スポンサーリンク





ライブハウスでやらかして怒られた夜








2006年8月30日 【長野県】





目が覚めたらいづみママのスナックのイスの上だった。



ううう………………気持ち悪い……………



ゆうべ飲みす、うげえええええええ!!!



オロロロロローーーー!!!!!!



「おーい、大丈夫かい?」



大丈夫じゃありません………………






ボロボロの体でいづみママと一緒に権堂のアーケードにうどんを食べに行き、それから店に戻ってまた撃沈。


うー、二日酔いなんて……………


嫌いだ………………








結局1日動くことができず、いづみママのお店で久しぶりのテレビを見ながらボーっと過ごす。



「ほら、腹減っただろ。ったくしょうがないなぁ。」



アネゴ肌のいづみママ。

手作りのつきだしをモグモグ食べる。


まるでダメヒモ男だ。






22時になり、隣のラーメン屋『うまか亭』が開き、店長とおしゃべりしつつ煮玉子のラーメンを食べる。


トロットロの煮玉子が醤油ダシとからんでマジうまい!!


そこに『モータウン』の佐藤さんも出勤してきて色々お話した。


あー、落ち着く。

まるで地元みたいだ。


そういえばこの権堂、どことなく宮崎の飲み屋街に似てなくもない。



「気をつけてなー。」



「また帰ってこいよー!!」



たった2日だったけど大好きになったみんなに見送られて権堂に背を向けた。

ありがとうみんな。


長野サイコー!!!!!









翌日。




「カネゴン、今夜来れそうかい?もうリストに書いちゃったんだよー。」



朝方、車の中で爆睡していたら電話がかかってきた。


その声のヌシは……………


あの北関東のイカれたライブバーのマスター、群馬県太田市の『わんずほうむ』のマスターだ。


実は4~5日前から誘われてはいたんだけど、時間がないので断っていた今夜のライブ。


代わりの人見つかったかなぁと心配していたんだけど、まさかの勝手にエントリーというマスターらしい荒技。




わんずは好きだしマスターも好きだ。


太田にはお世話になった人たくさんいるし、出来れば行きたい。


でもなぁ、もう先に進んでるんだよなぁ。


後戻りはできるだけしたくないんだけど……………






地図を見てみる。


意外にも群馬と長野は隣接していて、軽井沢からなら3時間で行けるみたい。


わんずには夜までに着けばいいし…………


みんなに会いたいし……………



ああああああ!!!!もう!!!!!!!



行くか!!









長野市から18号線をくだり、まずは大法寺へ。





日差し照りつけるのどかな田園風景の中、石段を上がり境内に入ると、昼時ということで人はおらず1人ぽつんとセミの声の中、汗をぬぐう。


仏像、厨子、須弥段……………


重文だらけの本堂内。


その背後にものいわずただ立ちつくす三重塔は国宝。


1300年という時を越えてここへやってきた俺。










石段を降りると、脇の日陰で百姓のじいさんが座り込んでいた。


顔を上げて俺を見て、リンゴはいらねーかい?と話しかけてきた。


買わなかった俺。

あのじいさんとはもう会わないんだろうな。














常楽寺、安楽寺、とこのあたりは古刹が多い。


常楽寺の松、多法塔は見ごたえがあったし、安楽寺には珍しい八角の三重塔が時を止めていた。









石段を上がる。

汗をぬぐう。

石段を下りる。

汗をぬぐう。


旅の中で今までいくつの神社仏閣をめぐっただろう。


旅の中で訪れた5度目の、そして最後の夏がもうすぐ終わろうとしている。









別所温泉の町を通りすぎ、長野で3番目か4番目の町、上田市にやってきた。





町のいたるところに六文銭の家紋が見られる。


どうやらこの町は真田家ゆかりの地らしい。


真田といえば誰もがピンと思いつくのはおそらく大阪夏の陣での真田幸村の鬼神のごとき孤軍奮闘。


歴史を学ぶべく上田のメインストリートにある真田太平記館にやってきた。




上田を愛し、真田の歴史を愛した作家、池波正太郎の記念館になっており、彼の歴史小説の解説などがわかりやすく展示されており、歴史ファンにはたまらない内容だ。

揺れ動く天下の間で翻弄された真田家の命運とは残酷なもの。


大阪夏の陣、敗色ムード濃厚な豊臣軍の中、しびれを切らした真田幸村はわずか3500の手勢のみで15万という兵で固めた鉄壁の徳川軍に突撃。


火の玉のようなすさまじい勢いで徳川軍を貫き、本陣を蹂躙するまでに奮闘した真田幸村。


親、弟を敵に回してまで生き残り、真田家を守りぬいた智将、真田信之。


この兄弟の物語にはまったくもってはるかなロマンを感じずにはいられない。







上田を出て、南下していく。

んー、時間がない。


中山道と北陸道を結ぶ北国街道は、佐渡で採れた金を江戸へ運ぶために整備された道で、ここもやはり参勤交代の大名行列や旅人でにぎわった街道だ。


その街道沿いの宿場の風景を今も色濃く残しているのが海野宿だ。









長野の街道風景はどこの県よりも素晴らしい。


うだつ、気抜きの見られる木造民家が隙間なく並ぶ町並みの向こうから飛脚でも走ってきそうな趣だ。










時間は16時。

そろそろ出発しないとまずいな。


軽井沢まで制覇しときたかったんだけど仕方ない。



浅間山と妙義山の間の険しい峠、碓氷峠を越え、久しぶりの群馬に入ってきた。


懐かしい道をとばし、太田に着いたのは20時30分。


ライブは21時からということだが、わんずほうむのライブはいつも誰かれ遅れて来て、来たもん順にやるっていうラフなお店だ。


それで文句を言うやつは1人もいない。


ここ3日間汗かきっぱなしで風呂に入ってないし銭湯の春子ばあちゃんにも会いたい。


というわけでちょこっと遅れること覚悟で急いで銭湯『新島湯』へ。





「あれまー!!元気にしてたかい?」



相変わらずおしゃれで元気な春子おばあちゃん。

そして相変わらず和彫りの人が多いこの銭湯。


懐かしの再会もそこそこにダッシュでわんずほうむへ。



21時10分にお店に到着した。







「おーーーい!!!カネゴン悪いねー!!遠いところーーーー!!!」



店のベランダから近隣に響き渡る声で絶叫しているマスター。


お、おお、さすがマスター……………


こちらも相変わらずのイカレっぷりだ。



「いえー。もう始まってますー?」



「まだだよー!!げはああああ!!」



中に入るとわんずでは珍しいバンドスタイルのリハが行われていた。


出演者のダディ津田さん福岡からだったかな?

ツアーで回ってる人だ。


もう1人のサバイバル伊藤さんに挨拶をすませ、弦を張り替える。



「カネゴン、リハどうする?」



「え?いや、別にいいですよ。」



「んー、今日はちゃんとPAの人来てるからやろうか。」



わんずでリハなんてしたことなかったけど、そういうことならということで急いで弦を張る。


うわっ!!

爪切ってなかった!!

かなり遅くなり、俺のリハが終わったのが21時30分。



「マスター。順番どんな感じ?」



「えー、別に決めてないよー。誰でもいいよー。」



「あー、じゃあ俺やるよ。」



奥のボックスにいた今日の出演者、サバイバル伊藤さんがステージに向かった。


見るからにヤリ手そうな感じの渋いおじさま。

よくこの近辺のライブハウスで見かけるドラマーのソルティーさんがジャンベでサポートに入る。


うん、正確なストローク、熱いプレイ。


カッコイイ。




2曲終わり、サバイバルさんがMCをはさんだ。



「えー、今日は金丸と大門(もう1組の若いバンド)の前座をやらせてもらいます。ダディーの前座のつもりだったんだけどね。」



う……………

なんかちょっとトゲのある言い方……………



「僕ら20時からスタートって聞いて来てみたら、21時からに変更になってだいぶ待っててね。しかも遅れて来て21時30分にリハしてるなんてトンデモネー話だよ。ははは。」



う………………

かなりキレてらっしゃるようで……………




んー………普通はそうだよな。


いつもわんずほうむに来ているミュージシャンなら遅れてくるなんて日常茶飯事だけれども、彼はどうやらダディー津田さんのツアーで一緒に回っている方なのでわんずは初めて。


普通だったら何時から逆リハで何時スタート、持ち時間何分、というふうにキチッとやるのが当たり前だ。


うわー………………

俺遅れて来たのにいつものノリで謝ってねーし、それでいて今から弦張り替えるのかよ!!って超ムカついていたはずだ………………


しかもこんな若造より出番先って………………


こりゃやっちまった………………







ガンガンにへこみながら、ステージを終えたサバイバルさんに謝りに行く。



「あー、いいよいいよ。俺短気なだけだから。」



プイッとそっぽを向かれてしまった。


するとさっさと次のステージに向かうダディー津田さん。

俺が先やります!!とも言えず、イスにちぢこまる。





下ネタ全開のダディーさんのステージ。

楽しい。

九州出身のようで博多弁のMCがとても親近感を湧かせる…………


のだけど……………苦笑いしか浮かばない。



彼も1人でツアーを組み、車でライブハウスを巡り、投げ銭をギャラにして音楽活動されているアングラのミュージシャン。

こんな同郷の先輩に礼儀知らずなマネをしてしまうなんて………………





俺に出来ることは謝ること。

とにかく必死に謝った。



「金丸君、ゆっくり話したかったんだけどね。今日はもう遅くなったから。」



そう言ってサバイバルさんとダディーさんは俺のステージが始まってすぐに帰っていってしまった。






へこみつつもステージではそんなこと言ってられない。


フルパワーで完全燃焼しステージを降りた。


そこに声をかけてくれたソルティーさんとPAの菊丸さん。



「いやー金丸君、クールフールで見た時よりだいぶ野太くなったねー。三上寛みたいでキョーレツだったよ。」



「久しぶりに本物のアーティストを観たよ。」



2人とも気を遣ってくれたのか、それとも普段よりも緊張感のある演奏がよかったのか、この上なく誉めてくれ、少しは気もほぐれた。







明日は9月1日。


そう、宮崎を出発した旅立ち記念日だ。


これで日本一周の旅も4周年。

孤独と闘い、弱い自分と闘い、ひたすら歌いつづけ、ひたすら自分に挑戦し続けた年月。



でも………………まだまだ俺はガキだなぁ。

カンペキな人間なんていないっていうけど、それに甘えてカンペキにならなくてもいいんだぁ、なんて甘えてたらダメだよな。



俺この4年で少しは進歩したのかなぁ。

少しはカッコイイ男になれてるのかなぁ。


失敗して学ぶんだよなぁ。



4年の集大成の夜。


ヘマしていいプレイができた。



リアルタイムの双子との日常はこちら





スポンサーリンク



ブログのランキングというやつをやっています。
よかったらクリックして下さい。
クリックが投票の代わりになります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへ
にほんブログ村



世界中のホテルが予約できるサイトです。
家族旅行もバッグパッカーも、ここから予約してくれたら僕にアレがアレなのでよろしくお願いします! ↓↓