1月27日 日曜日
【キプロス】 レメソル
公園のベンチで目を覚まし、ゆっくりと荷物を片付けていたら、1人のおじさんが話しかけてきた。
「どこから来たんだ?」
「このキプロスでは何をしてるんだ?」
あぁ、寝起きからこんな尋問みたいな会話したくないなぁ。
「ところで、これ、あそこのベーカリーの人たちが君にと言っているんだ。」
は?
公園の向かいにあるベーカリーを指差すおじさん。
何やら物がたくさん入ったビニール袋を差し出してくる。
中にはパンやお水が入っている。
ちょっと待ってよ。
いや、確かに俺はたくさんの人から施しを受けているし、哀れみから来るものもたくさんあるはず。
しかし、ただベンチで寝ているのを見て寒そうだし、可哀想だからって言うことで差し出されたものをホイホイ受け取ることはできないよ。
「ごめんなさい、僕はホームレスに見えるかもしれないけど、ホームレスではないんです。」
そう言うと、自分のやってしまった迂闊な行動を恥じたのか、おじさんは泣きそうな顔になり、すまない!!本当にすまなかった!!と平謝りしだした。
外国人が持っている日本人のイメージは、ラストサムライに出てくる渡辺謙や真田広之。
恥をかくならば喜んで死をとる誇り高い人種といったもの。
そんな日本人に食べ物をめぐもうとしてしまった行為を激しく悔いているおじさん。
俺はホームレスではない。
日本人としての誇りを持っている。
しかしたくさんの人に優しさをいただきながら生きながらえていることはもちろん理解している。
彼もまた、ただ単に貧しいものに少しの食べ物を分けてあげたいという純粋な好意で、俺にパンを持ってきてくれたんだ。
それが彼の謝罪から痛いほどわかった。
ホイホイは受け取れないが、やっぱり好意は大切にしないと。
「ありがとうございます。食べ物は僕にとってとても大事なものです。本当にありがとうございます。」
「いや、本当にすまなかった………ありがとう。受け取ってくれてありがとう。」
朝から人間の心の機微の美しさを感じたな。
あ、関係ないけど、埼玉の日本酒「神亀」のラベルに、
「35歳以上の心の機微の分かる方のみに飲んで欲しい」
とかって書いてるよね。
理解不能。
それからカフェに向かったんだけど、日曜の街はいつにも増して死んでいた。
空っぽの建物の壁に貼られたFor rent. For sell の文字。
お店も9割は閉まっており、俺のオアシスであるカフェも閉まっていた。
こりゃ今日は歌えないな。
少し離れたところにスターバックスがあったので、そこでネットにつないで調べ物。
スターバックスはやっぱり高い。
コーヒー2.5ユーロとか、フラッペとか4ユーロとか。
日本と変わらない。
いつものカフェがいかに安いかだな。
コーヒーを飲みながらさっきもらったパンをかじった。
これから中東を抜けたらアフリカに入るんだけど、俺はそんなにアフリカには惹かれてないんだよな。
サファリツアーとか、少数部族巡りとか、そりゃ実際に見たらとても感動するんだろうけど、別にそんなにそそられない。
治安悪いし。
なのでエジプトからモロッコまで北アフリカを横断すればいいかなと思っていたんだけど………
北アフリカって予想以上にマズイ状況みたいだな。
アルジェリアはもちろん行かないとしても、リビアも観光地であるチュニジアも退避勧告や渡航延期勧告が出ている。
実際現地付近に行って確認する情報が1番確実ではあるんだろうけど、最悪エジプトから飛行機でモロッコだなぁ。
うーん、厳しい。
もう、ビザとか取りたくねー。
国境で荷物検査して、はいどうぞって感じがいいー。
そんな感じで今日は1日スタバでウダウダやってました。
暇なので、もうすぐ日本で大流行するであろうパイプの吸い方をご紹介。
まず葉っぱを詰めます。
この葉っぱなかなか美味しい。
火をつけます。
終わり。
さぁ、みんなもパイプで肺を汚しまくって腹黒い男になろう!!
暇なんですよ……(´Д` )
夜になりいつもの寝床へ。
近くのコンビニでカールスバーグを買うのが日課。
すっかり仲良くなった店員さんとくっちゃべる。
もう明日から来ないよと言い、Facebookを交換した。
公園のベンチにマットを敷き、寝袋に下半身を突っ込んで、ギターを弾きながらビールを飲む。
表の通りでクレイジーが叫びまくっている。
こっち来ないでくれよと思っていたら警察がやってきて、クレイジーを連れて行った。
静まる公園。
こんな日は書くことがないね。
話を膨らまそうにも、ネタがないので、今日はこのへんで。
おやすみ。