9月6日 木曜日
やっぱり墓地にはずれはない。
静かだし、墓地に来るような人で悪い人はいないので安心して眠れる。
さぁ、行こうか。
ぶらぶらと町を歩いていたら大きな教会を見つけた。
教会はトイレが無料なので、朝の歯磨き、顔洗い。
トイレを出ると何やら中が慌ただしい。
たくさんの花を持った人々が次から次にやってきて祭壇に置いて行く。
入っていきベンチに座っていると、棺が運びこまれてきた。
そうか、お葬式が行われるのか。
葬儀屋みたいなおじさんに、身内の人しか入れないからと言われ、仕方なく外に出た。
見たかったな。
ケバブ屋さんでケバブを食べ、小銭消費。
デンマークに渡る前に小銭を全部使ってしまわないといけない。
するとイラン人のケバブ屋の店員さんが、まだ何も言ってないのに紙幣に両替しようか?と聞いてきた。
あなたはマジシャンですか?!
と驚くとニヤリと笑った。
旅人の気持ちをわかっていらっしゃる!!
ヘルシングボリはIKEAの本社があるってくらいでこれといって見るものもなさそうだ。
城跡みたいなのがあるらしいけど別にそんなにそそられない。
よし!さっさと行っちまうか!!
海の向こうはデンマークだ!!
電車の駅の構内はフェリーターミナルともつながっておりたくさんの人ごみ。
切符売り場で片道の切符を買う。
わずか32クラウン。
そりゃそうだ、たったの4kmしか離れていないんだから。
しかも30分に1本くらい出ているので簡単にアクセスできる。
フェリーに乗りこむ。
デッキに上がると、海のすぐ向こうに町並みが見える。あそこはデンマークだ。
ゆっくりと動き出す船。
強い風が海峡を吹き抜ける。
あっという間だったけど、たくさんの出会いがあった。一生大事にしたいと思えるほどの出会いが。
ビスビーのみんな、ストックホルムのヒロ、カルマルのシャリー。
みんな、また必ず会おう!
グッバイ、スウェーデン!!
ありがとう!!
Tack så mycket!!
船が対岸に近づくにつれ、見えてきた町並み。
そして、
そして!!
巨大な建物が海に突き出している!!
そう!!
調べる限り、北欧を代表する城といっても過言ではない、クロンボー城だ!!
ハムレットの舞台としてめちゃ有名らしい。
ハムレットってハムのサンドかな。
シェークスピアあんまり知らないんだよね(^-^)/
わずか20分ほどの航海でデンマーク領、ヘルシンオーに到着。
興奮する気持ちを抑えながらフェリーを降りる。
ていうかまずは観光よりも金をゲットすることが先決だ。
なるべく換金はしたくない。換金はユーロ圏に行ってからだ。
港から歩いてすぐ、路地を抜けると歩行者天国のすごくいいショッピングストリートが広がった。
たくさんの人ごみ。軒を連ねるお店。チーズ屋さんやパン屋さんの美味しいそうな匂い、カフェでくつろぐ人々、衣料品店、骨董品屋さん、他にもたくさんのお店が古都らしい古めかしい建物に入っている。
こいつはいい町だ。
魔女の宅急便レベル90だ。
そんな通りの一角で早速路上開始。
順調に入っていく。
新しいお金なので、どれがいくらなのかわからない。
まじまじとコインを見つめる。
ノルウェークラウン硬貨は、
1クラウン
5クラウン
10クラウン
20クラウン
の4種類あった。重みがあって俺は好きな硬貨。
スウェーデンクラウン硬貨は、
1クラウン
5クラウン
10クラウン
の3種類だけ。10クラウンの鈍い音がいい感じ。
そしてデンマーククラウン硬貨は、
50
1クラウン
2クラウン
5クラウン
10クラウン
20クラウン
の6種類だ。ハートが刻印されてて可愛らしい。
日本は1円、5円、10円、50円、100円、500円があるので、まぁ6種類くらいが扱いやすい。
人が少なくなる17時まで、2時間やって460デンマーククラウン!!
よっしゃ!!換金せずにいけるぞ!!
レートに関してだけど、
北欧の他のお金も参考にしてみよう。
現在のレートでいくと、
1ノルウェークラウンが13.5円
1スウェーデンクラウンが11.7円
1デンマーククラウンが13.4円
て感じ。ほぼノルウェーと同じだな。まぁ俺の場合、外貨から換金するわけではなくその場で稼ぐのでレートなんて関係ないんだけどね。
その土地に住む人々の金銭感覚に合わせることが大切になる。
460クラウンがどれほどの価値があるのかは、スーパーマーケットで確かめることができるってわけで、やってきました、スーパー。
安い!!!
安いぞ!!
まずタバコ!
スウェーデンで43クラウンしてたのが37クラウン。
ビールが330mlのが6.8クラウンくらい!!
あー、この2つが安くなっただけでもかなり出費抑えられるな。
そして気になるお惣菜コーナー。スウェーデンには温かい食べ物はチキンしか売ってなかったけど………
あるーー!!!
色んな食べ物あるーーー!!!
ありがたい………これで毎日の食事が楽しみになった。
値段は一品が20~30クラウンってとこか。食材の値段はほとんど変わらないんだな。
ビールを買いこんでスーパーを出た。
このスーパーが入ってるショッピングモール、ありがたいことにトイレが無料。
ノルウェー南部からスウェーデンまでほとんどのトイレが有料だったからな。
それから歌ってた場所に戻り、目の前にあったお肉屋さんに入る。
さっき歌ってた時にここのおじさんがお金を入れに出てきてくれたのだ。賑わってる店内。人気店みたいだ。
お礼ついでに店内を見ると、たくさんのお惣菜が並んでるではないか!!
最高!!
優しいおじさんにオススメ下さいとお願いすると、魚のすり身のお団子とよくわかんないけどパンに乗せて食べると最高だよというやつを包んでくれた。
これで30クラウン!
お金の数え方がよくわからないと言うと、ここに広げてみなと言ってくれ、カウンターに小銭を乗せるとかさばることに気を遣ってわざわざ小さなコインから優先して取ってくれた。
なんていい人だ!!
明日も来ます!
おじさんありがとう!!
タックソアミケ!!
あ、ちなみにノルウェー南部からスウェーデン、そしてこのデンマークも、ありがとうは「タックソアミケ」だ。
どこで寝ようかなー、と港のほうに行くと、海にそびえる巨大なお城がすぐそこに見える。あれはテーマパークではない。本物のお城だ。
お城の近くにカルチャーセンターという近代的な綺麗な建物があり、中は図書館やパソコンコーナー、資料室、アート展、カフェなどが入っており、もちろんWi-Fiも飛んでいた。しかも夜9時まで開いている上にトイレ無料。
いやー、最高すぎるよこの町。
鳥に狙われながらご飯を食べ、それからカルチャーセンターの中でインターネット。
Facebookを開いたらお母さんからメールがきていた。どれどれ。
「ブログを見て思うこと。橋の下や墓地のベンチで寝るような人生を送るように育てたおぼえは無い。」
1人でめちゃめちゃ笑いをこらえてたらおかしな人みたいな目で見られてしまった(´Д` )
お母さん、1人で世界を回れる強い男に育ててくれてありがとう。
トイレで足を洗い、さて寝床探しだ。
とりあえずお城のほうに歩いていく。
周りは広い公園になっているはずなのでどっか寝るとこあるだろうと、お堀にかかる木の橋を渡った。
静かな夜。ていうか入っていいのかな?と思いつつも、気分はジャパニーズ忍者。闇夜に乗じてお城に潜入だ。
歴史を感じさせる堅牢な城門をくぐる。
そして目の前にすごいものが飛びこんだ。
暗闇の中にライトアップされたお城が浮かび上がった。
「すげぇ………」
あまりにも荘厳で神秘的なその姿に、感動に打ち震えた。
今ここに居ることがめまいがするほど嬉しい。
こんなすごいものを見ないまま死ねるか。
世界にはすごいものがまだまだたくさんあるんだ。
さぁ、デンマークの旅の始まりだ。