9月19日 水曜日
若干の二日酔い。
二日酔いなんて久しぶりだな。
むくんだ目をなんとか開いて寝袋を開けると、橋の外は雨が降っていた。
植松さんたちが路上を見たいとおっしゃってたので、今日は歌いたいところだったのにな。
俺に出来ることなんてそれくらいしかないし。
ここにずっといても仕方ないので、とりあえず街に移動。
二日酔いで何を食べようかなと思っていたら、ちょうど中華料理店を発見。
お、なんかわかんないけどラーメンみたいなやつがある。
5.5ユーロで適当に美味しそうな麺を頼んだ。
まずい(´Д` )
なんかハーブの臭いがいっぱいする。
でもスープまで飲み干した。
バーガーキングの2階で日記を書く。
あー、雨降ってるけど植松さんたちのためにも路上やらなきゃな。
今頃、ケーキ屋さん巡りをしているはずだ。
「あ、いたいた。金丸さん!今日一緒に回らへん?」
う、う、植松さん?
なぜここに?
雨が降ったら多分バーガーキングにいると思いますって昨日言っていたんだけど、バーガーキングなんて市内にはいくつもある。
なぜにここがわかったんですか!!
しかも2階なのに!!
奇跡!!
ビックリしながらもそれから植松さんたちとご一緒させてもらった。
揚げパンの美味しい喫茶店。
ダルマイヤーっていう高級食材店。
高級デパ地下の食品売り場。
俺1人じゃ絶対行かないようなきらびやかなお店をたくさん回った。
もちろん植松さんとオオクマさんにとっては、これはお仕事。
海外の食品事情の研究。
それにしてもドイツ人の女の子って可愛い。
いったんホテルに戻り、植松さんたちが部屋で準備をしている間、カナコさんに面白いお話をたくさん聞かせてもらった。
ドイツではトイレの前に必ず人がいる。
デパートでも、ホテルでも、レストランでも。
そしてテーブルの上に皿が置いてあり、そこに小銭が入れてある。
こういうの。
あれなんだろ?
お金を回収する人なのかな?
と思って最初は言われるままに50セントを入れていた。
しかしこれがとても不思議なシステム。
あの人たちはお店の従業員ではなく、清掃局から派遣されて来ている清掃員なのだ!!
そしてあのお皿の小銭はあの人たちへのチップ。彼ら彼女らのフトコロに入るわけだ。
もちろん給料はちゃんと別でもらっている。
しかし、綺麗に気持ちよくトイレを使えたらチップを払う、というのがマナーみたい。
なのでハートの強い人はおばちゃんがガン見してきても無視すればいい。
入れたい人は20セント入れればいい。これが相場。
おばちゃんがあからさまに50セントや1ユーロを置いたりしてるけど、あれは見せ金なので気にしなくていい。とのこと。
まぁ機械にお金を入れる有料トイレよりかはマシだな。
たしかに綺麗に保ってくれてるし。
もう1つ聞いた面白いお話。
ドイツの大工さんは、修行で1年間、木の棒に必要最低限のものを詰めた袋をぶら下げて国を放浪して歩くという伝統があるらしい。
ボランティアで農家の納屋なんかを直したりして、人々も快く彼らに食べ物を与えるのだそう。
そのための独特な伝統衣装もあるらしい。
お遍路みたいなものだな。
それが大工さんってうのが素敵な話だ。
晩ご飯に行く前に楽器屋さんへ。
植松さんが弦をプレゼントしてくれるというのだ。
なんてありがたいこと!
今のところ旅に出てからまだ一度も弦を張り替えていない。
ていうか中古屋さんでこのギターを買ってからまだ張り替えてない。
お店に並んでた期間を考えたらどんだけ張りっぱなしかわからない。
この弦よくもつわ。
てことは俺はこのギターの本当の音はまだ知らないわけだ。
この死んだ弦でこれだけ良い音するんだから、張り替えた時が楽しみだ。
弦を2セット買っていただいた。
そしてお楽しみの夕食。
昨日とは別のアウグスティーナのレストランへ。
ここもまた古めかしい石造りの店内で、たくさんの人がビールを楽しんでいる。
カナコさんとはここでお別れ。
カナコさん、楽しいお話や詳しい案内、ありがとうございました!
ミュンヘンのタンポポってケーキ屋さんにいるからみんな行ってみてね。知的で可愛らしい女性です。
あ、もち既婚ですよ。
さて、ここミュンヘンはビールの本場なだけあって、ビール祭りなるものがあるそう。
1年に一度、3週間に渡って開催される大イベントで、世界中からたくさんの人が訪れ、期間中は街中が泥酔者で溢れかえるという。
英語名はオクトーバーフェス。
なんと、それがこの土曜日から始まるのだ。
たしかに街のいたるところに仮設のステージや客席が組まれているし、ビール祭り用のお土産品がそこらじゅうの店頭を飾っている。
昨日から出会う人出会う人が、ビール祭りは行くんだろう?と声をかけてくるんだけど、植松さんたちは明日ミュンヘンを出る。
すると、なんだって??!!お前たちは一体何を考えているんだ?!と犯罪者のような扱いを受けてしまう。
それほどミュンヘンっ子が誇りにしているお祭りなんだろうな。
俺にとってはナイスタイミングとしかいいようがない。行かない手はない。
てなことで、このレストランでもビール祭りの時に売られる特別なビールが先行で販売されており、それを注文した。
こいつは美味い!!
味が濃く、芳醇な味わい。
アルコール度数は6%。
ビール祭り中はみんなこの強いビールを1リットルジョッキでがんがんやりまくるらしい。
もうビール一生見たくない………ってくらいの祭りだな(´Д` )(´Д` )
今夜も植松さんとオオクマさんの深い大人のお話を聞かせてもらい、とても良い気分でホテルに戻った。
文武
「あの、10分もらえませんか?」
これだけのことをしてもらって、何もしないわけにはいかない。
俺に出来ることはこれくらい。
ホテルの前のネオン街に歌を響かせた。
すると、もうホント奇跡なんだけど、今までなんともなかった弦が役目を終えたように切れた。
この日を待っていたかのように。
弦を買ったら切れたんだよ!
すごすぎる!!
さっきまで植松さんからそんな話を聞いていたんだよ。
いつか自分の思惑以上の大きな力の存在に動かされているような感覚になる時が来るはずだよ、って。
植松さん
「いやー、面白いね。このタイミングで切れるなんて…………あれ?マメサワさん?」
マメサワさん
「あっれー、うえまっちゃん、なーにやってんの?」
そこに通りかかったオーラのある日本人のおじさん。
なんと植松さんのお知り合い。
なにこの奇跡(´Д` )(´Д` )
ミュンヘンで知り合いと会うって(´Д` )(´Д` )(´Д` )
マメサワさん
「もうさー、いっちゃおうよ。イッチャオ。」
色黒でオシャレでただ者じゃない空気バリバリのこの方は、実はとんでもない大社長らしく、今朝はギリシャのホテルのプールで日光浴してたらしい。
レストランに戻り、マメサワさんのお話でめちゃ盛り上がる。
話がすごすぎるのでどんな内容かはご想像にお任せします。
マメサワさん
「えーっと、カネマルくんだっけ?君はどこに泊まってるの?橋の下?なら大丈夫だね。うえまっちゃん、この彼、人質でもらっちゃうね。」
マメサワさんと飲みに行くことになるという1時間前には想像もつかなかった展開に。
マメサワさん
「あ、俺も君の歌聴きたいなー。」
植松さんたちのホテルに一度戻り、もう一回路上で歌った。
飲みすぎてひどい演奏(´Д` )
マメサワさん
「へー、いいじゃんいいじゃん。」
2曲やったんだけど1曲につき100ユーロ札を入れてくれるマメサワさん。
マジでこの方、どれほどの人なんだろう………
多分日本では俺なんか口もきけない人なんだろうな。
植松さんとオオクマさんとここでお別れ。
思えば初対面の植松さんとミュンヘンで会うなんてこと自体が奇跡の始まりだったんだ。
植松さん
「パリにコダマさんっていう人がおんねんけど、話しとくから訪ねてみるとええよ。アメ村を作った人だから。」
アメ村を作った人?
どんなすごい人たちと知り合いなんですか………
話では、アメ村のあの一帯はかつて何にもない、ただのボロい住宅地みたいな場所だったらしいんだけど、そのコダマさんという方が仲間とサーフショップを作り、西海岸風の街に作り変えて行ったんだそうだ。
だから「アメ村」って言うんだな。
マメサワさん
「さて、イッちゃおうか?」
文武
「だ、だ、大丈夫ですか?ボラれたりしないんですか?」
マメサワさん
「だーいじょうぶだよー。俺がいれば大丈夫。でもおっぱいは触っちゃダメだよ。ちゃんと断る時は断らないとボラれちゃうからね。」
どういうとこがいい?と選ばせてくれたので、俺だけじゃ絶対に行けないテーブルダンスのお店へ。
爆音とチカチカする光の中、女の人に無理矢理おっぱいを触らせられ、ドリンクのお釣りをむしりとられる。
こういうことか………
マメサワさんはさすがに軽くかわしている。大人だ!
もっと普通に踊れるところに行こうということでクラブへ。
そして調子に乗って飲みすぎてしまった。
マメサワさんが地元の兄さんに声をかけ、仲良くなって別のクラブへ。
ここは健全なクラブで、サンダルがドレスコードに引っかかるという人生初の体験をする。
兄さんの家に行きスニーカーを借りて再度突撃………と、もうはちゃめちゃな展開。
完全に映画「ハングオーバー」。
あんまり覚えてないけど、踊り疲れてホテルに戻った。