12月5日 木曜日
【パナマ】 パナマシティー
「ハーイ、調子はどう?この先はコロンビアに行く予定?だったらいい船があるんだけど。サンブラス諸島を巡りながらの船旅になるんだけどうんたらかんたら………」
朝飯を食べていると、パンフレットを持った白人の女の子が話しかけてくる。
やはりこの宿に泊まってるようなバッグパッカーたちは、ほぼ全員が船でのコロンビア入国を目指すようだ。
なのでこうしたボートツアーの勧誘がたくさんいる。
コロンビアへの船旅は色んなルートがある。
今のところわかってる情報をちょっとまとめてみよう。
まず1番メインなのが、サンブラス諸島というリゾートアイランドを転々と巡りながらコロンビアへと向かうツアー。
5日間くらいの旅程で、美しい自然が残る島々に滞在しながら進んでいくもので、値段は3万5千円から5万円くらいかな。
宿にいる欧米人バッグパッカーたちはだいたいみんなこのアイランドホッピングの船に申し込んでいる。
映画ビーチみたいな自由な空気を味わえるんだろうな。
このアイランドツアーも色んな会社があるみたいだし、内容も様々。
レセプションに聞けばだいたい教えてもらえるはず。
あと貨物船に乗っけてもらう方法。
これも5日間くらいかかるらしいけど、値段は1万~2万円くらい。
インターネットで、パナマとコロンビアを直通で繋ぐ、1万円、7時間の国際フェリーが開港したという情報を見つけたけど、レセプションの人に電話してもらったらもうこのフェリーは運行してないとの返事。
残念。
そして今のところ最安の情報が、コロンビアの国境を越えたすぐのところまで行く船。
6時間で135ドル。
ただこの船がなかなかの不定期な上、小さな港町から出港するため、交通機関がないらしく、ジープをチャーターして向かわないといけないとのこと。
ジープ代が30ドル。
船が135ドル。
とりあえずこれでコロンビアの国境をすぐ越えたところまで行けるようだ。
船は1週間から10日に1本という限られたものなので、レセプションの人が次はいつ出港か毎日確認してあげるねと言ってくれた。
ちなみにコロンビアは入国の際にアウトチケットの提示を求められるというが、このローカルな船での入国であればほとんどチェックされないとのこと。
ちなみに街の旅行代理店とかで安い船ありませんか?と聞くと、コロンビアへは飛行機でしか行けないよ?何言ってるの?という返事が返ってくる。
推奨されてないのか、知らないだけなのか、それとも自分のとこで航空券を買わせようという嘘なのかわからないけど、ここはバッグパッカーのための情報をたくさん持ってるホステルで聞き込みをするのがベストだと思う。
きっとまだ他にも安い手段はあるはず。
秘境に突撃して最安ルートを探してやる!!なんて無茶はせずに安全で確実な道を見つけてやるぞ。
そうこう色々調べているうちにお昼になってしまった。
最近まったく歌っていなかったのと、中米南下で思いのほかお金がかかったことでかなり手持ちが減ってしまっている。
このままではマジでヤバい。
パナマはあのビル群が象徴するように近代的な国だ。
スラムもめちゃ多いけど、ちゃんといい場所を見つければきっとそこそこ稼げるはず。
というわけで今日は路上場所を見つけるために、街の下見に出かけることに。
まずはこの旧市街地域にあるショッピングストリートへ。
車の通らないホコ天のショッピングストリートは、それなりの活気に満ちている。
のだが、全ての建物が一時代前のもので、古くボロボロ。
歩いてる人たちもみんな低所得層の人たちのようだ。
悪くはないけど、このあたりは稼げなさそう。
そして治安も悪そうだ。
裏路地をのぞけば、下半身丸出しの黒人ホームレスとかがゾンビみたいに歩いてる。
なにより露店が多すぎて歌うスペースもない。
ここはボツだな。
旧市街を抜け、綺麗に整備されたハーバーを歩いていく。
裕福そうな人たちがのんびりと歩いているが、人が少ないな。
それにしてもすごすぎるな、このビル群は…………
どんどん歩いて行き、高層ビルが乱立する新市街エリアに入ってきた。
このあたりならザラとかフォーエバー21とかが並ぶ、お金持ちのショッピングストリートがありそう。
って思ってたんだけど………
ここはもう完全にビジネス街となっていて、お買い物をするような通りがない。
車の通りばかりで、全然人が歩いていない。
巨大なショッピングモールはあるけど、こんなとこで路上できるかな。
うーん、パナマシティーって1ヶ所に固まってないから見て回るのに時間がかかる。
5時間くらいかけて一応細かく歩き回ってみたけども、これといった場所を見つけることは出来なかった。
コスタリカにはどこの街にも綺麗なショッピングストリートがあったんだけどなぁ。
実際パフォーマーもたくさんいたし。
こいつはマズイな………
どうにかしないとお金を消費するだけになってしまうぞ………
歩き疲れて旧市街に戻る。
振り返ると、そこには灯りをつけ始めた高層ビルのまたたきが海に線をつけていた。
南北アメリカ大陸の継ぎ目であるパナマ。
豊かさと貧しさの両面が混沌と混ざり合っているようで、でも水と油のようにくっきりと隔たっているようにも見える。
不思議な国だな。
なんとか活路を見出さないと。