スポンサーリンク ドロドロした歌が歌えているか 2016/7/28 2016/06/27~ ノルウェー, ■彼女と世界二周目■ 2016年7月16日(土曜日)【ノルウェー】 トロンヘイム朝ごはんを食べて、早速トロンヘイムの町でショッピングセンターに向かった。今日は土曜日。しっかり稼いでまた明日からの移動を開始するぞ。まず最初のショッピングセンターにやってくると、バッチリ入り口のところにジープスのおばさんがしかめ面で座って口に手を当ててお腹すいたのポーズをやっている。うーん、ここにもいるかー。ショッピングセンターの入り口は当たり前だけど限られたスペースだ。そこでアクションが出来るのはどう頑張っても1組。ここで何組も何かをやっていたらめちゃくちゃになってお客さんに迷惑がかかる。先客がいる以上、そこではできない。まぁショッピングセンターなら他にもいくらでもある。すぐに次のモールに移動して、入り口あたりを回っていくと……………ぐぅ………ここにもいやがる…………ジープスのおばさんが入り口横の壁に座り込んで紙コップを置いている。もちろん服装はロングスカートにほっかむり、地味なダーク系の服装。あああ!!もう!!と急いで次へ。いる!!次へ!!いる!!マジで6店舗回ってすべてのショッピングセンターの前で綺麗に配置が完成している。ここって車がないと来られないようなところだ。でも彼らは小さなバッグひとつの軽装で物乞いをしている。完全に送り迎えがある。もうここまで来るとジープスたちの派遣会社でもあるんじゃないかと思えてくる。いや多分あるはず。「はいー、今日お前町中のホコ天ねー。お前は郊外のスーパー。ホコ天組は自分たちで歩いて行けよー。郊外組はバンで送っていくからなー。」「ミュージシャン組は稼ぎがいいから自分たちでやりたい場所決めてもらっていいからねー。おい!お前ノルマ全然達成してねぇじゃねぇか!!子供の写真を置いてる!?そんなやりかた古いんだよ!!」きっとこんなやりとりをしながら毎日の配置を決めているはず。昔トロムソで地元の人に誘われてジープスたちの寝ぐらに遊びに行ったことがある。橋の下に彼らのアジトがあったんんだけど、ピカピカのベンツが止まっていて、10人以上のジープスたちが共同生活をしていた。きっと都会だったらもっとデカいコミュニティが存在するんだろうな。彼らのほとんどがルーマニアから来ているので、親戚一同でサマーシーズンの間だけノルウェーに稼ぎにくれば、相当な稼ぎを持って帰れるはず。あっちの東欧のロマたちにとったら、こうしたサマーシーズンのジプシー巡りっていうのは伝統的な出稼ぎなのかもしれないな。もう最後の頼みだ!!と昨日歌って止められなかったレマ1000のスーパーに向かった。あそこは町から結構離れているので、さすがにジープスたちもいないだろう。時間をくってしまったので早く始めないといけない。それに雨が降り出している。あそこのレマ1000ならひさしがあるので歌うことができる。よーし、頑張っていい歌うたうぞー!!とレマ1000到着!!!入り口横にジープスのおっさんしかめ面で配置完了!!!チクショウ!!!もういいわ!!頭に来てもうトロンヘイムを出ることにした。どっちにしろ雨が降っているので路上はできない。だったら少しでも先に進んでしまうか。このトロンヘイムから先はこれとって見所はない。次の目的地のボーデまで、ずっとひたすらに田舎道が続くのみだ。一箇所だけアークティックサークル、北極線をまたぐところにモニュメントがあるので、そこでは足を止めよう。それ以外はなにもない。もうフィヨルドもノルウェーらしい可愛らしい風景もお腹いっぱいだ。このままボーデまで行って今週を過ごしたら、それ以上北には行かずに山越えをしてスウェーデンに抜けよう。まだ未開の地であるスウェーデン北部が一体どんなところなのか、最近すごく気になってきている。稼げるかどうかわからないけど、行ってやってみなきゃわからない。知らないところに行こう。そうと決まればノルウェーも残り1週間。ここまで観光半分であんまりしっかり歌ってこなかったので、ラストスパートで本気で稼いでみよう!!そういうわけで勇んで出発したら、しばらくして雨が止んで、ナイスタイミングで次の町の道路沿いにスーパー発見。ドリフトで駐車場に突っ込んで、すぐさまスーパーマーケットバスキング開始!!!やれる場所無数すぎるー!!が、小雨が降ってるのと、スーパーの作りが微妙でいい感じのポジションがなく入り口から少し離れたところでやったことであがりはあんまり。1時間ちょいやって522クローナ、6200円。いや、あんまりじゃないか。入れてくれた人たちに感謝。さて、スパッと稼いだらスーパーで少しお肉なんかの食材を買って、再度出発。そろそろシャワー浴びたいねということで、キャンプ場に行くことに。もう道路を走っている車の半分キャンピングカーくらいの勢いなので、マジで5キロおきでキャンプ場がある。サマーシーズンのノルウェーは国全体がキャンプテーマパークだ。日本人の温泉より多いはず。というわけでテキトーに見つけたキャンプ場にスパッと入ってレセプションでシャワー貸してくださいーと言うと、ごめんー宿泊客だけーって言われて、ウケるーって言ってキャンプ場脱出。こんなとこもあるんやな。でも次のキャンプ場は、40クローナで時間制限なしという素晴らしいところで、広々としたシャワー室でゆっくりと体を隅々まで洗った。ヨーロッパ、特に北欧では気温が日中でも15℃くらいなのでそこまで汚れることはないので、シャワーは3日に1回くらいでいい。俺だけなら1週間くらい大丈夫だけど、さすがにカンちゃんは3日が限度だ。「知ってた?俺前回のヨーロッパで1ヶ月シャワーなしっていう記録を作ったんだよ。」「そうなのー、それはすごいねー。でも頭とかは洗ってたんやろ?」「まぁね。こんな話知ってる?同じ服2ヶ月着っぱなしにしてたら魔法が使えるようになるって話。」「知らないー。」「知らないよねー。使えるようにならなかったもん。」シャワーを終えると体も心もさっぱりしてとても気持ちよかった。前回のヨーロッパでズタボロになりながらも一歩一歩前に進んでいた日々。すごいしんどかったし、今考えるとマジでそんなことやってたっけ?って実感がないくらい過酷だったけど、たくましく生きてたんだよなぁ。雨に濡れながらパンをかじって、寒かったけど寝袋の中でふつふつと燃えていたよなぁ。明日はなにがあるだろう。明日こそきっと、明日こそきっと、って。今さっきぼっちシンガーさんのブログを読んで、びしょ濡れの夜中にひとりぼっちで警備員に追い払われたりしてて、その気持ちがすごいよくわかった。でも、きっとすごい燃えていると思う。あの熱い人の歌をどっかで聞いてみたいな。今の俺はどうだろう。あの時みたいなギリギリの歌が歌えているだろうか。今稼がないと今夜の飯が食えないというリアルな歌が歌えているか。ドロドロした、感情をぶちまけるやつ。それがないとシンガーなんて終わってる。1曲1曲に魂をこめよう。