こんばんは!!
昨日のブログでのたくさんの投票、ありがとうございます!!
締切はもうちょっと先にしますので、まだまだどうぞ!!
カオルさんがヤバイ!!
6月26日 水曜日
【カナダ】 ハミルトン
「フミ!!よし、今日はビデオ撮影をしよう!!俺たちが歌っているミュージックビデオを撮るんだよ!!最高だと思わないかい!?フウウゥゥゥ!!シット!!オーマイゴッド!!なんていいアイデアなんだ!!俺とフミが歌うビデオだと!!!」
今日も朝からめちゃくちゃ興奮しているマーシャル。
まるで今まで夢見てきたことをすべて実現させてしまおうという勢いだ。
「コンビ名はフミマーシャルでどうだい!!?F&M!!イカしてるだろう!!フミ、あと1ヶ月はここにいないとダメだぜ。」
ホラ!!飲みな!!って朝からカクテルを出してくる。
今日はどこにも行かないで、とことん曲作りをしよう!!と意気込んでいるマーシャル。
アメリカ入国は7月1日。
今日が6月26日。
はっきり言ってヤバイ。
でもこんなにはしゃいでいるマーシャルを見ていたら、なんだか緊張の糸も切れてしまった。
今日だけ休もう。
2人で飲みながらギターを鳴らす。
マーシャルはいいソングライターだ。
案はいくらでも出てくる。
彼の持ち曲もみんな素晴らしい。
でもなかなかコレっていうのが出てこない。
行き詰まっていた時に、ふと思いついた。
「マーシャル、僕の曲ですごくお気に入りの曲があるんだけど、それを英語に翻訳するってのどうかな?こんな曲なんだけど。」
売れない絵描き、という歌がある。
25歳の時に作った大好きな大好きな曲。
軽く演奏して、詩の内容を伝える。
「……………シット………オーシット………」
完全にキレた顔して頭を抱えてブツブツ言ってるマーシャル。
「ど、どうかな………?」
「…………シット!!………コノクソジーニアス野郎!!!!」
叫んで抱きついてきた。
熊みたいに大きなマーシャルに抱きしめられると、自分が子供みたいだ。
「なんだその詩は!?!シンプルで、奥深くて、あ、あああ!!怖い!!!お前はなんてジーニアスなんだ!!あああ!!ホーリーシット!!!」
もうリアクションがいちいち修造(´Д` )
「えーっと、じゃあ1行目なんだけど、売れない絵描きが絵を描く、って言うのを翻訳したらどうなるかな?」
「よーし、待ってろよ。俺は10代から曲を作ってるんだ。俺の作詞の能力はハンパじゃな……はわっ!!!」
いきなり手を口に当ててガタ!!っと立ち上がるマーシャル。
「あ、あ、あ、あ、ヤバイ!!ヤバイよ!!フミ、いいかい?いいかい?!俺の才能を受け止める準備は出来てるかい?!はわわわ……」
「う、うん、いいよ、教えて。」
「彼の心はピュアな空だった。どうだ!!これ以上ない出だしだろう!!うわぁ!!完璧だろう!!ブリリアントだ!!」
「マーシャルごめん。それ却下で。」
「あ、そ、そうか、ゴメンな……勝手に盛り上がっ、はうあぁ!!!!じゃ、じゃあこれはどうだい!!?」
まぁ難しい。
日本語の詩を英語に翻訳するだけなんだけど、もちろん直訳するだけじゃダメ。
日本語と英語だと表現方法がまったく変わってくる。
アクセント、語呂を加味しながら、美しい詩的な表現、語勢、さらには母音や子音にまで気をつけて作詞というのはするもの。
聴衆の感情をコントロールする、鋭い舵取りも必要になる。
それだけ気合い入れて書いてる詩なので、翻訳する時に、ほんの少しでも意味が逸れてしまうなんて許されない。
その微妙な感情のひだを、俺のクソ下手な英語でなんとかマーシャルに伝えながら作業していく。
「ブツブツ…………ブツブツ…………アヒョウ!!!ここここ、こ、こ、これはどうだい!!?!水が濁っていく、彼の心も。どうだい!!??」
「………うん。それ、それいいよ。マーシャル、ジーニアスだよ!!」
「知ってるよ!!俺はジーニアスさ!!さ!!次の詩を教えて!!なんだと!!もう元の白には戻れないだと!!?このジーニアス野郎!!お前はすごい!!」
めちゃくちゃ悪戦苦闘。
1行に30分くらいかかったりする。
「マーシャル!!だからそこまで言ったら説明しすぎなんだよ!!それじゃ聴き手がイメージできなくなるだろ?」
「あああ!!フミ!!俺は日本人じゃない!!北米人だ!!もっとエキサイティングにしたいんだ!!ドラマチックな表現がいいんだよ!!」
マーシャルはソングライターだ。
そこらへんの人に翻訳してもらうよりも、はるかに詩心を分かってはいるが、やはりそれでも完璧に理解してもらうのは不可能。
しかし楽しすぎる。
何回ジーニアスって言ったかな。
2人していい言葉が出てくるたびに、ジーニアスを連呼しながら時間を忘れてギターを弾いた。
夜になり、マーシャルの彼女がやってきた。
太っちょで優しい笑顔のリー。
目の前でマーシャルとベロチューをするので困る。
彼女がご飯を作ってくれた。
ステーキとポテトとシーザーサラダ!!
美味すぎるうううう!!!!
「作った料理を美味しいって食べてもらうのが1番嬉しわ。フミ、あなたはスィートだわ。ウフフ。」
そう言いながら俺の顔をナデナデしてくるリー。
マーシャルの17歳の息子のコーディーも、俺の旅の中の危なかった話に食いついてくる。
とても暖かい晩ご飯の時間。
ドルルルルルン!!!
ドルルルン!!!
ブフオオォォンン!!!!
その時、外から爆音が轟いた。
バイクの音だ。
それも多分ハーレーとかのドデカイやつの音。
「お、スティーブのおでましだ。」
ドアが勢いよく開いて、映画の中から飛び出してきたようなタフガイが入ってきた。
「おう、バディ、クソ調子はクソどうだ?」
汚れたタンクトップ、むきむきの筋肉、全身に刻まれたタトゥー、年季の入ったバンダナ。
そして声が笑えるくらい低いマフラー音みたいなしゃがれ声(´Д` )
な、なんだこのボーントゥビーワイルドは(´Д` )
「ヘイ!!バディ!!彼は日本から来たフミなんだ!!旅をしてるところなんだ。」
「フン。おい小僧、俺のクソ肉はどこだ?俺はクソ腹が減ってるんだ。」
「お、お持ちします!!」
ウケる(´Д` )
1秒に1回はファックと言う。
んで肉の切り方(´Д` )
皿まで切れますよってくらいギャリギャリぶった切って食べてる。
タフガイにもほどがある。
「おい、小僧、俺のクソイカしたバイクを見てーのか?」
「あ、は、はい。見たいです。」
「よし来い。どうだ、クソ渋いだろうこのチンカス野郎!!」
口が悪いにもほどがある(´Д` )
でも悪い人ではないですからね。
もうツッコミどころありすぎっていうかツッコミどころしかないような人だから笑いがこみ上げて仕方ない。
「おい、小僧、何がおかしいんだ?何かクソ面白いことでもあるのか?」
そう言いながら、ケツポケットの中からソフトボールくらいの大量の「シガレット」を取り出して、おもむろに巻き始めるスティーブ。
「え?ま、混ぜないんですか?」
「ああああ!?!おいチンカス野郎!!俺がクソ混ぜ物をするようなクソインポに見えるのか?!!あああ?!!」
「ご、ごめんなさい!!」
バコバコ煙を吐きながら、持ってきたパソコンでジューダスプリーストを爆音で流すタフガイ。
もう、腹がよじれるくらいずっと笑ってました。
「ハァハァハァ………あー、腹痛い………スティーブはなんでそんなにワイルドなんですか?」
「おい、小僧、覚えておけ。見た目なんてクソどうでもいいことだ。クソワイルドでクソ強くないといけないのは、ココさ。」
俺の胸を乱暴に突くタフガイ。
クソかっけえこと言いやがる!!!
もうこの手とかすげすぎ。
人生丸出しだよ。
「どうだこのチンカス!!これがクソ男の手だクソインポ野郎!!」
「フミの敵は俺の敵だ!!俺が世界中の嫌なことからフミを守ってやる!!!こうやってさ!!俺が壁になってやる!!!」
マーシャルもだいぶ酔っ払ってました(^-^)/