1月22日 火曜日
【キプロス】 パフォス
いやー!!いい天気!!!
日差しが暑くて目を覚ました。
キプロスに来てから毎日青空を見てます。
暑い太陽と冷んやりした風。
完全に春だ。
さぁ、気分良く探検開始!!
いやぁ!!虫ぃ!!
マットとバッグの下にムシィ!!
春ですね。
さて、この町にはメインストリートがないようだ。
歌えないわ。
それっぽいところはあっても、人の姿はほとんどない。
空き店舗ばかりが目立つ。
寂れきった遠い港町って雰囲気。
意味わかってんのか?
仕方ないので観光へ。
歩いて海へ向かう。
このパフォス。俺が今いる内陸側は地元の人たちの町。
観光客のための町は海側に広がっています。
ここの港沿いに観光地が固まっています。
キラキラと輝く海。岸壁沿いには、綺麗なカフェやレストランが軒をつらね、パームツリーが太陽に揺れている。
とても美しいこのハーバー。
しかし観光客の姿はそれほどでもない。
定年退職したようなおじいちゃんおばあちゃんたちがのんびりベンチに座って海を眺めている。
金持ちの老人たちが静かに楽しむリゾート地って雰囲気だな。
そんな金持ちな町なのでWi-Fiなんかどこでも拾える。
ネットにつないで地図を見てみると、この海岸沿いにもメインストリートがあるみたい。
見に行ってみると…………
うわぁ………
全部潰れてんじゃん。
観光地らしい、ど派手なレストランやキャバレー、カジノなんかの廃墟がズラッと並んでる。
すっげ。寂れすぎだ。
日本にもよくある、廃れた観光地ってわけだな。
そしてそんな場所が俺は好きだ。
時は無情に流れ去る。
ハーバーの先に行ってみた。
歩いてる老人たちはみんな英語を喋っている。
イギリスかギリシャからの旅行者なんだろうな。
そして1960年までの80年間、キプロスはイギリスの領地だったわけだから、ここでは老人のほうがネイティブな英語を喋れるようだ。
あ、ちなみに車もイギリスと同じで右車線走行。
カフェの間を歩いていくと、海に浮かぶお城が現れた。
とても古い小さな建物。
波打ち際で静かにたたずんでいるその姿は、物言わぬ老人のようだ。
草原と海原の中に遊歩道がのびていた。
潮風に吹かれながら歩いた。
輝く緑、深い青。
潮騒が胸をよぎる。
紺碧にちらつく白波はあの日にはさまった栞。
パラパラと風にめくれて。
久しぶりにこんな海沿いを歩いたな。
日本を旅してる時も、沖縄や日本海側の取り残されたような島を歩くのが好きだった。
坂道の向こうの入道雲。
胸の奥で燃えさかる炎。
若さと思い出をくべて。
桟橋にずっと座っていた。
このキプロスは夕日が有名って聞いていたんだよな。
俺はなんで旅をするんだろう。
いつも、もっと遠く、もっと遠くと思い続け、こんなに遠くまで来てしまった。
人生の選択肢というものは、いつも頼りなく陽炎の中に揺れている。
振り返るとこんなに、鮮明に蘇るくせに。
通り過ぎてきた道の途中に、どれだけ素晴らしいものがあったんだろうな。
真っ赤な太陽がアドリア海に沈んでいく。
俺の心も赤く染める。
赤くなるー
赤くなるー
トロール、この海の向こうはアフリカなんだぜ。
一緒に行こうな。