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滋賀ラストは比叡山とめちゃくちゃムカついた話





2006年4月4日 【滋賀県】





目を覚まして、車のドアを開けて外に出ると、道路向かいのラスベガスはただの廃墟の建物群に変わっていた。



狐につままれたって状態だ。


夢でも見ていたようだ。




さぁ、先に進むぞ。


まだ朝晩は冷えるけど日中はだいぶ暖かくなったな。


雄琴の近くにあるビッグラーメンという店で腹ごしらえ。


うまい!!










さてさて、滋賀県にも世界遺産があるのを皆さんご存知ですか?


それは比叡山延暦寺。



弘法大師空海とともに中国に仏教の真髄を学びに行った伝教大師最澄。


帰国後、空海は高野山で真言密教、最澄は比叡山で日本天台宗を開いた。



天皇、大名、宗教家たちから絶大な支持を得、軍事的にも政治的にも相当な力を持ち、浅井、朝倉と組んで織田信長をやっつけようとしたが逆に攻め込まれ、あえなく全山ことごとく灰燼に帰したという史実は有名な話だ。



その後、秀吉、家康の援助を受け再興。


100以上の堂塔伽藍が点在する日本の聖域として、今もたくさんの参拝客が後を絶たない。


この物質社会でそんな霊的な場所が今も絶大なパワーを持っているということが、ふと不思議な感覚になる。








まずは比叡山の麓、坂本地区にやってきた。


かつて日吉大社の門前町として栄えた地区で、たくさんの寺院があったり、比叡山での修行を終えた老僧が住んだ隠居房が並んでいる。


小径の石垣がとてもきれいだ。

















国宝だらけの日吉大社に参ってからいざ比叡山に出発だ。


が、ここからは車道はない。


登山道のみ。


比叡山はなかなかの山の上に存在する。



楽したければケーブルカー。

値段は往復1570円。


有料道路でも行けるが、そっちは安いルートでも1620円。




無理です!!!




というわけで選択肢はひとつ。


気合で山道に足を踏み入れた。








まぁ、気合とはいっても健脚なら1時間もあれば登れるんだけどね。


かなりの悪路をすたこら登っていくと、森の中、山頂の手前でいきなりビッグネームの墓の標が現れた。



その名は円仁!!!!!



おいおい、早速かよ、とウキウキしながら道をそれ、獣道みたいな御廟道を森の奥へ突き進む。


もちろんひと気はまったくない。


みんなロープウェイか有料道路で登るらしく、まだ1人も人を見かけていない。


静寂の森の中、ただ1人で歩き続ける。





すると木立の中にポツンと崩れそうな石碑があった。





え?これ?と思いつつ近づいていく。


落ち葉が積もり、お札らしきものが散乱する荒れ放題の墓前。


錆付いた小銭がちらほら。




マジか。


これがあの平泉中尊寺や恐山を開いた天台宗3代目座主、慈覚大師円仁の墓かよ…………


こんな偉大な人の墓がこんな扱い?


こんな離れた森の中に寂しく放置されて……………



これが円仁の意思だったんだろうか。


木々のざわめきの向こう、どこからともなく遠くで打つ梵鐘の音が聞こえる。







そこから少し登ったところにまたもやビッグネームの看板。


今度は浄土宗の開祖、法然上人が得度を受けたお堂があった。




お堂というか田舎の公民館のようなバラック小屋が取り残されている。



んー、全然手入れされてないなぁ。


比叡山ってお金ないのかな。



ここから山頂へは残り3分だ。











山道を登り終え、ようやく森を抜けると急に視界がひらけた。


途端、巨大宿坊、延暦寺会館が現れた。


65部屋に大浴場。


宿坊っていうかもうただのホテルだな。



もう少し進むと広場に出る。


そこに入山券売場があり、共通券850円を購入した。









まず、比叡山は3つのエリアに分かれているようだ。



1、有名な根本中堂のある東塔

2、国内最古の釈迦堂がある西塔

3、そしてちょっと離れたとこにあるおみくじ発祥の地、横川。



全部回ろうと思ったら丸1日かかるので、たいがいの観光客は東塔だけ見て帰る。


もう昼過ぎだ。


お坊さんに絶対行くべき場所を聞いてすぐにダッシュ開始。


ほとんどのお堂が16時半には閉まってしまうとのことなので時間がない。










まずは国宝殿にやってきた。


平安・鎌倉時代の仏像や仏画が多数展示してある。

最澄直筆の経典、文字の一語一語が語りかけてくるようだった。




数々の伽藍の間を突っ走り西塔エリアへ。


にない堂、釈迦堂を見て回るが、なーんか寂しげで高野山みたいな活気が感じられない。


お坊さんの姿もほとんど見ないし。






そして西塔エリアのメイン、日本天台宗開祖伝教大師最澄の御廟についた。


空海のそれとはうって変わって簡素な庵ともいえる廟。


この院には山内でもかなり重大なお役目を担うお坊さんが住んでおり、12年間1度も山を降りずに来る日も来る日も伝教大師の御霊の身辺を清め続けるのだという。


すさまじい人生だな。


人間こんな生き方も出来るのだということを受け入れられたら人生観も変わるってもんだ。



 



猛ダッシュで閉門間際の根本中堂に駆け込んだ。












回廊を歩き巨大な本堂に入ると、薄暗い堂内に線香の香りが漂っていた。


外陣から内陣を覗くと、いっそう暗い中に燈篭の灯りが見える。


日本の各地で見た不滅の法灯の種火だ。



巨大な祭壇には最澄作の秘仏、本尊の薬師如来が祭られている。


灯りに照らされてぼんやりと浮かび上がるお堂がとても不気味だ。


迷路のような、パラレルワールドのような、なんか変な場所に迷い込んだそんな気すらしてくる。



暗がりの中でたくさんのお坊さんが読経をしていた。


一心不乱に、研ぎ澄まされて。



これも同じ人間、同じ人生。


鳥肌が立つようだった。










神妙な気分でお祈りを済ませる。


横川でおみくじを引きたかったがタイムアップだ。


またいつか行くとしよう。






あっという間だったけどこれにて比叡山は終わり。


元来た山道をまた落ち葉を踏みしめながら降りていく。



比叡山は高野山のように宗教都市ではなく、あくまで境内という印象だったな。


山全体が聖域であり幽玄な空気が漂っていた。


親鸞、法然、榮西、道元、日蓮など各宗派の宗祖たちを輩出した日本仏教の母山としての風格はビシビシ伝わってきた。



何ていうお坊さんか忘れたけど、滝の前でひたすらお経を唱え続け、ある日滝のリズムと念仏のリズムが一致した時に開眼したという坊さんがいたらしい。


仏教とは自然界で生きる人間がその欲望や苦悩を自然の中に回帰させるためのものなのだろうか。


俺が歌ってる歌もそういうものだと思う。


仏教とフォーク、なんか似てるような気がするな。


山を駆け降りて車に戻った。
















この夜も車の中で日記を書いていた時だった。


突然、この前泊めてもらった甲賀のライブハウスのルーシーさんから電話が入った。



なんだ?


どうしたんだろ?



「ちょっと嫌な話してかめへんか?」



え?なんだ?


あんまり聞きたくないな…………


話を聞いてみると、何やらあのお店のマスターが俺に対して怒っているらしい。



え?怒ってる?


俺に?


え?なんか悪いことしたっけ?




まったく身に覚えがないんだけど、シンプルにあの日の別れのときの挨拶が良くなかったとのこと。



泊めてもらった次の日、帰り際に挨拶に行ったんだけど、マスターは音を立てる作業中だったために俺の挨拶の言葉が聞き取れてなかったらしいのだ。



『挨拶もせんで帰った。』


『何か手伝いましょうか?の一言もない。』



しまいには、



『メジャーでやる気のない根性なし。』



とまで言ってるらしい。






おいおい、ちょっと待て…………


そんなこと言ったら俺だって5000円近くする日本酒をみんなに振舞ったし、泊まったことだって、俺は車で寝ますというのを泊まっていけばいいから!!とすすめてくれたのはマスターだ。


それをそんな恩着せがましいこと……………



メジャーでやる気のない根性なし?

メジャーを嫌ってアンダーグラウンドで活躍しているミュージシャンはたくさんいるし、それこそそんなミュージシャンをお店に出演させて誇らしげに話していたのはマスター自身やん。



「ごめんな金丸君。今度のライブはマスターはノータッチで俺が仕切るから成功させような。」



ルーシーさんがいい人だから、知るか!!って言いたいところをこらえ、ぐっと我慢してマスターに謝罪の電話を入れることに。



「……………ということを謝りたくて電話しました。」



「その通りだ。また会おう。」






ガチャン……………プープープー………………






ぬおおおおおらあああああああああああああああああ!!!!!


人が我慢して謝ってんのになんだそのキレた態度はよおおおおおおおおおおおおお!!!!!



最後挨拶行ったやん!!!!


音で聞こえなかったとしても帰る前になんか言いに来たらそれは挨拶やん!!!!!








クソがあああ……………と思っているところに、また電話がかかってきた。



今度は誰だ?



あ、和歌山県の田辺市でお世話になったミキさんマユミさんの2人だ。


元気にしてるかな。


相変わらずお酒飲みまくってるのかな。




「ワーーーン!!!もうどないしたらええねんー!!」




電話に出るといきなり泣きまくってるミキさん。


ただごとじゃない声だ。



は?

ど、どうしたんだ?




話を聞いてみると、もうとんでもないことになってるらしい。


詳しくは書けないけど、ホント耳を塞ぎたくなるような悲惨な状態。



受話器の向こうでワンワン泣いてる2人。



正直、身から出たサビではあるんだけど、あまりに悲惨。




はぁ…………最近いい出会いが続いてて充実してたけど、出会いがあればあるほど色んな出来事も多くなるのが当然だ。


俺はちゃんとやってるつもりでも、相手にそれが全然伝わってなかったり、逆に悪くとられたりすることもある。



正直、嫌なことがあったら逃げればいいだけのこと。


特に俺みたいに旅してるんだったら、こんな旅先で嫌なことがあったら、さっさと違う町に行って俺の人生から消せばいいだけのこと。


でもそれじゃ悔しい。


俺という人間を否定されたまま逃げるなんて情けないことしたくない。


かといって、ムカつくやつには頭下げたくない。


人間関係って難しい。







はぁ……………ネガティブな電話2連発でめっちゃ気分が落ちてしまった。




あー、面倒くさいわー……………


頭混乱する…………………











翌日。








車の中、目を覚ます。


いくら嫌なことがあっても旅は続けないといけない。


明日はケータイの支払い日。


なんとしても今日中に福井県の敦賀市まで行って稼がないといけない。


滋賀は街が少なかった。












気を取り直して車のエンジンをかけ、琵琶湖沿いを北上し、秀吉と柴田勝家の決戦の地、賤ヶ岳にやってきた。


信長亡き後の織田家の筆頭武闘派の勝家をここで破ったことで、秀吉は天下人への大きな前進を果たしたんだよな。













ここまで来たらさっさと福井に抜けてしまおうと、琵琶湖を背に北に走っていく。


そんな福井に向かう国道8号線に、なにやら派手なラーメン屋さんがあったので腹ごしらえしていくことに。





「らっしゃあああああああいいい!!!」



「しゃいいいいいいいいい!!!!」



「カウンターどうぞおおおおおおおおお!!!!」



「何にしますかああああああああ!!!!」




ちょ!!!!

全員声がデケェ!!!!


祭りか!!!!


店の中はすだれみたいにメニュー表が吊り下げられていて、まるでジャングル。



「こ…………え……………あ、あの、まだ選びます……………」



「カウンターさん注文待ちいいいいいいいいいい!!!!」



「はいよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



「セットワンンンンンンンンン!!!!!」



「はいセットワンンンンンンンンン!!!!!」



「電話鳴ってるぞおおおおおおおおお!!!!!」



「はい電話ああああああああああああああああああ!!!!!」



「………………………………今日は営業してますかっていう内容でしたああああああああああああ!!!!」



「はいよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



「カウンター9番さん汁なしいいいいいいいいいい!!!!」



「はいいいいいいいいいいい!!!!!」



帰った客のラーメンのスープが残ってるかどうかまで怒鳴り散らすという謎の大声大会の会場に迷い込んでしまった。


店員さん全員が、ミスったら殺されるみたいな、なにかを恐れる表情で高速で動き回っている。


店長さんらしき人はプロレスラーの天龍みたいなコワモテ。


よっぽど恐ろしい店長さんなんだろうな………………


あまりの緊張感にピリピリしながらラーメンを食べた。



美味しかった。









そんなこんなの滋賀県。


出会いが多いのはいいことだ。


でもその分、合わない人、合う人、トラブル、面倒なこと、色々ある。


気を張って、周りに合わして、人付き合いって大変だけど、それに億劫にならないでもっともっとたくさんの人と出会っていきたいな。


楽しい人のほうが圧倒的に多いんだし、人と出会わない旅なんてまっぴらだ。


このペースで福井でも面白い人と出会いまくるぞ!!!!





【滋賀県編】


完!!!!





リアルタイムの双子との日常はこちら

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