2005年11月23日 【関東後半 群馬県】
猿ヶ京温泉は江戸時代、旅籠で賑わっていた主要街道沿いの温泉地だ。
他にも赤岩、湯宿、川古、奥平などなどの湯が無数に点在している。
その中でも1番山奥、新潟との県境、三国峠の近くの森の中に沸く秘湯、法師温泉にやってきた。
苔のこびりついた木造旅館がたまらなく味があるこの法師温泉。
日帰り入浴は10時半~14時という宿泊客を第一に考えた時間制限が好感が持てる。
大浴場に入ると、噂の丸太を枕にする風呂があった。
全面板張りの広い浴槽、明治時代の面影を感じるレトロモダンな窓。
しかし……………人多すぎだわ…………
ウジャウジャとまぁ………………
さらに800円という殿様価格。
そして秘湯によくある体を洗ったらいけない的な雰囲気。
ええええ………ちょっと待ってよー……………
もう4日間風呂入ってないんだよおおお…………
体ベタベタだよおおお……………
頭かゆいよおおお……………
ウオッ!!
ケツ丸出しの若い女の人!!!
混浴で若い女初めて見た……………
湯はぬるくてあんまり温まれない。
しかも肩が当たりそうなほどの混みよう。
出るときに「どーもー。」って言ったのに仲居さん無視。
一言もない。
もう来ない。
確定。
早くも傾き始めている太陽に染まる永井宿の集落を見ながら山を越えていく。
豪雪地帯特有の屋根の大きな民家、はげた田んぼ、軒先にかけられた干し柿や白菜、野焼きの煙、腰の曲ったばあちゃん。
これだけ田舎要素が揃っている集落も珍しいな。
日本一大きな桑の木や山深い温泉など、この53号線はとても心安らぐ昔懐かしい道だった。
川沿いに山の中を走っていると現れる四万温泉郷。
巨大旅館が立ち並び、渓流にかかる紅葉が見事だ。
暗くなりはじめ、外灯がポツポツとともる風情ある通りを歩いていく。
いたるところに無料の公衆浴場があるのも好感触。
そんな中、四万の露天の代表格、山口露天風呂にやってきた。
旅館の間から川に降り、橋を渡ったとこにある水辺の露天風呂。
お、結構先客いるな。
…………………ん?
…………………え!!
ケツ!!?
ケツだ!!!!!!
顔もかわいい!!
混浴露天風呂に可愛いケツの可愛い女の子!!!!!
おいおい、今日どうなってんだ!!!!
興奮しながらも、俺全然飢えてませんし、みたいな顔で死ぬほど興奮しながら服を脱ごうとしたら焦りすぎてボタン引きぢきりそうになって温泉にダイブ!!!!
横の岩場の影から聞こえる男と女の笑い声。
真横に可愛い女の子が全裸でいるかと思うと、なんかわからんけど全力でバタフライしたくなる。
見るのも逆に悔しいからなるべく平然とした素振りをするが、はたから見たら絶対不自然な俺。
他にも40~50代のおっさんたちが何人かいたんだけど、みんなしらじらしい動きで角度を変えたり、さりげなく移動したりしてチラチラ覗いている。
「マッサージしてくれよ、マッサージ。」
「えー、こう?」
「おー、いいないいな。」
「えー、じゃあこうは?」
「おー、気持ちいいな。」
「え、ここは?」
「おい!!そこはやめろよー!!まったくー。」
「キャハハ!!!」
きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
何が起こってるんだああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
目の神経がちぎれそうなほど横目で見るが湯煙でうまいこと見えない!!!!
ここで移動して角度変えたりしたら負け!!!!!
なんかの撮影でもしてんじゃねぇか?ってくらいのイチャイチャ声が湯煙の向こうから聞こえてくる。
時よ止まってくれえええええええええええ!!!!!
もしくは透明人間にいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!
が、無駄にカッコつけて、俺女とか興味ありませんし?みたいな顔して4日ぶりに体を洗ってすっきり諦めて車に戻った。
ああああ………おっぱい見たかったなぁ……………
群馬の混浴率やべええええ………………
翌日。
国の有形文化財に指定されている旅館、積善館。
ゆずりは地区・日向見地区の旅館群。
そして重要文化財の日向見薬師堂。
鎌倉時代にはその名を知られていた名湯、四万温泉の町並みは名所が満載だ。
紅葉と渓流がほんとにきれいで、これぞ名湯って感じの風情に溢れている。
四万温泉いいところだ。
暮坂峠を越え、道のそこここに道祖神がひっそりと祭られている六合村を通り焼尻温泉へ向かう。
川沿いにのぼっていくと、花藪温泉を過ぎた辺りから川の水が赤褐色に変わってきた。
こうやって山奥の温泉って発見されるんだなぁと思いながらハンドルを切ってると、目の前にやたらとノロノロのバスが現れた。
遅いなぁ…………
山奥のクネクネ道だから追い越すこともできずに後ろをついていく。
…………あれ?
バスの横に何か書いてある。
「もしもツアーズ」
あ!!もしツアだ!!
フルスモールなので中は見えなかったが、あの中にチリちゃんがいると思うとちょっと興奮。
あ、Uターンして行った。
まぁわざわざ追っかけるほどのことじゃないか。
焼尻温泉の名物、大野天風呂は川がそのまま湯舟というワイルドっぷり。
もちろん全部丸出しだ。
おっぱい見たかったけど誰も入ってなかったのでもと来た道を戻り、草津温泉へ向かう。
そうかさっきのもしツアバス、草津に行くのか。
日本3名泉、日本3大温泉、日本3大薬湯、とまぁ様々な呼び方で賞賛されている日本を代表する温泉、草津温泉に到着。
江戸時代から、
『西の有馬 東の草津』
といわれてきただけあってものすごくでかい。
もはや温泉郷ではなくひとつの市だ。
もしツアバスを探して車を走らせていたら草津の中心広場に出てきてしまい、歩道も車道も人が埋め尽くしていて車が完全に取り囲まれてしまう。
何とかモーゼ状態で人波を突っ切って少し離れたとこに路駐した。
歩いてさっきの広場にやってきた。
土産物屋や由緒正しそうな旅館が軒を連ねる中心でモクモクと湯気を上げている木箱の列。
これは湯畑といい、源泉を木箱の中を流すことにより適温に冷まし、各旅館に供給する草津温泉の心臓だ。
1円玉を1週間で完全に溶かすという強酸性の湯から立ち上る卵の腐った臭い。
風格ある宿。
すごいにぎわいだ。
ここに比べればどこの温泉地も「ひなびた」の言葉がついてしまう。
どこに行ってもホテル、旅館、民宿、ペンション、旅館、旅館、旅館…………
もちろん住宅地もある。
ここに暮らす人たちはみな、何かしら温泉の恩恵に預かったことを生業にしてるんだろうな。
草津は共同浴場の数も日本一。
そこら中に小さな小屋が建っていて、どれもタダだからありがたい。
適当に目についた小屋に入ってみた。
服を脱いでざぶん。
強酸性で石鹸がきかない。
湯が目に入ったら痛くて開けられないほど刺激が強い。
そのおかげで肌がぬるぬるする。
酸性によって肌が溶けているんだろう。
古い角質を洗い流してさっぱりだ。
サイコー。
よっしゃ!!!それじゃあ1発歌うか!!!
こんなとこで歌っていいのか?という思いもあるが、最近はだいぶ図太くなってきた。
ライトアップされた湯畑の脇で思いっきりギターを響かせる。
足湯をつかっていた浴衣姿の人たちがワラワラ集まってきたので『旅の宿』をやるとみんな喜んでくれた。
が、チップはあまり集まらず3000円。
つーか、マジで寒い。
温度計を見たら0℃を指している。
こりゃたまらんと、外灯の下で震えている立ちんぼのおばちゃんを横目で見つつ、そこらへんのラーメン屋に入ってみた。
草津で40年中華そば屋をやっているお店、紅淋。
うん、結構うまい。
420円という値段がめっちゃありがたい。
ていうか店のじーちゃんばーちゃん、一言も言葉を発しない。
「ラーメン下さい。」
「……………」
「ティッシュあります?」
「……………」
無言でティッシュを差し出してくる。
なんかなぁ、と思いながらラーメンをすすり、静まり返った旅館の間を歩いて車に戻った。
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