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パムッカレかー白すぎ

1月4日 金曜日
【トルコ】 パムッカレ







photo:01



ホテルの庭で目を覚まし、テントをたたんで受付に行ってみた。




誰もいない。




なんで朝8時のホテルの受付に誰もいないんだよ。


昨日のあのジジイ、荷物置いて行っていいって言ってたもんな。

今更知らん顔させねぇぞ。
キッチリ置かせてもらうからな。



が、しかし1時間待っても誰も出てこない。
呼び鈴もない。

大声で呼ぶが返事なし。



ぜってーあのジジイ、聞こえてるくせに無視してるはず。
早くどっか行きやがれって。



いくら待っても無駄そうなので、ロビーに荷物を隠してホテルを出た。







このパムッカレには何があるのか。

かなり有名なので知ってる人は知ってると思います。





それの遠景。

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集落の外に巨大な白い山が見える。

あれが目的地。







寂れきった町の中を歩いて向かっていると、気持ちばかりの土産物屋さんが並んでいる。

マジ気持ちばかり。

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そして異常なのが日本語の看板の数。

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「うどん・そば」

「唐揚げ定食」


英語の看板より日本語、韓国語の方が多い。

なんかすっげー気持ち悪い。

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「コニチハ!!スミマーセン!!」

「ツギハドコニイクンデスカ?!」


ツアー会社の呼び込みがみんな慣れた日本語を使って来るからさらに気持ち悪い。


さすがは有名な世界遺産の観光地。
日本人旅行者がマジで多いんだろうな。




そんなツアー会社の客引きに捕まり、話を聞くことに。

次の目的地はコンヤというトルコの真ん中あたりにある町。

バスの値段は9時間くらいの移動で45トルコリラ。


「コレ、スゴク安イデス。エー、ジャアコレデイイデスネ。」


「ここまだ1ヶ所目だから他の会社の値段も聞いてきます。」


「アー、ワカリマシタ、40リラデイイデス。モシホカノ会社ガソレヨリモ安カッタラ差額ヲカエシマス。」


というわけで購入。
40トルコリラ。1700円。





コンヤの町からさらに東に向かったところに、これまたトルコを代表する有名観光地、カッパドキアという場所がある。


聞いてもいないのに、カッパドキアのツアーの説明を開始するおじさん。


「エー、コノグリーンツアーガ90リラナンダケド、ワタシナラ60リラニ下ゲラレマス。バルーンチケットハ160ユーロデスガ、ワタシナラ100ユーロニ…………」




トルコ、信じられないくらい金かかります。




外に出て歩き始めると、スミマーセン!!と群がってくる他のツアー会社の呼び込みたち。

みんな同じような説明。


ここで予約すれば割引の申し込みができるから、絶対ここで買ったほうがいいから!!
マジで!!
日本マジ好きですから!!

と超必死に説明してくる。


「バルーンノチケット!!160ユーロダケド120ユーロデイイカラ!!」



1万円以上払って気球に乗るとかそんな金持ち旅行者がやるようなアトラクションやるわけないじゃないですか。



「僕お金ないんです。気球のチケット10ユーロなら考えます。」


明らかに困惑した顔をするおじさん。
さっさと店を出た。




こんなとこで油売ってないで早く目的地に行くぞ。







日本語だらけの気持ち悪い通りを抜けると、目の前に白い大きな山が現れた。


登っていき、ゲートで入場料の20トルコリラを払う。850円。

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靴を脱ぎ、裸足で山を登っていく。

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お目当てだったのはこいつ!!!




パムッカレの石灰棚。

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日本でもたまにあるよね。夏油温泉の石灰ドームが有名か。

石灰を含んだ温泉が湧き出しているんだけど、成分が固まって棚を形成している。

その規模が半端じゃない。
あたり一面どこまでも石灰の山で、どこもかしこも棚だらけ。

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自然の作り出す不思議な造形に目を奪われる。

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と言いたいところなんだけど、写真で見るように、どういうわけか棚に水が張っていない。

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おいおい、真っ白なこの山の中に美しい青色の水が、大小無数の棚にたまっている、あの光景を目当てにやってきたのに、これはどういうことだよ。

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水が張ってる棚はほんの数ヶ所。

残念にもほどがある(´Д` )

足元を流れる水は温泉なのでもちろん温かく、ジャバジャバ歩くのはそれなりに楽しい。

ぐるりと回っていくと、奥の方にさらに立派な棚が広がっていたんだけど、青色の水が張っていないと魅力半減もいいとこ。

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なんだろ、乾季、雨季とかの関係なのかな。

水路が人工的に作られていて決まった棚にしか水が流れ込まないようにされていたりして、すっげーつまんない。


なんだよこれ、これで20トルコリラは高いよ。

観光してる人、半分以上アジア人だし。

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なんだか拍子抜けして凹みながら石灰棚の上に広がる丘の方に行ってみた。

伸びやかな草原が広がっている。

あー、こっちのほうがまだマシだな。

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ん………なんだあれ?


草原の中に何か廃墟みたいなのがポツポツと散らばってる。



向かっていくと、足元にゴツゴツと大きな岩が転がっている。

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これ自然のものじゃないぞ。

だいぶ古いけど人工的に形作られた岩だ。



そんな四角だったり円柱だったりの岩が草原の中に草に埋れて顔を出している。

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そして近づいて行くと、廃墟がなんなのかわかった。




これ遺跡だわ。

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ギリシャとかイタリアとか、地中海にある、ローマ帝国とかの遺跡だよ。

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すげーすげー。
本物の古代の町の遺跡だ。

興奮しながらかつての町の跡を歩き回った。

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いろんな建物の廃墟があった。

中にはこんな物も。


でかい!!

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劇場の跡らしい。

現代のものと全然変わらないやん。

これが2200年前の物とは信じ難い保存状態だ。

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はるかはるか大昔。
ここに人々が座り、歌や演劇を楽しんでいた。

神話の世界。
星座の物語の人々。

草原を吹き抜ける風の中に、古代の人々の歓声や生活の匂いを感じる。

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どこからともなく吹いてくる風。
鳥の鳴き声だけが草原に聞こえる。


めまいを覚え、石に腰かけた。
風化した模様が刻まれた石。
静かだな。



この果てしなく深い歴史の残骸の中、iPhoneで写真を撮った。


改めてiPhoneすげえと思った。
ここは現代なんだよな。
俺は現代に生きてるんだ。


人間1人の一生なんてほんの瞬く間の命。
すぐに死んで、そして俺を知ってる人たちもみんな死んで、俺の思いも、やったことも、跡形もなく消え去る。



何やったっていいさ。
どこ行ったっていいんだ。

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ここまで見て20トルコリラなら大満足だなと山を降り、すぐにクソホテルに荷物を取りに行った。

あのオッサン、ゆうべ、サンドイッチ作るから!って言ったからな。
まぁ間違いなく作ってねぇし、作る気もないはず。
俺を泊まらせるために勢いあまって言っちゃった言葉、ってのはわかってるけど、約束は約束だからな。
作らせてやる。

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俺小せえ!!
なんかさっきまですげえ大きなこと感じてたのに小せえ!!



しかし相変わらず誰もいないロビー。
大声で呼んでもやっぱり誰も出てこない。


くそー、あいつ絶対どっかから見てるはず。


その時、ホテルの庭に人影が。

すぐに出て行ってここのボスはどこにいるのか尋ねたら、入口のすぐ横のドアを開けて中に声をかけるおじさん。


オッサンが出てきた。


「おはようございます。石灰棚行ってきましたよ。」


「おー、そう。じゃ荷物忘れないようにね。」


やっぱりサンドイッチ作る気ねえな。


「ところでサンドイッチはいつ作ってくれるんですか?」


「は?サンドイッチなんてないよ。何言ってんだよ、ジャパニーズ。」


「とぼけないで下さい。ゆうべ、ここで、俺にキャンプしろと言ってサンドイッチ作るからって言ったじゃないですか。紅茶もフリーだからって。サンドイッチ下さい。」


「あー!何言ってんだ!知らない知らない!!ケバブケバブオスマンポスポラス!!アンカラ!!」



キレながらドアを閉めやがった。


「おい!!約束だろうが!!サンドイッチ作るって言ったから10リラ払ったんだぞ!!この嘘つき野郎!!」


「オスマンポスポラス!!ケバブケバブジャパニーズ!!」



中で叫んでるオッサン。

はぁ………別にサンドイッチくらいいいんだけどさ、こんな金目当ての嘘つかれたら残念でしょうがないよ。

扱いもすげー悪かったし。





すごすごとホテルを後にし、パン屋さんで安いドーナツみたいなのををかじった。

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腹減った。
こんなんじゃ足りない。


バス代とパムッカレの入場料を払ったからもうお金が3.5トルコリラしかない。150円だって。ウケるね。



町を歩いていると、オッサンたちがコンニチハ!!と声をかけてきて物を売りつけようとしてくる。

150円しかありませんと言うと、いきなり顔が真顔になって去っていく。


バス会社に行き、椅子に座っていても、もはや誰も話しかけてこない。
チケットを買うときあんなに日本語を連発してユーモラスに話していたおじさんたちは俺のことを気にもとめていない。






この町のトルコ人たちはアジア人をただの金にしか見ていない。

心からの交流なんてここにはカケラもないな。

観光地なんてそんなもんか。




歌おうかなと思ったんだけど、ゴーストタウン並みに爺さんと野良犬しか歩いていない。


一応、真ん中のバス停の横でギターを抱えてみた。


誰もいない。


爺さんがチラリとこっちを見て、また歩いて行く。


野良犬がやってきて俺の横に座った。


あまりの場違いさに切なくなってきてすぐにギターをしまった。







バス会社のおじさんに近くのホテルのロビーに連れていかれ、ここでバスを待つよう言われた。


ホテルの中には、マジでアジア人しかいない。



中国人の女子大生、韓国人のカップル、日本人の家族。

あー、こりゃ看板もアジア語ばかりになるわな。





「ボーイフレンドはいないの?」


「いないですよ。」


「嘘をついてはいけない。」


「なぜそう言うんですか?」


「美しい女の人にボーイフレンドがいないなんてとても不自然なことだよ。」



トルコ人のオッサンたちが中国人の女子大生に軽口を叩いている。

アイヤー!と喜んでる中国ギャル。


一緒に写真を撮ったりして鼻の下伸ばしてるスケベトルコ人たちに胸焼けおこしそうになる。

彼らからしたら、アジア人は金を持っていて、素直で文句を言わず、子供騙しで喜ぶガキ、っていうイメージなんだろうな。

実際そうだし。
アジア人、欧米人と接する時、オーバーリアクションすぎるんだよな。愛想笑いも大袈裟だし。



こういう時、中国人の団体みたいな王様な振る舞いができる根性ほしいよな。








やってきたシャトルバスのオッサンに荷物代で3トルコリラだよと言われ、そんなの聞いてないですと真顔で言ったらジョークだよと言われ、笑えませんと本気で返したら気まずい雰囲気になりました。



荒んでる!!
心荒んできてる!!

観光地の不躾なトルコ人たちのせいで、トルコのイメージガタ落ちになってる!!




あ、もう1位から転落してます。トルコ。

あのホテルのオッサンのせいで最下位に近いところまで行ってますね。


次のカッパドキアもきっと半端なく観光地観光地してるんだろうなぁ。

客引きウザいんだろうなぁ。

げんなりするなぁ。




今度から客引きが来たら、150円しか持ってません作戦でいってみるかな。

なんて言ってくるか楽しみだ。









シャトルバスはデニズリの大きなバスステーションに到着。

夜22時45分、Wi-Fiつきの大きなバスに乗りこんだ。


さぁ次の町。

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