7月17日 火曜日
雨は降り続いている。
マクドナルドから駅へ移動するが、眠れない場所であることには変わらない。ホームレスたちは構内のベンチにゴロゴロ転がっているが、俺にまだその図太さはない。
ただひたすら、まぶたが閉じないように意識を保ち続けた。
昼から駅で歌う。
一睡もしていない体では全く力が入らない。
それでもなんとか30ユーロくらいにはなった。
疲れた体。
風呂も入ってないし、常に寒さで震えている。
これが本当の放浪なんだよな。
さぁ、この町でやるべき最後のミッションがまだ残ってる!!
あの野郎を捕まえること!!
フィンランドといえばーー!!!
ムーミンーーーーーー!!!
図書館に併設されてるムーミン記念館へ。
入場料8ユーロだと?
このニョロニョロが!!
あぁ………ムーミンの世界………
文学的で、詩的で、
寂しげな美しさとムーミンの可愛らしさのコントラストが、フィンランドの自然の奥深さを雄弁に物語る。
輪投げの棒になったニョロニョロ。
自然豊かな場所には妖精がいると人間は想像する。
日本もそう。
それにしてもムーミンってかわいい体してる。
父さんが若かりしころ世界中を旅した冒険家だったって設定がたまらないよな。
そしてスナフキンは今でも憧れの存在だ。
孤独を愛する男。
月光の森で何を思う。
町を歩く人々は物言わぬ木々。
風のように、落ち葉のように、歩いていく。
ほっつき歩いて ほっつき歩いて
飯を探してほっつき歩いて
ほっつき歩いて 歩き疲れ
寝転んでまた月をかじる
明日は次の町だ。