2006年4月22日 【滋賀県】
「月曜まで俺らと一緒にいてボケのセンス磨いてもらうで。」
滋賀県の甲南にある懐メロ喫茶『竹の音』へ向かう道中でそう言うルーシーさん。
ライブはMCが重要だからきっちり笑いをとらんとダメやで!!と力説される。
さ、さすが関西は喋りに厳しい…………
なにわともあれ、さぁ甲賀で1本目のライブだ。
気合い入れていくぞ。
途中、俺のチラシを貼ってくれている水口にある音楽好きが集まる喫茶店「オレンジ」で美人ママに挨拶してコーヒーを飲み、それから甲南の駅前商店街にやってきた。
とはいっても古ぼけた民家ぐらいしかないメインストリートにそのお店はあった。
ガラス戸をガラガラと開ける。
笑顔で迎えてくれたマスターのタケさんは、関西のライブハウス関係にだいぶ顔のきく金髪のプロレスラーみたいな方だ。
この懐メロ喫茶『竹の音』のフリーライブの日には京都、大阪、名古屋などいろんなところからミュージシャンがやってきて出演者が計10組くらいになるよと聞いていたのだが、今日はあいにく俺を合わせて3組。
15時になり1組目の『おっちゃん2人組』さんのイカシたブルースが始まる。
そして2番手は俺。
6曲頑張った。
「金丸君お疲れ様。今度の月曜のライブは甲賀の里やから、マキビシ持参やで。」
「シー……………あんま大きい声で言うたらアカンで。」
「シー……………」
唇に人差し指を当ててキメポーズ。
家にいる時に外で物音がしたらまずシー……………
迂闊に動いてはいけないという忍びの血を受け継いでいるという話から広まってプチブームになってるみたい。
みんなで身構えてシー……………
最後に京都からやってきたカルアさんのほんわかしたウクレレ弾き語りでライブ終了。
かと思いきやもう1回俺が歌うことになり追加3曲。
弦切りまくってエネルギー出し尽くした。
マジ疲れた……………
しかし今日は土曜。
くたびれたなんて言ってられない。
さぁ路上に行くぞ。
彦根まで走っていつもの袋町で歌った。
なんとか4500円のあがりをゲット。
スナック「吉祥」の吉田さん、前回に引き続きありがとうございました!!
翌日。
どうしても、どうしても見たかった念願の光景が目の前に広がった。
2年前、初めてこの信楽の枝垂れ桜の存在を知ってから、満開を求めて何度訪れたことか。
山奥の小さな集落の丘の上にポツンと立つ大きな桜。
400年の歴史と風格を漂わせた枝振りから、きっと満開になったらすごいんだろうなと、春が待ち遠しかった。
日本一見たい桜だった。
そして今、目の前に雪をかぶったかのように薄ピンクの花びらを枝全体に咲かせて春風にそよぐ姿。
すごい、すごいよ。
地球の恩恵、生き物の不思議、たゆみない季節のうつろいの中の諸行無常………………
美香、今何してる。
俺は今こんなにきれいな桜を見ているよ。
いつもの串カツ屋『武蔵』に明日の俺のライブチラシを持って行くと、看板娘のさとちゃんが大よろこびして周りのお客さんたちに見せまくってる。
「ほんとに歌ってるんやな!!」
元気なおじちゃん、暖かいおばちゃん、そして明るくて美人なさとちゃん。
『武蔵』大好きだ。
甲南に戻り、ルーシーさんと彼の行きつけの居酒屋『はなやす』で明日のワンマンライブの景気づけにビールをおごってもらった。
この数週間、プロモーション活動に動き回ってくれたルーシーさん。
ポケットには常にチラシとチケットを入れていて、会う人会う人に宣伝しまくってくれている。
明日のライブを成功させるという彼の熱意、俺なんかのためにと頭が下がる。
「かねヤン!!そこ突っ込まなあかんでぇ!!」
「やだ!!突っ込むのはナニだけにしてくれはるか?」
「あ、マスター、ビール。」
「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
居合わせたルーシーさんの知り合いの姐さん。
面白い人で、会話の中にボケをジャンジャン散りばめてくる。
大阪人のルーシーさんはすかさずそれを絶妙のタイミングで突っ込む。
「例えばだな、相手がボケたと思って突っ込みきれんかったら無視して他の人に話しかける。面白い話で笑い続けてからいきなり真面目な話に変える。後はだな……………」
2人からボケと突っ込みの基本を叩き込まれる。
ホント、関西人の会話に対する意気込みはすごい。
「子供のころから風呂場とかで教え込まれとるさかいな。」
もう……………面白い通りこして脱帽です。
まぁこんなの1日~2日で覚えられるようなもんじゃない。
明日は俺のまま、いつもの全力でライブ頑張るぞ。