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法隆寺に傷をつけるアホ








2006年4月18日 【奈良県】





奈良県2日目は西の京エリアへ行くことに。


平城京の右京として栄えた地域で、薬師寺、唐招提寺という日本を代表する2大寺院がある場所。


もち両方とも世界遺産。


奈良マジ別格。

















まずは唐招提寺にやってきた。


のどかな田園風景の中に鎮座する超ドでかいお寺。





メインの金堂(国宝)は現在修復中で何も見えなかったけど、その後ろのこれまた国宝の講堂の中には立派な仏像がズラリ。

しかもほとんど国宝。


すげー……………こんな国宝まみれ初めて見たな。


奈良マジレベルが違う。








唐の高僧、鑑真和上によって759年に開かれたこの寺。


100円で入れる新宝蔵はこれまた仏像だらけ。


こちらの仏像さんはどれも部分部分が欠損した像ばかりだが、端々が朽ちて木の姿があらわになっているその姿に歴史の長さを思い知らされる。


金堂の修復にあたって分解されている千手観音像の姿は残念ながら見ることが出来なかった。


この千手観音、あまりに複雑な仕組みになっているために、組み立てるだけで1年かかるんだって。


しかもちゃん元に戻せるか心配なくらいだと言われているようだ。


奈良マジ日本の原型。













次に歩いて5分のところにある薬師寺へ。


遠目からでも塔が立ち並び、寺の巨大さがうかがえる。





680年に藤原京に創建されたのが最初で、平城京遷都に伴い718年に現在地に移築。


度重なる天災により当時のものは東塔(国宝)しか残っていないが、再建されている巨大伽藍と境内の広さから往時の繁栄振りを偲ぶことができる。


拝観共通券800円とかなり高いがこちらも仏教美術最高峰といわれる国宝仏像がズラリで見ごたえありすぎ。


仏像という偶像崇拝以前の貴重な文化財もわんさか!!






すぐ隣にはテレビでもお馴染みの西遊記の三蔵法師こと玄奘三蔵を奉る伽藍もあり、お坊さんのお話で三蔵さんの偉業を垣間見ることができた。


中国からインドまで陸路で旅て。


しかも600年代初頭だぞ?



1400年前の崖と砂漠で閉ざされた道なき道を膨大な教典を持って往復。


そして仏教の教えを漢訳し、中国で根付かせた。


仏教の教えを世界に広めたのがこの人なんだな。






それにしても修学旅行生が多い。


移民のように次から次へとウジャウジャウジャウジャ……………



全国各地からやってきた中学生たちが流れ作業でお堂に吸い込まれては吐きだされている。


90年代前半のディスコブームのころのようなケバいガイドさんがマニュアル通りに解説しているが、誰も聞いちゃいない。




そんな中、ふと見ると休憩所みたいな広間に修学旅行生たちが集められているのを見つけたので俺も入ってみた。




前でハイテンションなお坊さんがお話している。



「こんな寺とか神社とか毎日回ってつまらんやろ?ホテル戻っておやすみなさいしてからが100パーセント全開やもんなぁ。おやすみフォー!!この時が1番素晴らしい団体行動になるんよなぁ。」



HGのマネまでして中学生の笑いをとるありがたいお説法。


こんだけ毎日修学旅行生にお話することを考えたら、説法のセットリストでもありそうだ。



お話が終わったと思ったらすぐにまた次の学校の生徒たちがゾロゾロと入ってきて、フォー!!って叫んでるお坊さん。


布教も大変だ。










西の京エリアを後にし、日本仏教の原点といわれる斑鳩エリアへ向かう。


すると細い道沿いに古びた三重塔を発見した。




まるで農家の物置小屋みたいに周りの風景に溶け込んでいる。


お寺自体もほんとに小ぢんまりとしたのどかな雰囲気。


看板を見てみると、それは日本最古の三重塔を持つ世界遺産の法起寺だった。


奈良・京都は格式の高そうなお寺ばかりだが、このなんとも素朴な塔が仏教は民衆のものだということを語っている。








そしてとうとうあの法隆寺の前までやってきた。


こ、これがあの法隆寺か…………


まるで中国の歴史映画の中にタイムスリップしたようだ。


教科書で何度も見た世界最古の木造建造物……………


このまますぐに入ってしまいたいところだがもう16時か。


ゆっくり時間をかけて回りたいから明日にするか。








平城京時代っていうのはその後の平安、鎌倉の時代とは明らかに異なる文化だな。


建物や仏像がまだ大陸から渡ってきて間もないためか唐風の様式が色濃い。


今日行った寺、昨日の平城京跡も、まるで中国の遺跡を見てるような気分になる。


さすがに奈良時代~平安時代と呼び方が変わっているだけある。



日本中色んな仏教地域があるけど、この奈良を見ずに日本仏教は語れないよな。











翌日。









よっしゃ行くぞおおおお!!!!!


日本で1番古いお寺、法隆寺だあああああ!!!!




近くの駐車場はどこも高いので少し離れた町役場に車を止め歩いて突撃!!!!



近づくにつれ黒い群れがうじゃうじゃと増殖していく。


ものすごい数の修学旅行生だ。


ゆうべはホテルで告白でもしたかな。


いい思い出作れよ。















国宝の南大門をくぐり、中国風の雰囲気漂う参道を歩いていく。


周りを囲む塀は黄色がかった古びた土壁で、まだ日本人が原始人に近かったころの遺跡なんだなと改めて法隆寺のすごさに身がひきしまる。



しばらく歩いていくと目の前に巨大な伽藍群が現れた。





すげー!!すげー!!




気合いで1000円を払って中門をくぐる。









607年に聖徳大師によって造営された日本を代表する寺院、法隆寺。


広大な境内に並ぶ伽藍はほとんどが国宝に指定されており、日本で最初に指定された世界遺産でもある。


日本の歴史そのものといっても過言ではない無数の寺宝を収蔵しており、国宝・重文だけでも2300点以上。


もはや世界の遺産というより、地球の遺産だ。














中門をくぐると、もう別世界。


曼荼羅の中に飛び込んだような錯覚に陥るほどの巨大伽藍。




金堂・五重塔・大講堂・もち全部国宝 & すべての建物内に奉られている国宝仏像は息が止まるほどの迫力。


大宝蔵院には日本の国宝中の国宝といわれる、百済観音、夢違観音、玉虫厨子など教科書に載るような宝物がわんさか。


もうここすごすぎ!!!!!










ひときわ唐風な雰囲気を醸し出している8角のお堂、夢殿まで見て一通りは終了。


いやー、こりゃすげぇ。


修学旅行でこんなところ来れるなんて超いい経験だよ。



でも高校生なんか仏像とか1ミリも興味ないのでみんな大笑いしながら駆けまわってる。


うん、そんなもんだよね。


まぁ記憶には残るよね。


大人になって来てみたらこのとんでもなさが分かるはずだよ。





いやー、マジ半端じゃねぇ法隆寺。


日本仏教、いや、日本文化の原点だ。


まさしく大和の国の遺物。


日本人なら絶対行くべき!!



斑鳩には法隆寺以外にもゴロゴロと国宝級のお寺があるんだけど、もう充分だ。


満腹です!!






とはいっても奈良は広い。

まだまだお寺は無数にある。


というわけで當麻寺ってところに向かうことに。









田園風景を見下ろす山の木々の間から、ズン!!ズン!!とそそり立つ2対の三重塔。



ここが當麻寺か。


またここもスケールでけぇなぁ……………



ほんと奈良のお寺は要らんものが混ざっていない、純粋な仏教の世界という印象を受ける。













500円払って境内へ。


ここは親切なことにお寺の人が案内をしてくれ、1つ1つの説明も聞くことができる。





奈良時代に極楽浄土を再現して造られたここ當麻寺。


シンボルである2対の三重塔は奈良時代に建てられたそのままの姿だ。



まず本堂には超巨大な曼荼羅図。


この寺の珍しいところはこの曼荼羅図が本尊だというところ。


収めている厨子のあまりにも見事な細工に見入ってしまう。



金堂・講堂の中にもたくさんの仏像が安置されており、中でも弥勒仏坐像は土製のものとして日本最古といわれる貴重なものだ。


もち国宝。





山手にほったらかされたように建っている西塔・東塔。


2対が揃って当時の姿をとどめている寺は唯一ここだけらしい。


曼荼羅のお寺、當麻寺。


まさしく極楽浄土に迷いこんだような不思議な気分にさせてくれるとてもいいお寺だ。

オススメ。











さてさて、お寺ばかりでちょっと頭の中が曼荼羅まみれになってきたので、この辺で違う場所に行くとしよう。


16時から予約を入れていた御所市の酒蔵、千代酒造へ。









ここでは久しぶりに専務からゆっくりとお話を伺うことができた。



「人間はいくら頑張っても1。そしてチームワークは足し算ではなくかけ算。だからどんなに頑張っても1なんです。しかし様々な条件でいつも1にはなりません。どれだけ1に近づけられるか、そう思いながらやっています。」





んんん……………深い……………





続けること、稼ぐこと、そして毎年が1年生。


酒造りだけではなく、非常に勉強になるお話を聞くことができた。

ありがとうございました!!











地図をたどって高宮廃寺跡という場所を探し回ったがどうしても見つからないので、諦めて町に戻って来た。


国道沿いにある小さなさびれた食堂に入る。


車が旭川ナンバーやの、とおばちゃんが話しかけてきた。



「へ?日本一周……………?……………夢か?これ?」



常連のおばちゃんも混じって興味津々で俺を質問攻めにしてきた。


日本一周なんてテレビの中のことだと思っていて、実際にそういう人と話すなんてまるで夢のようだわ、と言う。



そんなもんなんだよなぁ。



普通に仕事して、仕事のこと家族のことばかりを考えて生きていれば、自然と視界は狭くなる。


自分の知らない世界の住人は確かに自分の近くにいるのに、意識しなければ目に映ることはない。


俺は生きてるうちにできるだけ多くのものを見に行きたいな。







なんて思いながらお話している時だった。


ふと店内のテレビから流れてくる言葉に耳を疑った。



なんだって!!



なんと今日、あの法隆寺の南大門に『みんな大スキ』って字を彫ったアホがいたらしい。



ウソだろ……………?



どんなアホだよ?




1400年間、何億人という人間が守ってきたものにたった1人の人間がキズをつけるなんて……………


殺されても文句いえねーくらいだぞ?



まだ犯人は捕まっていない。

きっとノリでやっちゃったんだろうなぁ。


武勇伝を作ろうと思って軽い気持ちで彫ってみたらこれだけ大ごとになってしまって、今ごろ縮み上がって油汗かきまくってることだろうな。


うわー、この1週間くらいで奈良に訪れた修学旅行生たち、みんな緊急集会とか開かれてるんだろなぁ。



とてもじゃないがいい思い出にはならんわな。




リアルタイムの双子との日常はこちら





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