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秘密基地のメンバーに選ばれなかった子供

2016年11月4日(金曜日)
【オーストリア】 シュピッツ ~ クレムス





シュピッツの町は本当に美しく、そしてどこか懐かしい。





草の張った荒い石垣の小径は、昔小学校の時に通った通学路を思い出す。



トカゲがいて、たまに蛇が出て、雨が降ればナメクジが出てくるあの石垣は、登ればガタガタと動くほど不安定だった。

周りは小さな畑と民家が数軒あり、いつも同じお爺さんお婆さんがその畑で土をいじっていた。



石垣の裏の藪の中には崩れた廃屋があり、そこに友達数人が秘密基地を作ったりしていた。


俺はその秘密基地のメンバーという名誉あるポジションには加われなかったのを、子供ながらに寂しく思った記憶がある。


小さな商店で駄菓子を買い、ビッグカツを食べながらランドセルを振り回して家に帰ったあの細い田舎道。



あの風景を少し思い出す。









すぐそこにドナウ川が流れ、ブドウ畑の広がる里山の谷にある教会。

やる気のない小さなブティックやカフェ。

綺麗に手入れされたベランダの花、その向かいにある週に1本くらいしか走らない電車の線路。


ここも誰かの原風景。


ここに住む人たちみんなに少年時代があって、この石垣の小径を走った遠い記憶が霞んでいる。

















町はずれにあるパーティー会場のレストランに行くと、レストランは閉まっていた。


おかしい。今日は営業日のはず。


ウィンターシーズンなので平日は閉まっているけど、金土日はランチタイムとディナータイムにオープンしているはずだ。


確かに、閉まっているエントランスのドアに営業時間の張り紙がしてあるんだけど、今まさに営業時間中だ。


なのにレストランにはひと気がない。





うーん…………さすがにちょっと不安になるなぁ…………

連絡がとれないままかなり時間が経っているし、打ち合わせしたいことも溜まっている。



まさか潰れたりなんかしてないよな?

それとも勝手に冬季休業に入ったとか。


確実に予約してるんだからまずそれはないだろうけど……………




また夜のディナータイムに来てみるか。


車に戻ってアクセルをふかした。

















クレムスの路上に立ち、ギターを鳴らす。

今日は特に寒くて、指がかじかんで仕方ない。

それでも頑張って歌うと順調にコインが入っていく。




あまりにも寒くて、そして通りのお店がチラホラとクリスマス仕様になってきたこともあって、そろそろこの曲をやってもいいころかなと棚卸ししてみた。



ジョンレノンのハッピークリスマス。



Aメロとサビの高低差がかなりあるので、どのキーに設定するか迷うところだけど、それはこれから歌い込んで探っていこう。



静かなストロークがこの寒い空気に良く合う。


そしてこのシンプルで力強い平和のメッセージを町に響かせると、歌いながら胸に迫るものがある。


今だからこそ確実に演奏する意味がある。

路上シンガーにだって、きっと小さな何かを伝えられるはず。





戦争は終わる。君が望めば。戦争は終わるんだ。





小さな子供が親から渡されたコインをぽとりとケースに入れてくれた。

不思議そうな顔で俺を見上げる無垢な眼差し。


この小さな命が穏やかな愛に囲まれて育っていくことを心から願う。



もうすぐクリスマス。

誰もが大切な人のことを胸に抱く日。









歌い終えると、後ろで作業していたカンちゃんがパソコンを閉じてニコニコしながら立っていた。

いつも同じ曲を聞かせているので、新しい曲が新鮮だったんだろうな。


すごくいいよ!と言ってくれたカンちゃんの言葉はいつもお世辞抜きなのでとても参考になる。


俺につき合って寒い中、赤い鼻でネット作業しているカンちゃん。

いつもありがとうね。










今日は出発が遅くなったことで2回しを終えたところで、町が暗くなり始めた。

街灯がともるヨーロッパのホコ天は確かに雰囲気はいいけど、夜になるとガクッと人々の反応が薄くなる。

やっぱり暗くなるとみんなどこか足早に通り過ぎていくように感じる。


これからはもっと早くから路上に出てこないとな。

今日のあがりは2時間で135ユーロ。15500円。
















よし!もうさすがにレストラン開いてるだろう!!

ディナータイムの営業時間は18時から。



少し時間を潰して19時にレストランに行ってみた。



いやー、テーブルの装飾とかワインの種類とかたくさん質問したいことがあるのでキッチリ話を詰めて当日にのぞむぞー!!








って、レストラン完全に真っ暗なんですけど………………







1ミリも明かりがついてなくて誰1人いないのが猿でも分かる。




ちょっ、マジかよ。


今まさに完全に営業時間やん。


しかも稼ぎどきの金曜の夜じゃないのか?


今閉まってるってお店としてヤバいよな?






これはさすがに不安になってくる。

このまま週が明けたら、式までもうすぐ。

なんの連絡もとれないまま当日にいきなり行くなんてとてもじゃないけど無理だ。


もし日曜日まで連絡が取れなければ、月曜日に他のレストランを探すしかない。



マジかよ……………

このレストラン、内装も雰囲気もめっちゃくちゃいい感じだし、ピーターさんもスタッフもみんないい人だったのでここしかないと思っていたのに…………







とにかく、また明日来るしかないよなぁ………

大丈夫かな………………












家に帰ると、イングリッドおばちゃんとレイモンドパパが晩ご飯を食べてるところだった。

もう1人イングリッドおばちゃんのお友達のおばちゃんもいて、ワイワイとお喋りをしていた。




「おかえりー!フミ!ナオ!彼らは日本から来てるのよ。私たちの家族よ!!」




そうお友達に紹介してくれるイングリッドおばちゃん。

その言葉を聞いてかなりホッとした。




というもの、ゆうべイングリッドおばちゃんは少し機嫌が悪いように見えた。

外出していて夜遅くに帰ってきていたんだけど、トイレに行く時に会って挨拶すると暗い顔をしていた。

いつも笑顔全開の明るい人なのに。




そのことを今日カンちゃんとずっと話していた。



イングリッドおばちゃんは俺たちに好きなだけ居ればいいのよ!家族なんだから気にしないで!!と言ってくれている。

その言葉に甘えさせてもらってるわけなんだけど、一応ある程度は気を使って、冷蔵庫の中の食材なんかが減ってきたらいつも買い足したり、ご飯を作ったりもしている。


それでは足りないかもしれないし、やり過ぎたら他人行儀でおばちゃんに寂しい思いをさせてしまうかもしれない。


俺たちはイングリッドおばちゃんとレイモンドパパが大好きだ。

きっと2人も俺たちのことを好きでいてくれてると思う。


そんな2人に、俺たちがいることで少しでもストレスを感じさせてしまってはいないだろうかと、カンちゃんと色々話し合った。

もしそうだとしたらすぐに家を出て、ある程度の距離をとった関係に戻すべきじゃないのか。




でも、そんな考えは今日家に帰ってきて2人に会ってほぐされた。

イングリッドおばちゃんもレイモンドパパもいつもの笑顔で、明るくたくさん喋ってくれる。

昨日のことを聞いたら、ゆうべはかなり疲れていたのよー!あははー!とアッケラカンとしていた。

俺たちの不安も取り越し苦労だったみたい。






でも、それでもやっぱり慣れすぎるのはダメだ。


おばちゃんたちは、私たちは家族でここはあなたたちの家なんだから何も気にしないでね!と言ってくれてるけど、慣れすぎてしまわないように気をつけないと。


利益のためではなく、2人の俺たちへの愛に応えるために。

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