8月18日 土曜日
昨日おばさんの家でシャワーをかりたとき、久しぶりに鏡で体を見てみたんだけど、まぁ、信じられないくらい身体中の肉が削げ落ちて、今までで見たこともないような細っこい体になっていた。
鳶をやってた時のたくましい筋肉は見る影もなく、あばらと鎖骨がむき出しになっている。
腕なんて枝きれみたいだ
まるで毒におかされている時の刃牙みたい。
食欲はあるし、毎日そこそこ食べているんだけどなぁ。
旅仕様に体が順応していってるんだろう。
日本を回ってる時もそうだったけど旅に出るとアトピーはぱったりと出なくなる。
さてさて、スタバンゲルといえば、ノルウェーを代表する名所の1つ、プレーケストーレンがあることで有名。
フィヨルドにそそり立つ200mほどの垂直の断崖絶壁なんだけど、その頂上が人工物か?ってくらい平たい広場になっている。
入り組むフィヨルドを一望でき、みなその岩の上でサンドイッチ食べたりお茶したりするんだって。
そんな断崖絶壁のくせに柵がないらしく、中には淵に腰かけて景色眺めてる命知らずもいるみたい。
その大パノラマと切り取ったかのような岩の巨大さが人気で、よくノルウェーのポストカードに写真が使われている。
アクセスなんだけど、ここからフェリーとバスを乗り継いでリーセフィヨルドをさかのぼり、さらにそこから徒歩で2時間ほど山を登ってようやくたどりつけるみたい。
往復200クラウン。
たしかに色んな写真を見ていると、ものすごい絶景とスリル満点の崖が冒険心をくすぐるんだけど、200クラウンと丸一日を使って行くのはめんどくさいし、何よりもうノルウェーはステーブチャーチでお腹いっぱいなんだよな。
こいつはパス!!
てなわけで今日まで路上をして次の町に行くとしよう。
中央広場の図書館で、朝ごはん。
昨日の日本人のおばさん作ってくれたサンドイッチをほおばる。
美味すぎる。
こっちのマーガリンってしょっぱくて食欲が進むんだよな。
穀物の匂いが香ばしいパンとよく合う。
「あらー、ここにいたのね。」
あ!日本人のおばさん!
孫を乗せたベビーカーを押している。
俺を探してきたらしく、わざわざお湯の入った水筒とコップを持ってきてくれたのだ。
また後で歌ってるとこに行くからね!と彼女は孫と公園へ向かっていった。
なんておせっかい………あ、いやいや、優しい人なんだろう。
のんびりとティータイム。
今日は土曜日ということで、中央広場では野外ライブが行われている。どの町に行っても、週末はなにかしらのイベントをやっている。
そういうイベントもいいけど、もっとローカルなお祭りが見たいんだよなー。
収穫の秋のハーベストに期待しよう。
お昼に路上開始。
このノルウェー西海岸はとても雨の多い地域らしく、今日はいつも通りの降ったりやんだりの天気。
せっかくいいポジション見つけたのに、2曲やっては避難、3曲やっては避難の繰り返し。
すると目の前のブティック「デザインフォーラム」の店員さんが、お店のひさしを伸ばしてくれ、この下でやるといいわよ、と言ってくれた。
「あなたは素晴らしいわ!いつもこの辺りではジープスのアコーディオンばっかりでね、彼らはたった2曲を何度も繰り返してやるだけだから本当にウンザリなの!」
おかげで雨を気にせず歌えた。
ノルウェー人はカッパが好き。
みんな傘よりもカッパを着て歩いている。そのカッパがまたオシャレなデザインなんだよな。
歌い終わって片付けをしていると、おばさんがやってきた。
「いい中華料理店知ってるから行くわよ!」
よく笑い、よくしゃべる、そしてすごく心配してくれている。
「私がこの町に来た頃はねぇ、そりゃあもう牛や馬や羊が歩き回ってる田舎じゃったんよ。物価も安かったんじゃけど、このほうははぁどんどん上がっていくばっかり。ほら、これも食べんさい。あなたよく見るといい顔してるわね。あっはっはー!」
おばさんにおごってもらって美味しい中華料理をたらふく食べさせてもらった。
パクパクよく食べる俺を嬉しそうに見ているおばさん。
中華料理店を出てからも一緒に歩き、ここがトイレでここが日本の食品が売ってて、といろいろ教えくれる。
しかし俺はもうこの町を出る。
そしておばさんとの別れ。
「手紙?そんなのええけぇ。またいつか新婚旅行にでも来んさい。ご飯をしっかり食べて、元気をつけるんよ。」
インターネットには載せないでくれとの彼女の要望だったので名前も写真も控えます。
活発で陽気なおばさん。
お互い元気なままで必ず再会しましょう。
さぁ、明日からまた移動。
南部の町、クリスチャンサンだ。
今日の稼ぎは1000クラウン!
それにしてもコインの模様が面白い。
あと黒人でジャンベにまたがってなんか小さな弦楽器を演奏してる人がいた。またがってるからかジャンベにベースが共鳴して不思議な音を出していた。
すごくかっこよかった。