をしていた。
エビちゃんたちが出ていった後、部屋で泣いていたとタニアが言っていた。
ウィンは本当にいい奴。時々うっとおしいくらいみんなと過ごすのが大好き。
そんな愛すべき男だけど、それでホステルのスタッフをやっていけるのか不安でしょうがない。
エビちゃんたちは出ていったけど、新しい出会いもあった。
昨日歌っていたら1人の日本人の女の子が興奮気味に話しかけてきた。
マユコちゃんという子で、スペイン語を勉強しながらアンディグアに6週間くらい滞在しているそう。
以前ブログにコメントをくれていた方で、アンディグアに来たら路上を見たいですと言ってくれてたんだけど、そろそろ着いたかな?とこの3日くらいずっと路上を探し回ってくれていたみたいだった。
そんなマユコちゃん。
今日も路上を見にきてくれた。
3日くらい前から悪化している熱で病院に行ったケータ君。
気管支炎だということで連日寝込んでいたんだけど、少し良くなってきたということで散歩がてら路上を見にきてくれた。
看護師のナオコちゃんももちろん付き添って。
フロレスで会った面白アメリカ人のトッドも声をかけてきたし、宿に滞在してる謎の絵を800ケツァールというクレイジープライスで売っているグアテマラ人のアーティストも見に来てくれた。
毎日、目の前で似顔絵描きをやっている兄ちゃんが、いつの間にか俺の歌ってる姿を道路越しに描いてくれていた。
その横にいるヘナタトゥーをやってる兄ちゃんのとこでナオコちゃんとケータ君が初めてのヘナタトゥーをやった。
自称ジェームスボンドのウクライナ人伊達男が葉巻をくわえながら赤ワインをグラスについでもってきてくれてウィンクしてくれた。
地元のミュージシャンのおじさんが、今夜クラブでやるから飛び入りしてくれと言われた。
向かいのレストランで演奏をお願いされた。
そのオーナーがいつも歌を聴かせてもらってるから、お前はいつ来ても飲み物も食べ物も無料にしてあげると言ってくれた。
絶え間なく人だかりができ、夜になってアーチの時計台がライトアップされ、その淡い明かりが石畳みと人だかりを照らし出し、その中で歌った。
とてもいい路上だった。
たくさんのお誘いをもらったんだけど、全部お断りさせてもらって宿に帰ったのは、宿でパーティーがあったから。
明日ほとんどの人たちが出発するということで、ウィンとタニアが全部用意してくれた。
ただみんなが出発するからって、それだけのことでこんな大盤振る舞いしていて、この宿やっていけるのか?ってくらいこの宿のスタッフたちは旅人を愛している。
飲んで、食べて、俺はまた歌って、この小さな宿の屋上で、最高の時間だった。
「あ!!あそこ!!」
誰かが叫び、指差したほうを見ると、真っ暗な夜の中に、遠く火山が噴火していた。
沸き立つみんな。
こんなに国境の壁のない宿は今までで初めてだった。
すべてはタニアとウィンの愛すべき人柄が俺たちを近づけてくれてたんだと思う。
みんなが部屋に戻り静かになった宿の中。
俺も寝る支度をして、1人でタバコを吸いに屋上に上がった。
そこには1人でテーブルを拭いてるウィンがいた。
「楽しかったね。」
「ああ、今日も歌ってくれてありがとう、フミ。」
2人でタバコに火をつける。
夜空の星が綺麗にまたたいている。
「なぁ、フミ………行かないでくれよ。みんないなくなってしまう………耐えられない………頼むよ、泊まってくれるなら明日の宿泊費は無料にするからさ………」
この宿はまだオープンしてから45日。まだまだきっと手探りだと思う。
そんな45日の間に、この数日みたいに楽しい日々があっただろうか。
みんながワイワイと料理を作り、映画を観ながら我が家のようにリラックスし、パーティーをし、しかも歌を歌う奴もいる。
みんな仲が良かったし、全員いい奴だった。
そんな時ってきっとなかなかないと思う。
ウィンとタニアが俺たちを引き止めてくれるほどに、彼らにとって素晴らしい日々を作った一員になれたのならとても嬉しいことだよ。
これからもきっと素晴らしい歴史を積み上げていくんだろうな。
いつか必ず帰ってくるからと肩に手をかけたら、ウィンは力なく笑った。
さて、あのアンディグアの素晴らしい日々から一転、現在俺はこの日記をズタボロの廃車の中の破れまくったシートにもたれながら書いています。
内装とかとれて鉄板がむき出しになってる車内にはゴミが山のように詰め込まれており、屋根にはなぜかマネキンが縛りつけられています。
真っ暗な廃墟みたいな家の庭にいるので、とても怖いです。
昼は暑かったけど、夜はなかなか冷えます。
寝袋にくるまりたいけど、バッグは行方不明。
写真の選別でもしたいけど、iPhoneはさっき盗まれた。
はぁ………
夜はなかなか寒いです。
でも窓が曇るくらいに熱気がこもってます。
怒りで体温がヤバイことになってる。
ああすればよかった、
こうすればよかった、
という考えが頭の中をグルグル回る。
あのボケどもの顔がまぶたに焼きついて離れない。
絶対諦めんぞ。