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アメリカで見る日本文化

9月8日 日曜日
【アメリカ】 ロサンゼルス






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砂浜の上、いつもより少し早起きしたのはある人と待ち合わせをしているから。

荷物を引きずってベニスサインの下に行き待っていると、すぐにその人はやってきた。




日系人のケンジさんだ。

今日もケンジさんたちの教会のミサに参加させてもらうことになっている。


「よう来てくれたのぉ。みんな若い人と話が出来るのを楽しみにしとるけぇ、喜ぶよ。」


今日もニコニコと優しい笑顔のケンジさん。
カタコトの広島弁が面白い。

ドライブしながら色々とお話を聞かせていただく。



「ケンジさん、戦時中って日系人ってどういう扱いを受けたんですか?」


「んー、たくさんの人が収容所に入れられたんじゃ。財産はすべて没収された。アメリカ兵として日本軍と戦う人ももちろんいた。」


「原爆が落とされた時はどうだったんですか?」


「そりゃあ、まぁ……いい気分はしなかったよ……うん。ダウンタウンの日本街に博物館があるけぇ、そこに詳しいことが書いとるよ。」


なんとなく言葉を濁したケンジさんにそれ以上は聞けなかった。








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ソウテルにある教会は、今日もたくさんの日系人で賑わっていた。

前回演奏したことでみなさん俺たちのことを覚えて下さってて、たくさんの方々が声をかけてくださる。




次はどこへ行くの?
ご飯は食べてるの?
親と連絡とってるの?
危ないことはないの?




ジーザスを信じるの?というキリスト教徒なら必ずしてくる質問を彼らはしてこない。
宗教の話をしてこない。

日本のどこにでもいるおばちゃんたち。
みんなアメリカで生まれたり、10代のころに渡米してきた方たちなので、もう日本語はほとんどしゃべれない。

だけど、みんなのこの柔らかい優しさは慣れ親しんだ日本のそれだ。

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歌を歌い、ジョークに笑い、周りの人たちとたくさん握手をする。日曜日の朝の、ほがらかなミサの時間。
みんなオメカシして、1週間の出来事をお喋りする。
ミサというやつは宗教的な意味あいだけでなく、コミュニティの絆を深めるとても貴重な時間なんだな。





ミサを終えると、隣の建物で食事会だ。

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みなさんがそれぞれに持ち寄った料理がテーブルに並び、どれもとっても美味しそう。

俺たちがこの食事にありつくことを咎める人は1人もいない。
これはここの信者、檀家さんのための料理だ、なんて誰も言わない。


「ホラ!!遠慮しないでたくさん食べて!!今週も来てくれてありがとうね。」


満面の笑みで牧師さんが肩を叩いてくれる。




アメリカとヨーロッパのキリスト教は、表面的に見るととても違う。
ヨーロッパではクシャミひとつできないような厳格な空気だったけど、アメリカでは宗教でさえもエンターテイメントが求められるようなそんなラフさ。

でもどちらも、根底にある人間愛や尊厳は変わらず強固なものだ。


現代人が忘れかけているとよく言われる隣人愛。
それをとても強く感じさせてくれるキリスト教のミサが俺は大好きだ。



そんな中、1人のおばちゃんが、頑張りなさいよ!!と俺たちに40ドルをくれた。
ああ、そんなつもりじゃなかったのに………




そんなつもり?
お金をもらうためにここに来たわけじゃない。
俺たちは俺たちの旅の物語を話しただけ。
でも、そんな俺たちにお金をあげるのがキリスト教なのか。隣人愛なのか?とふと思う。
もちろんそれをはなから期待したらクソ野郎だけど。





「よし、それじゃあこれで終わりじゃけど、どっか行きたいとこあるかい?連れてくよ。」


そう言ってくれるケンジさんにわがまま放題お願いさせてもらった。





まず最初に楽器屋さん。
この前ニューヨークで購入した10ドルの安物ハーモニカ。前のやつが完全に音が狂ったので、仕方なく最近になって使い始めたんだけど、わずか5日くらいで音がハチャメチャに狂ってしまった。
さすが10ドル。さすがメイドインチャイナ。



というわけで新しいハーモニカをゲット。
30ドルのこいつ。ブルース色の強い音色だ。

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ああああぃいいいいい!!!
久しぶりにまともなハーモニカを吹くと音がキチンと出過ぎて逆に吹きにくい(´Д` )

今まで音が狂った穴を飛ばして吹いたりしてたから癖がついてしまってるんだよな。







楽器屋さんを出て、今度はホームセンターへ。
キャリーバッグのタイヤのゴムが擦り切れてしまっているので、新しいゴムを接着しないといけない。

ケンジさんは日曜大工が得意らしく、色んなアドバイスをくれる。

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「うちに色んなツールあるけぇ、好きなの使っていいよ。今度持って来てあげるけぇ。」


とりあえず今日はビニールのチューブを購入しておいた。












「まだ行くとこはあるかい?あるんじゃったら連れて行くから遠慮せずに言うんじゃー。」


あることはある………

これもとても大事な用事で、車がないとなかなか発見するのが難しいもの。

でもこれをお願いするのは気がひけるなぁ…………



「え、えっと、あの……線路を探しているんです。出来れは廃線で、線路の上を走りたいんです。そんな場所知ってますか?」


「んー、レッミーシィー、どこかあったかなぁ………ちょっと考えさせてくれ。」


そして色々と友達に電話をかけてくれるケンジさん。

も、申し訳なさすぎる………
だってこの線路で何をするのかと言うと………






この発表はもう少しお待ち下さい(^-^)/







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街の中を走ってくれるケンジさん。
しかし都合よく線路なんてないし、あってもフェンスで囲んであって中に入れないようにしてある。

線路の上を走れるような場所なんてなかなかないよな。






「んんー、ちょっとこれ以上はわからんのー。ソーリー。それで、今日はどこに行くんじゃ?ベニスビーチに戻るのかい?」


「あ、いやちょっと人と会う約束があるんです。」



今日はこのあと、カッピーの知り合いのお寿司シェフの方とお会いすることになっている。

俺とユージン君はまったく面識がないんだけど、カッピーは2年前にアメリカを回った時にお世話になっているみたい。

なにやらアメリカではかなり有名な寿司シェフなんだそう。



「アンディー松田さんという寿司シェフの方とお会いするんです。」


「え?アンディー?なんだいアンディーと知り合いなのかい?」



ビックリすることにケンジさんとこのアンディーさん、お友達だった。


「なんだい、そういうことならアンディーのとこまで送っていってやるけぇ。偶然じゃのぉ。」


というわけでここから結構南に走ったところにあるトーレンスというエリアまでケンジさんに送っていただいた。

トーレンスは人口の3分の1がアジア人という日本人地区。
最近来た人もいればもう3世4世で完全に日本語が喋れない人もいる。


そんな伝統的な日本人エリアの一角にある建物に到着した。










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お家?いやいや、こんな場所にあるはずない。
ではお店?いやいや、こんな殺風景なわけない。


入り口の横の看板に、「スシシェフインスティテュート」と書いてある。

ここはアンディー松田さんが経営する寿司職人養成学校なのだ。

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「おー、よく来たねー。元気にしてるみたいだね。さ、入って入って。ん?あれ?ケンジさん?どうしたのー?!」


出てきたアンディー松田さんは、その名前がイメージさせる派手な方ではなく、綺麗に髪の毛を刈りそろえた清潔感のある小柄なおじさんだった。

柔和な表情の中に厳しさを潜ませた、まさに職人といったオーラがある。



2年前に世話をした放浪の男を連れて来たのが、知り合いのケンジだったことに驚いているアンディーさん。

しばらく立ち話をして、ケンジさんは友達のところへ行くからまたね、と帰って行った。

ケンジさん、お友達と用事があるというのに、何から何まで気にかけていただき本当にありがとうございました。

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「じゃあ、まずは清潔になってきて。シャワーはここだからね。」


建物の中に入ると広々とした厨房が広がっていた。

ステンレスのテーブルや水まわりはピカピカに磨かれており、全てのものが整然と配置されてある。

ここは料理を作る場所。
すぐにシャワーを浴び、洗濯機で服を洗わせていただいた。





建物の壁には色んな額が飾られている。

このアンディーさんの寿司学校の卒業生の数は1000人。
しかもアメリカだけではなく世界中からやってきており、全員ではないがそれぞれが卒業後にお店を出して、ガンガン活躍しているそうだ。


そんなアンディーさん、なんと、「世界が尊敬する日本人100人」というアンケートの1人に選ばれるようなすごい人。


ではなんでそんなすごい人とカッピーが知り合いなのか。

話は2年前。
カッピーが最初の世界一周の時にオーストリアのウィーンで路上演奏をしていた時、あるめちゃくちゃ陽気な女性が話しかけてきた。


すごいハイテンションのこの日本人女性はカッピーに缶詰めなど色んな差し入れをしてくれたそう。

この女性がアンディー松田さんの奥さん。

アメリカに到達した際に連絡をし、再会。そしてこの学校の一室に泊めていただいたんだそうだ。




そんな路上が紡いだ縁だが、そのカッピーが今度はさらに2人の男を引き連れて転がり込んで来たんだから恐縮にもほどがある…………






「はい、これ食べな。余り物で作ったものだけど、美味しいから。」

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そんな世界が尊敬する日本人100人の1人であるアンディーさんが、すぐにご飯を作ってくださった。

海老と和牛が入ったドライカレーチャーハン生卵のせ。


オシッコもらしかけるほど美味い。




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日曜日だというのに1人で厨房にこもっていたアンディーさん。
どうやらもうすぐお寿司のコンテストがあるそうなのだ。

全米でNo.1といわれる有名アメリカ人シェフ、日本からも名うての職人が数々出場するお寿司の祭典らしいのだが、それに出品する作品を研究しているところだった。



「今のところこれでいこうと思ってるんだよね。でも最後の一押しが決まらないんだよ。意見聞かせてよ。」



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な、なんだ、この宝石は…………



テレビでしか見たことのない日本食の繊細な飾り料理。


こ、こ、こ、こんな支配者層の食べ物を、俺たちのような底辺のゴキブリが食べていいのですか?


サブウェイとマクドナルドとカップラーメンばっかり食ってる俺たちが意見なんて出来るわけないです(´Д` )






ひとつずつ試食させてもらう。







ほ、ほへ………



うわあああああああああああ!!!
マクドナルドオオオオオオオ!!!!!



「こういうのはどうかな?和牛の巻物なんだけど。」


「これはどうだい?」

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華麗な手さばきで次々と魔法のように神の食べ物を作り上げていくアンディーさん。


じ、爺ちゃんの仏壇にお供えしないと!!
お母さん!!お父さん!!
世の中にはこんな美味しいものがあるんだね!!
うめこうじのお惣菜のお寿司より美味しいよ!!
パックに詰めて持って帰るから!!



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オシッコ漏らしそうになりまくりですね。
いや、もはや漏らしてますね。




「アメリカは特にそうだけど、お金を持ってる人ほど健康志向になるんだよね。だからヘルシーな日本食を食べるようになる。なので日本食は先進国でもてはやされ、いいとこ取りをできるってわけなんだよ。ビジネスとしてとてもいい業界なんだよね。」


アンディーさんの神業を間近で見させていただき、さらにこんな美味しすぎるものをいただいたら、もう僕らに出来ることはただひとつですよね。









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ビリヤード。

いやっほーい。

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えええ?!なんでビリヤード!?!

なぜか厨房の端っこにビリヤード台があります。

さすがはアメリカ……!!










「あらぁー!!久しぶりねー!!元気にしてたー!?」


そこにめちゃテンションの高い可愛らしい女性が入って来た。
セツさん。アンディーさんの奥さんだ。


「いやー!!懐かしいわねー!!よし卓球しようか。」


すぐにビリヤード台に卓球のテーブルを乗せるセツさん。

挨拶もほどほどにいきなり卓球大会開始。
ど、どんな展開だ?!


「私はねー、ロサンゼルスの愛ちゃんって呼ばれてるんだからね!!10点勝負ね!!」

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セツさん、そんなに上手ではない。
すぐに俺が10点取って勝ってしまう。


「はい、15点勝負ね。行くわよー。」


何事もないかのように勝負を続行してくるセツさん。

すぐに俺がまた15点を取る。


「はい?20点勝負よ。ふふふーん♫」


また俺が20点になる。


「25点よ!!」


「30点だったわよね?」



結果…………





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全員土下座。


「やったやったー!!卓球ってたのしいよね!!アンディー先生ー!!私勝ったわよー!!すごいでしょー!!」


「あー、よかったねぇ。」


事務所で仕事をしてたアンディーさんを引っ張り出してくるセツさん。
アンディーさんもいつものことみたいで上手にあしらう。


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な、なんて無邪気な人なんだ………
きっとロサンゼルスの日本人たちの人気者なんだろうな。



「やっぱりセツさんもお料理上手なんですか?旦那さんがこんなに上手いと大変じゃないですか?」


「んー、まぁ、そうねー、ちょーっとかなわないかなぁ。でも一生懸命作ったらいいと思う!!」



新婚か(´Д` )








そんな可愛いセツさん。
どこかに電話をかけている。



「あのね、私の友達の家ですっごく夜景の綺麗な場所があるのよ。そこ行こうか。すっごく綺麗だから。」


セツさんの強引なペースは慌ただしいけども、それが全然嫌じゃない。俺たちを思ってしてくれてることだから、それがとても可愛らしい。
断る理由なんかひとつもない。
もちろん行かせてもらうことに。





そんなワイワイやってるところに、晩ご飯だよー、とアンディーさんが厨房に俺たちを呼んだ。





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こ、こ、こ、この人は神でしかない…………

あり合わせで申し訳ないけど美味いから、と自信のあるお言葉。

アンディーさんは寿司だけでなく、日本食全般に通じており、学校のカリキュラムにもこうした寿司以外の日本食の講習も組み込まれている。



もうハヤテマルとかイケメンとか行ってる場合じゃねぇ。


あり合わせでパパッと作ってこのレベル。
ちゃんと仕込んだらどんなことになってしまうんだろう。

やっぱりひとつの道に卓越した人ってのは他の道にもそれを活かせるんだよな。











「さ!!行くわよ!!楽器持って来てね!!」


美味すぎるラーメンでお腹いっぱいになってから、アンディーさんの運転する車でトーランスの町を走り、小高い山の上の高級住宅地にやってきた。

綺麗で大きな家が並ぶ、いかにもお金持ちたちのエリア。


その中のひとつの家に到着。





「なになにさ~ん!!こっちから入っていいー?!」


セツさんに着いて豪邸の庭に回ると、そこには目を疑うようなものすごい夜景が広がっていた。




遠く地平線まで続くようなロサンゼルスの街明かりがきらめき、それが昼間に太陽で温められた地面からのぼる熱でユラユラとまたたいていた。


豪邸はそんな夜景を一望する山の上にあり、壁がすべてガラス張りで、そのまま庭の芝生へと続いている。



王だ。

ここは王の家だ。

俺たちが踏みこんでいい領域ではな………



「はい、じゃあ音楽聞かせて。奥さん、彼らすごいのよ。世界中を音楽で稼ぎながら回ってるの。」


「そうみたいねー!!今お話し聞いてたところなのよー。偶然よねー。」




え?どういうこと?

話聞いてたって誰から?




あれ?
このお宅の旦那さんと一緒にいる人って、あれ?



あれええええええ?!?!?!





「け、ケンジさん!?!」


「いやぁ、偶然じゃのぉ。今日行くって言っとった友達ってここのことなんじゃ。」







偶然にもほどがある。



オーストリアでカッピーがアンディーさんと繋がった。

ベニスビーチで歌ってて俺がケンジさんと繋がった。


そんで会ってみたら、なんとこの2人が知り合い。

偶然が偶然を呼んでどんどん輪が広がっていく。
なんて人に恵まれてるんだ。






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思いっきり歌った。
そして夜景をバックにしてカッピーたちの演奏も映える映える。


すると音楽につられたのか、お隣のご夫婦も庭にやってきて、みなさんでビールを飲みながら俺たちの演奏を聴いてくださった。


どうやらこの山の上は日本人、それも日系の方が多く住む場所みたい。
すでに2世3世の方のようで、顔は日本人だが日本語は喋れない。
完全にアメリカ人として生きている。

彼らにとって日本人とはどういう存在なんだろう。



「いいもの聴かせてもらったわぁ。ありがとうねぇ。これからも旅頑張るのよ。」


そう言ってみなさん、俺たちに紙袋を渡してくれた。

な、なんてこった。
こんな夜景を見させていただいただけでも土下座もんなのに、その上お金まで…………
恐縮すぎて涙が出そうだ。



「あれやって!!嵐!!嵐やってよー!!」


セツさんがニコニコしながら無茶振りをしてくる。

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異国の地に住む日本人。
彼らはすでにアメリカ人としての生活の基盤をしっかりと築いている。
荒波の歴史を乗り越えて手に入れた強い土台の上だ。
アメリカで暮らすことになんの不便もないほどだろう。

しかしやはり、同じ日本人、という事実は特別なものがあるはず。
そのコミュニティの絆の強さはいくら血が薄れても、尊く体に流れているんだろうと感じずにはいられない1日だった。



彼らが日本人のイメージを作った。
勤勉で、清潔で、誠実な国民。
そのイメージがあるおかげでどれほどこの旅が安全に、そして豊かになっていることか。

グローバル化が叫ばれる今、こういった先人がいることこそが日本の財産。




俺たちも少しはそうなりたいよな。
最高の夜に乾杯!!


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