スポンサーリンク オーストリアのホイリゲンが死ぬほど最高すぎる 2016/11/14 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■, 結婚式準備 2016年11月3日(木曜日)【オーストリア】 クレムス朝、キッチンに行くと、ゆうべおばちゃんたちにあげたお土産の急須セットが綺麗に戸棚に並べられていた。朝の光が窓から差し込んで、静かな家の中には小鳥のリリーの鳴き声と、リリーのためのラジオの音楽が響いている。おばちゃんもパパも家の中にはいなかった。俺たちがチロルに行っている間、レイモンドパパは盲腸の手術休みもあけて仕事に復帰し、イングリッドおばちゃんは忙しくぶどう畑でピッキングをしていたよう。もうすぐぶどうの収穫も終わるようで、そうなったら自由な時間が増えるわ!!と喜んでいたイングリッドおばちゃん。相変わらず笑顔全開でお喋りが止まらなくて、レイモンドパパもおどけて俺たちを笑わせてくれる。2人のところに戻ってこられて本当に嬉しい。朝食べてね!とおばちゃんが言っていたケーキを少しいただいた。アプリコットジャムが入ったロールケーキで、酸味のある甘さがとても上品だ。これはおばちゃんの手作り。そしてジャムも手作りだ。ブラックコーヒーを飲んでケーキを食べると、なんとも優雅な朝の時間になる。今も旅中のはずなのに、まるで旅から帰って来たみたいだ。チロルは本当に想像を絶する大自然の王国だった。でも、我がバッハウもあのチロルに全然負けてない。路上に行こうと、お昼前に家を出てクレムスに向かったんだけど、バッハウの谷は鮮やかな秋の色に染まっていた。山々は紅葉に色づいており、その斜面に広がるぶどう畑がすべて黄色く染まっていた。見事なまでにぶどうの葉が黄色一色になっており、山肌に整然とラインを引くその景色は感動的なまでに美しい。ドナウ川が流れ、中世から何も変わってなさそうな田舎の集落が散らばり、そのすべてが黄色いぶどうの木に埋もれていた。あの小高い山の上の古城から見渡す秋のバッハウは、きっと何百年変わらないまま人々の営みを色づけてきたんだろうな。本当に胸が震える。このシュピッツに出会えた人生。この場所に今いられる幸せ。そしてこの地で、大好きな人と結婚ができるんだ。イングリッドおばちゃんは、11月のバッハウは寒くて花も散って霧が多くて、結婚式には向かないと言っていた。バッハウの小さな町々はローシーズンに入って観光客はいなくなり、レストランなんかも冬季休業で店を閉め町はゴーストタウンになるって聞いていたけど、今運転しながら見る限り、バッハウは紅葉狩りのハイキングシーズン真っ盛りって雰囲気だ。天気が良ければそんなに寒くもないし、景色はため息が出るくらい美しい。式当日もこんな感じで晴れてくれたら、来てくれるみんなにこのバッハウの美しさを堪能してもらえるいいシーズンだと思う。バッハウは本当にこの世の楽園だ。と、そんなに余裕をこいてるわけにはいかないのがパーティー会場のレストランの件。今日ソッコーで行って責任者のピーターさんとお話がしたかったんだけど、レストラン自体、冬季の営業時間帯に突入しており、月曜から木曜はオール休みになっていた。営業してるのは金土日だけだ。つまり今日はピーターさんに会うことはできない。明日また行かないといけない。うーん…………もし万が一連絡がずっと取れなくてあそこでパーティーできないなんてことになったら大変だぞ…………今からパーティー会場を探して1から打ち合わせなんてことになったら、式当日までに間に合うかどうか…………まぁ多分大丈夫とは思うけど………………そんな冬に突入したバッハウ。しかしクレムスのショッピングストリートはいつもよりも人がたくさん歩いていた。おお、こりゃすげぇ!イングリッドおばちゃんが言ってたけど、今日のクレムスはナイトマーケットというイベントの日らしく、ショッピングストリートのお店が21時までお店を開け、通りには露店がたくさん並び、あちこちでライブミュージックが行われるとのことだった。人々は町に繰り出してきてすごい賑わいになるからきっと路上も稼げるわよ!とおばちゃんは言っていたけど、いたるところでライブミュージックが行われるってのはちょっと不安。スピーカーの音が鳴り響いたら俺の生音では太刀打ちできないし、イベントということなら俺もその一員になってしまってチップが入らないかもしれない。でもまぁいいか。そうなったらそうなったでこのナイトマーケットを楽しもう。久しぶりのクレムスだもん。ここは俺たちにとってのヨーロッパのホームタウン。焦らずのんびりいこう。というわけで町の人気ホットドッグ屋さんで、ボスナというオーストリアではとてもポピュラーなホットドッグを食べたら、いつものミュラー前で路上開始。すでに何回もこの町でやっているので反応も悪くなっていくかなぁと心配だったけど、やっぱりクレムスはいい。すぐにチップが入りだし、みんなが拍手してくれる。すでに顔なじみになってる人もいて、帰って来たんだね!と声をかけてもらえると、この町の一員になれたようでとても嬉しい。俺が歌っている間、カンちゃんは町のお店を回って色んな結婚式の準備だ。チロルを回ってる時、パーティーの時に使う新郎新婦のプロフィールカードをカンちゃんが一生懸命パソコンで作っていたんだけど、それを町のプリント屋さんで印刷。イングリッドおばちゃんの家のプリンターでは上手くできなさそうだったし、インクを使いまくるのも悪かったので、お店でやってもらえたのはかなり助かった。あとは印刷した紙をカットして組み立てて冊子にしたりという内職作業だ。着々と準備が進んでるぞ!!日が傾いてくる時間帯になると、どんどん人が増えてきた。通りにはバッハウにあるワイナリーのワインブースがいくつも並び、みんながワイン樽をテーブル代わりにして白ワインの入ったグラスを傾けている。ファストフードのお店もたくさん出ており、ソーセージやハンバーガーのいい匂いが通りに立ち込め、街灯が道行く人たちの笑顔を照らしている。そんな中で拍手をもらいながら歌っていたんだけど、とうとう向こうのほうから大きなライブミュージックが聞こえてきた。クレムスのショッピングストリートは結構長いのでやるポジションはたくさんあるんだけど、スピーカーを使われると石造りの町に音が響いて相当遠くまで離れないと生音の演奏はキツイ。それが等間隔でライブをやってるもんだから、歌える場所がなくなってしまった。なんとか強引に離れたところで歌ってはみたんだけど、暗くなってきてからは俺もイベントのひとつになってしまい、チップを入れる人がガクッと減ってしまった。まぁ予想してたけどやっぱりかー。しょうがないか。人通りはめちゃくちゃ多くてすごい賑わいで、この人出を前にやめるのはちょっと焦ってしまうけど、今日は路上はやめて俺たちもお客さんの1人になるか。あがりは2時間115ユーロ。13200円。ぷらぷらと通りを歩き、知り合いの人たちに声をかけられながらのんびりとナイトマーケットを見て回った。白い息が街灯に浮かんではフワッと消えていく。誰もが暖かいコートを来て、マフラーを巻き、手をつないで歩いている。子供たちもモコモコした服を着せられてまるで宇宙飛行士みたいだ。そんな中、ワインブースで銀色の大きな入れ物を見つけた。あ、あれ懐かしい、ホットワインのポットだ。前回の一周中、あれはスロベニアだった。仲良くなった現地の友達、ネドルコと夜の街を歩き、人生初めてのホットワインを飲んだ。シナモンが香る甘くて暖かいワインは、きっと日本でいう甘酒みたいな感覚なのかと思ったもんだ。ヨーロッパの冬の風物詩なんだろうな。そしてもうそんな季節になったんだ。1杯2.8ユーロ、320円のホットワインを注文すると、コップになみなみ注がれたのは白のホットワインだった。おお、ホットワインって赤のイメージだったけど、さすがは白ワインの産地、バッハウだ。「美味しいー!あぁー体の芯から温まるねー。」寒さに鼻を赤くしたカンちゃんが両手でコップを持ってホットワインをすすっている。女の子であるカンちゃんはやっぱりホットワインなんてオシャレなものが好きで、日本でもバルなんかでよく飲んでいたそう。誰もがワインを飲みながら白い息を吐いて、お喋りしている。ガヤガヤとした賑やかな喧騒が、冷えた石畳に染み入る。いいなぁ。ヨーロッパは冬もやっぱり素敵だなぁ。ホットワインで温まり、簡単なハンバーガーを食べたら、すでに真っ暗になったクレムスの町を後にした。イングリッドおばちゃんも友達と遊びに来てた。もうすでに真っ暗ではあるんだけど、まだいっても18時半くらいだ。ウィンタータイムに時間が切り替わってからというもの、17時半には真っ暗になってしまうのでどうも感覚が狂う。というわけでシュピッツに戻ってきてからもまだ時間が早いので、結婚式パーティーの二次会場所の下見をしにいくことにした。シュピッツは小さな小さな村なので、飲みに行くような小洒落たバーなんてものはほぼない。代わりにあるのはホイリゲンというもの。オーストリアにはホイリゲンという形態の飲み屋があるんだけど、これはワイン酒場のことだ。ワイナリーが直営しているお店で、そのワイナリーで作ったワインを簡単な軽食と一緒に提供してくれる居酒屋みたいなもの。しかしワイナリーという本業がある家庭がやってるお店なので、各ワイナリーによってホイリゲンを営業している期間はかなりまちまち。夏場だけ1ヶ月営業してるホイリゲンや、春と秋に10日間ずつだけ営業するホイリゲンなんかもあって、村の人たちはその時期その時期に飲める各ホイリゲンのオープンを待ち望んでいるわけだ。そして各ホイリゲンはオープンすると、営業してまっせー、という印に店先に藁かなんかで編み上げた輪っかの飾りつけをする。これがぶら下がっているホイリゲンでは、今美味しいワインが飲めますよ、ということだ。夏場のシュピッツにはこのオープンの飾りがあちこちに見られたけど、今の時期はほとんどしまわれている。田舎らしい、家族経営のアットホームなホイリゲンは観光客にも人気が高い。さて、そんな閑散期のシュピッツで今現在オープンしているホイリゲンが一箇所だけある。3月と6月と11月に10日間ずつ営業している、かなりレアなワイナリーのホイリゲンだ。結婚式パーティーの二次会をどこにするか考えていたんだけど、どうやらこの時期はここの他に選択肢もなさそう。というわけでこの唯一開いているホイリゲンに下見に行ってみたわけなんだけど……………結論……………………最高すぎた………………マジで!!まっじっで!!!!!まっじっで最高!!!!ホイリゲン最高!!!!店に入るとまずものすごい賑わい。店内には座る場所がないくらいのお客さんがひしめいていて、ワーワー!みんな大騒ぎしていてもうこれだけですっごい楽しい!!!ほとんどのお店が閉まる時期なので、このホイリゲンがオープンするのを村の人たちも待ちわびていたんだろう。満席で笑い声に包まれている!!そんな中に俺たちが入っていくと、こんなところにアジア人なんてまず来ないのか、みんな遠慮なしに俺たちのことを見てくる。でもギョロギョロ見てくる感じでなく、あら、若いアジア人カップルが来たわよ、とみんなニッコニコして俺たちに話しかけたそうにしている。ひとまずワインを頼もうとメニューを見せてもらうんだけど、どれがどんな味なのかまったくわからずにいると、カウンターでくっちゃべりながら立ち飲みしていたオッちゃんたちが、これがいいぞ!!こっちも美味しいぞ!!と話しかけてくれた。もはや肩を抱いてきて、ここのワイナリーのワインは美味しいぞー!!と笑顔全開。店員さんたちはご家族らしく、旦那さんと奥さんがワインを注ぎながらお客のオッちゃんたちとお喋りしている様子がいかにも地元感があって楽しい。ワイナリー直営だからか値段もかなり安く、1杯1.5ユーロからある。170円。普通のレストランとかバーで飲んだら2.5ユーロから3ユーロが相場だ。注文したのはもちろん白ワイン。ていうか白ワインしかないはず。ボトルの8分の1の量で売られているんだけど、グラスに記された8分の1のラインを大幅に超えて気前よく注いでくれるところとか、日本人としてはすごく嬉しい。グラスを木の升に入れて酒を注ぎ、景気よくグラスから溢れさせて升いっぱいまで注いでくれ、もっきりみたいで親近感がわいてくる。「よっしゃ!プロースト!!」「プローストーー!!」「どうだい!!美味しいかい?」「うっま!!なにこれウケるし!!うっま!!」「シュピッツに泊まってるのか?どこに泊まってるんだ?」「あ、イングリッドとレイモンドって知ってますか?」「なに!?レイモンドの家に泊まってるのか!?レイモンドは俺の仕事の同僚だコンチクショウ!!」「マジウケるし!!!田舎せまっ!!」「日本から来てるのかい!!みんな日本人だってさ!!」「おおー!ヤパーニか!!」「ヤパニヤパニ!!こっち来なさい!!ここに座れるから!!」乾杯すると後ろの席に座ってたおばちゃんグループたちがみんなで、ニッコニコしながらこいこいと手をこまねいている。おばちゃんたちがワーワー言いながら席を詰めてスペースを作ってくれ、そこに座ると、みんなニコニコしながら俺たちのことを見ている。目の前で。可愛い動物を見ているかのような優しい目線だけど…………何かツマミも注文しようと、またオッちゃんにどれがいいか聞いてオススメを頼んでみると、出てきたのは2種類のチーズ。これにパンが付いてくるんだけど、もちろんパンは大好きなオーストリアの丸パンだ。チーズがカウンターに出されたので写真を撮り、よしテーブルに運ぼうかなと思ったら、あれ?目を離した隙にチーズがない?あれ?どこ行った?あれ?とキョロキョロしていると、カウンターでニヤニヤしてる別のオッちゃんの後ろに隠されているチーズを発見。お茶目もいいけどニヤニヤしすぎ!!!!面白いけど!!!!ていうかこれ美味っ!!!!マジで美味いし!!!!!!さっぱりしたヨーグルト系のチーズと濃厚なガーリックが効いたチーズ。これをパンにつけてかじるとウルトラ美味い!!!!!あまりのうまさに大喜びしていると、目の前のおばちゃんたちがこっちを見てまたニコニコ。村人たちがみんな優しすぎる!!!!!「なに!?今度シュピッツで結婚式をするですって!!…………よし!!わかったわ!!私たちもワイン持って行くわ!!お花も持って行くわね!!おめでたいわー!!」1人英語を喋るおばちゃんがいて代表して話しかけてくれるんだけど、その周りで他のおばちゃんたちもウンウンとうなずいている。今会ったばかりなのに式にお花持ってきてあげるって!!だから村人がみんな優しすぎる!!!!あんまりにも楽しくて色んな種類のワインを飲みまくった。誰も彼も優しくて笑顔で、こんなにバッハウのバッハウらしいほのぼのとした空気を味わえるところは他にはない。決まった。即決。二次会会場ここしかない。これで式場、パーティー会場、二次会会場、全てが決まった。どれもがマジで妥協1ミリもなしの、理想を超える完璧すぎる場所だ。うわぁああああああああ!!ここでみんなでパーティーできるとか嬉しすぎてゲロ吐きながらドナウに飛び込むかもしれん!!!!嘘!!フリじゃない!!!!本当嘘!!!!いやぁ、シュピッツ最高だわ。最高すぎる。住める。クレムスで唐揚げ神田をオープンして町で大流行りさせたい。あー!バッハウー!!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イタリアのホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!イタリアでマルゲリータ食べまくりたいー!!パスタも!!ジョジョの聖地巡りもしたいなぁ。やっぱりイタリアは外せないなぁ。どうもありがとうございました!!