スポンサーリンク 美瑛のドイツ人 2017/8/9 2017/07/08~ ドイツ③, ■彼女と世界二周目■ 2017年7月22日(土曜日)【ドイツ】 ナウムブルク ~ イェーナ ~ ナウムブルクだだっ広い畑の中で目を覚ました。周りにはなんにもなくて、空と大地の間に俺たちの車がポツンと止まっている。どことなく富良野みたいだ。中富良野とか美瑛とか、あの辺りを思い出させるのびやかな風景。ふと、あるドイツ人さんが言ってた言葉を思い出した。ドイツと富良野の風景はとても似てるんだよ、っていう言葉。最初の日本一周中、富良野で大工さんのお手伝いをしていた時、ドイツ人のお客さんがいたことがあった。美瑛の田園地帯のど真ん中に移住して住みついたこのドイツ人さん。彼は日本人の奥さんと可愛い子供たちと農業をして暮らしていた。その農作業小屋を作る仕事に親方と一緒に行ってたんだけど、ヨーロッパからこんな北海道のど田舎に移り住むなんてすごいことだなぁって思ったもんだった。北海道の田舎の人たちはそんなドイツ人のことを、ちょっと変わった人、なんて言ったりしてた。あの頃はドイツがどこにあるかもどんな国かもまったく知らなかったので大した話もしなかったし、なんなら外国人だヤベーってビビってた。白人だー、目が青いー、日本語カタコトやーって。まだ日本一周に夢中で、外国なんかには全然興味がないころだったし。今ならあの人ともドイツの話ができるはず。美瑛の風景にドイツを感じることができるはず。彼は美瑛のど真ん中で農業の傍らドイツ料理のカフェレストランもやっているので、帰国したら遊びに行ってみようかな。そんで日本でドイツ料理を食べてみよう。懐かしいなぁ。あの頃、ドイツ人の農作業小屋を作ってたやつがまさか10年後にドイツで車運転してるとはなぁ。田園地帯を抜け出してナウムブルクという町にやってきた。時間は朝10時。車を止めて中心部のホコ天にやってくると、サタデーマーケットの人出で賑わっていた。そんなに大きな町じゃないし大きなマーケットではないけど、中央広場にいくつかのテントが出て衣料品やお花や野菜なんかが売られている。ナウムブルク大聖堂という大きな教会がある町なので、地元の人だけでなく観光客もちらほらと見られる。町の中にはなぜかやたらとアンティークショップが多くて、それらの古びたお店の雰囲気もあいまって、町全体が骨董品のような味わいだ。よーし、天気が悪いけど頑張ってやってみるか。反応バッチリ。めっちゃ反応いい。音の響きも良いし、隣のお店のおばちゃんもチップを入れに来てくれたし、やりやすくてたまらん。向こうにあるケバブ屋さんのドネルもめっちゃ巨大で3.5ユーロ、450円。2人で1個で充分なデカさだ。途中、パラパラと小雨が降ったり止んだりだったんだけど、軒下に隠れながら歌い続け、2時間でかなり稼ぐことができた。ナウムブルクめっちゃいいやん。よーし、この調子でいったら久しぶりの300ユーロ代にいけそうだぞー、と思っていたところだった。人通りがぱったりなくなった。人通りだけじゃなく、町のお店もどんどん締まりだし、13時には閑散と静まり返ってしまった。ええええ…………なんでえええ………………土曜日だから半ドンで終わりってことかよおおお…………うーん、めっちゃ悩む。人通りはマジでビビるほど少ない。でも一応ポツポツと歩いてはいるし、観光客もちらほらいる。そして路上は俺の独壇場なので、かなりの確率でチップは入る。でも人が少ない。この先にもう少し大きな町があるのでそこに移動してやるべきか、それともこのままここで続行すべきか。悩むなぁ。どっちがいい判断なのかなんて、行ってみないとわからんしなぁ。カンちゃんは、ここで続行でいいんじゃない?って言ってるけど、せっかくの土曜日なんだから爆発的に稼げないともったいない。きっと、他の町なら人もたくさん歩いているはず。よし!!もう行くか!!てなわけでのどかな田園風景の中を車を飛ばし、1時間くらい走ったところにあるイェーナという町にやってきた。ホコ天にやってくると確かにナウムブルクよりもはるかにたくさんの人が歩いていた。今日は土曜日。そりゃこんくらい賑わってないと困る。が、なんかどっかから音が聞こえてくる。トランペットの音だ。うわー、こんなど真ん中でこんなデカイ音でやられたら相当離れないといかんなぁ、と音のするほうに歩いてみた。ていうか……………相当下手だぞこのトランペット?リズムも音程もバラバラで、悲しいくらい下手っぴ。おいおいマジかこの演奏って思いながら、一体どんなやつが吹いてるんだろうと音のするほうへと歩く。すると教会の前にこんなパフォーマー発見。家で練習しようか。路上は練習場所じゃないよ。後ろからパンツずり下げるぞコノヤロウ!!って思いながら通り過ぎていくと、その先にはなにやらヒッピーの集団がいて、路上で楽器やら小道具やらをバラバラと広げていた。パフォーマンス前なのか後かのかわからんけど、とりあえずホコ天のめっちゃいい場所を陣取られている。どく気配はない。さらにその向こうのH&M前には思いっきり動きまくってる銅像パフォーマーもおるし、そこらじゅうに物乞いおるし、やる場所全然ねぇじゃねぇか!!!!うわぁ、これやっちまったかなぁ。おとなしくナウムブルクで続行してればよかったかなぁ。でももう来てしまったからにはやるしかない。トランペット少年たちから離れたホコ天の端っこで演奏開始。大人の力見せてやる!!!パンツおろすぞ!!!が、反応激ウス…………ええええ……………シチュエーション完璧やん……………歩道の広さも、音の響きも、俺の喉の調子も良い。さっきのナウムブルクの反応はどこ行ったんだ?ってくらい薄い。一応入ることは入るんだけど、やっぱり他に色々やってる人がいるとどうしても紛れてしまうなぁ。なんとか30分くらい歌ってみたんだけど、あまりに手ごたえがなくてギターを置いた。アウトて…………アウトやけども……………「カンちゃん…………やっぱりナウムブルクのほうがいいかな?」「じゃあ戻る?」「…………う、うん!!戻る!!今ならまだ1時間くらいやれるはず!!!」クソゥ!!こんなことなら移動なんかしないで最初からナウムブルクにいればよかった!!!欲をかいて高望みするとロクなことがないっていう見本ですね。あっち行って、こっち行って、ワタワタと落ち着きなく動いて、ピエロです。でも実際これでイェーナに来ていなければ、あああー、イェーナに行ってればもっと稼げてたかもしれんなーって、ブツブツ言い続けてたはず。そう!!無駄なことなんてひとつもない!!!2時間無駄にしたボケ!!!あ、でも1個面白い話が聞けたのはよかった。イェーナで歌っているとき、向こうにいたヒッピー集団の1人がこっちにやってきて、世界一周の看板を見て、ワーオ!!クールだよ!!って話しかけてきてくれた。ヒッピーはみんな旅が大好きなので、一瞬で仲間意識を持ってもらえる。そんな彼が、泊まるところはあるの?って聞いてきたんだけど、なにやらこの町には旅人用のフリーハウスというものがあるらしい。ひとつの建物が若いバッグパッカーやヒッピーたちみたいな旅人に解放されており、自由に宿泊できるフリーハウスになってるんだそうだ。そりゃ面白そう!!けど遠慮しといた。明日はベルリンで友達と会う約束をしている。ベルリンまではまだ結構距離がある。今日のうちに少しは走っておきたいところ。こういうときにちょっと思う。前回のアテのない1人旅のときなら、喜んでその面白そうなシチュエーションに飛び込んでいたはず。そしてなにかしら思いがけない展開があって、素敵な、もしくはイカれたエピソードがあったかもしれない。もちろんタイミングもあるけど、今回はそういう思いがけない展開に近づけないようになってるのかもしれないな。旅のスタイルや心持ちで、寄ってくるものも変わってくるはず。今回はまたあの頃とは全然違う旅になってるけど、それはそれで今回の旅だ。今夜のヒッピーたちとの夜よりも、明日の友達との再会を楽しもう。「カンちゃん!!やっぱりさっきの町に戻ろう!!まだ今からなら間に合うはず!!」「うん、そうしようかー。」車に戻り、また田園風景の中を1時間かっ飛ばしてナウムブルクに戻り、ギターを持って急いでホコ天へ!!オラアアアアアアアアアア!!!!!!通りのお店、全閉まりいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!人皆無!!!!うわあああああああ!!!!と焦ってギター出して1曲演奏したけど見渡す限り人がいなくて、バタバタするだけして完全終了。はぁ……………欲かいたらロクなことないですね……………今日の路上は2時間半で181ユーロ、23400円。とぼとぼ車に戻ってベルリンに向けて走った。あー、今週あんまり上手くいかなかったな。この相性のいいドイツでもこんなことがあるんだからやっぱり油断はできない。町のチョイスをミスらずにちゃんとコンスタントに稼いでいくのはやっぱり難しいもの。まぁ来週も頑張るか。明日はベルリンで友達と再会!!あー!!楽しみ!!