11月17日 日曜日
【グアテマラ】 アンティグア
ゆうべあれから宿に帰り、ドミトリーの中に忍び足で入り、ベッドに潜り込んだわけですよ。
もちろん他の人が寝てますからね、ドミトリーですから。
適量のビールで気持ち良く寝ていました。
すると夜中の2時くらいかな。
アホな兄ちゃんたちが遠慮のカケラもない話し声でドカドカ入ってきて隣のドミトリーに行き、ずーっとガヤガヤしてるわけですよ。
静まり返ってる宿の中で。
スペイン語だったから、まぁどっかこの辺りから来てる観光客でしょうね。
ドミトリーあるある。
まぁそのうち静かになるだろうと我慢してたら、20分くらいして寝ついたみたいだったので、良かった良かったと僕もまた眠りにつきました。
そしたらしばらくしてまたガヤガヤと騒ぎ出します。
朝5時。イカれてやがる。
手を叩きながら大笑いしている。
隣のドミトリーだけど、ドア1枚しか挟んでないのでまぁ丸聞こえですね。
僕のドミトリーにも何人か白人が泊まってますけど、うーん、って寝返りをうつだけで注意する気配はない。
ガヤガヤガヤガヤ………
ギャハハハハハー!!
バン!!!
思いっきりドアを開けると、20代前半くらいの若者6~7人が明かりをつけて大騒ぎしていた。
「おい、5時だぞ?お前ら何考えてんだ?」
「………」
しれーっとした顔で肩をくいっと上げるボケども。
「みんな寝てるだろうが。お前らの家じゃねーんだぞ?静かにしてくれ。」
ブチ切れた顔でそう言ってドアを閉めたら、閉めた瞬間また元の声で話し始めるボケども。
ハポネスが怒ってるぜー!!
ひゃひゃひゃひゃー!!
そんな感じのことを言いながら笑ってた。
もうこの宿出よう。
目を覚ましてから荷物をまとめて宿を出た。
向かった先は、もちろんゆうべのあの雰囲気のいい宿。
玄関を入ると、すぐにタニアママが俺を見つけて手を大きく広げた。
「ヘーイ!!戻ってきてくれて嬉しいわー!!ん~~!!」
思いっきり抱きしめてきて頭をくしゃくしゃとなでてくる。
みんなリビングのソファーで寝転んでテレビを見ながら眠りこけている。
ゆるい宿だなぁ^_^
こんなにいい宿なのにお客さんがあまりおらず、6人用のドミトリーが俺1人で貸し切り。
キッチンも綺麗な食器や鍋がたくさんあり、調味料も豊富だし、安宿によくある油まみれの棚なんかではなく、清潔に保たれている。
ホットシャワー、トイレットペーパー完備、Wi-Fi快調、
タニアママが1日に何度も掃除をしてくれているので、とても居心地がいい。
蚊がいたら言ってね!!とベープマットみたいなコンセントに差し込むタイプの蚊取りのアイテムまでかしてくれる。
おまけにこれ。
屋上のテラスから見渡す町の景色。
これでドミトリー50ケツァールか。600円。
最高だなここ。
「あ、来ましたねー。今夜も何か作って食べましょうか。」
朝から爽やかなタカさんとナナさんご夫妻がちょうど出かけるところだった。
俺も快適なホットシャワーを浴び、ギターを持って宿を出た。
アンティグアはパン屋さんが多い。
よーし、今日は日曜日。
ホコ天の通りは人で溢れているぞ。
青い空にそびえる富士山のような山と、アーチの時計台。
カラフルで鮮やかな町並み。
んー、いい町だ。
最近で1番お気に入りの町だな。
よっしゃ!!張り切って路上開始!!
まぁ今日も調子良かったです。
怒られないんですよ、アンティグア。
途中止められないで歌えることのストレスのなさ。
インディアンのおばちゃんたちもたくさんいるけど、みんな笑顔で見てくれるし、一生懸命物売りをしている小さな子供たちも素直で可愛らしい。
1人のインディアンの子供がモジモジしながら俺の前に立っていたので、どうしたのかな?と思ったら、どうやら折り鶴が欲しかったみたいで、遠慮がちに折り鶴を指差した。
なんだそういうことかと折り鶴をひとつ渡すと、なんとその子、小さな声でクアント?って言った。
びっくりする。いくら?って。
こんな子供なのにしっかりしてるわ。
お金はいらないよって笑うと、ニッコリ笑顔になって走って行った。
日が沈み始めた空、ラストスパートで声を上げる。
アーチが夕日に染まり、チリーンチリーンと時間を告げる。
その下でたくさんの人々が足を止めて歌を聴いてくれる。
人だかりの中にタカさんとナナさんの姿も見つけた。
タカさんに写真をお願いしたけど、やっぱり旅人はカメラが上手い。
これお気に入り^_^
声を枯らしながらイマジンを歌い切り、拍手の中でギターを置いた。
今日のあがりは433ケツァールと5ドル。
合計472ケツァール!!60ドル!!
「あー、遅かったー!今終わったところなのー!?人だかり出来てたから急いで来たのにー。残念ー。」
ギターを片付けているところにやってきたのは、数日前にフロレスで出会った日本人の女の子だった。
彼女もまた1年以上、世界を旅しているツワモノバッグパッカー。
「じゃあみんなでご飯作ろうか?」
「あ、いいですねー。」
いやー、みんなでご飯作るって楽しいですな!!
しかも女の子がいると楽しくてしょうがないですな!!
買い出しからウキウキ!!
この小さな女の子2人。
外国人の女性からしたら小人みたいな小ささですよ。
丁寧に扱わないとすぐ傷ついてしまいそうなほどか弱く見える。
守ってあげないといけないって思える。
しかし、
ナナさんは、とある企業の海外営業担当をされていたそうで、大使館を相手にするような国レベルのプロジェクトを任されていた人。
さらにユウコちゃんは、元弁護士。
ナニモンだよ………
才色兼備とはこの事だなぁ。
こんな小さな体に外国人たちに負けない様々なスキルを秘めている。
賢い女性は魅力的だ。
宿に戻って料理開始。
ナナさんは料理が上手い。
さらに英語とスペイン語とトルコ語を自在に操る。
さらに機織りとかする古風なところも持っている。
さらにバレエで本格的にロシアに留学していたこともあるという度が過ぎた天才。
同じ空気を吸うのも恐縮になりますね。
そんなみんなで作った料理がこれ。
美味いですな。
食事を終えてビールを持って屋上へ。
冷たい風がさらさら吹いていく夜のアンティグア。
月がまぶしく輝き、オリオン座が山の上にぶら下がっている。
タカさんがiPadでセンスのいいキューバ音楽を流してくれる。
日本人は体が小さい。
体が小さいと、どうしても幼く見えてしまうもの。
頼りなく見えてしまう。
はーい、可愛いねー、いい子いい子ーってな扱い。
1年以上海外にいて、俺もどこかそんな感覚で日本人を見るようになってきている。
本当はこんなにきめ細やかで、気配りができて様々な能力をその体の中に秘めている。
日本人の秀才ぶりには本当に驚く。
誇らしいし、俺も背筋がのびる。
「あ、あれ火山じゃないですか?」
「あ、すごいすごい!!」
見てみると、夜空にそびえるいくつかの山のひとつの頂上から、オレンジ色の火柱がぼうっと立ち上がっていた。
すげえ、活火山があるとは聞いていたけど、まさか本当に噴火しているとは。
この日本人の女の子も、体は子供みたいに小さいけど、命の炎は変わらず赤く燃えている。
なんだかそれがとても愛おしくて抱きしめたくなる。
やっぱり日本人の女の子が好きだなぁ。