こんばんは!!
登場人物、人気投票ですが、そろそろコメントも落ち着いてきましたので、明日に集計をしたいと思います。
誰が1位になったのか!?
それでは廃人になった入国、いってみましょう………
7月2日 火曜日
【カナダ】 ナイアガラ ~
【アメリカ】 ニューヨーク
も、ももも、もし俺にヘブンズドアーの能力があったなら、国境警察を本にして「金丸文武を顔パスで入国させる。大好き。」って書きこむウウウウウウウウウウウリリリリリリリィィィィィィィィ!!!!
でも俺にはそんなスタンドないから運が良かったな!!!!
笑顔とハキハキした受け応えで乗り越えないといけません。
ハァハァ…………
今までの国境越えで間違いなく1番緊張してる。
そして間違いなく1番チェックが厳しく、間違いなく1番入国拒否の確立が高い。
バスが国境に止まった。
ドライバーのアナウンスが入る。
「荷物を全て持って、イミグレーションで手続きしてください。」
バスを降りる人たちに混じって、俺もカスタムへ向かう。
アメリカ。
911のテロがあってから入国審査がベラボーに厳しくなったという話。
さんざん書いてきたけど、一体今までどれほどの旅行者が入国拒否に遭ってきたことか。
彼らが警戒するのは、テロはもちろん、不法就労やドラッグの密売など、アメリカの風紀を乱す者。
正式な手続きを踏んでいたとしても、ほんの少しでも怪しいと国境警察が判断すれば、容赦なく入国拒否となる。
ふおおおおおおおお!!!!
怖えええええええ(´Д` )!!!
アメリカ入国にあたり、必ずやらなければいけないこと。
★エスタの事前取得
→陸路入国の場合は必要なし。という風の噂。か、風!?
★アメリカでの滞在先の確保
→ホテルを予約し住所を控えておく。完璧。
★アメリカ出国用のチケット
→隣接国であるカナダ・メキシコ以外への航空券が必要。俺はグアテマラ行きを取った。日本に帰るチケットだったら完璧。
★滞在期間に見合ったお金の所持
→カナダでは1ヶ月に10万円というのが基準だった。俺は50日滞在するので2000ドルは欲しいところだけど1800ドルしかない。マジヤベエ。
★アメリカ滞在の明確な目的
→観光です、の一言では弱い。どんな物が好きでどんなものに興味があって、だからどこどこに行きたいです、と優等生な面接の受け応え!!
★手数料6アメリカドル
→世界中の観光地で路上やっててアメリカドルはちょくちょく手に入れてきてるので問題なし。
★怪しまれない身だしなみ
→今朝ヒゲを剃り、全身血管が見えるまで綺麗に洗って、洗濯したオシャレな服を着て、サンダルからブーツに履き替えたので、どっからどう見てもオチャメでキュートな、経験人数3人です♫って感じのジャスティンビーバーなのでモテたい。
★キョドらない
→目が泳ぐうううううううう!!!!(´Д` )
★早漏じゃない
→たぶん!!
1800ドルしか持ってないのに、アメリカでそれを使い切ってしまったら、どうやって日本に帰るの?
アメリカで不法就労する気だな!!このゴミ野郎め!!っていう勘ぐりをされるのが1番怖いところ。
そして忘れてはならない、シェンゲンのオーバーステイ。
これがもし、パスポートチェックで発覚するようなシステムがあったなら、お手上げだ。
あとは何とかうまいこと準備してきている。
行くっきゃねぇ!!!!
バスから降ろされた荷物を持って、イミグレーションの列に並ぶ。
カウンターは4ヶ所ある。
全員男。
ど、どれが当たりのブースだ………
にこやかな対応をしてる兄ちゃん。
無表情で淡々とこなしているおじさん。
ちょっと突っ込みが激しくてモメているブースもある。
あそこだけは絶対行かねぇぞ。
そして、その厳しいブースに呼ばれる。
あへええええええ!!!(´Д` )
よりによってえええええ(´Д` )!!
「は、は、は、は、はははは、橋幸夫、じゃなくてハロー………」
「パスポート見せて。」
高橋名人の連打並みに手を震わせながらパスポートを出す。
「エスタは持ってるか?」
「おぽぴ………も、持ってません。」
「あ?何で持ってねぇんだコノヤロウ?」
「ほひゅ………飛行機なら必要だけど、バスなら必要ないと聞いたので…………」
「ふん、これに記入してまた戻って来い。」
緑色の紙を渡される。
ご丁寧に日本語の表記の紙だ。
後ろの方に回って、1人急いで紙に記入していく。
すでにバスのメンバーはみんな入国手続きを終え、向こうのほうで荷物のX線チェックをしている。
焦る。
でもちゃんと、しっかり文章を読みながら紙に記入していく。
Yes、NOのいろんな質問が書いてある。
「薬物などの売買を目的としていますか?」
NO。
「伝染病などにかかったことはありますか?」
NO。
「不法滞在や強制退去になったことがありますか?」
の、の、の、の、ノオオオオオオオオオオオって言えねえええええええええええええ(´Д` )(´Д` )(´Д` )!!!!
1人部屋の片隅で爪を噛みながらガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク(´Д` )(´Д` )(´Д` )(´Д` )
ハァハァハァハァハァ(´Д` )
でもNOにチェック。
え?アメリカでの話ですよね?
そうですよね。アメリカではなったことありませんもの。
全てを記入して急いでカウンターに戻る。
すでにバスのみんなはチェックを全部終えてバスに戻っている。
俺1人。
なので、みんなを待たせてしまってごめんちゃい!テヘ!!っていう感じでプリティーアピールをしつつカウンターへ。
係官無表情。
クソ。
「で、アメリカに来た目的は?」
「お、音楽の勉強でございます。」
「あ?どういうことだ?」
「僕歌を歌っているので、本物の音楽を勉強したいです。」
「なんだそれは?お前の言ってることは理解できない。」
「え、えっと、テネシーに行っていろんなミュージシャンのライブを見て、勉強をし、」
「その気持ち悪い人形はなんだ?」
ちょ、食い気味で質問かぶせないで(´Д` )
焦るから!!
バッグにくっついているトロールを指差している。
よ、よし!!トロールに興味を示した!!
今までも色んな国境でこの流れになり、だいぶ空気がほがらかになって助かってきている!!
あ、彼はですねー、僕の友達のですねー………
ていうか目えええええええええええ(´Д` )!!!!!!
お、おま、おま、目が1個なくなってるじゃねえか(´Д` )!!!!
はわわわわわわ(´Д` )
「ほう、友達ね。で、お前のお友達はパスポートを持ってるのか?」
「あ、持ってないんですよー、テヘヘ。」
「じゃあ入国はできないな。」
冗談が通じねぇ…………!!
「日本に帰る航空券を見せろ。」
「こ、これです。」
「ふーん、グアテマラ行きね。2ヶ月近く滞在する金は持ってるのか?」
「は、はい、2000ドル持っています。」
「アメリカドルで持ってるのか?」
「い、いえ、カナダドルとかユーロとかスイスフランで持ってます。」
「仕事は何をしてるんだ?」
「シンガーをやっています。」
「ふーん、どれどれ………お、おいみんな、こいつYouTubeにいっぱい載ってるぞ。」
「えへへへ……。」
「で、アメリカには何しに来たんだ?」
目が笑ってねぇ(´Д` )
「だ、だからテネシーに音楽を勉強しに行きたくて………」
「お前の言ってることは意味がわからない。テネシーには誰がいるんだ?」
「そ、そんなこと知らねぇし………あ、わ、わかりませんけど、たくさんのミュージシャンがいると思います………」
「なんで知らないんだ?そんな奴を入国させられるわけないだろう。おい、こいつナントカナントカ………」
隣の係官と何か話している。
ヤバイ。
ドンドン空気が悪くなっていく。
バスはひたすら俺だけのために足止めを食っている。
置いて行かれるケースもよくあることだと聞いている。
悪いイメージが頭を支配していく。
胸が締め付けられる。
ど、どうする…………
「だからテネシーに何をしに行くんだ?」
「ほ、本物のカントリーミュージックを聞いてみたくて………グス……あれ?この頬を伝うものはなんだろう?しょっぱいや……へへ………」
「なんだ?お前カントリーミュージックが好きなのか?よし、ちょっと歌ってみろ。」
「………は?え、今ですか?」
「そうだよ。今だ。お前は本当にシンガーなのか?どうしたんだ?ホラ、歌うんだよ。」
周りの警察たちもこっちを見ている。
頭フルスピード回転。
お、お、お、お、その時、そのシチュエーション、聴いてる客層にあわせて、ベストな選曲をしなければいけないという10年以上の音楽経験がモノを言うううううううううう!!!!!!
友達の結婚式で歌った時!!
セクシーなクラブのママに閉店したお店の中で歌った時!!
老人ホームの慰問で歌った時!!
佐渡島のヤクザの親分の出所祝いパーティーで歌った時!!
いつもなかなかのチョイスをしてきたじゃないか!!
そう!!伊達にずっと歌ってきたわけじゃねぇっていうか国境警察に歌う曲なんかわかんねえええええええ!!!!!
え!な、何!?
どんなのがいいの!!??
ボーンインザUSAとかがいいの?!?
だ、ダメだ!!
臭すぎる!!
よ、よし!!マリリンマンソンを………!!
2秒でパスポート捨てられる。
く、クラプトンのコカインを………!!
ジョンレノンのコールドターキーを………!!
オジーオズボーン!??
うわああああああああああ!!!!!
国境のカスタムで歌う歌なんてわからねーーーー!!!!!
キスして、微笑んでくれ
待っていると言っておくれ
どこにも行かないように抱きしめてほしい
だって僕は旅に出るんだ
いつ戻ってくるかも分からない
ベイビー、行きたくないよ
アメリカの心、ジョン・デンバー。
しん、としたカスタムの中に歌声が響く。
おいおい、と笑ってる警察たち。
歌い終わった。
「悪くねぇ。」
「ああ、悪くねぇな。」
「ヘイ、ガイ、お前なら働けるぜ。」
みんなが近づいてきて肩を叩いてくる。
「よし、行っていいぞ。」
「え!!あ、あ、ありがとうございます。」
「でもパフォーマンスをしてもいいが金を稼いだらダメだからな。じゃあ旅を楽しんでな。」
「は、はい!!」
急いで、荷物チェックカウンターへ。
「ヘイ、バディ、もう1回なんか頼むぜ。おーい、みんな来いよ。」
10人以上の警察たちが集まってきた。
うがぁ!!
もうどうにでもなれ!!
ジョニ・ミッチェルのサークルゲームを心をこめて歌った。
「ハハ、グッジョブメン。」
「いい声してやがる。」
「あ、あ、あの、荷物はここに通せばいいですか?」
「あー?もういいよいいよ。行っていいよ。」
X線検査をパスしてカスタムを飛び出る。
ハァハァハァ……………
お、落ち着け、
平静、平静…………
た、滝はどこだ?
滝は?
と、飛び込むから………
飛び込んで飛び込んでやるから…………
にょょょょよよよあおうここおおおおおとおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
いやっっっったあああああうあああああああああああううううううううううううううあああ!!!!!!!!!
待っていたバスに飛び乗る!!
バスの中で18回くらいガッツポーズ!!
「ちょっと、何がそんなに嬉しいのよ。」
「だってアメリカに入れたんですよ!!たくさんの旅行者が入国拒否になってるアメリカに入れたんです!!もうこれが喜ばすにはいられますか!!?震えるぞハート!!燃え尽きるほどヒート!!」
「ふーん。」
冷て!!
横の黒人のおばちゃん冷て!!
ほへひ…………
は、入れちゃった………
アメリカ入れちゃった………
世界一、入国が厳しいアメリカに挿入できちゃった…………
いやったああああああああああああああああああああああ!!!!、!、!
母ちゃんーーーー!!!!
俺やったぜええええええええ!!!!!!
この1ヶ月、俺頑張った。
マジ頑張った。
雨の日も風の日も病み上がりの日も、ほぼ休まず歌った。
宣言します。
今日僕はゆまちゃんとデートします。
だって歌ってる人ならわかると思うけど、前日にデートすると疲れていい声が出なくなるんだよ。
少なくとも俺は。
だから気を張ってる毎日のときはデートできないです。
そして宣言します。
今から3日ほど廃人になります。
ギターになんて指1本触れません。
一歩も外に出ず、宿の中で昼からビール飲みながらスーパー廃人マンになります。
めんどくさかったら人と交流することも避けます。
ニューヨークなのに、とかそんなの知りません。
宿の人に、うわ、なんなのあの人、ずっと宿の中にいてずっとビール飲んでて近寄るなオーラ出してて、あんなゴミみたいな無気力な旅してる人いるよね、とか思われても1ミクロンも気にしません。
休むぞおおおおおおおおおお!!!!!
おひょおおおおおおおう!!!!!
アメリカーーーーーー!!!!!
興奮して一切眠れないまま、朝、バスはニューヨークに到着。
あのニューヨーク。
そう、あの世界一の大都会、ニューヨーク。
頭の中でヘビーローテーションしているのは、ジョン・バリーのエブリバディトーキン。
真夜中のカウボーイ!!
そうさ!!
心の響きに従って行くんだ!!!
よーし、早速ニューヨークのご無沙汰している有閑マダムをとっ捕まえてヒーヒー言わせて、詐欺師の男と廃墟で生活して不思議な友情を育むという憧れの日々を…………
わき目もふらずに宿に向かって、2秒でビール買いに行って、リビングでスーパー廃人マンスタート。
何人たりとも俺の廃人ライフを脅かすことはできません。
アメリカ入国のご褒美にチキンを買いました。
美味しいです。
ここは日本人宿です。
宿にいる日本人たちは、にこやかに挨拶をしても、はぁ……と、怪訝そうな返事をして、何だこの人?みたいな目を向けてくるのでイラッとするけど、そんなことどうでもいいです。
日本人独特の壁の分厚さヤベエ。
みんなグループが出来上がっていて、ワイワイ話をしており、新入りは非常に居づらい空気バリバリですけど、そんなの無視してリビングで思いっきり昼からバドワイザーあおりまくって、気がついたら深夜の2時になってました。
普段は2本も飲んだらフラフラになる俺が、1人飲みでビール4本もあけてしまった。
もう寝なきゃな。
でも、もう1本いこう。
だってアメリカにハイレタンダカラ!!!
とことん飲んでやる!!!
みんなー!!!
アメリカ入れたからあああああ!!!!
いろいろ助言してくださった方!!
心配してくれた方!!
みんなありがとう!!