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ギター弾きの聖地へ

4月3日 水曜日
【スペイン】 カディス ~ ヘレス









ゆうべのこと。

ベンチで日記を書いていたら、目の前のベンチにホームレスが来て、段ボールハウスを組み立て始めた。



今夜はお隣さんがいる。



ガムテープを使って器用につぎはぎしていくホームレス。


わずか5分ほどで完璧なカプセルホテルを作り上げ、その中に潜っていった。


段ボールでもある程度の雨は凌げるだろうし、彼ほど年季の入ったホームレスなら隙間なく組み立てているだろうから蚊が入ってくる心配もないだろう。



俺も同じ穴のムジナだけど、彼からしたら立派な寝袋にくるまってる自分はただの贅沢者に見えてるんだろうな。


そんなことを思いながら目をつぶった。















朝の9時くらいに目を覚ますと、目の前にあった段ボールハウスが跡形もなく消えていた。

ゴミひとつ残さずに。


さすがヨーロッパ。
ホームレスでさえスマートだ。


















photo:01



荷物をまとめていつものケバブ屋さんへ。

店に入ると同時に凄まじい雨が降り始めた。

あっという間に道路は冠水し、車が水をはねながら走っている。

photo:02







こりゃ今日はなんもできねぇなぁ、と思いながら日記を書く。













いつの間にかブログが世界一周ランキング1位になってますね。
クリックしてくれるみんなのおかげです!!ありがとう!!


それにしてもインマイライフが上がって来ないなぁ。

あんなに面白いのになぁ。

勝手に楽しみにしてるブログです。


あ、あと女1人の世界旅、だったっけ?すごい勢いで上がってきてる人がいますね。


普通の日本女子が、様々なことに悪戦苦闘しながら進んでる様子がとても新鮮で、初々しくて楽しいブログですね。



伝説だった世界のどこかでさんも日本に帰って、ランキングはすっかり新しい顔ぶればかりになりました。

これからも読者さんに楽しんでもらえるように面白いランキングになるといいね。












なんてことを考えていると、さっきまでの雨が嘘みたいな青空が顔を出してきた。

photo:03




みんな傘をたたんで歩いている。



ほんと南スペインは天気の変わりやすい場所だ。

今日はゆっくりしようと思ってたのにな。


進みやがれコノヤロウ!!って言わんばかりの青空。
行くっきゃねえか!!















歩いてすぐのバスステーションで次の街へのバスを探す。



いやー、楽だーヨーロッパ。

町の真ん中に電車の駅があり、その横にバスステーションがある。

バスで町に入れば、すぐさま中心部に歩いて行けるんだもん。


イスラム国ってなぜかどこでもバスステーションが町から10kmくらい離れた郊外にあったから、バスステーションからまたバスか乗り合いタクシーに乗らないといけなかった。


その間も嘘の嵐で、中心部まで行くのにいつも苦労してた。

それがヨーロッパではゼロ。


なんて旅しやすいんだ。














さて、次の街をどこにしようか悩んでいたんだけど、ギターを弾く者として必ず行かないといけない街がある。


それが、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ。






そう!!

フラメンコの聖地!!!

そしてシェリー酒の聖地!!





みんなシェリー酒を飲みながらフラメンコを歌いまくってるそうな。


怖え。
普通のおっさんがめちゃくちゃ上手いギター弾くんだろうな。

そんな聖地で路上なんかできるのか?



怖えけど、行くしかねえよな。



3.5ユーロのバスに乗りこんでヘレスに向かった。















バスはのどかな草原の中を走っていく。

そんな草原の中、ところどころに闘牛とフラメンコギターの看板が立っている。

ここはアンダルシア地方。
フラメンコと闘牛の発祥の地。

バスの中、1人期待と不安に胸が高鳴る。



そしてバスは聖地、ヘレスに到着した。











photo:04



綺麗な駅舎。
のどかな街並み。

線路の向こうに工場の煙突がたち、フェンスで囲まれたさびれた建物から草がはえている。

高架下の道路やミカンの木。

photo:05




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ああ、こりゃ田舎だな。
日本のさびれた地方都市によく似ている。

人口は20万人ほどで、これといった名所もない。


今までの海沿いの町のように美しく整備されているわけでもなく、どこにでもある普通の内陸の町。

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外国なのにこんな表現おかしいけど、昭和のにおいが残る町を歩いた。




そして2秒でバーへ行き、シェリー酒。

photo:10






うひょひょー!!!

昼からシェリー酒とかサイコー!!!!



あ、あんまり美味しくないな。

渋くて、深みも特にない。

こんなもんなんかな。
ていうか普通の白ワインと味の違いがわからねえ。

グラス1杯、1.8ユーロ。

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ちなみにこの町にはシェリー酒の工場があって、観光客用の見学コースが人気みたいだけど、別にいいかな。


町のバーをめぐって地元の人が飲むシェリー酒を見つけてやる。












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photo:13



他の町と同じように、ここもまた昼間の時間はすべての店が閉まってゴーストタウン状態。
人っ子1人歩いてない。







そんな町を探検。

いたるところに古びた教会があり、町と一体となっている。

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いいね。この町落ち着くな。
このどこにでもある飾らない雰囲気が、本当のアンダルシア地方の表情なのかな。

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ケバブを食べて17時を過ぎると、少しずつ人通りも増えてきた。


よーし、怖いけど路上やるか!!



ここもヨーロッパですって感じのショッピングストリートがたくさんあって、どこでも歌い放題。


魚市場がある綺麗な通りのスーパーマーケットの横でギターを鳴らした。

photo:19














ちょっと貸してみろ!!と言ってギターを奪われて超絶上手いフラメンコを披露させる………





こともなく順調に稼いで、あがりは26ユーロ。


2時間でこれなら悪くないな。

photo:21
















photo:20



20時に路上を終えて、シェリー酒を飲めるバーを探していると、細い裏路地に数軒のバーが固まってる通りを見つけた。



オッさんたちがワイワイやっている小さなバーに潜り込んだ。

photo:22







「シェリー?ドリンクドリンク。シェリー。」


「オー!!バルログバルログ!!」





笑顔が優しすぎるおじさんたちに肩を抱かれながらシェリー酒を飲む。


やっぱり渋みの強い味わいだな。

しかし値段はグラスで1ユーロ。
さっきは1.8ユーロもしたのに。

裏路地の地元の人たちのバーは安い!!


サッカーに夢中になってるおじさんたちと一緒に盛り上がり、試合終了まで飲んだくれた。

photo:23























真夜中の町を歩く。

寝床はどこだ。


小雨がぱらついており、ホームレスのおじさんたちが銀行のATMコーナーの中で快適そうに寝ている。



ああ、いいなぁ。
俺も混ぜてもらおうかなぁ。

テント張りたくないし。




でもやっぱり彼らの中で立派な寝袋で寝るのは気が引けた。

町を背に歩き続ける。











毎日毎日、地元の優しい人たちとの触れ合いはあるのだが、触れ合いくらいのレベルでなかなかそこから突っ込んだ付き合いには発展しない。


南スペイン人の人懐こさは神レベルではあるけども、最終的にはある程度の距離を置いてるようにも感じる。

その先進国的な付き合いが心地いいんだけどね。




でも町を観て、観光して周るだけの旅なんてひとつも面白くない。
地元の人との濃密な交流がなければ日本国内のツアー旅行と一緒だ。



明日は何かいい出会いがあるかな。

ここに生きる人たちの人生を感じられるような交流ができるかな。









しかし次の日、この全ての願いを叶えるとんでもない出会いがありました。











町外れの住宅地に、小さな公園を見つけた。

パパッとテントを張って、寝袋に入った。

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