4月10日 水曜日
【ポルトガル】 アベイロ ~ ポルト
相変わらずのどんより天気。
今にも雨が降り出しそうな雲だけど、進まないとな。
橋の下、寝袋をたたんだ。
昨日地元の人たちにたずねたところ、ポルトガルではバスよりも電車のほうが安いみたい。
ミスったなぁ。
確かにバスなら街中から街中へ一発で行くことができる。
しかもWi-Fi付きのめちゃくちゃ快適なバスだもんな。
そりゃちょっと高いか。
アベイロの町から歩いて20分くらいのところにある駅にやってきた。
タイルに青い絵が描かれた古めかしい駅舎はまるで美術館みたい。
レトロ!!
わずか4.5ユーロのチケットを買って電車に乗り込んだ。
今日の目的地はポルトガル最後の街、ポルト。
世界遺産にも登録されている古い古い港町で、ポルトガルでリスボンに次ぐ2番目に大きな街だ。
風情ある旧市街が川沿いに広がるとても美しい場所だという話だけど…………
お!!見えてきた!!
これか!!
うおー、めちゃレトロじゃんか。
大きな川の両側にひしめく赤い屋根の街並み。
いくつもの橋がかかり、まるで尾道みたい。
短いトンネルを抜けると、そこは駅舎。
んー、すべてがレトロ。
駅舎の中はアベイロの駅と同じようにタイルに青い絵が描かれており、目を見張るほど美しい。
ここに向かってくる途中の小さな村の駅もこんな青いタイルだった。
この地方の伝統的なものなんだろうな。
そして駅舎を出ると………
マジでタイムスリップ。
めちゃくちゃ古い街並み。
こりゃすげえや。
巨大な教会や塔がドスンドスンと散らばり、通りにはたくさんのお店が並び活気に溢れている。
マックもこんなレトロ!!
そして適当に歩いていると、大きなショッピングストリートを発見。
稼げる。
間違いなく稼げる。
あー、めちゃいいやんこの街。
いきなり居心地がいい。
ご飯を食べようと、地元の人たちで賑わっている食堂に入った。
ポルトガルでは美味しそうなパン屋さんの中にグリルコーナーがあるというお店が多い。
おばちゃんたちがスープをすすっているカウンターに座って、ハンバーグとポテトのプレートを注文。
ふと気づいたら隣に座っていたのがアジア人だった。
スープを飲んでる。
女の人。
日本人かな?
アウトドアな服装に身を包んだ旅人っぽい雰囲気。
ぎこちない感じでお会計をしている。
久しぶりの日本人だったけど、お店を出て行くところだったので声をかけそびれてしまった。
まぁいっか。
飯をかきこんで、勇んで路上へ。
よーし、稼ぐぞー。
今日、明日と稼いで、ババっと観光して、一気にスペインだ。
人通りの多いショッピングストリートでギターを鳴らす。
このおあつらえ向きの路上にはアクセサリー売りや、ピエロ、ギター弾き語りのパフォーマーが数mおきに陣取っており、シノギを削っている。
そのせいもあってか、なかなか反応も渋い。
チップもチラホラとしか入らない。
さらに雨まで降ってきやがった。
降ったり止んだりの雨。
軒下に逃げこんでは雨宿りし、止んだのを見計らってはすぐに歌う。
こりゃダメだなぁ。
そんな感じで歌っていると、向こうをさっきのアジア人の女の人が歩いていた。
あ、スープ飲んでた人だ。
フラフラとなんとも頼りなげに歩いている。
俺のことが気になるのかチラッと見るが、足を止めずに向こうに行ってしまった。
まぁ、いっかと歌い続ける。
しかしまぁ、雨がひどくてろくに歌えない。
足元のお金はまばら。
こりゃこんな中で寝床探すのも大変だなぁ、と思ってるところだった。
「あ、あ、あの、に、日本人、ですか?」
あのスープの女の人が声をかけてきた。
緊張してます!!って感じ(^-^)/
「じ、じ、実は私、スペインのアルヘシラスでも見かけてるんです。おも、おも、思い切って声かけてみました!!」
「え!マジですか!!ていうかさっきスープ飲んでましたよね?僕隣に座ってたんですよ。」
「えー!!き、気づかなかった………す、す、すごい!!」
照れ屋さんなのか、一生懸命話すこの女の人の名前はミユキさん。
スペイン最初の港、タリファのフェリー乗り場で俺を見かけ、その後アルヘシラスの町中で歌ってるところを見かけ、そして今ポルトガルでまた見かけた。
さらにさっき隣でご飯食べたからね。
何回チャンスくれてるんだよ。
運命の神様もいい加減、声かけやがれ!!ってイライラしたことやろな。
このミユキさん。
一人旅のバッグパッカー。
日本からアフリカに飛び、北上してきてるところだそう。
もう7ヶ月も旅してるのに、たった5ヶ国しか行ってないというノンビリぶり。
「あぁ、お茶しましょううう、わぁぁ、やっと声かけられたぁぁ。」
おっとりお話す上に、タレ目。
なごむ(^-^)/
というわけで雨も降ってきたことだし、路上を切り上げてお茶しに行くことに。
あがりは17ユーロ。
「何飲みますか?エスプレッソでいいですか?」
「あ、ビールお願いします………」
お!!明るいうちからビールですか!!
ミユキさん!!話がわかる!!
「いつも1人でノンビリ飲むのが好きなんだぁー。あはははー。でもやっぱり誰かと飲むほうが楽しいねええええ。あはははー。」
面白い、この人(^-^)/
音楽の話も合うし、映画の話も合う。
俺より年上なので、気を使わなくていいのが楽だし。
楽しくなってしまって、ミユキさんが泊まっている宿に俺も泊まることにした。
そろそろシャワー浴びたいと思っていたところ。
この雨の中、寝場所を探すのもめんどうだし、坂だらけの街を観光することを考えたら荷物も置ける場所が欲しい。
ドミトリーが13ユーロなら悪くない。
ヨーロッパにしてはなかなか安めの13ユーロという値段なので、まぁ汚い安宿って感じを想像していたんだけど……………
マジ?
マジですか?
なんだこれはああああ!!!!!
高級ホテル並みじゃねえか!!
え?なんだったの?
今までのヨルダンとかエジプトとかの安宿ってなんだったの?
過酷な罰ゲームだったの?
すげええ!!!
シャワーが当たり前に熱い!!
なにこのベッド!!
シーツの白さが異常(´Д` )
各ベッドに鍵つきのロッカーがあるうううううう!!!!!
キッチンが半端じゃねえええええええ!!!!!!
Wi-Fiサクサク。
朝飯つき。
これで13ユーロ。
世の中にはこんな安宿もあるんだね…………
この夜はミユキさんとご飯を食べに行き、宿の綺麗すぎるリビングで夜遅くまで飲んだくれた。