2006年9月15日 【富山県】
綺麗な家の中、バタバタという音で目を覚ました。
朝から元気に走り回っているのは双子の息子、陸飛君、海飛君。
まさしさんと奥さんの狙いは2人をジャニーズに入れることらしい。
確かにカワイイ!!
ヨコカワ板金という会社をやっているまさしさん。
今日は休みなので富山観光に連れて行ってやると、愛車のセルシオでドライブに出発した。
昔は相当な走り屋だったらしく、エンジンを2台積んで国道で◯◯キロもスピードを出していたという。
「同窓会なんか行くちゃーひどいもんがー。ワイ会社やっとるがー社長だぁからぁ、金だすがー当たり前みたいなが言ってくるちゃー。自分のやりたいことちゃんと探して、それに向かって努力せんやつは嫌いちゃー。」
まさしさんお勧めのラーメン屋『ライトハウス』でご馳走になり、次に風の城という郊外にある山の展望台へ。
富山の若者はみなここに夜景を見に来るらしい。
長い階段を登る。
「ダエイ!!ダエー!!仕事よりきついちゃー!!昔はあんなにスタスタ登ってたがー。」
富山の街を見渡してから車に戻った。
この近くに心霊スポットがあるということで、かなりわかりずらい山の中にあるトンネルに行くことに。
森の中の細い道を登っていき、車を降りて歩いてさらに10分。
するとポッカリと口を開けたいかにもって雰囲気のトンネルが現れた。
戦時中の防空壕跡がトンネルになった場所なんだそうだ。
向こう側まで歩いて抜けてみる。
今は壁もきれいに塗り替えられているが、昔は落書きだらけでそれはそれは怖かったそうな。
他にもマップに載ってない富山の裏名所に色々連れて行ってもらい、街に戻ってファントム号まで送ってもらった。
まさしさんメチャいい人だったな。
ロッド・スチュワートに似てたし。
ありがとうございました!!
1人になってからやってきたのは高岡市の瑞龍寺。
芝生の緑が美しい境内に並ぶ巨大伽藍は、国宝3つ、重要文化財5つという豪華さ。
加賀2代目藩主、前田利長の菩提を弔うために建てられたこの寺院。
当時江戸に次ぐ大都会だった加賀藩の繁栄振りを象徴していた。
長尾などの温泉地が密集する庄川の鉢伏山も外せない名所だ。
ここの展望台から望む砺波平野の散居風景は息を飲む美しさ。
夕日に照らされ静まり返っている生活の営み。
刈り取られた稲穂。
もう秋だ。
砺波のネオン街はちょっと小さすぎたので、今夜は高岡まで戻って路上をすることに。
まさしさんが高岡は危ない奴多いから気をつけろよー、と言っていたがまぁ大丈夫だろう。
あみだのように入り組んだ飲み屋街の一角でギターを鳴らし、6000円くらい入ったところで怖そうなお兄さんが声をかけてきた。
ついてこいと言われ、ちょっとビビりながら連れて行かれた先はクラブで、そこで1曲。
お寿司までご馳走になり、次の店にも同行することに。
よーし、こうなったら今日はとことん行くぞーと思っていたんだけど、
……………この店が最悪だった。
お兄さんはなんかの社長らしく、というか裏関係の方らしく、他にも何人かの怖そうなおじさんたちを引き連れてキャバクラに入り、店の女の子独占状態。
まぁそれはいいんだけど、俺の横に座ったのがうるさいギャルだった。
俺がグラスを口に運ぶたびにパーリラパーリラ!!と一気コールをしてくるので、やんわり拒んでいたらだんだん態度が横柄になってきて、しまいにはキレてライターを机にガンッ!!と置いたりして他の女の子になだめられている。
あからさまに面倒臭そうな顔をしてる。
なんだこれ?
ムカついたので一言も口きかないでいたら、結局そのバカギャルは横でブツブツ、ウザイウザイキモイキモイとぼやくだけぼやいて席を立っていった。
俺はお金出していないとはいえ、客で来てるはずなのになんでこっちがこんな気を使わないといけないんだ?
俺めっちゃ感じよくしてたよ?
横柄な態度とか全然してない。
なのになんでキレてんの?
客に気持ちよく酒飲ますのが夜の接客じゃねぇのか?
「君はもっと女の子の勉強をしたほうがいいね。」
店を出る時、怖い兄さんたちにそんなことを言われてちょっとショックを受けつつ車に戻った。
えー、俺は口下手ですよ。
そんなに面白いことも言えないよ。
はぁ……………へこむわ。
翌日。
ゲボォォォァァァアアアアア!!!!
まぁご想像の通り二日酔いですね……………
俺って胃腸弱すぎだ………………
酒なんか1ミリも飲みたくないけど、今日は朝から福光町にある酒蔵『成政酒造』に向かった。
ゆうべ寝たのは4時半。
4時間だけ寝て、途中何度も車を止めてゲボを吐きながら、田んぼの中のとてもわかりづらいところにある蔵に到着した。
電話対応の時点から他の蔵とは比べ物にならない丁寧さ。
まるで一流ホテルの受付だ。
案内して下さった蔵人の嶋光国さんも気さくな方で、酒への情熱がヒシヒシ伝わってくる。
しかし…………………
気持ち悪い…………………
必死に平静を装ってはいるものの、2日酔いで酒の話はマジでキツい…………………
見学の予約してたのにこんなコンディションで行くなんてめっちゃ失礼ですよね………………
それでもなんとか耐えながら質問をさせていただく。
今、日本酒の業界でふつふつと人気がわいてきているのは燗でうまい酒。
吟醸を燗?
酒を冒涜してる!!
って人がいるが、それはマニュアルに洗脳されているだけだ。
香り最優先のヤマコンなんて技術が横行しているからそんな風潮が生まれたんだ。
本物の酒は常温・ヌル燗でこそ真価を発揮する。
そう思っている。
が………………
2日酔いで酒の話はしんどすぎたな………………
最後のゲボを吐いて仮眠をとってから、富山市のまさしさんのお勧めのうどん屋『さぬき』へ。
華山温泉の近くの非常にわかりづらいところにあるこの隠れ名店のメニューはうどんオンリー。
値はちょっと張ったが、天ぷらうどん、必食!!
マジ美味かった。
高岡を抜け、氷見の海岸沿いを走っていく。
弧を描く海岸から富山方面を見ると、海にそびえる屏風のような立山連峰の雄姿を眺められる。
のだが今日は小雨。
あー、天気が晴れ次第、立山に登ろうと思ってるのにいつまでたっても曇天だー。
今日は石川県の羽咋市にてお祭りがあるという情報を入手している。
ほんとは1県ずつ順番にいきたいところなのだが、なにしろ時間がないのと富山県は狭いのとでこの2県は混ぜこぜにさせて下さい。
両県のみなさん、すみません。
羽咋の駅前に到着するとすでにたくさんの人出と、祭り特有のむせ返るような熱気が通りを吹きぬけてくる。
威勢のいい男たちの独特な掛け声のほうに行ってみると………………
あ!!
橋の上で神輿が狂ったように動きまくっている!!
降りしきる雨の中、神輿を担いでいる男たち。
見物の子供も老人もカッパも着らずにびしょ濡れ。
観光客は少ない。
ほんとの地元の人たちの祭りなんだ。
しばらくすると神輿が川のほとりに降りていく。
ワイワイと橋の上からのぞく人たち。
なんだなんだ!!
なにが起きるんだ!?
川に配置されていた2艘の船に慎重に神輿が乗せられようとしている。
足を踏み外して川に落ちる男たち。
我先にと橋から川に飛び込んでいく男たち。
なんて勇壮なお祭りなんだ!!
神輿を乗せた船を男たちが川の中に胸までつかって押し進む。
藁を燃やした松明が水面に浮かび上がる。
幻想的な光景だ。
1時間ほど川の中を曳き回されていた船が対岸に着くと、神輿が陸に上げられた。
近くにある神社に入っていくと男たちの熱気が一段と激しくなってくる。
巻き起こる拍手。
するとそこに5~6人の小学生くらいの子供たちが躍り出てきた。
「頑張れよー!!」
「元気にいけー!!」
怒号のような歓声の中、神輿を担いでいた男衆が子供たちを取り囲んで飛び跳ね出した。
「はああああああああ!!!」
子供たちが勢いよく舞いを始めた!!
どうやら獅子と天狗のやり取りのようだ。
一糸乱れぬ激しい動き。
これがクライマックスか!!
最高潮に盛り上がる境内!
「いいぞーー!!」
「うまいぞーー!!」
この祭りすげぇ!!!!
なんて勇壮で、伝統美に溢れてて、そして地元愛に満ちた祭りなんだろう。
観光化されてないこういう祭りこそ、旅人は求めてるんだよな。
舞が終わったのは深夜1時だった。
話ではこの獅子舞は本来、体力の続く限りいつまでもやるものらしいのだが、今年のメンバーは小学5年生でちょっと過酷すぎるということで、これでも早く切り上げたほうらしい。
能登の祭りは激しい。
人間の生命力の爆発だ。
今まで見た祭りの中でも指折りにすばらしい祭りだった。
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