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京都の海沿い







リアルタイムの双子との日常はこちらから







「コンコン、コンコンコン…………金丸くーん。」



「…………は、はぁぁぁい。」



「朝食できたから一緒に食べようかー。」



車の中で目を覚ますと昼の12時だった。


ゆうべ、というか昨日寝たのは朝の6時。


色んな音楽好きに会えたすごい夜だった。







店に入ると、既にお客さんがいた。


まだ営業中の看板も出してないのに。



「この方は、僕が急にお金が必要になったとき、30万持って来てくれって頼んだら色んなところからかき集めて35万すぐに持ってきてくれた人。」



…………みんなに支えられ、守られてるお店なんだなぁ。






トーストとコーヒーをご馳走になり、インベーダーゲームをやって、そろそろ出発しようとすると奥さんが言った。



「金丸君、良かったら最後に1曲歌ってくれない?お願い!!」



ゆうべの歌と寝起きのせいで喉がガラガラだ。


でも必死に2曲歌った。



「ゆうべのセッション、録音しとるから、ゆっくり聴かせてもらいます。ほんまありがとな。次会うときまで死なんと頑張っときます。また会いましょう。」



「ワイルドラビッツ復活頑張ってください!絶対また来ます。」









車に乗り込み、サイドミラーから消えるまで手を振ってくれるマスターとママ。


土産にもらったのはサイコロ1つではなく、タマゴッチの類似品、ラクラクディノくん。





ふと、運転席と助手席の間にある小物入れを見ると、そこに名刺が入っていることに気づいた。



マスターの名刺だった。

裏になんか書いてある。



「心からありがとう。そしてさよなら。 2003/4/20」




体が熱くなる。


これこそまさに夢に描いた旅の出会い。


全身の血が熱く流れるのを感じながら、勢いよくアクセルを踏み込んだ。














久美浜まで来たところで、ちょこっとだけ城崎へ立ち寄るために兵庫県に入った。


兵庫にいたときに城崎に行ってなかったんだよな。


かなり有名な温泉街みたいなので、すぐ近いし行っておくことに。








城崎は温泉の町。


100軒以上の旅館が立ち並ぶ町の真ん中を川が流れ、新緑の柳が揺れる。

歩き回っているたくさんの観光客はみんな浴衣にゲタという姿。





城崎には、7つの外湯がある。

外湯とは、入浴のみの温泉施設。


もちろんどの宿にも温泉風呂はあるんだけど、ほとんどの人が金を出して外湯をめぐるそうだ。


日本一古い温泉の鴻の湯、天下一の温泉と温泉博士に褒められた一の湯など、それぞれに売りがあってどれに入ろうか迷う。



とりあえず、温泉寺という山の上にあるお寺を見学して、ちょっと汗をかいて鴻の湯へ。


久々の温泉。

肌がツルツルになる。


町の銭湯もいいけど、やっぱり温泉は最高だな。












きなこソフトクリームを食べたら城崎を後にして久美浜に戻ってきた。


小雨が降ったり降らなかったり、青みがかりながら暗くなり始めた空。


久美浜湾の対岸には水彩画のような山々。


ここは、近くにあの有名な天橋立があり、そこにあやかって小天橋と名付けて、多少のリゾート地になっているみたい。





ていうかどこが小天橋になるんですか?





看板どおりに進んではいるけど、しばらく走ると、「小天橋、手前2km」とか看板が出てきやがる。

気づかないくらいどうってことないってことか。


でも湾岸を走りながらの眺めはとても綺麗だ。


今日はもうこの辺りで寝て、明日丹後半島を一周するか。




















翌日も綺麗な海沿いの道を走っていく。




日本海に突き出した丸い半島、丹後半島。


178号線には浜詰海岸に八丁浜と、寂しげなビーチが続く。


ここら辺はサーフィンが有名らしく「サーファーのみなさんへ…………」という看板がそこら中に立っている。






歩くとキュッキュと鳴く砂、琴引浜に行ってハダシで歩いてみた。


鳴らない。


湿ってるせいか全然鳴らない。


今日は、というか、日本側だからか凄まじく風が冷たく強い。


革ジャンを着てダッシュで海岸を走る。


















久しぶりに海みるなぁ。


広い空。


白波を立てる海原。


ギザギザの海岸線がどこまでも続く。


断崖絶壁に打ち寄せる荒波が与那国島を思い出させる。








経が岬に行き、次に浦島神社へ。

文字通り浦島太郎の物語の地。

といっても浦島太郎伝説というのは日本全国いろんな所にある。

宮崎にもある。


その中の一つ。



この地の言い伝えでは、太郎が舟釣りをしていると亀が釣れて、その亀が舟の上でお姫様に変身し、一緒に竜宮城に行くという、一般的に知られている物語とはちょっと違う。



浦島公園という土産物屋やレストランなんかが入ってる施設で、暇そうにしていたレジのお姉さんから近隣の情報を聞き、伊根の町中へやってきた。





若狭湾に面する伊根の湾町。

ここは舟屋群が有名。



舟屋とは、一見海の上に立っているように見える民家で、家の床下に自分の所有の舟が乗り入れられるように作られている。


そんな家がずらりと並んでいるもんだから、風情があってしょうがない!






しかしもう暗くなってしまったので、ここは明日ゆっくり周ることにして、伊根温泉へ。


スッキリしたところで、さっきの浦島公園の施設で声をかけた綺麗なお姉さんに電話をかけた。


町のことを尋ねると見せかけて電話番号を聞くという荒技はたまに成功する。


仕事を終えたお姉さんと一緒に晩ご飯を食べにいった。

可愛らしい人だった。

















4月22日、火曜日。


舟屋の里公園ってとこで目を覚まし、早速、伊根の港町を歩いた。









古い木造の家や白壁の蔵が岸壁沿いに立ち並んでる。


玄関やらいろんなとこに魚のヒラキやわかめが干してあり、漁師姿のおじさんおばさんがチャリンコで通り過ぎていく。









港に行くとおじさんたちがものすごくでかい漁網を編んでいた。

外海から戻った漁船を鳥たちが出迎える。




ああ、なんてのどかな港町の風景なんだろう。


世界に取り残されたような町でも、ここの人たちにとってはここが世界の中心なんだよな。














ものすごく古い酒蔵、向井酒造で、火入れをしていない生酒を買い、それから178号を海岸づたいに下り、天橋立へ。


言わずと知れた日本三景の1つとして有名な場所だけに、土産物屋もたくさん並んでいて、駐車場もどこも500円以上。


そんなん払ってられるか!と、少し離れたところにある空き地にタダで停めて、歩いて向かう。






宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる幅20~170m、全長約3.6kmの細長い砂嘴(さし)。

それが天橋立。



汗かいてたどり着いた展望台からの眺めはなかなかのものだった。



細ーいのが向こうの陸にくっついている。



「股のぞき発祥の地」ってのぼりが立っていて、おばちゃんたちがなかなかマヌケな格好をさらしている。



ていうか股のぞきが発祥して嬉しい?










とりあえず俺も股のぞきしてみる。


お、確かにすごい。



たったこれだけのことだけど、結構すごい。


海の青と空の青がほぼ同じ色だし、まるで空に橋がかかってるみたいだ。


…………あーだから「天橋立」っていうのか。













車を走らせ、京都の海沿いで1番大きな街、舞鶴までやってきた。


港に自衛隊のどでかい戦艦が並び、そこら中にピシッと制服を着た人たちが歩き回ってる。


軍港とは聞いていたけどこんなに軍人さんがいっぱいいるなんて、今の平和な世の中では結構異様な光景。


シンボルとなってる赤レンガの倉庫群は明治時代にあった海軍基地のための武器庫、需要庫として使われていたものだそう。







引揚記念館というところで、第2次世界大戦後、中国、ソ連から帰国してくる60万人以上の人々を受け入れた記録を見学した。


帰らない息子を待ち、桟橋で佇むおばあさんの後姿の写真…………思わず目頭が熱くなる。


そういう女の人たちのことを岸壁の母、岸壁の妻と呼んでいたらしく、歌や映画にもなったらしい。



60万人て、とんでもない数の人たちが当時外国で暮らしてたんだよな。

それだけ日本はアジアを制圧してたんだよなぁ。













五老スカイタワーで、舞鶴湾を見渡した。


山の上に50mの展望タワー。


360°見渡すことができ、夕陽でオレンジに染まる雲と、連なる山並みがすごくきれいだ。


さすがに近畿一の展望といわれるだけある。










この向こうには広い広い大陸がある。


日本の外で暮らすってどんな感覚なんだろうな。









夜はひさしぶりに吉野家へ。

1日1食が板についてる。

昨日体重をはかったら53kgだった。


いい感じいい感じ。






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