10月1日 火曜日
【メキシコ】 エンセナダ ~ サンフェリペ
僕とジェニファーさんの関係を怪しまれている方がものすごくたくさんいますね。
まぁ普段から下ネタ書きまくってますから、そこにこんな美人さん登場で2人でモーテル泊ってれば、そう思われます。
これまでもたくさんの女性と浮名を流した元ジャニーズの……
なんでもないです。
やめて!!トマト投げないで!!流行りのトマトを!!
あ、ちょっとトマト祭りの仲間入りした気分。
僕は常に日記にありのままを書いています。
みなさんそれを読んで僕に会いに来てくれたり、お誘いしてくださったりします。
ということは全員僕の彼女のこともよく理解した上です。
なので皆さん、キチンとわかってくれています。
大人の方です。
ジェニファーさんは八尾に彼氏さんがいますし、仕事もかなりお固い、イメージが大事な政治絡みの仕事をしてる方なので、このブログに登場することでやましいことがあってはまずい人ですので、その辺わきまえていらっしゃいます。
そうですよね、ジェニファーさん。
「あぁ?アソコしごいたろかー?」
えー、ジェニファーさんはこんな人です。
いつもお尻をバシバシ叩いてきます。
いつも飴を持ち歩いています。
まぁ仲良くやっております。
他人とは思えないくらい。
チューもしてません。
ケツはつまんできます。
油断してると町中でズボン下げようとしてきます。
セクハラの度を超えたことをしてきます。
そんな人です。
「よっしゃー、ちょっと行きたい場所があんねんー、一緒に行かへん?」
あれ?いつまでこのバハカリフォルニアでゆっくりしてるんだ?
早くメキシコシティーに行かないの?
と思った方。
ちょっと問題が発生したんです。
アメリカで借りたヘンタカーでメキシコに行く際、ほとんどのレンタカー会社が保険をかけてくれないんです。
多分あまりにもトラブルが多いからなんだろうな。
全部保険でカバーなんかやってらんねーくらい何か起きるんだろう。
つまりメキシコシティーにはレンタカーでは行けない。
それでジェニファーさんが色々ロサンゼルスでレンタカー屋さんを回ったところ、1軒だけメキシコ対応の保険を持ってるレンタカー屋さんがあった。
てわけでそこの車を借りたわけだけど、その唯一のお店でさえ、保険が有効なのは、比較的治安の良いバハカリフォルニア半島地域のみ。
メインランドのほうでは適用されない。
なのでどっちにしてもメキシコシティーにはジェニファーさんとは行けない。
残念だけど。
ていうことで、ジェニファーさんと別れてからメキシコシティーまでをどうやって行くかなんだけど、ここからバハカリフォルニアを下り、サンタロサリアという港町からフェリーに乗ってメインランドに渡り、そこからバスで向かうってのが最短距離っぽいんだけど、このフェリーがめちゃ高い。
ほんのちょびっと、たぶん2~3時間で渡れる海峡なのに、その船の値段が8千円くらいするらしい。
その後のバスとか考えたら、いったん国境の町、ティファナに戻ってそこから1万円くらいのメキシコシティー行きバスに乗ったほうがいい。
てわけで、ジェニファーさんが滞在する間はこのあたりのビーチリゾートでスペイン語を教えてもらいながら、週末にアメリカ人狙いで路上やって稼ぐっていうプランが完璧だ。
つーわけで、あまりこの辺りから大きく動けないので、近場で面白そうな場所に行くことに。
ジェニファーさんが前からずっと行きたかったというサンフェリペというビーチに向おうと、荷物をまとめた。
「タコスタコスべスペラードー!!」
この数日でスタッフや掃除のおばちゃんの名前までみんな覚えてすっかり家族のような仲良くなってるジェニファーさん。
みんなにまた戻ってくるねー!!と手を振って出発。
エンセナダはまぁまぁの町だ。
ダウンタウンを出てローカルエリアを走っていくんだけど、かなり広域に町が広がっている。
活気のある地方都市。
国自体1億人を超える人口だもんな。
小さな町も結構な人々が暮らしているんだろうな。
町部を抜けると、すぐに乾いた大地とゴツゴツした岩が転がる荒涼とした大地になる。
民家はほとんどなく、崩れた看板が誰もいない道沿いに取り残されている。
廃墟が多く、ガラスのない窓から向こうの景色が見える。
どこまでも続く荒野。
空気が澄んでおり、遠くはるかな険しい山並みがのぞめる。
いろんな形のサボテンが灼熱の太陽の下で熱風にさらされている。
人の形をしたサボテンが山の上で、寂しげに遠くを眺めている。
いてもたってもいられなくなって、ジェニファーさんに車を止めてもらった。
ボロボロの有刺鉄線を踏み越えて、岩山の上に登っていく。
熱い風が、どこまでも抜き抜けて青空に消えていく。砂埃を軽く巻き上げながら。
びゅうー
ひゅうー
風が歌うように、囁くように、サボテンたちの寂しさを詩にして、岩に刻み込む。
生きる意味さえ頼りなく放心している。
どっからどう見てもメキシコだぜ。
4時間ほどのドライブはずっとそんな乾いた道だった。
逃げ水がゆらめき、アスファルトの道路が空にとけている。
水気のかけらもない荒野の中の一本道をかけぬけていると、しばらくしてはるか地平線の向こうに、紺碧の海が見えてきた。
「うおー!!きたぞー!!」
「よっしゃー!!バハカリフォルニア横断したったでー!!」
なんとも不思議な景色だ。
右側には果てしない荒野、左側には波のない怖いほどに静かな海。
建物は何もなく、時が止まったように全てが黙りこくっている。
凪の中にいるように。
まるで空に浮かんだファイナルファンタジー3の浮遊大陸みたいだ。
この辺りにはいくつもの検問所がある。
荒野の中にいくつもゲートがあり、そこで大きな銃を持った人が荷物のチェックを行っている。
メキシコでは麻薬組織が治安悪化の大きな要因となっているようで、それらへの対策でもあるんだろうな。
愛想のいいジェニファーさんの受け答えにデレデレになっている人のいいメキシコ人軍人。
でもこれはジェニファーさんとだからこんなに楽勝で通過できているけど、男1人だったらそうはいかないかもしれない。
ジェニファーさんの男友達には、メキシコで警察に賄賂を請求されたり、荷物を没収されたりした人が何人もいるらしい。
これから先、汚職警官はいくらでもいるだろうな。
変にモメないためにも少しでもスペイン語を覚えないと。
検問所をいくつか過ていくと、少しずつリゾート地っぽいモーテルやレストランの看板が見えてきた。
サボテンと砂地の大地に廃墟が散らばる。
それらも、ボロボロに色あせて時が止まったままだ。
まさに僻地。そんな言葉がピッタリ合う小さな町に到着した。
ボロボロの廃墟だらけ、潰れたカフェ、いくつかのやる気のなさそうな土産物屋とレストラン、ひと気のない閑散とした通り、ここはカリフォルニア湾に取り残された秘密のビーチ、サンフェリペ。
あまりの寂れ方に、こりゃエンセナダに戻るか?と一瞬思ったけども、せめて1泊くらいはしようと思いとどまる。
とにかく宿を見つけようと、何軒かのホテルを回ってみた。
どこも閑古鳥が鳴いており、大きな敷地内に2~3組のお客さんしかいない。
猫もあくびをしている。
そんな中、とてもいいホテルを見つけた。
丘の上にあるプールつきの静かなホテルで、部屋にはキッチンがあり、海に向かってせりだした中庭にはバーベキュースペースもある。
ここならゆっくり過ごせそうだ。
荷物を部屋に運び込んだ。
プールサイドの椅子に座ってビールを飲む。
ジェニファーさんはテキーラとココナッツミルクを買ってきており、自分でピニャカラーダを作っている。
波のないプールに夕日がうつる。
山の向こうに太陽が沈み、パームツリーが黄昏の空に寂しげに影をおとす。
お客さんが誰もいない静寂のリゾートホテル。
中庭に俺たちの話し声が響く。
スタッフのおじさんが、ウロウロと歩き回っている。
まさにホテルカリフォルニアのあの怪しげな世界に迷い込んだよう。
砂埃舞う荒野の中、コリタスの匂い、ここは天国か地獄か。
タバコに火をつけて星空に吹くと、遠くから潮騒が聞こえた。