5月4日 土曜日
【ルクセンブルク】 ルクセンブルク
今日も同じ公園のベンチで目をさます。
警察にはホテルをとるように言われたけど、この金持ち国でホテル入ろうと思ったら、たぶんどんなに安くても30ユーロはするだろう。
ごめんなさい!!
俺みたいな流れものがやってきて、こうして公園で寝たりする浮浪者が増えて治安が悪くなるのを防ぐためなんだろうけど、あと今夜だけです!!
勘弁してください!!
よおおおおおおおおおし!!!!!!
今日はなんかフェスティバルとか言ってたよねえええええええ!!!!!!!
人通りかすごいことになるって言ってたけど、どれほどのものすげええええええええええええええええ!!!!!!!!!!
まだ昼前なのにマジでまともに歩けないくらいの大混雑!!!
全てのお店が商品を店先に並べて、50パーセントOFFとかのバーゲンセール!!!
カフェのテーブルも全部満席で広場が人で埋め尽くされてる!!!
しかも天気がやべえくらい快晴ーーーーーーー!!!!!!
はぁはぁはぁ(´Д` )
稼げない自信がない(´Д` )
昨日のライセンスでは、時間帯と通りの指定がされているものの、今日も路上でパフォーマンスしているのはアコーディオン弾きの爺さんだけ。
なら関係ねえ。
美味しい通りに陣取り、気合いを入れてギターを鳴らした。
頑張った。
俺頑張った。
12時から、夜の19時まで。
7時間やったよ。
喉と手首と指先がどうにかなるんじゃないかってとこまで頑張ったよ。
今日のあがりは………
ナイスカップル!!
84ユーロ。
あ、1を足し忘れてた。
184ユーロです。
いやあああああああああああああああいいいいいいい!!!!!!!!!
国籍ちょうだいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!
今日こそ!!今日こそ3Pするうううううううううう!!!!!!
入れさせてもらううううううう!!!!
「おー、来たかい。入って入って。」
はい、入れされてもらったのは銀行マンのビシーの高級なアパートの部屋です。
大きな液晶テレビ、ふかふかのソファー、ピカピカのキッチン、宇宙船のコクピットみたいなシャワールーム。
路上で歌っててお誘いしていただき、やってきました。
「俺も昔、若い頃に路上で稼ぎながら旅してたんだ。」
そう言うビシー。
可愛い女の子のお父さん。
奥さんは今夜仕事で出ているので、お泊まりさせてもらえることになった。
お金を数えるのを手伝ってくれるラニア。
スマートなビシー。
スマートに食事を作ってくれた。
彼のパフォーマンスは、ゲーム。
ただのステューピッドなゲームさ、と彼は笑う。
例えば自転車。
見た目は普通な自転車なんだけど、ハンドルが特殊で、右にきると左に曲がり、左にきると右に曲がる。
ただの単純な仕掛け。
しかしこれが難しくて誰も運転できない。
面白くてみんなこぞってチャレンジするんだそう。
他にも様々な小さなアイデアのゲームを考案し、それらの機材を積んでヨーロッパのお祭りを巡っていたんだそうだ。
これもゲームの一種。
「稼ぎはねえ……うーん、良いときで、そうだなぁ、4000ユーロくらいかな。悪くても500ユーロくらい。まぁ2人で回ってたからね。」
すげすぎる…………
この稼ぎで家も車も買ったそう。
しかもこの時大学生で、休みを利用してのパフォーマンスだったそうで、キッチリ高学歴を積んで今の銀行マンという仕事をゲットしたんだそう。
2人で始めたこのパフォーマンス。
会社にまで成長させたところで若者にその会社を売り、今では穏やかで順風満帆の生活を送っているってらわけだ。
「フランスの南の海沿いにモナコっていう小さな小さな国がある。ルクセンブルクよりもはるかに小さい1km四方くらいの地域だ。でもここに住んでる人たちは全員が全員億万長者だ。もしモナコでフミが歌ったら誰も君にコインをくれないよ。みんな紙幣しか入れないはずさ。」
バッグの中に、ランスで出会った中国人、シンロンがくれたカップラーメンがあったので、お湯をもらって作った。
するとビシーはカップラーメンを見て、何だいそれは?と聞いてきた。
「あれ?お皿はいらないのかい?あ、お湯を入れるだけでいいのか。へー、便利な食べ物だね。」
ご、ゴミじゃないですからね(´Д` )
さすが、ルクセンブルクの人間は、ザ・底辺、カップラーメンなんて見たこともないんだね(´Д` )
「ルクセンブルクにはこの人口15万人の小さな街に150の銀行があるんだ。みんな銀行で働いてる。北欧並みの福祉が整っていて、みんな幸福に暮らしているんだ。もちろん100パーセントってわけじゃないけどね。この国の政府は素晴らしいよ。」
自国の政府をこんなに手放しに褒める国民がいる国が今まであったかな。
ノルウェーもまぁそうだったけど、国民の政府に対する満足度は、まさに経済の潤いで決まるもの。
日本は豊かな国だ。
エジプトやモロッコなんて比較にもならない。
でもそれでも日本人は常に政府を非難する。
ここルクセンブルクの経済力は、政府の政策力によるものが大きいと思う。
国民が少なくてコントロールしやすいってのもあるだろうけど。
しかし日本の豊かさは、国民1人1人や民間企業の絶え間ない努力に支えられてるように思える。
政府の良さなんて微塵も見えない。
政治のこと全然わかんない俺が言うのもなんだけど。
厳しい時代、厳しい時代と言い続け、それでもなんとかやっている日本。
国民の幸福度が、金に困らないってとこに間違いはないと思う。
でも金がなくても、家族とその日暮らしをしてる人が幸せだと言える国民がいる国もきっとたくさんあるはず。
一度豊かさを知ってしまったらそこから脱却することは出来ないんだろうな。
金がないことを、惨めさにしか感じられない感覚は、先進国が負ってしまった病気かな。
シティーオブマネー、ルクセンブルク。
豊かさとはなんなのか考えさせてくれる国。