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木更津キャッツアイからの野村さんとの出会い







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2005年10月23日 【関東後半 千葉県】





木更津キャッツアイって都会っぽく撮ってるけどホントはめちゃくちゃ寂れた田舎だよ。


とゆうべ路上で地元の人が言っていた。


というわけでちょっと町を散策してみることに。






キャッツアイのメンバーのホームタウン『みまち通り』は、閑古鳥の鳴くうらさびれた商店街。


歩いているとそこら中にタヌキの像が立っている。


寿司屋さんの前には魚を持ったタヌキ、酒屋の前には一升瓶を持ったやつ、店に合わせて個性的なタヌキがお出迎えしてくれるのは面白い。


中でも一際目立っていたのが、ドラマにも要所要所で登場してきていたというオジータヌキ。


怖い。








ボロボロの通りを歩き、證誠寺にやってきた。



しょ・しょ・しょじょじ・しょじょじの庭は♪


でおなじみのタヌキ寺。


なるほど町中にタヌキがいたのはこのためか。





その昔、夜中に庭で物音がするから住職が外に見に行ってみたところ、木々の陰でタヌキたちが腹を叩いてリズムをとり、飲めや歌えや踊れやの大宴会をやっていた。


宴会に混ぜてもらった住職。


あんまり楽しいから毎晩庭でタヌキと酒盛り。



そんな堕落した日々が続くある夜、この日に限っていつものようにタヌキの腹太鼓が聞こえてこない。


外に出てみた住職はその場で泣き崩れた。


なんとタヌキたち、腹の叩きすぎで腹が破れて全滅していたという。



なんてかわいそうな話なんだ……………










それから港に行ってみると、東京湾を挟んで東京横浜の街が見えた。


そのさらに向こうには薄くかすんだ富士山の姿も。



しかし、そんな清清しい景色とはうらはらに港周辺の草むらにはいたるところにゴミの山。





さすがは首都圏の田舎。


せこい業者や市民が不法投棄していくんだろう。


心が痛まないんだろうか。

ゴミヤロウだな。







散策を終えたら木更津を後にして山に入り、久留里という面白い名前の町にさしかかったところでお祭りをやってるのを見つけた。


久留里城というお城が残るこの小さな古めかしい町の中を、手作りの甲冑や着物に身を包んだ歴史行列が練り歩いている。













中にはピカチューやアンパンマンの絵を描いた兜をかぶっている子供、外人さんもいる。


地元の人たちによる生活や暮らしぶりがにじみ出るお祭りだ。


お祭りって本来そういうもんだよな。













久留里の町からすぐのことにある吉崎酒蔵で酒を買い、それから雨情ようじという工芸品を見に行く。


この辺りに伝わる雨情ようじは一般のものとは違って装飾の派手なようじで、細かい細工が見事だ。





彫り師は現在1人。


お爺ちゃんが細々とやっているのだが、残念ながら工房には不在で実演を見学することはできなかった。












房総半島の深い山の中、森をかいくぐって細い道を走って行く。


そんな細い道の先にある名所、養老渓谷に到着。


都心から近いお手軽な名所・温泉地として人気らしく、土産物屋やレストランが軒を連ね、たくさんの看板が道の両脇に並んでいる


有料駐車場しかないので、仕方なく強引に道路脇に車をとめ、もう暗くなってきた森の中の遊歩道を歩いていくと、養老渓谷1番の名所、弘文洞跡につく。


ここは以前は物資の運搬道だったのだが、トンネルの上部が崩れ落ちたことによりダイナミックな景観を遺した名所となったとのこと。





暗闇に包まれつつある森と川の静寂の中、走って車に戻った。









山の中を駆け抜け海岸線に出て、今夜は鴨川の町までやってきた。


駅前の中華料理屋で腹ごしらえして夜がふけるのを待つ。





そして22時。


タクシーの運ちゃんに場所を聞き、館山でお世話になった『モンシェリー』の姉妹店である『順子』に向かう。



ほんの小さなネオン街。


その一角にある神社の入り口にネオン看板がたっている。


神社の入り口にネオン看板?



真っ暗な境内に入っていくと、お堂のすぐ横にその店はあった。


おおお、めっちゃ珍しいな。


こんなとこに飲み屋があっていいのか?







中に入るとかなり広い店内で、ここもメンズパブになっていて4~5人のメンバーがすでに接客していた。


こんな小さな町でメンパブで遊んでたりしたら何言われるかわかったもんじゃねぇな。



この前モンシェリーでお会いした亀井店長に挨拶だけして帰ろうと思っていたのに、まだ来ていないようでビールを1杯。







「おう、来てくれたんだ。」



しばらくして亀井店長が戻ってきた。


知り合いのブルースマンを紹介したかったのに電話がつながらないんだよと残念がっている。



その人っていうのがかなり名うてのミュージシャンらしく、いろんな方面で活躍している人だそう。


すごい人だから是非会わせたいと言うので明日もまたここに来ることにした。



スパッと進みたいなと思ってたのにもう1日かと思っていたら、あさってはモンシェリーのオーナーの誕生日イベントがあり、お客さんもたくさん来るから稼ぎに行けば?とのこと。


んんん…………先に進まない。




が、音楽での出会いは何にも替えられないものだ。


歌わせてもらえるなら断る手はない。






お礼を言ってお店を出ると、そこは真夜中の神社。


あー、なるほど、こりゃ不貞は出来ない仕組みだな。












翌日。








昨日の約束があって鴨川から動くことができないので、今日は近場をぐるっと回ることにしよう。


というわけでやってきたのは清澄寺へ。





1200年の歴史を持つこの寺は、不思議法師という不思議な名前の僧が開いた天台宗のお寺。


のちの1233年に日蓮大上人がこの寺に修行に入り、日蓮宗を開いたという歴史もあって、霊宝館には日蓮ゆかりの宗宝がわんさかあった。





800年前、源氏が幅をきかせていた頃に日蓮が使用していた数珠、筆、硯、そして直筆の書など、こうして実物を見ていると感慨深く、しばらく魅入ってしまう。


これを持っていた人が800年も続く宗派を開いたんだ。







この天津小湊は日蓮の生まれた地。


ということで生誕を記念して1276年建てられた誕生寺というお寺にも行ってみた。












門、参道、本堂、と風格のある重厚なお寺だ。


でも駐車場がどこも有料なのが気にくわない。











お寺を見学したら勝浦から山に入り、植野地区にある『腰古井』の吉野酒蔵にやってきた。





「あらー、どうもぉ。お待ちしておりましたぁ…………」



おっとりとした感じの奥さんに蔵を案内していただいた。


天然湧水の超軟水を仕込み水にして、房総の温暖な気候に負けないしっかりとした低温醗酵で、普通酒から大吟醸まで幅広いファンに支持されているこの蔵。



「仕込みの時期にまた来てみてぇ。きっと勉強になるよー。」



奥さん、ありがとうございました。













海岸線に戻ってひたすら東へ走る。


このあたりの外房は一帯海のリゾート地。

都心から近く、根強い人気があるのだろう。


ホテル、旅館、別荘、とりわけ目立つのは無数のサーフショップだ。





御宿にある綺麗と評判の月の砂漠海水浴場を歩いた。


どこまでも広がる海原。


俺は浜育ちだから、砂浜を歩くと砂でお城を作っていた子供のころを思い出す。



テトラポッド、流木、砂に埋もれた海岸。



ここも誰かの故郷だ。










御宿から降り返して一気に鴨川まで戻ってきた。



そして22時ごろ神社の境内に入って『順子』のドアを開ける。



「ん?おー、君?旅のシンガーってのは。こっちきなこっちきな。よーし、んじゃ歌ってみてよ。」



カウンターに陣取っていてのは、ゆうべ話していた名うてのブルースマン、野村さんとその御一行さんだった。



快く迎えてくれた野村さんにいきなりギターを手渡される。


うおおおお…………そんな人の前で名刺がわりの1曲とか死ぬほど緊張する…………




先日までの4連チャン路上でかなり喉も荒れているが気合で1曲。







「…………………」







「……………………」






「……………………なるほど。いいね。ん、じゃぁ例えばこういうのどうかな。ピロピロリン♪」



そこから4時間、野村さんのギター理論講座。


1.4.5のスリーコード、メジャーのライン、コードの仕組みなど、知りたかったまさにその核心が矢継ぎ早に飛び出す。


楽譜もろくに読めない俺に専門用語を交えたその話はかなり難解で、ほとんど理解することはできなかったが、どういう勉強をすべきかという方向性や、ギターのすごさ、音楽の深さにまた一歩近づくことができたと思う。




「よし、じゃあおじさんはそろそろ帰るね。明日うち寄りなよ。」



豆腐屋さんをやってる野村さん。


明日も朝6時くらいから仕事だというのに、貴重な時間を割いていただいてほんとに感謝。



野村さんを見送り、俺は余韻にひたりながら他のお客さんが出してくれたビールをあおった。





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