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スタバンゲルの細い路上

8月17日 金曜日


小さな教会の軒下にあるベンチで目を覚ました。
背中が痛い。
スポンジマットのおかげでだいぶ寝やすいんだが、それでもベンチの幅では寝返りが打てないので体が固まってしまう。
南に降りてきたので気温もだいぶ暖かくなってきたのだが、その分、やはり汗もかくので少し体が汗臭い。
そろそろシャワー浴びたいなぁ。



スタバンゲルの中心街は、港の横に広がっていた。

photo:01



細い路地が迷路のように入り組み、上り坂、下り坂の両側にたくさんのお店が並んでいる。
ベルゲンより小さい街だが、それでもたくさんの観光客で賑わっている。

コンビニのまずいホットドッグをコーラで流し込み、その細い路地で路上開始。
人だかりができ、順調に稼いでいくが、こんな細い路地に入り口を開けっ放しにしたお店が並んでいるもんだから、予想通りしばらくして苦情がきた。
聴いてくれてた人たちが、そんなこと言わないでやらせてあげなよと言ってくれたが、店の目の前で大声で歌ってたらさすがにまずいよね。
場所移動。

photo:02





迷路の真ん中に蜘蛛の巣の中心みたいな広場があった。
たくさんの人たちがコーヒーを飲んだりマクドナルドを食べたりしてくつろいでいる。

中心広場なだけあって、数人の女ジープスが座り込んでいたり、クラシックギターを弾いていたり。
ギターを弾きながらハモっている2人組もいる。

さらに、たくましい5~6人の若者たちが広場の真ん中で音楽を鳴らしながらダンスパフォーマンスを始めた。
クルクルとバック転し、ブレイクダンスですごい動きをして、人だかりから歓声が上がる。
時には、1人の男が腰を落として両手を下に構え、もう1人の男が離れたところから意を決したように走り出し、構えた手を踏み台にしてバック転をする!と見せかけておいて、その手に足を置いて靴紐を結び直すという面白いこともしてくれる。


路上にはたくさんの金を生みだす方法がある。
日常にささやかな刺激を与える芸。
人々はそれを楽しみ、金額で評価をし、支払う。
日本にもギリヤークさんてすごい路上パフォーマーがいたな。
彼なら一日にすごい稼ぎを叩きだすんだろうなぁ。
俺ももっともっと腕を磨かないと。

今日のあがり、650クラウン。



路上を終えて図書館のおもてで日記を書いていると、通りかかった1人のおばさんが声をかけてきた。

「あなた日本人?」

あ!日本人発見!
初老のおばさんと話が盛り上がり、ちょっとうちに来んさい、という展開に。彼女は広島の出身だ。

40年近く前に、広島の造船所で働いていた今の旦那さんと出会い、彼の故郷であるこのスタバンゲルにやってきたという。
異国の地で日本人1人、きっと大変な苦労をしながらも3人の子供を育て上げたおばさん。
なんてドラマチックな人生だ。

そんな彼女に家に行くと、娘さんたちとその赤ちゃんが迎えてくれた。
久しぶりのシャワーゲットーーーー!!!!
そしておばさんは俺にご飯を作ってくれた。
醤油味……箸………そして、

白飯。


うますぎる。
一瞬で日本にテレポーテーション。
一ヶ月半ぶりの日本食をたらふく食べさせてもらった。

photo:03





「まぁ、色んなことがあるじゃろう?でもたくさんの人を見るというのはとてもええ経験じゃなぁ。」

彼女の日本語は長いノルウェー生活からか、だいぶ崩れ、文法もハチャメチャだ。
きっと俺の英語もこんな感じなんだろうな。
しかしそれでも不自由なく会話ができることがこんなにストレスのかからないことなんだと実感する。

「悪いなぁ、ほんとは泊めたいんじゃけぇのぉ、娘家族も住んどるけぇなぁ。」

俺を玄関に送りながらとても申し訳なさそうにしているおばさん。
こんなにたくさんのことをしてくださったのに。
これ朝ご飯にしなさいとサンドイッチを渡してくれた。

きっと壮絶な人生を送ってきたであろう彼女。そして人のために何かをしたいと思う、人間として当たり前だけどだからこそ崇高な心を持つ彼女と、同じ日本人であることを誇りに思う。

振り返ると、スタバンゲルの白い建物が並ぶ住宅地の中、手を振っているおばさん。
きっと彼女はこの白い住宅地で一生を終えるんだろうな。
これからの人生をまっとうして。


人生の岐路はどこにあるのか。
正しい道というのはあるのか。
宗教も、国境も、言葉の違いも、夜空の星座も、建物の直線も、看板のデザインも、

みんな一瞬のまたたきだ。

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