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森に囲まれて暮らす国

2016年8月9日(火曜日)
【フィンランド】 タンペレ





「ハーイ!よく眠れた?」



朝、コーヒーの匂いに誘われて寝ぼけながらのそのそとベッドから出てキッチンに行くと、マーリットが忙しそうに出発の準備をしていた。


朝から清潔感のある可愛い笑顔のマーリット。



マーリットは学校があるので、その車に乗っけてもらって町に出る予定だった。

お湯を沸かしてカンちゃんと2人で朝はやっぱり白湯ですなぁとお爺ちゃんお婆ちゃんみたいに飲んでいたら、マーリットがなにか言いたげな顔をしている。



時計を見たら8時半出発の予定だったのに8時35分だった。



あ!!ごめん!!とすぐに荷物をまとめると、いいのいいの!朝から忙してごめんね!と言うマーリット。


な、なんていい子なんだ…………

抱きしめたい!!

嘘!!














ていうかなんだか体がダルくてしょうがない。

町に向かう車の中でも眠くて眠くてたまらなくて、ずっとうつらうつらしていた。


これはもしかして昨日のサウナ&ビールという禁断のコラボのせいじゃなかろうか。


めっちゃ血行が良くなってるところにアルコールぶち込んだので、新幹線のスピードで酒が全身を駆け巡ったはず。


うう、ダルい……………























町まで送ってもらい、学校に行くマーリットと別れたら、カンちゃんと2人でまずはムーミン博物館に向かった。



フィンランドといえばムーミン。

ムーミンといえばトゥルクの近くにあるムーミンワールドと、このタンペレにあるムーミン博物館だ。



ムーミンワールドのほうは遊園地みたいなでっかいテーマパークになってるようで、キャラクターの着ぐるみがウロウロしているという子供たちにとっては発狂レベルの楽しいところ。


そしてタンペレのほうは静かな博物館で、トーベヤンソンの原画や、その場面を再現したフィギュアが展示してある大人の空間。


ここは前回も訪れているので、カンちゃんを連れてきてあげたかった。


ムーミンワールドは入場料もそこそこ高いし、どちらかといえば子供向けのところだし。






町の中心部から少し歩いた緑豊かな公園エリアにあるムーミン博物館は入場料7ユーロ。800円。





驚いたのは、ようこそムーミン博物館へ、みたいなインフォメーションの言葉が壁に3つの言語で書いてあったんだけど、フィンランド語、英語、そして日本語だった。





どんだけ日本人たくさん来るんだろうな。





そして実際めっちゃ日本人がいた。



博物館自体そんなにお客さんは多くないんだけど、半分くらい日本人観光客だった。

それもみんな若いカップル。


フィンランドにムーミン見に行こうー!!って素敵なチョイスだなぁ。











展示は前回と同じく原画とフィギュアで、やはりムーミンは子供のためだけのアニメではなくて、大人の世界だ。

哲学的で幻想的、そして文学的だ。


孤独を愛するスナフキンはいつでもミュージシャンと旅人の憧れの的。



スナフキンの言葉に、人生というのはあやふやなもの、でもそのあやふやさがあるから生きていける、っていうのがあったはず。


スナフキンすげぇ。

トーベヤンソンすげぇ。




この森と湖が広がるフィンランドだったら、こんな可愛いらしい妖精たちが木陰にいるんじゃないかって想像できるよ。






本当、フィンランドって可愛い国だよなぁ。


モイ、だもん。挨拶。


モイて。


モイモーイ、ってみんな会うときもバイバイするときも言う。



髪の毛が銀色で肌が真っ白の可愛いエルフみたいな女の子にモイモーイとか言われたらアハァ!可愛いいい!!ってなるもん。






ちなみに博物館内は写真撮影禁止。
















ムーミン博物館を出たらひとまず早めのランチ。











大きなピザにサラダバー、コーヒーがついて6.8ユーロ。770円。

もちろん2人で1枚でちょうどいい量だ。




ていうか日本のピザってなんであんなに高いんだろう?

この物価の高いフィンランドですら、こんな値段で食べられるのに。




すっごい釜をナポリから直輸入してますとか、食材も全てイタリアから輸入してますとかいうお店だったらまぁ2000円くらいするのもわかるけど、チェーンのお店とか絶対そんなんじゃないよな?


なんであんなのが2500円とかするんだろう………謎すぎる…………


まぁヨーロッパのマズい寿司もめっちゃ高いけど。中国人が作ってるやつ。


















美味しいピザでお腹を膨らませて、さぁ路上やるかというところなんだけど、体のだるさは増す一方。

歩くのもしんどいくらい。


こりゃ本当にゆうべのサウナ&ビールのせいかな…………でもカンちゃんはピンピンしてるしなぁ。



とにかく頑張って歌うかと町中を歩き回ったんだけど、どうやらタンペレの街中にはホコ天のショッピングストリートがない。


どこも車道に面していて、バスが頻繁に行き交っているのでかなりやかましい。




そういえば前回のタンペレでは駅前の広場で歌った。

駅の構内のトンネルでも歌った。



まだ路上場所探しが下手くそだったのもあるけど、タンペレは今探してもいいポジションがなかった。



駅前で強引に歌ってフィンランド人の女の子と仲良くなったよなぁ。ビデオ撮ってユーチューブにあげたよなぁ。

本当めっちゃ懐かしい。


ここで歌っていたんだなぁ。

長い道のりだった。







寝床がなくてこのマックで朝まで粘って、でも5時の閉店時間に締め出されて疲れ切った体でふらふら彷徨ったよなぁ。




またここに戻ってくるなんてな。俺がいなくたって、この町はずっと日常を繰り返している。










俺のパンツ履いていいよ。俺大丈夫やし。



















駅のトンネルにはすでに先客がギター弾いて歌ってたので、他の場所を回り、なんとかストックマンの前にやれそうなところを見つけた。


早速ギターを取り出して歌い始めるがやっぱりバスがバンバン通ってうるさい。

そして風邪が吹きすさんで楽譜たてが吹っ飛びそうになる。





うーん、喉の調子は悪くないんだけどなぁ。

人々の反応も良くなくて、今日は体を休めてネット作業を進めることにした。


あがりは1時間で22ユーロ、2500円。





















ストックマンの中でサクサクのネットでブログの予約投稿なんかをドバーッとやっていると、しばらくして学校を終えたマーリットがニコニコしてやってきた。



「お茶しに行きましょう!いいお店があるから!!」



地元の人と一緒だとこうしたカフェ巡りとかができるから都会も楽しい。

もうちょっと物価が安かったら遊びまくれるんだけどなぁ。





マーリットが連れてきてくれたのは、オシャレなレンガ造りのカフェバー。





テラスには色鮮やかなテーブルと椅子が並び、タンペレのオシャレ若者たちが集っていた。

なにやらここはアート作品が展示されたりライブミュージックもあったりする、タンペレのアートの発信基地なんだそう。


マーリットも若いころからよくここでライブで大騒ぎしていたんだそうだ。





暖かい日差しの中でビールを飲んだ。

乾杯をフィンランドではキッピスという。値段はタップビールが330mlで5ユーロ、560円。











街で遊びたい?と聞くマーリットに、今日は早めに休みたいかなと言い、ビールを飲み終えたらすぐ家に帰った。


ちなみにフィンランドの飲酒運転の違反数値は0.5かららしい。

日本は0.15だったかな?

まぁ日本人は酒弱いからな。



















未舗装の道に入ってどんどん深い森の中に入っていくと大きな古い屋敷が見えてくる。

今日も大きな犬が駆け寄ってきて家の中に入ると、フワッととてもいい匂いがした。


ママが晩ご飯を作ってくれていた。




「どこにでもある普通のフィンランドの家庭料理よ。さ、座って座って!」




テーブルに出てきたのは、まず焼いたパンとバターと何かのクリームみたいなもの。











聞いてみると、これはフィニッシュキャビアという名前らしい。何かの魚の卵。それに玉ねぎのみじん切りなんかを合わせたソースを、バターを塗ったパンの上に乗せる。

そしてかじりつくと、口いっぱいにあの魚介の香りが広がって、まるで手巻きでイクラを食べた時みたいな感じだ。



美味しい!!


そしてメインディッシュがポークとソーセージのグリル。





それに蒸したポテトというかなりボリューミーな内容。





「フィンランド人は野菜をあんまり食べないからソーセージが野菜って私たちは言うのよ!あははは!」



家族みんなでの楽しい晩ご飯。

お父さんものお母さんも英語がしゃべれるので会話も弾む。

マーリットはこの森の中で、この家で育ったんだよなぁ。


本当なにもかも映画の中の世界だよ。















じゃあワシはオリンピック見てくるわー、と自分の部屋に帰って行ったお父さん。


食事を終えたら、デザートまで出してくれたんだけど、それがまたオシャレすぎる。





バニラアイスの上にラズベリーをどっさり乗っけるという、日本だったら黒船来航レベルの異文化との遭遇。


それがここでは日常の、ごく普通のデザートだ。


いや、日本でもそんくらいあるだろうけど、とりあえず美々津にはない。宮崎にもあんまない。









「フィンランドにはサンタクロースだけじゃなくてトントゥっていう小さなサンタクロースがいてね、色んなところにいるのよ。サウナにもいて守ってるの。」



アイスクリームを食べながらママとマーリットと4人で色んな話をした。

フィンランドのこと、日本のこと、マーリットの日本旅のこと、俺の旅のことも少し。



トントゥって小さな妖精、本当に見た目はサンタクロースそっくりで、実はサンタクロースもそうしたフィンランドにたくさんいる妖精たちの一種じゃないのかな?

そうだったとしたら、ムーミンにしてもトロールにしても、本当にフィンランドはおとぎの世界だよ。






森に囲まれて暮らす人々。

この国にはすぐ隣に不思議の世界の扉がある。



夜がふけ、白夜はもうほとんどなくなって、夜の闇が森をおおっていた。







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ブリュッセルのホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


小便少女を探し出せなかったのがちょっと心残り…………


どうもありがとうございます!!



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