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桟橋の下の夢

9月9日 月曜日
【アメリカ】 ロサンゼルス






ゆうべ、あれから夜景を見終えて寿司学校に戻ってきて、アンディーさんとセツさんは帰って行った。

静かな建物の中でユージン君と卓球をして5ドルむしりとり、応接間のような綺麗な部屋で眠りについたのが1時くらい。





あまりに気持ちよく眠れてしまい、目を覚ますと、すでに厨房に生徒さんたちがやってきており、ガヤガヤと準備を始めていた。

いそいそと荷物をまとめて隣の部屋に行くと、そこではセツさんが朝ごはんの準備をしてくれていた。


「おはよー!!よく眠れた?すぐお味噌汁いれるわね!!」


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ご飯、味噌汁、海苔の佃煮、納豆、昆布の煮物。

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こんな優しい朝ごはん、久しぶりすぎる。

パンとベーコンとチーズの朝ごはんも悪くはないけど、この味こそ世界イチだ。








寿司学校は8時から始まる。

生徒さんの数は5人。
年齢は10代から30代までいる。

大人数にはならず、1人1人をしっかり見ながら授業を進められるようだ。

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12年の実績がある、このスシシェフインスティテュート。

今まで輩出した生徒の数は1000人。

photo:04




この地図のピンが打ってあるところが今まで教えた生徒さん。
本当に世界中から来ている。



2ヶ月間の受講で、受講料は60万円。
材料費や光熱費を考えたらはっきり言って安い。

2ヶ月間、他のクラスとかけもちすることなくつきっきりで成長を見てくれ、質の高い授業を受けられるってわけか。

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俺たちが持っている寿司職人のイメージ。
それは日本の伝統文化の粋とも言える、古めかしい体質。

皿洗い半年。
お米炊き半年。

魚を扱えるのは3年後。
技は盗め。ミスったら鉄拳。
みたいなイメージ。



それを2ヶ月で教え込むという。

たったの2ヶ月で一体何を教えられるんだ、とこれまで散々バカにされてきたそうだ。


しかし、アンディーさんの教え子たちは今や世界中に散らばり、独立したりいいお店に就職したりして、それぞれに実績を残していっている。


わずか27歳で独立した生徒さんのお店は、ニューヨークのベスト10スシレストランに選ばれたりしてるそうだ。

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日本食は今世界中でブームになっている。
どんな小さな町でもSUSHIと書かれた看板を見つけられる。
あまりに流行ってるから中国人が見よう見まねでテキトーに作ってて、それを美味しいと言って食べてる外国人がたくさんいる。

ニューヨークのスシレストランでも、20年選手の日本人シェフがカッパ巻きすらまともに巻けないようなのが現状みたい。


そんなろくに勉強もしないシェフが作る日本食でさえ流行ってるんだから、ここでアンディーさんに基本を学んだ情熱ある人が作ったお店ならまず流行るだろうな。


昨日も書いたけど、日本食はヘルシーだからお金持ちがよく食べる。
そしてアメリカにはチップ文化があるので、いいパフォーマンスをしたらチップだけで毎月相当な収入になるそうだ。

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「もし黒人が寿司場に立って寿司を握ったとして食べたいと思うかい?なかなか難しいと思う。でもフレンチでは有名な黒人のシェフなんていくらでもいるんだよね。日本人が寿司を作ったら美味しいのは当たり前。安心できるのは当たり前。もっともっとインターナショナルな食文化として普及させるのが僕の目標なんだ。」



なんつー熱い人なんだ。
こういう人のために情熱大陸って番組はあるんだろう。



俺たちに説明してくれながら、生徒さんたちに指導をするアンディーさん。

そのアンディーさんのお手本を真剣な眼差しで食い入るように見つめる、様々な国籍の生徒さんたち。

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メモをとり、iPhoneで写真を撮り、ビデオも撮っている。
家に帰って反復練習するんだろう。
みんな将来、スシドリームを掴もうと思っているんだろう。
真剣さが半端じゃない。







「よし、じゃあみんなでお昼ご飯にしようか。」


今日の授業は巻き物。
基本的だけど1番難しいというカッパ巻き。それにアメリカの巻き物といえばこれというカリフォルニアロール。あともうひとつがシャケの皮を巻いて周りに鰹節をまぶしたもの。

アメリカらしい巻き物だ。

生徒さんたちが練習で巻いたものがそのままお昼ご飯になる。

実際に食べることも大事な勉強だよな。

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そのお昼ご飯にご一緒させていただいた。




ていうかカリフォルニアロールって初めて食べたあああああ!!!!!!

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しかもカリフォルニアで。
すげえ。



あー、カニカマとアボガド?
それに海苔が内側でお米が外ってなんですか?その巻き物は。

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生粋の日本人であるこの僕がそんなアメリカ人のための寿司で喜ぶとおも







うめえ。

あ、マジうまいんですけど。



この鰹節とシャケの皮の巻き物は…………




あ、美味し……

すごい鰹節とシャケの香りがマッチしてて美味し。





はい、こういった寿司をイロモノだと舐める人は一度ちゃんと食べてみましょう。

こだわりは大事だけど、日本人が作るこだわってるアメリカの寿司も美味しいです。



生徒のみなさんもとてもフレンドリーで気さくな方たちでした。

もはやちょっと入学しようかなと思いました。

世界一周に出て、帰ってきたら寿司シェフ。
悪くない。



少しずつ形を変えながらも日本文化が普及していくその瞬間に立ちあえて、本当に貴重な時間を過ごさせていただいたな。

ありがとうございました!!


興味のある方はアンディー松田さんで調べてお気軽にご連絡を!!

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と、学校のまわし者の役目はこの辺にして、荷物を置かせていただいて散歩に出かけた。


昨日ケンジさんとあれだけ線路を探して回ったというのに、このスシ学校のすぐ裏手におあつらえ向きの線路があった。

面白いもんだ。

全部ここに揃ってたな。




というわけでここで最後の撮影を行い、これでアレ完成まで残すところ編集のみ。

アレですよ、アレ。
みなさんもう忘れてるんじゃないかな。フフフ………



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それからユージン君の靴を買いに行ったり、次の国であるメキシコに向けてカッピーの要らない荷物を送ったり。

テネシーでヒッチハイクをしてて乗せてくれたあのハイテンションおじさん、ジョンとカッピーが交わした約束。

ニューオリンズとサンディエゴからポストカードを送ってくれという約束。

それを律儀に守ってポストカードを買っていたカッピー。

郵便局でジョンに送った。
喜んでくれるといいな。






どんどん準備が整っていく。
長かったアメリカももう終わり。
次はついにメキシコ。
俺たちの目的地だったコスメルまであと少し。

このお気楽3人組でよくここまで来れたもんだ。

あと少し、あと少しで俺たちの旅も終わる。
恋するコスメルに行って恋しまくってやるからな!!





1日中、色々とやるべきことをやっていたらすでに17時くらいになってしまった。

学校に戻り、荷物をまとめる。


「よーし、じゃあビーチまで送って行ってあげるよ。あ、そのまえにお腹空いたでしょ。ちょっと待ってて。すぐ作るから。」


photo:18





え、あ、アンディーさん、そんなもうこれ以上………


と思っている間に疾風のごとき手際で瞬時にラーメンを作り上げてしまったアンディーさん。





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あああああ…………もうダメだー…………

昨日から良いものばっかり食べてるよ…………









事務仕事を終えたアンディーさんの車に乗り込んで出発。


ロサンゼルスの海辺はどこまでも海水浴の出来る綺麗なビーチがつながっているんだけど、俺たちは今日はマンハッタンビーチという場所に行くことに。


しかし優しいアンディーさんは、マンハッタンビーチに行く前に、海辺に連なるいくつものビーチに立ち寄ってくれ、俺たちにバスキングポイントを見せてくれる。


レドンドビーチは大きなショッピングモールがあるが、メキシカンが多いので稼ぎは期待できない。


ハーモーサビーチは小ぢんまりとしてはいるが、レストランやバーが並ぶ賑やかな場所。


そして最後にマンハッタンビーチに到着した。



どこもベニスビーチに比べると静かな浜なのだか、このあたりは観光地というよりは地元の人たちの憩いのビーチといった雰囲気だ。





「それじゃあ、元気でやるんだよ。」


笑顔でそう言って、アンディーさんは去って行った。
美味しい日本食、本当にありがとうございました。












マンハッタンビーチの真ん中には綺麗な桟橋が伸びており、真っ暗な海にピアの外灯がポツポツと浮かび上がっている。

カップルや散歩の人たちがロマンチックに歩く中、荷物を抱えて桟橋の下に潜り込んだ。

桟橋の下なら夜露も防げる。









寝床を作ってから、近くのリカーショップでコロナとレモンを買ってきた。

ノースカロライナのジェイムスにもらった切れ味の悪いナイフでレモンをカットし、コロナの中に投入する。

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薄暗い桟橋の下、3人で乾杯した。



「フミ君の本を作ろうと思ったら結構前から準備しとかないとなぁ。」


「フミ君いつくらいに日本に帰るの?」


「日本を出たのが6月30日だから、それと同じ日に帰るよ。」


「じゃあ4月くらいから準備始めないとな。」


「ていうか出版社ってどうやって作ると?」


「え?わかんないよ。でもなんとかなるでしょー。売りさばいてフミ君の本で印税生活だー!!」


「もう村上春樹とか超えちゃおうよ!!海辺の野宿とか出そうよ!!」


「それカフカだろ!!パクリじゃねえか!!」



こんなお気楽3人でよくここまで来れたもんだ。

俺はもう31歳。カッピーとユージン君は26歳。

日本の常識でいえば、新しいことを始めるには、はっきり言って遅い年齢。


でも俺たちだったら、何だってできそうな気がする。

面白いことを追求するエネルギーにかけては、そんじょそこらの奴には負けないぞ。

それこそが前に進む力だ。



暗い桟橋の下、笑い声を響かせて夢を語った。

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