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花巻の人、宮沢賢治好きすぎ







リアルタイムの双子との日常はこちらから






2004年 7月16日




南部杜氏って、よく酒蔵で見かけるこの文字。


ウチの杜氏は南部杜氏です、みたいな感じ。



杜氏さんは蔵の社員というわけではなく、酒造りの季節になったらやってきて、作りが終わったら帰っていくっていうそんな雇われの出稼ぎ仕事って感じ。


その南部杜氏の本拠地がこの岩手の石鳥谷だ。



杜氏とは酒造りする人を刀自と呼んでいたから、とか、酒造りの名人だった藤次郎からとったものだとか、諸説ある。


もともとは近江、今の滋賀から酒造り職人がやってきてこの岩手の地に技術を伝えたんだそうだ。


今では新潟越後、兵庫丹波に並ぶ3大杜氏集団として、東日本の酒蔵に毎年出稼ぎに行き、酒を作っている。







酒匠館で南部杜氏の勉強をして、それから「南部関」の蔵元にやってきた。


案内してくれたのは当主の河村さん。





「ウチは小さい蔵で、手作りにこだわってますから、500石くらいです。酸があってスッキリしているけどボディーのある味わいが特徴ですね。最近はもう香り系のお酒ばかり出回ってますけど、ウチはそんな中で方向転換してます。他と同じことをやったってしょうがないじゃないですか。」



「杜氏さんが入れ替わることで、前にいた蔵と酒が同じになってしまった、ってことはありえるんですか?」



「んー、まぁ環境も設備も違うわけですから同じ酒はできませんよ。でも杜氏さんに任せっきりって蔵はやっぱりありますね。下手したら米の買い付けから何から杜氏さん任せってとこもあります。」



なるほどなぁ。



「今は自社杜氏という形が増えてますから、変な言いかた、雇われて出張していくこれまでの杜氏はあぶれてます。それだけ蔵元の意識が変わってきてるんです。」



杜氏の里でしか聞けない面白い話だなぁ。


河村さんありがとうございました!!










次に宮沢賢治記念館へ。


この花巻に生まれた賢治は、37歳で死ぬまであまりにも多くのことをやってのけた男だったんだと初めて知った。


詩人、作家、地質や鉱物の学者、そして法華経の熱心な信者。

アメニモマケズしか知らんかったけど、こんなに色んな顔を持つ人だったんだな。



彼は岩手のことをイーハトーブと呼び、緑豊かで肥沃な大地が広がる理想郷にしようとしていた。


常に献身的で、貧しい人々を想う心は死後発見された手帳に書き殴られていた「アメニモマケズ」によく表れている。



俺もいつか、ソンナモノになれる日が来るかな。





外に出ると駐車場の端っこにこれ。




注文の多い料理店。


行きたいけど怖い。











次は新渡戸稲造記念館。



「太平洋の橋になる」と若くしてアメリカに留学し、当時では珍しかった国際結婚をした新渡戸さん。


勉学や教師仕事の中、「武道」という本を出版し、アメリカで大好評になって、ルーズベルトも何十冊も買ったんだそう。


数々の大学で校長、学長を務め、58歳でジュネーブ協定の国連事務次長になり、ジュネーブの星とまで言われた。


その後も様々な役職を務め、71歳で亡くなったという人生。


戦前の日本の国際化と世界平和に尽力した偉大な人っていう1ミリも知らなかった情報です。


新渡戸さんすげぇ。






現代人は嘘だらけだそうです。











それから風呂を探して花巻温泉郷にやってきた。


んー、小さな区画にすごくたくさんの温泉が密集してる。


パンフレットで高倉山温泉っていう安いところがあったので向かってみたんだけど、かなり分かりづらい。


ボロボロの脇道を下っていくと、何もない山道にドロローンと1軒の建物があった。


鬱蒼と茂る木と雑草に覆われて看板もろくに見えない。










恐る恐る玄関を開けると元気のないおばさんが出てきて、200円払って中に入った。



マジでお化け屋敷。

シミだらけの天井、蜘蛛の巣だらけの廊下、ソファーで封鎖された2階への階段。


こ、これで営業中という根性がヤベェ…………








まぁお風呂は結構良かったんだけど、若者が珍しいのか地元のおじさんたちがフレンドリーに話しかけてくる。


でも方言がハンパなさすぎて一体何言ってるのか全然理解できず、おじさんの表情と同じ顔を作りながら相槌をうつ。


これが無難。



かろうじて聞き取れたのは、この辺りの温泉でここの湯が1番、もう35年毎日ここに来ている、ということだけ。


うん、確かにいいお湯。


石鹸の切れが悪い湯ってたまにあるけど、ここのはホントに石鹸なのか湯の成分なのかわからないくらい肌がすべすべになった。


これぞ秘湯だなぁ。










さぁ、今日は金曜日。


さっきまでの雨も上がり、花巻の飲み屋街にやってきた。


今日はどんな出会いが路上に転がってるかな。


よっしゃ!!行くぞ!!!














翌日。


ゆうべは5~6曲歌って7000円ちょい入ったところで苦情が来てしまい終了。


んんん、残念。



そんで今日はまだ何もしていない。


今日もなんとか花巻で歌ってやろうと動かずにいるんだけど、朝からずっと雨が降り続いている。


仕方なく石鳥谷の道の駅にある図書館で祭りや岩手の歴史の本を読みあさった。


日本は深いなぁ。






念力が通じたのか19時になったころに雲が割れ始め、空が夕日で紅くなり始めた。

よっしょー、昨日のリベンジ行くぞ!!!!


目標1万円!!!!


















夜中の2時。





ギターケースの中には12000円。


やったぞコノヤロウ!!!!





「日本一周?日本一周してるならアメニモマケズに曲つけてやらなきゃダメだよ。この町は高村光太郎にゆかりの深い地だよ?智恵子抄に曲つけてやらなきゃ。じゃないとここで歌う資格なし。ホントだよ?おじさんは吉幾三の義兄弟なんだから。」



うるせぇ!!!ボケ!!!


知るかオッさんアホ!!!


俺が何やろうが俺の勝手だろうが!!!


誰々の友達とか兄弟分とかいうオッさん、世の中多すぎんだよバカ!!!!


人の名前で自分を大きく見せようとすんじゃねぇダセェんだよ!!!



お金は稼げたけど、ムカつきながら車に戻った。





まぁ、北海道で松山千春歌ったら確かにウケるだろうな。


でも俺はこれからもやりたい曲だけやる。


やりたくないこと我慢してやる人生なんてまっぴらだ。








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