4月8日 月曜日
【ポルトガル】 リスボン ~ レイリア ~ アベイロ
お城の入場券売り場の横で寝袋にくるまって寝て、目を覚まして数秒でチケット購入というスムーズな流れ。
チケットの値段7.5ユーロ。
1番乗りでお城に入った。
城壁の上に立つ。
寝ぼけ眼を覚まさせてくれる景色が広がった。
密集する白い建物の屋根はすべて赤く、紅白の街並みがどこまでも広がっている。
内海にはいくつかの船がゆっくりと動き、対岸にはまばらな町の影。
古い街の奥には高層ビルがいくつか背伸びし、この数百年変わっていないであろうリスボンの港を見下ろしている。
変わっていく景色、変わらない景色、その中で時代は絶え間無く動いている。
人もまたその流れに身を任せるのみ。
お城の旗が風にはためく。
いい場所だ。
お城の丘から降りて行く坂道はガタガタの石畳で、その上をたった1輌の路面電車がのどかに走っていく。
古びた電車は可愛らしい黄色で、窓枠が木でできているというレトロぶり。
坂の多いこの町でお婆ちゃん、お爺ちゃんの大事な足なんだろうな。
坂を降りて行き、アルファマ地区という路地が入り組む古い地区へ。
これまたどの露地も味わいがある。
まぁ総合的に見て、リスボンはひなびた街だね。
ユーラシア大陸の最果て、時代に取り残されたような侘しさにノスタルジーが漂っている。
悪い街ではないが、腰を落ち着けるほどでもないかな。
物価高えしね!!
よし!!歌いまくって稼いで次の街にいくぞ!!
勇んでメインストリートへ!!
お!!銅像ですか!!
あんたちょっと動きすぎですね!!
お!!アコーディオン弾きですか!!
服を着せたチワワを目の前に座らせて犬の可愛さでお金をもらうって技ですね!!
俺もチワワ手に入れようかな。
あ、トロールいた。
ごめんね、トロール。
お前もそこそこ可愛いよ。
よっしゃ!!
気合いで路上開始!!!
お!!なかなか厳しいですね!!
誰も見向きもしませんね!!
あ、あ、足止めてえええええええ!!!!!!
30分やったがお金はゼロ。
人通りはあるのに。
やべ、これヤバイぞ。
このところ飛ばしていたせいでお金がドンドン減っている。
やべえ。
ここらで一発ガッツリ稼がないとマジい。
とっとと稼げそうな町に移動しよう。
バスステーションでiPhoneでポルトガルの地図をにらみつける。
えーっとここから上にある町で雰囲気の良さそうなとこは………
地形とか通りの入り組み方を考慮して町の姿をイマジネーションする。
俺にかかれば地図を見ただけでその町の光景が立体的なイメージとなって頭の中に浮かべられる。
よしよし、ポルトガル中部にあるレイリアという町、ここなかなか良さそうだな。
美しいショッピングストリートとオシャレなお店、活気に溢れた地方色豊かな街が頭の中に完成する。
よーしここで荒稼ぎしてやる!!!
荒稼ぎしてバーで飲んだくれてポルトガル美女と仲良くなって逆輸入で俺の火縄銃をポルトガルに伝来させてや…………
あー、日向ー。
すげー日向ー。
なにこの郊外の大型ショッピングセンターに人をとられた田舎の商店街みたいな商店街。
必死になって町の中を歩き回るけど、人の姿まばら。
日向?
だってロックタウン日向に行けばなんでも揃うんだもん。
町中の時代遅れな商店街なんて行かないよ。
人のいない通りをむなしく風が吹いている。
あー、お城キレー。
丘の上の古城キレー。
………やべえ、ひたってる場合じゃねえって。
金ないって。
パリに待ち合わねえ。
もう一度iPhoneとにらめっこ。
どこにするどこにするどこにするどこにするどこにする!!
よ、よし!!
ここからもう少し北上したところにアベイロって大きな街があるぞ。
ここなら稼げるはず!!
ファイナルファンタジーで装備がヤバくて金貯めしてるような感じですね。
あの時間退屈だよね。
もはや片手でコントローラー操作するよね。
上下左右上下左右、敵でた。
決定ボタン連打。
残念なことに現実世界ではアイアンクローを無限に増やして売りさばいてぼろ儲けという裏技が使えない。
地道に歌うのみ。
てなわけで夜にアベイロに到着。
街灯に照らされた通りは、ここもまたどこにでもある地方都市。
明日はマジで稼がないとすでに金が10ユーロしかない。
パリへのタイムリミットまであと12日。
あー、シドの飛空艇があればひとっ飛びなのになー。