2004年 7月9日
あまりの暑さに飛び起きた。
車の外を見るとまだ真っ暗だ。
ドアを閉めて寝ると車内がサウナになって干からびて死んでしまうので全開にしているんだが、たいして効果ない上に蚊の餌食になってしまう。
顔とか手とか刺されまくってムカついてしょうがねぇ。
あまりにも寝苦しいので、とうとうコンビニに行ってあの化学兵器を購入。
蚊取り線香!!!!
蚊取り線香すげええええ!!!
蚊がいなくなるうううううう!!!!
ゴホッゴホッ!!ゴホーーー!!
うげえええええ!!!
こんな狭い車内で蚊取り線香焚いたら煙まみれで息苦しくて余計眠れない!!!!
結局寝るのを諦めて夜の道を走る。
じっとりと汗ばんだ体。
夜がオレンジ色に染まっていく。
朝が訪れ、港の巨大な市場にやってきた。
ここはフカヒレの町、気仙沼。
はるか向こうまで続く市場の中をフォークリフトが忙しそうに行き交っている。
バケットを覗き込むと氷付けのカツオ。
岸壁では沖から戻った船からベルトコンベアーで魚が降ろされている。
真っ黒に日焼けした深い皺の刻まれたおじいさんのカツオをつかむ腕のたくましいこと!!
さらに歩いていると、山のように積まれたチョウザメを切り刻む人々。
足元が血の海になったかと思うと鮫の大群。
膨大な魚の量。
これだけの量が日本中、世界中で毎日水揚げされてるんだから、獲り尽くしてしまわないか心配だ。
山奥のスーパー、東京のデパート、寂れた町の小さなスナック。
今日もどれだけの人が魚を食べるんだろう。
食堂で380円のマグロ山かけを食べてめっちゃ大満足して、海の市っていう海産物店へ。
わかめ茶の試飲をすると、はい何十個買う?と聞いてくる面白いおばちゃん。
「金丸?金がまるまる入っでぐる!!よし!!芸名はミチル!!今日から金丸ミチルでいがいよ!!!」
名物おばちゃんのカッちゃん、明るくて美人な人だったな。
宮城県最後の町、唐桑町は何といっても巨釜と半造。
宮城三陸海岸の最大の見所だ。
まずは半造へ。
真っ青な海、真っ青な空、波に浸食されまくったいびつな巨岩の絶壁。
こりゃすげすぎる……………
暑すぎてアゴから汗を滴らせながら走って見て回る。
巨釜には有名な折岩。
高さ16メートルの蝋燭みたいに細い岩が海にそびえたっている。
どういう侵食をされたらこんな形になるんだろう。
しかもこの辺りの岩は全部大理石。
近くでよく見てみると小さなガラス質の粒が固まって岩になっている。
黄泉の国の入り口のように口を開けている大亀裂など、地球の営みを感じずにはいられない景勝地だ。
ちなみにこの辺りは坂上田村麻呂が蝦夷の頭領を討ち取った地で、今でもエゾ狩りという地名が残っている。
東北に入ってから坂上田村麻呂の名前めっちゃ聞くな。
道路の電光掲示板が35℃を示している。
ウミネコのニャーニャーを聞きながら岩手県に入った。
岩手は四国とだいたい同じ大きさで、県の70%が山というから大変だ。
海沿いから街が集まる中央部に行こうと思ったら毎回北上高地の山越えが必要になってくる。
なんつーガソリンを食う県なんだよ。
でもその分、伝説と民話が息づく深い山奥の小さな集落で、どんな不思議な場面に遭遇することが出来るだろう。
1回目の北上高地越えで一関に向かって走る。
日本100景の猊鼻渓の舟下りは有名だが1500円。
3億5千万年というとんでもない歴史を持つ日本最古の鍾乳洞の幽玄洞ってところもあるが、そこも1000円。
入りません。
金曜日なので歌うぞ!!!と一関という町の繁華街にやってきたんだが、こりゃ小さすぎる。
もっと大きな町に行こうと、水沢にやって来た。
しかしこっちも人っ子1人いない無音のネオン街。
ここも寂れてるなぁ……………
岩手の南部、あんまり町がない…………
仕方なく静まり返った町に歌声を響かせると、目の前のスナックのドアが開いて中からおじさんが出てきた。
「兄ちゃん、飲むぞ。」
中にはケバいおばさんママがいた。
「ママー、へへこさせろよー。」
「はいはい、もう6年それ言ってますね。」
このあたりではセック◯のことをへへこと言うらしい。
宮崎ではボボ。
どっちも卑猥だ。
何曲か歌い、おひねりを3000円いただいて店を出て、おじさんとラーメンを食べに行って食べきれなかった餃子をパックに詰めてもらった。
ああ、酔っ払ったな…………
こんな小さな町でも、歌えば何かしらの出会いがある。
アクションしなければ反応はない。
自分が動いた分だけ何かがあるんだ。
そういえば石巻のミナミさんと電話で話したら、あの「しん屋」の息子君が、俺が来た次の日にギター買ってもらったらしい。
夢中になって練習してるみたいだ。
動けば何かが起こる。
出会いも、展開も、俺の心の中にも。
何も起こらない人生なんて真っ平だ。
さぁ、明日から岩手県、気合いで回るぞ!!!
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