スポンサーリンク





今年最後の日にカンちゃんを泣かせてしまった………

2016年12月31日(土曜日)
【イングランド】 アレンデール








大晦日。


しかし大晦日感、まったくない。


イングランド北部のど田舎には世間の浮かれ気分なんて1ミリも届いてこないし、村人たちも今から新しい年を迎えるってこと自体わかってるのか?って思えてくる。



俺の母方の故郷である岡山も、日本昔話に出てくるようなものすごい田舎。

あの村の人たちも、みんな特に浮かれることもなく、めでたいというよりかは、歳重ねの刑を粛々と受ける囚人みたいな感じだ。


ロンドンでは今ごろ沸き立つような大盛り上がりで、あちらこちらで乱痴気騒ぎでニューイヤーパーティーが開かれているんだろうな。



いやぁ、それにしても朝ごはん最高!!!









これで2人で3ポンド、500円くらいだからイギリスでは自炊すべし!!



















アレンデールの村は確かに田舎で、車で走れば30秒くらいで通り抜けてしまうような場所だった。

村の真ん中にカフェが2件とレストランが2件、それと小さなスーパーマーケットのコープがひとつあるだけで、あとは民家が少し。

ほとんど農家の人たちなんだろうな。


本当にこんな場所でお祭りなんかあるのかな?って思いながらもとりあえずワイファイのあるパブを見つけてそこでネット作業をした。






















しばらくして15時になると、あけましておめでとうメールがたくさん入ってきた。


日本の歳が明けたようだ。

そうだー、今ごろみんな紅白を見たり、ゆく年くるを見たり、初詣に行ったり年越し蕎麦を食べたりしているんだよなぁ。


着物を着て、羽子板して、おせち食べて、テレビの特番を見て、里帰りでお婆ちゃんちに行って、暴走族の初暴走めっちゃうるさくて。



うわああああ…………お笑いの特番見ながらコタツでお雑煮食べたいなぁ!!って思いながらふと周りを見渡したら、めっちゃ英語が飛び交うパブの中でイングランド人に囲まれてる俺たち。



あああ、かけ離れている…………

あの日本の正月の風景、ここには皆無…………




なんの実感もわかないけど、あけましておめでとうって返事をみんなに書いた。








すると隣のテーブルに座っていた地元の上品なお婆ちゃんが話しかけてきた。

今夜のイベントを見に来たの?って。

よかった、やっぱりここで間違いないようだ。




「そのパレードってどこであるんですか?」



「ここよ、この目の前の広場であるわ。時間は23時45分からだけど、みんなもっと前から集まって場所とりをしたりするわね。このパブも夜にはものすごいものすごい人で賑わうわ。あまりにもごった返すからたまにスリとかあるから気をつけてね。」



おお、そんなにたくさんの見物客がやってくるようなイベントなのか?

こりゃ楽しみだ。
















23時まではまだまだ時間があるので、一旦車に戻ってご飯を食べた。


2016年最後のご飯は!!!!

麻婆ズッキーニ!!




なんかちょっと下ネタみたい!!


こんな田舎には豆腐もナスもなかったので仕方なく人生で初めて麻婆にズッキーニ入れてみたけどなかなか美味しかった。

ヤングコーンも美味しい!!










そしてご飯を終えるとしばらくして雨が降り出し、こりゃ今夜イベントちゃんとあるのかなぁ?って思いながら映画でも見て時間まで待とうと思ったんだけど、この後ちょっとしたことでカンちゃんを悲しませてしまい泣かせてしまった。



ビビってしまった。

い、今ので!?って正直思ってしまった。




またやっちまったか…………


慣れてしまって、相手を気持ちを考えないで踏み込みすぎて傷つけてしまう。


カンちゃんは今1番俺の近くにいる人だ。

一緒にいることに慣れ、やがて相手に求めることが多くなっていく。

そしてそれが上手くいかないと不満が生まれる。



前回カンちゃんを大泣きさせたのはノルウェーの時だった。

俺の態度が冷たく感じて、数日の間それが積もり積もってカンちゃんを不安にさせ、泣かせてしまった。


あんなことがないよう、カンちゃんがいることに慣れずに、いつも感謝の気持ちをもっていようと思うようにしていた。




そして今、あの時と大きく違うのは俺たちはもう夫婦だということ。

どこか無意識にまたカンちゃんに求めるものが大きくなっていってたのかもしれない。





カンちゃんはここ数日風邪をこじらせていた。
今はだいぶ治ったけれど、体調を壊していたこともあって気分も弱っていたんだと思う。


もしかしたら、体調のいい時だったら今日の俺の発言も笑って済んでいたかもしれない。





難しいなぁ。本当難しい。


カンちゃんのことは心の底から大事に思ってる。
人生で最大の宝物だと思う。

でも、ふと雑に扱ってしまう時がある。



育った環境が全然違えば、自分の中にある、これくらい、っていう物差しの基準も全然違う。

そして、これくらい大丈夫だろう、これくらい分かってくれる、っていう基準を間違えて人を傷つけてしまった時って本当困惑してしまう。

なにがいけなかったんだろう?って驚いて、まず自分を責めることを忘れてしまう。


傷つけたのは自分なのに、それが自分の中の当然だから、え?こんなことで?って逆に相手を責める時すらある。





カンちゃんを泣かせて、そこに俺の基準を押しつけるのか。

俺はこういうことを言ってしまう人間だから笑って流してね、って理解してもらうか。


それとも俺が、カンちゃんはこれ以上言ったら悲しんでしまう、っていうボーダーラインをキチンと把握しなければいけないのか。





どっちも大事だよな。

2016年。

一緒に旅をして、お互いのことをこれでもかってくらい分かり合い、歩み寄り、譲り合い、素敵なカップルになっていかないと。

カンちゃん、悲しませてごめん。


2017年の目標はカンちゃんを泣かさないこと。
























23時になり、車を降りると雨が降りしきっていた。

気温がそんなに低くないのがせめての救いで、相合傘をしてカンちゃんと村の中心部に向かった。


大晦日の夜、これが日本だったら紅白終わりからの初詣か。


そういえば日本で、年越しに雨降りの記憶ってほとんどないな。






村の中心部が近づくに従って、歩いてる人の姿が増えてきた。

そして広場が見えてくると、そこにはすごい数の人が集まっていた。








この雨で開催されるのか心配していたけど、どうやらこれだけ人が集まってるなら問題ないだろう。



こんな雨なのに傘をさしてる人は半分もおらず、みんなダウンジャケットのフードを頭にかぶり、びしょ濡れで手に持ったビールのコップを傾けている。

村のパブには人が溢れ、みんな大盛り上がりだ。





広場の真ん中には丸い柵が設けられ、人々はその柵を囲んで今か今かと始まるのを待っている。

どこからともなくブラスバンドの演奏が聞こえてくるけど、人が多くてそれがどこから聞こえているかはわからない。


村の小さな儀式にしては集まってる人は確かに多かった。

でもそれは儀式の域を出てはおらず、薄暗い村の真ん中に黒山が群がっている様子はやはりどこか秘密めいていた。














雨の中、人々に混じって待つこと20分ほど。

ついに向こうの方に炎が見えた。





炎はひとつ、ふたつ、みっつと増えていき、暗闇に浮かび上がって揺らめいた。


歓声が上がり、ブラスバンドの演奏が勢いを増す。




そして炎の行列が観衆の間を縫って歩き出した。

















何人くらいいたんだろう。30人くらいかな。


村の男たちが頭に大きな樽みたいなものを乗せながら歩いており、そこで炎がゴウゴウと燃えている。

男たちは手に丈夫そうな耐熱の手袋をはめてその燃えさかる樽を支え、悠然と村の通りを進んでいく。
























炎に照らし出される村の家々、街路樹、観衆。


それはそれは神秘的な光景だった。

神秘的でありながら土俗的で、これぞまさに田舎の伝統的な儀式だった。


ちょっと残念だったのは、行列の男たちが伝統衣装ではなく、チャラい仮装をしていたところ。

せっかくこんなに神秘的な儀式なのに、さすがにバットマンの仮装には萎える。































23時45分からスタートしたこのパレード。

もっと村の隅々を練り歩くのかと思ったらすぐに引き返してきて、わずか10分くらいで広場の丸い柵の中に入っていく。


この頃には観衆がさらに膨れ上がっており、もう広場に近づくこともできないくらいの混雑になっていた。

みんな傘もささずに濡れまくりながらパレードの写真を撮ったり、ビールを飲んだり、それぞれにこの2016年の締めくくりを興奮気味に楽しんでいた。


小さな小さなこの田舎町が、ほんのひとときの賑わいに沸きたっていた。


ふと中也の詩が浮かぶ。


いく時代かがありまして
茶色い戦争ありました
いく時代かがありまして
今夜ここでのひと盛り








すると、突然群衆の黒山の上に火花が舞い上がった。





その火花は勢いを増して夜空へと吸い込まれていき、すぐにゴウゴウと燃えさかる火柱となって村の真ん中に生き物のように踊りあがった。





あまりの巨大な火柱に、ずいぶん離れているこの場所でも顔が熱くなるほどだった。

人々はその火柱を囲み、歓声を上げている。



そしてその歓声の中に、ファイブ!!フォー!!というカウントダウンが聞こえた。


あ!と思ったその瞬間、あまりにもカウントダウンの始まりが遅すぎて一緒に声を合わせる間もなく、なんともあっさりと2016年が終わって歳が明けてしまった。




「フォーーーー!!」



「フォーーーーフォーーーー!!!」



「ハッピーニューイヤー!!」




歓声が上がり、みんな火柱に照らされながら周りの人たちと抱き合い、新年の到来を祝いあっている。

雨は変わらず降りしきっており、誰もが濡れながら笑顔で抱き合っていた。










その光景がたまらなく嬉しかった。

別に外界から隔絶された田舎の村で行われる秘密の儀式なんてことはなかった。


どこにでもある、村の人たちの伝統的な年越しの火祭り。


笑顔で抱き合う人たちを見ていたら、これもまたこの世界のほんの一部のひとつでしかないと思った。


タイムズスクエアのニューイヤーイベントも、ロンドンのお祭り騒ぎも、世界中の町で行われているパーティーも、日本の山奥の村にある神社も、今この瞬間、世界の中心はそこにいる人たちにとって、そこでしかない。





他の町のことを知らなければいいだけのこと。

他の場所ではこんなことが起きているかもしれない、あの町ではあんなことをやってみんな楽しんでいる。

自分がいなくても、その場所では当たり前に楽しい出来事が起きている。


知ってしまったから、心に焦りが生まれる。

もっともっと、違う何かがあるんじゃないか。



確かにそう。

でも今ここには、今この瞬間しかないんだ。


人の世の儚さを想像する前に、今この瞬間にたどり着いた必然を受け入れよう。


あー、雨が冷たいなぁ!!




「フミ君!あけましておめでとうー!!」



「カンちゃん!あけましておめでとうー!今年もたくさん面白いところ行こうね!!」



「うんー!ワクワクすることしよー!!」






2017年、周りの人たちに感謝しながら新しい道を迷いなく進もう。

きっと楽しいものになる。カンちゃんと、そしてたくさんの仲間と一緒だもん。

楽しいもんにしかならん!!



みんな本当にありがとう!!

2017年、思いっきりワクワクすることいっぱいやろう!!!


人生1回だ!!



















スポンサーリンク



ブログのランキングというやつをやっています。
よかったらクリックして下さい。
クリックが投票の代わりになります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 田舎暮らしへ
にほんブログ村



世界中のホテルが予約できるサイトです。
家族旅行もバッグパッカーも、ここから予約してくれたら僕にアレがアレなのでよろしくお願いします! ↓↓