1月13日 日曜日
【トルコ】 マラトヤ ~ キャハタ
夜中2時。
マラトヤに到着し、ソッコーでバスステーションの中でお休みなさい。
トルコではバスが交通のメインなので、夜行もバンバン走っておりバスステーションが1日中開いている。
じゃあ宿いらないね、ってなところなんだけど、問題はトルコのバスステーションってかなり郊外にあるんだよね。
たいがい街から10kmは離れたところにある。
歩いて行くには無理な距離。
さて、朝になり警備員さんに起こされるまでそれなりに眠れ、行動開始。
あああ、雪が降りまくりだなぁ………
やだなぁ………
今日も歌わないといけないのに………
カッパドキアや移動費で金がかかりすぎて、すでにお金が20トルコリラしかない。
トルコはやっぱり金かかるなぁ。
モサモサ降りしきる雪をかぶりながらバスに乗り込み、中心部へ。
3.5トルコリラで2回バスに乗れるカードを買わないといけない。
1回75円。
マラトヤはグルジア、アフガニスタンなどのアジア諸国とヨーロッパを結ぶ宿場的な場所で、交通の要衝として栄えている街。
なかなかの都会だね。
とにかくどこかカフェに入ろうと歩き回るんだけど、
まぁ見てくる見てくる。
なんにも観光名所のない街なもんだから、アジア人がよほど珍しいんだろうね。
珍獣を見るような目で見てくる。
流し目とか、チラチラとかじゃないよ。
凝視。
俺を見るなりビックリした顔で立ち止まり、俺の歩きにあわせて首を回しながら最後までずっと凝視。
人をジロジロ見るのが失礼に当たるという礼儀が身についてる日本人としては、とても不快。
わかるよ。
珍しいのわかるけど、やっぱり不快。
通りすがりにニーハオ、ひゃひゃひゃ!!とか言われるとすごくムカつく。
そんな視線をなんとか我慢しながら歩いていると、とある店のオッさんが手招きしている。
鬱陶しいけど、いいから来いみたいに手招きしてるので覗いてみた。
小さなタバコ屋さん。
まぁみんな英語喋れないよね。
全然。
かろうじて喋れる人でも、たくさんのお金、っていうのを、ベリーマネーって言ったり、
雪が少し、っていうのをスモールスノーって言ったり。
アーユータイアード?をアーユーティレって言ったり。
トルコにいると、日本人がすごく英語喋れる国民って気になるね。
そんなまったく会話にならない空間で6人のトルコ人にひたすらトルコ語で話しかけられ続け、さらに歌ってくれとお願いされる。
トルコではギター持ってると二言目には弾いてくれって言われる。
そうですよね。俺はこれで食ってますからね。寝不足で疲れてるんです、ていうか寝起きなんです、お腹も空いてるんです、とかそんなこと言えないです。
やれといわれたら極力やります。
なんとか3曲歌い、その後もトルコ語でまくしたてられるが、そろそろ行きますと店を出た。
しかし、1人の兄さんがついてきた。
どこに行きたいんだい?的なことを言っている。
自分でゆっくり散策したいんだけどなぁと思いつつも、とりあえずお腹空いたので、フードフード、と言うが、フードもわからない。
ご飯を食べるジェスチャーをする。
疲れる。
ようやく理解してくれた兄さんが連れて行ってくれたカフェで朝ごはん。
兄さん、おごってくれた。
トルコ人ハンパじゃない。
カフェを出てからも俺から離れる気配のない兄さん。
おごってくれたのはありがたいし、俺が困ってると思い助けようとしてしてくれてる気持ちが理解できるので言えないんだけど、そろそろ1人で動きたい。
Wi-Fiにつなぎたいからカフェに行きたいと、身振り手振りで伝えると、彼が連れて行ってくれたのはインターネットカフェ。
海外のネットカフェはじめてだな。
まぁWi-Fiさえあればどこでもいいよ、と接続画面を開くが………
Wi-Fiねえじゃん。
なんだよ、インターネットカフェってWi-Fiねえのか。
ごめん、ここ出たい、と兄さんに言うが、いちいち伝わらない。
パソコンを開いた兄さん。
翻訳サイトでトルコ語と英語を打ち込みながらの会話というすっげーめんどくさいやりとり。
「Wi-Fiがないのでここを出たい。」
「ここはインターネットがあるよ。」
「PCじゃなくてWi-Fiが欲しい。大きなカフェに行けばある。」
「ここは大きなカフェだよ。」
あああああああ!!!!!!!
イライラする!!!!!
そもそもWi-Fiってもの自体よく理解してない様子。
なに宇宙人と話してるの?
どう伝えればいいのか考える。
ていうかなんで俺こんな時間の無駄なことしてるんだ?
悩んでいると兄さんがパタパタとトルコ語を打ち込む。
「私はコマンドです。」
兵役で軍隊に行ってるという、今まったく関係のない情報を教えてくる兄さん。
また打ち込んでる。なになに?
「今日ちょっと忙しくてあと2時間で行かなきゃいけない。ごめんね。」
あと2時間、俺といるつもりなのなのなのののなななののあびば(´Д` )
もうネットは諦めて路上を始めようと、1番大きなショッピングストリートはどこですか?と翻訳サイトに打ち込む。
これにはすぐに理解してくれた兄さん。
一緒にネットカフェを出る。
「この道をまーっすぐ行けばマラトヤパークっていうショッピングモールがあるから!!そこが1番大きいから!!タクシー!!」
タクシーを止める兄さん。
だ、だ、ダメだ(´Д` )
もうギブ(´Д` )
俺はショッピングストリートを聞いてるのに、郊外のショッピングモールを教えてくる兄さん。
タクシーいらないから!!大丈夫!!ここから自分で行くから!!と強引に兄さんを引き剥がす。
大丈夫かい?一緒に行かなくていいかい?
とトルコ語で言ってくるが、なんとか説得し、郊外に向け1人歩き始める。
後ろを振り返ると心配そうにこちらを見てる兄さん。
親切すぎるんだけど、ものすごい勢いで空回りしてることに気づいて欲しい(´Д` )
彼から見えなくなったあたりで進路を変えて街に戻ろうと思っていたら、なんと、兄さんの友達なのか、新たな3人組の兄さんたちが現れ、マラトヤパークはこっちだよ!!心配いらない!!と俺のバッグをとって先導しはじめた。
ああああああああああ!!!!!!!
ごめん、言わせて!!!!!
申し訳ないけど言わせて!!!!!
うぜええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!
大丈夫!!大丈夫です!!!
だからもう1人にしてください!!!
と若干暴れ気味にお願いしたら、なに怒ってるんだよ?と困惑してる兄さんたち。
ごめん、そうだよね、マラトヤパークに行くっていうから連れて行ってあげるっていう親切でしてるだけなのに、そんなに怒ったら困惑するよね。
ほんとごめんなさい。
小さくてごめんなさい。
でももう勘弁してくれ(´Д` )
兄さんたちから荷物を返してもらって、反対方向に歩いた。
あー、もう疲れた…………
トルコ人の優しさ、すごすぎる。
すでにもうお昼になっていたので急いで路上を開始したいところだけど、歩き回ったところこのマラトヤにはいい感じのショッピングストリートがないようだ。
大きな街なので人はたくさん歩いてはいるんだけど、どこも車がガンガン走っていてうるさくて歌えない。
かろうじていけそうな場所を見つけ、雪が降りしきる中、氷の上に立って路上開始。
今回は地面が雪まみれでべちょべちょなのでギターケースが置けないので、ブーツにお金を入れてもらった。
まぁ、反応は相変わらずハンパじゃない。
一瞬でものすごい人だかりが出来上がるんだけど、ここの人たちはあんまり行儀が良くなかった。
路上をやるとき、お金を入れてもらう入れ物を地面に置くんだけど、その入れ物から演者側には立ち入ることのできないバリアーがある。
入れ物からこちら側はステージですからね、ってところ。
演者と観衆の見えない境界線みたいなもの。
それがここではまったく関係なし。
ズカズカはいってきて、ものすごい近距離で取り囲まれるもんだから、お金入れのブーツがどこにあるのかわからなくなる。
歌ってる最中にも、ワッツユアネーム!!ワッツユアネーム!!と真横で言い続けてる。
あ、彼らはワッツユアネームとウェラーユーフロムの2つしか英語を知りません。
なので全員がこの質問をしてきます。
その2つの質問をしてきた人の隣の人がまた同じ質問をしてきて、それが終わるとその横の人がまた同じ質問をしてきます。
言いたいだけですね。
道歩いててもこの質問をされます。
ガキが新しい言葉を覚えて得意げに使ってくるように、そればっかり言ってきます。
ハンパなくウザいです。
たまにキャンユースピークイングリッシュ?って聞いてくる人がいるので、ああ、良かった、この人英語喋れるのか、と思ったら、ワッツユアネームとウェラーユーフロムにキャンユースピークイングリッシュがひとつ加わるだけです。
その質問が終わればそこからはひたすらトルコ語です。
らちがあかなくなると、群衆たちが近くのお店から人を呼んできます。
どれどれ?任せなさい。と堂々とやってくるおじさん。
そして彼はおもむろに口を開く。
「ワッツユアネーム?」
うるせぇ!!!
マジうるせぇ!!!!(´Д` )
まぁそんな感じで騒いでいるガキどものせいで調子良く歌えなかった。
でもそれでも53トルコリラのあがり。
心もとない金額だけど、次の街までは進めるぞ。
このマラトヤの街には特に面白そうなものもなさそうなのでとっとと先に行こうと、バスステーションへ向かった。
次の目的地は、
そうだよ。
あれだよ。
ネムルットダー!!!!!
山の上にある遺跡らしいんだけど、古代の人々が作った巨大な顔の石像がゴロンゴロン転がってるそうな。
もう神話の世界丸出しって感じの顔だけの石像。
それが山の上で静かに放置されている。
ものすごく楽しみにしてたんだよね!!!!
こんな西側まで来たのはすべてネムルットダーだけのため。
だいぶ移動費がかかってしまったけど、写真を見てから必ず来ようと決めていたんだよな。
石像とトロールのツーショット写真を撮り、石像の隣に座ってぼーっと物思いにふけりたい!!
バスステーションでは客引きのおっさんたちがたくさんいて、細かく案内してくれます。
「ネムルットかい?こっちこっち!!このミニバスで行けるから!!」
さすがはネムルットダー。
有名な観光地なだけあってわざわざ探さなくても全自動でバスに乗れます。
17トルコリラ、720円を払ってミニバスに乗り込み、険しい峠を越えたところにある町、アドゥヤマンに到着。
「ネムルット行きはこっちだよ。このミニバスで行けるから。」
そこからさらに乗り換えて、3.5トルコリラのミニバスで小さな田舎町にやってきた。
荷物をかつぐ俺に歩み寄る1人のオッさん。
「ハローマイフレンド、ホテルチープ。コニチハー!!」
ミニバスからホテルまで、流れがスムーズすぎてウケる。
自分からなにもしなくていい。
「お金マジないんです。ビックリするくらいマジでないんです。」
「OK、キャンピング、ノープロブレム。トイレ、シャワー、ノープロブレム、アイライクジャパン。」
いつもの、庭を貸すからキャンプしていいよ、攻撃。
だから、なんで庭で寝るだけでお金を払わないといけないんだよと思いつつも、値段がたった5トルコリラでいいと言うので迷わず決定。
Wi-Fiもあるみたいだしね。
明日、ネムルットダーに行くのに荷物も置いておきたいし。
宿の兄ちゃんたちにワッツユアネーム、ウェラーユーフロム攻撃をひたすら喰らいながらテントを張り、それから外にご飯を食べに出かけた。
ど田舎なので、夜にやっているケバブ屋さんは1ヶ所しかなく、そこに入る。
他に客の姿のない店内。
田舎のイモっぽい店員たちが、俺のテーブルに座り、ワッツユアネームとウェラーユーフロムを繰り返している。
テーブルに座る4人の男。
ケバブをかじる俺。
それをじーっと見つめている店員たち。
無言の店内で。
なにこれ?(´Д` )
さっさとたいらげて宿に戻り、明日ネムルットダーに行くんですけど、どうやって行けばいいですか?とたずねた。
「あ?ネムルットダー?何言ってるんだよ。今は冬だから雪で閉ざされてて行けないよ。」
……………………
よーし、よーし。
落ち着け俺。
なんでバスの運転手やインフォメーションの人たちはなにも教えてくれなかったのかなー。
なんで、ネムルットはこっちだよーってここまで来させたのかなー。
冬だけどネムルットには行けますか?って5人くらいに聞いたのに誰も行けないと教えてくれなかったなー。
「手前の15kmくらいまで車で行けるよ。そこから15km雪をかきわけて歩いて行って、もしたどりついても石像は完璧に雪の下だよ。あ、キャンプ代5トルコリラね。」
……………うああああああああああああああ!!!!!!!!
ネムルットダアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
そんなに雪深い山なのかよ!!!!!!
ていうか地元の人ならみんな知ってることやろ!?
こんなど田舎までくる前に教えてくれればいいのに!!!!
雪をかきわけて歩く大変さは北海道でいやってくらい体験してる。
15km、スコップで道を作りながらだったら4日はかかる。
ていうか4日経つ前に、完璧に石像の仲間入りをすることになる。
マジかよお…………
かなり楽しみにしてたのに………
テレビの中で、トルコ人が素手でビールの缶を叩き潰しまくってます。
怖い。
あーー!!!見たかったよーーー!!!!!
悔しいので宿にあった写真だけ!!
すげー凹みながら庭のテントに潜り込んだ。
はぁ、なんでこんなとこで寝てんだろ?
はぁ、ここまで見て完璧な形でトルコ観光終わりたかったなぁ。
はぁ、寝よ寝よ。