スポンサーリンク 電車マニアの人からしたら超有名なとこなのかな? 2017/1/21 2017/01/01~スコットランド, ■彼女と世界二周目■ 2017年1月9日(月曜日)【スコットランド】 グレンフィナン ~ フォートウィリアムトロールウウウウ……………トロールよおおおお……………「トロールウウウウ!!!!俺が悪かったああああああ!!!!俺が悪かったんだ!!!!あそこで俺が体勢を崩さなければばお前は滑落して激流に飲まれることもなかったのに、俺は!!俺はお前を!!!」「ああああうううう……………痛い………身体中が痛い…………崖を転げ落ち、岩に体を打ちつけ、凍てつく冷たさの川に落ち、滝壺にハマって抜け出すことができない…………苦しい………苦しいよ………冷たいよ…………」「うわあああああああ!!!やめてくれ!!すまなかったトロール!!俺が悪かったああああああ!!!!でもあれ以上どうしようもなかったんだ!!あの増水した川の中でお前を見つけ出すことなんて不可能だったんだ!!!」「あああ………苦しい…………ノルウェーの森が恋しいよ…………ラップランドの春に帰ってトナカイたちと遊びたいよ…………またデスメタルのイベントに行きたいよ………痛い…………」「はあああああああああああああ!!!!!!!」ガバッ!!!と布団から跳ね起き…………ることもなく布団の中で何度もため息をつく。トロール……………信じられないよ…………何年も一緒に旅してきたお前が今はもうここにいないなんて。俺の結婚式まで見てくれたっていうのに、これから俺の子供とも仲良くしてくれるはずだったのに。もうお前は俺のもとにいないんだよな…………カンちゃんの女の子トロールが寂しそうに1人で転がっている。トロール……………この日調べて分かったことだったんだけど、なんと昨日、俺たちは妖精のプールを通り過ぎていた。衝撃の事実。遊歩道の途中にあった豪快な滝が連なっている渓谷部分がそうだったというのに、俺たちは普通にそこで写真を撮って通り過ぎて先に進んだ。それはなぜか?あまりにも水が増水していて、前もって見ていた妖精のプールの神秘的な景色とかけ離れすぎていたからだ。俺たちが見ようとしていた妖精のプールは、エメラルドグリーンの水をたたえた池に白糸のような細い滝が何本も優雅に流れ落ち、背後には壮大な岩山がそびえているという、それはそれは美しいものだった。それが実際は轟音をあげる瀑布になっており、優美さなんて1ミリもないただの荒れ狂う川。妖精も2秒でドザエモンになるレベルだった……………そして俺たちは通り過ぎ、きっとこの先に、あの山の向こうにあるはずと、奥地へ奥地へと踏み入り、道もない険しい岩場を登っていきあんなことになった。つまり、トロールはもう妖精のプールにたどり着いていたのだ。俺たちは諦めて引き返したつもりだったけど、本当はもうこの目で見ていた。あれ以上山を登っていたら、もっとヒドイことになっていたかもしれなかった。トロールがあそこで落ちなければ、俺たちはきっともっと先を目指していた。妖精のプールはどこだ?って、どんどん突き進んでいたはず。今思えばトロールがそんな俺たちを助けてくれたような気もする。「そうだよフミ君、フミ君の身代わりになって助けてくれたんだよ。妖精のプールできっと友達いっぱいできるからトロールも寂しくないよ。」そう言ってくれるカンちゃん。そうかもしれんなぁ……………そうかもしれんけど悔しいなぁ。完全に俺のミスだもん。半獣人とか言ってる場合じゃないよ…………あんなんでバランス崩して…………山々と湖が広がる絶景の真ん中で目を覚まし、エンジンをかけた。パジャマから着替え、朝ごはんを食べ、結露した窓を拭き、ギアを入れる。さて、今日はどこまで行こう。イギリスでは路上に重きを置かないと決めてからずいぶんと気持ちは楽になった。でもなんだか手持ち無沙汰になる。張り合いがないとまでは言わないけど、時間を持て余しているような感覚。路上にガツガツしないのであればどこの町に行ったっていいし、ルートに縛られることもない。とても自由に動けてるような気はするんだけどな。また今日も1日があっという間に終わってしまうんだろうな。9時前くらいにやっと明るくなり、16時前には暗くなってしまうこのスコットランド。観光をするにしても、7時間しかない。日が短すぎて小さな歩幅でしか進めない。あー、もう心の中は次の国のことでいっぱいだ。ブリテン島から北アイルランドへ渡る船のチケットは2月8日。予定よりも1ヶ月早めたけれど、まだ今から1ヶ月ある。環境を変えないと、このままじゃどんどん堕落していってしまいそうだ。グレンフィナン陸橋はとても立派なものだった。田舎の僻地にある鉄道の陸橋で、うねる山と山の間を巨大なコンクリートの橋がつないでいる。何本もの橋脚が弧を描きながら立ち上がって並んでおり、ものすごいスケールでありながら整然とした美しさがあった。近くに車を止めて歩いてすぐ近くまで行くことができるんだけど、間近で見るとかなり古びており、遺跡のような趣もあるんだけど、これはまだ現役の陸橋らしい。実際に電車に乗ってこの陸橋を渡り、窓からの壮大な眺めを楽しむのがなかなか人気みたいだ。スコットランドに来るまでこの陸橋の存在も知らなかったけど、電車マニアの人からしたら、え?知らないの?バカなの?ってくらいその業界では定番の場所なのかもしれないな。周りの寂しげなロケーション、自然と人工物の調和、24歳の時に見た黒部ダムみたいに圧倒的な迫力だった。グレンフィナン陸橋、大満足。それからフォートウィリアムという小さな港町にやってきた。本当に小さな町ではあるが、このあたりスコットランド西部のフィヨルドエリアではかなり大きい町だ。フィヨルドが鋭くギザギザと差し込んだ地形は交通を困難にしており、船で行き来するような小さな町がいくつもある。こうして寂しげなフィヨルド沿いを走っていると、世界に取り残されたような陸地の果てに住む人々の暮らしは一体どんなものなんだろうと胸がざわつく。雨が降りしきる中、フォートウィリアムの町の中を散歩してみた。結構立派なホコ天のショッピングストリートがあったんだけど、悲しいほどに人が歩いていない。イギリスではこれくらいの規模の町ならたくさんの人が歩いているはずなのに、不思議だった。町には民家を利用したゲストハウスやベッド&ブレックファーストの建物がとてもたくさんあり、この町がそれなりに観光の拠点になっているというのは見てとれる。しかしショッピングストリートのテナントには空き店舗が目立つし、とにかくゴーストタウンのように活気がなかった。海鳥がにゃーにゃーと鳴く声だけが寂しげに通りに散らかっている。やっぱり大きな町が少ないこの西側地域は、こうしたさびれた雰囲気ばかりなのかもしれないな。そんな寂れた田舎だからかわからないけど、通りを歩いていて驚いたのが物価だった。まずパブを見つけたんだけど、表にある看板にカールスバーグが1パイント2ポンドと書いてあった。250円。やっす!!!!普通パブでビール1パイント頼んだらどんなに安くても3ポンドはする。420円。相場は3.5ポンド。490円。それが2ポンドってのは破格っていうかなんか裏があるんじゃないか?っていう値段だ。さらに次に見つけたレストランでは、メインディッシュが2 for 1って書いてある。ふたつ頼んだらひとつ無料ってこと。つまりカンちゃんと行ったら、メインディッシュひとつ分の値段でふたつ食べられるという。やっす!!!!イギリスのレストランの値段は大衆的なお店のメインディッシュでだいたい10ポンド。1400円。このシステムだったらそれが700円でいける。どうなってんだこの町?とカンちゃんとビビりながら歩き、とりあえずネット作業でもするかとひとつのパブに入ってみた。地元のおっちゃんたちが数人いて、カウンターのところでビールを飲んでいる。紅茶でも頼むかとグリーンティーを注文したんだけど、なんとその値段、1.2ポンド。170円。やっっっっっす!!!!!!普通最低でも2ポンドはするのに!!!!!この町の物価どうなってるんだ?とひとまずネット作業をしていると、しばらくしてさっきまでがらがらだった店内が急に賑わい始めた。時計を見ると17時。明らかに17時になって人が押し寄せてきた。なにかあるのか?とテーブルにあったメニュー表を見てみると、衝撃的なことが書いてある。メインディッシュ、1ポンド。やっっっっっっっっっっっす!!!!!!メインディッシュが140円!?!?!?え!?どういうこと!?西成なの!?西成超えてるの!?!?うな丼が300円で食べられる西成超えてるの!?!?とにかく!!1ポンドでメインディッシュが食べられるならばと半信半疑でパスタを注文。足りないかもしれないのでフライドポテトも追加。するて店員の女の子が、この1ポンドメインディッシュを頼むなら飲み物もオーダーしないといけないわよーと言ってきた。あぁ、なるほど、その飲み物代が高いからそれで取り返すっていう寸法ですか。なるほどなるほど。姑息なやり方ですな!!まぁ仕方ない。ここまできたら注文しよう。というわけでハーフパイントのビールをふたつ一緒に注文。えー、お会計は…………「7ポンドよ。」安つつつつつつつす!!!!!!メインディッシュふたつ、フライドポテト、ハーフパイントビールがふたつで980円。普通だったらメインディッシュだけで15ポンドくらいして、フライドポテトが2で、ハーフパイントビールがひとつ2.5くらいだから22ポンドするところが7ポンド!!!!この町だけ物価が東南アジア!!!!注文してから運ばれてくるまで30秒しかかからないという、インスタント丸出し祭りみたいな潔い料理だったけど味は別に悪くない。いやぁ…………このフォートウィリアム、なんか特殊なところだなぁ……………お得なご飯を食べてビールも飲み、満足してお店を出るとすでに町は真っ暗になっていた。雨が降りしきる濡れたアスファルトにはひと気は皆無で、静まり返っている。ちょっと数日この町に滞在してみるかな。フィヨルドの自然が綺麗なくらいで特に見所はないけれど、この世界に取り残されたような港町に身をひそめてみるのも悪くない。走って車に戻り、濡れた体を拭いて寝床を探し、町を出たフィヨルド沿いに小さなパーキングを見つけてそこに滑り込んだ。