7月31日 火曜日
日本を出て一ヶ月が経った。
あれ?もう一ヶ月?
内容が濃いせいかなんなのか、とても早く感じる。
一ヶ月でずいぶん遠くまで来たもんだ。
この調子なら世界一周ってあっという間に終わってしまうんじゃないか。
そう思えるようになったということはだいぶ外国の旅にも慣れてきたということかな。
夢にまでみた世界一周。
憧れ続けた未知の冒険。
その真っ只中。
今日からノルウェー南下の始まりだ。
曇り空の下、対岸にのびる大きな橋を渡り振り返ると、そこにはトロムソの町。
6日間、あの小さな島から一歩も外に出なかった。
慣れ親しんだ小学校の小屋、毎朝ご飯を買ったユーロスパー、たくさんの人に出会ったメインストリート。
すべてあの小さな島の中で起こったことなんだな。一ヶ月くらいいたような気がする。
バイバイ、トロムソ。
最後にトロムソで1番の観光地、名前わからないけど白い大きな教会へいったが、入場が35クラウンもして、まぁそれくらいいいかなと入ろうとしたら今からオルガンのコンサートがあるから70クラウンですと言われスゴスゴと教会を後にする。
結局トロムソ観光、全然してねえ。
よっしゃ!!
ヒッチ開始!!
次の目的地は、
「アルプスが海に沈んだような地」
と評されるノルウェーで最も美しい場所、ロフォーテン諸島。
地図を見ると道が入り組んでいておそらくかなり厳しいヒッチの旅にな、うおー!10分でトラックゲット!
めちゃいいおじさんで途中でワッフルとコーヒーを買ってくれたりの楽しいドライブ。
2台目も15分くらいでゲット。
車の通りはもちろん少ないし、看板も出してないのにこんなに楽勝で止まってくれるなんて、ノルウェーの人、優しい!!
これで150kmくらい稼いだ。
どんどん行ってみよう!!
少しすると、1台の車が通り過ぎた瞬間、すごい勢いでバックしてきた。
「Hi!!! fumi!!」
なんと、車に乗ってたのは先日エレナたちと一緒にジープスのパーティに行き、クラブで飲みあかしたソフィアとエレノックだった。
「うおー!!!ミラクルーー!!!」
感動のハグ!!
さらにビックリすることに彼女たちもノールヒョースボットンからヒッチハイクでこの車に乗せてもらってきたようで、しかもしかも、行き先は、
ロフォーテンーーーー!!!!!!
ドライバーの女の人がロフォーテンの入り口の町、ハーシュタッドの人で、みんな彼女と一緒にそこまで行き、明日からまたヒッチでロフォーテンを進むらしい。
おいおい、こっから先、いろんなところで会いそうだな。
先日のポーランド人の女の子にしてもそうだったけど、ヨーロッパのバックパッカーはガンガンヒッチハイクして旅しまくってるみたいだ。
そしてトラックドライバーさんの話では昔はもっとたくさんのヒッチハイカーがいたそうだ。
ヨーロッパはほんと安全な土地柄なんだなぁ。
しばらくして彼女たちの車を降りた。
彼女たちはハーシュタッドに行くが、俺はできればこの先にあるロフォーテン諸島の拠点の町、スボルベルまで行きたい。
まぁ時間も遅くなってきたし、無理なら無理でどこでも野宿できるしなと、親指を立てる。
すぐに止まった………
行き先………
スボルベル………
こんなにうまくいっていいんですか?
2日間考えていた道程を半日でクリアーしてしまった。
乗せてくれたトラックのドライバーさんはオランダから来てる陽気なおじさん。
「ロフォーテンは本っ当に素晴らしいぞ。何度も来ているが来るたびに感動するんだ。ほら、見てみろ。」
長いトンネルを抜けるとそこには息を飲む光景が広がっていた。
切り立った断崖絶壁、急峻な岩山、それをうつす鏡のような湖。
そんな入り江にポツポツとカラフルな家。
なんだここは、この世の果てか?
おとぎの国に迷い込んだような神々しい美しさ。
この世には、地球には、こんなに美しいものがあるんだ。
だから俺は旅に出たんだ。
0時にスボルバルの町についた。
フェリーが入港するロフォーテン諸島で1番大きな町だが、トロムソよりかははるかに小さな町だ。
寝静まった見知らぬ町を1人歩く。
あの窓にも、あの車にも、それぞれの幸せと悲しみがある。人生の過去と未来がある。
ささやかな喜び、頭を悩ませる問題、遠い土地への憧れ。
明日、歌うから。
もしよかったら話をしよう。
遠い遠い国で、同じ時間を過ごし、今ここで巡り合ったんだから。