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歩き遍路で集まってキャバクラへ








2006年6月21日 【香川県】






38日目。





ようやく最後の県、讃岐の国は香川県に入った。


ここまで来るともう体も完全にお遍路仕様になっており、そこまで辛さは感じなくなる。


足の裏なんてもはや原始人並に強靭になっている。






ちなみに遍路道は県ごとにそれぞれ呼び方がある。



阿波の国、徳島は『発心の道場』………23ヵ寺

土佐の国、高知は『修行の道場』………16ヵ寺

伊予の国、愛媛は『菩提の道場』………26ヵ寺

讃岐の国、香川は『涅槃の道場』………23ヵ寺




『発心』とは決意して思い立つこと。


徳島ではみな「俺なんでこんな辛いことしているんだろう?」と自問自答する。

だいたい途中で辞める人は徳島で脱落する。





『修行』とはそのまま修行。


高知はロングスパンが多い。

体も1番きついときで精神的に追い詰められる。





『菩提』とは覚といわれているようで、この辺で何かに目覚める。


俺も愛媛の札所でお経を唱えているときに不思議な感覚を覚えたな。





そして『涅槃』とは一切の煩悩を捨て去った境地のこと。


香川はショートスパンが多いのでとてもすがすがしい気分で歩ける。




これらを休暇ごとに一県ずつ回る方法を一国巡りという。


しかしそんなブランクがあればせっかく張り詰めたものが断たれてしまうだろうし、足の裏ももとのフニャフニャに戻ってしまう。


やはりお遍路は、『通し』、『野宿』、『歩き』でやるのが1番古典的だ。






この日は遍路中最も標高の高い位置にある66番・雲辺寺に参った。


ここはさすがにきつかった。


久しぶりの山道で、眼下にうねる山並みにかかる霧を眺めながら一気に登った。


















山を降りて67番・大興寺を打ち観音寺の町へ。



ここで歌いたかったが、いくら探しても飲み屋街がなかった。


俺、飲み屋街を探すためにお遍路道をはずれて余計に歩きすぎだよなぁ。









39日目。


68番・神恵寺、69番・観音寺は珍しく同じ境内に2つの寺がある。









そして70番・本山寺、71番・弥谷寺、72番・曼荼羅寺、73番・出釈迦寺、74番・甲山寺までガンガン周っていく。


讃岐の国は各寺の間隔が短い。






















夜になったらさらにペースアップ。


夜のほうが調子が出てくるんだよな。


オバケなんか怖くない。


だって人から見たら俺のほうがオバケみたいなもんだ。













この夜は善通寺の町で眠った。









40日目。




75番・善通寺は弘法大師空海が生まれたという由緒正しい大霊場だ。


他の寺よりもはるかに寺の規模がデカい。









でもその分、他ではあまり見なかったただの観光客の姿も多い。


ガヤガヤとうるさいが、それでも心静かにお経を唱える。


周りに乱されることがなくなったよな。


いい成長だ。













76番・金倉寺、77番・道隆寺とズンズン進むが、78番・郷照寺は17時を過ぎて門が閉まっていた。


んんん、ここで強制ストップか。



俺はいつも18時~21時くらいの時間帯が1番調子がいいんだけどなぁ。


時間外は人が入れないようになってる寺なんて初めてだった。





しょうがなく近くにあった宗派の違うお寺にお願いして、お堂の軒下を貸してもらった。





この日、最初のころに一緒に歩いたあのアナイ君から電話が入った。


明日、高松の街で若い歩き遍路だけで飲みましょうとのことだった。










41日目。



78番・郷照寺、79番・高照寺、80番・国分寺と周っていく。

















ここから山に入り、霧雨たちこめる泥べちゃの山道をひたすらとばす。


カッパの擦れる音、水溜りを踏む音、激しくつく息、山の中にそれ以外の音はない。

























最後の難所として名高い81番・白峰寺、82番・根香寺のルートを歩ききった頃にはすでに薄暗くなってきており、やっとこさ鬼無の町に降りてきたころにアナイ君から電話が入った。


もうすでにみんな高松に集まって居酒屋に入っているらしい。


仕方なく電車で向かうことに。









電車を降りるとそこはネオン輝く高松市街。


洒落た服を着た清潔そうな人々の中、極限まで汚れきった俺。

もう何日風呂入ってないかな。



「うおおおおお!!久しぶりいいいい!!」



「あああああ!!懐かしいいいい!!」



「うわっ!!金丸さんキタネェ!!」



居酒屋に集まったメンバーは7人。


みんなそれぞれどこかしらで一緒に歩いたことがあり、しかも全員1人で四国にやってきた歩き遍路だ。


M住職、サドゥ君もいる。


ほとんどみんな今日で結願(ゴール)しており、宿で着替えてきているもんだからサッパリした格好をしている。



「やっぱ金丸さんがダントツ汚ぇわ!!」



「おう!!こんな汚いのヘンドにもおらへんわ!!」



「それどう聞いてもけなしてるよね?」



「ギャパアアアアア!!!!」



「うひょひょひょひょおおおおおお!!!!」





若いメンバーばかりでめちゃくちゃ盛り上がり、居酒屋を出たら今度はキャバクラへ。



信じられないくらいドロドロのお遍路が煌びやかな店内に入ってきて店中の人がギョッ!!としてる。




「あああああああ!!ヤリてええええええ!!」




不邪淫の教えで煩悩を克服するはずがなぜか倍増しているM住職。


ちょ!!なんつーこと叫んでるんだ!!!


あんたホントに住職か?!?





俺たち、ばちあたりの見本だったな。


でもサイコーに楽しかった。





リアルタイムの双子との日常はこちら





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