2006年7月22日 【北海道】
南千歳の駅を出た瞬間、ひんやりとした空気が髪をなでた。
すがすがしい青空。
やっぱり北海道は空気が違う。
早速ヒッチハイクを開始した。
トラックに乗せてもらい国道36号線を下っていく。
その後も順調で、2台目の乗用車であっという間に苫小牧に着いた。
相変わらず北海道はヒッチしやすいな。
今回の北海道は、愛知県の和太鼓グループ『志多ら』の富良野公演を見届けるため。
お世話になった志多らに何か恩返しできないかと、富良野の中田のおじさんに相談したのが始まりで、トントン拍子でここまできた。
この日のためにたくさんの人が協力して動いてくれている。
俺もできることをしに行こう。
夜になり、雨の降り出した苫小牧のネオン街へ向かい、屋根の下で歌った。
ていうか超寒いんですけど。
ていうか7月なんですけど。
やっぱり北海道寒いわぁ…………
「おおおお!!俺はヤン衆だああああ!!港きてみろ!!なめんなよ!!」
「なんだキサマー!!オメーどこの船だ!?オヤジは誰だああああ!!」
歌ってる目の前でヤン衆と漁協の人のケンカが始まる。
いやぁ北海道っぽいなぁ。
しばらく歌っているとフォーク好きのおばさんに声をかけられ、晩ご飯をごちそうになった。
ダンディな社長さん2人に超うまい刺身をさんざん食べさせてもらう。
話も盛り上がり、みんなでもう1軒行くことになり、社長さん行きつけのスナックで歌わせてもらった。
今夜はどうするの?と聞かれ、今夜は寝ないで朝になったらヒッチします、と言うと、美人なママさんが、じゃあ朝まで私の知ってるお店で飲まない?と言ってくれた。
するとその言葉を聞いた途端、今まで優しかった周りのお客さんたちがキレだした。
俺たちが何年も通って口説いているのにお前はヒョコッとやってきていきなりママと朝までかよ?と言わんばかりの顔。
「あー、あれだ、お兄ちゃん。疲れてるんだろ?もう飲まんくていい。ホレ、あそこの健康センターの割引券やるからそっち行くんだぞ。」
「そうだそうだ。うん、疲れてるんなら帰ったほうがいい。」
「お兄ちゃん、私はいいのよ?朝まで付き合ってあげるから。」
「ママ!!いいから!!彼は旅をしてるんだから!!旅だったら健康センターのほうがいい!!なっ!!」
「か、帰ります。」
おじさんたちの妨害が必死すぎるので気まずくて帰ることに。
外に出るとどしゃ降り雨。
どうしよう。
あああ、美人ママと朝までいたかったなぁ……………
翌日。
ゆうべのあがりは13000円だった。
ネットカフェで朝を待ち、明るくなってから雨の中、傘をさしてのヒッチハイク開始。
うー、さすがに雨の中だとなかなか止まらない。
そりゃ誰も濡れネズミを乗せようとは思わないよな。
お、止まった止まった。
大学生3人に乗せてもらい、たのしくお喋りしながら数時間。
車は富良野市北の峰のセイコーマートに止まった。
うわああああああ、懐かしい……………
十勝岳、だだっぴろい畑、ホームタンクと板金屋根。
観光客向けのお洒落なショップが並んでいる。
「ただいまー!!」
「あらー!!」
「おー!!上がれー!!」
「お久しぶりです。えへへ。」
笑顔あふれる中田さんちに到着。
1年前、涙ながらにこの場所を出発した時となんにも変わっていない。
まるで1年が1週間くらいだった気がする。
なんて自然にくつろげるんだああああああ。
おじさんとビールで乾杯。
たくさんの料理を運んでくれるおばちゃんは、俺とユウキが誕生日にプレゼントしたエプロンをつけてくれている。
高校2年になってすっかり女らしくなったヒロちゃんは、露出の多い服を着て最近覚えたディープパープルやキッスなんかについて質問攻めしてくる。
旅の中、実家よりもこの中田さんちにいる時間の方がはるかに長いな。
第2の故郷とはまさにここのことだ。
ただいま富良野。
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