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西大寺の裸祭りに突撃







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「はい。ありがとうね、ほんと助かったよ。」



1ヶ月以上頑張った防水屋さんのバイトが終わり、社長である叔父さんからもらった給料、27日間出勤して27万円。


そこから叔父さんに前借りしてた7万円を引いて20万円。



やったー!!やばすぎるううううう!!


欲しかったトラ目のヤイリギターが買えるうううう!!!



もちろん買わないけど。

これは大事な旅費だ。





いやぁ、1ヶ月以上もよく頑張った。





ラストのトンネル工事では粉塵が舞いすぎて、目も開けられないような中、高所作業車に乗ってひたすらエポキシ樹脂を注入しまくってた。


マスクしてるのに歯がシャリシャリするわ、狭い作業台にエンジン積んでるんで、排気ガスのせいで頭が痛くなるわ。





でも叔父さんの家に泊まらせてもらったり僻地に軟禁されてたりで自分のお金はほとんど使わなかった。


飲み代も全部奢ってもらってたし、ホント楽しく仕事させてもらえてたなぁ。







結局あれから山の中のフィリピンパブには何回も行った。

シャネルは最後まで俺のこと忘れられない、アイラブユー!!必ずフィリピンから会いに戻ってくるから!!と言ってくれていた。



すごく可愛かったけど、きっともう会うこともない。


俺も旅に戻らないと。






「文武君、今度は福山(広島)で仕事があるんだけど、あと1週間やらない?」



「すいません、美香がこっちに来るんです。」



「ホッホッホーイ!!残念です。頑張ってね。」



長いことお世話になった叔父さんや会社のみんなにお礼を言い、とうとう水島の町を出発した。
















懐も温まり、さぁ出発だ!!!と張り切ってやってきたのは岡山空港。


実はこの前別れたばっかりの美香がまた岡山にやってきてくれる。


正月休みで宮崎に帰省していた美香が、大学のある茨城に戻る前にもう一度会いに来てくれることになっている。


嬉しすぎる!!!!


今日は楽しみにしていた西大寺の裸祭り。


根性で宝木をゲットして美香にいいところ見せてやる!!!








というわけで山の中にある小さな空港で美香を探し回る。


角を曲がった瞬間、バッタリ。



「お、おう。」



「あ!!うふふ。」



福岡から間もないからか、それほど感激の再会とまではいかなかった。



「よーし、気合い入れていくぞー!!絶対宝木取ってやるー!!」



「おーー!!!」



2人で岡山市にある西大寺へやってきた。


宝木が投げられるのは午前0時。


日付が変わるとともに投げられるらしい。







まだ時間があるので近くの町に行き、満タンになったデジカメのメモリーを空にするため、カメラ屋さんにやってきた。



「やっぱりお祭りには人いっぱい来るんですかねー。」



「そりゃあすごいことになるよー。もう夕方ぐらいからこの辺まで人でいっぱいになるからねー。」



「あーそうなんですか。」



「お兄ちゃん出るの?宝木取りに行こー思うたら大変よー。ケガで済めばいいけど、骨でも折ったら大変じゃけぇ。無理はしたらあかんでー。」



「はい。でも出るからには取りに行きますよ。それで、だいたい何時ぐらいに行っとけばいいんですかね?」



「そーじゃのー。まー夕方くらいから行っとけばええじゃろうなぁ。」



「そうですか。んじゃあそろそろ行っとこーかな。駐車場の確保もしたいし。」



「ん?何言うとんの?祭りは明日よ。明日の夕方から。はっはっは!!勘違いしとったんー。」




笑ってるカメラ屋のおじさん。




え!?明日!?




0時っていうと、何日の夜で何日の朝か、人によって言いかたを違ったりする。



えーもうううう…………ちくしょー。


アホすぎる…………


しょうがないからどっかこの辺で明日まで待つか…………






晩ご飯はうどんを食べに行った。


四国が近いおかげで中国地方に入ってからうどんが美味しすぎてたまらないんだよな。


昼も夜もうどんを食べると、美香がもう嫌だとすねてる。


俺はうどん大好き。


こっちのうどん屋さんはどの店もセルフで、麺をゆでるところから自分でしなきゃいけない。

その分めっちゃ安い。


四国って俺にとっちゃぁ天国だなぁ。


毎日うどん。


うどん天国。


へへへ…………




寝起きにまたうどん食べよーと、また別のうどん屋の駐車場に車を止め、今夜は美香と布団にくるまった。


久しぶりの車中泊。

久しぶりの美香。


最初の頃は車の中で寝ることに違和感があったけど、今はなぜかファントムの中で寝ることが嬉しい。


すごく落ち着く。


















そしてとうとうホントに裸祭りの日がやってきた。


うどんを食べ、昼になって祭りのある西大寺の周辺に行くと、すでにポツポツと屋台が出ていて、いたるところでふんどしと足袋が売っている。


祭りに参加するためには、一番安くても800円のふんどしと900円の白足袋を買わなきゃいけないのだ。


祭り会場の境内には見物席が設けられてあり、500円の立ち見から5千円の指定席まである。


ふんどしの着付けと荷物の預かりで千円。


9千人もの男たちが祭りに出て、何万人もの見物客がやってくるんだから、凄まじいほどの金額が今日だけで入るんだろうなぁ。


マジ犬かわいい。








夕方になると寺周辺にはたくさんの屋台がズラリと並び、どんどん人も増えてきた。


境内には消防団や警察官がわんさかいて、入念に打ち合わせをしてる。


警備本部のテントや救護班のテントの辺りでは、スタッフらしき人たちが忙しそうに走り回ってる。


こりゃ一大イベントって感じだ。












18時になると、まず最初に少年はだか祭りが始まった。


ちっちゃな子ども達がふんどし姿で走り回っている。



「ワッショイ!!ワッショイ!!」


  
まだ声変わりしてなくてすごくかわいい。







そして22時、23時と時間が迫るにつれ、少しずつ本堂のところに裸の男たちが集まって「ワッショイ!!ワッショイ!!」と言い始めた。


夜空には花火が散り、本堂の通路では和太鼓が打ち鳴らされ、否が応でもテンションが上がってくる。



「見物客の方はハダカとぶつかりますと危険です!!下がってください!!」



「ハダカが通ります!!道をあけて下さい!!」



「ウォー!!いくぞー!!!!」



「オオオオオオオオオオオオオオ!!!」














小雨が降りだした夜の中、裸の男たちが駆け抜けていく。


1年に一度の、このお祭りに命をかけてる男たちの気迫に満ちた表情とお尻。


フィリピンパブのクリスに見せてやりたい!!!




沿道を埋めつくす観客たちからも声援があがる。


お寺を中心にボルテージはどんどんうなぎのぼりだ。




「行くしかねぇ!!!」



昼にふんどしを買ったお店の横に着付け場所があり、そこでふんどしをギッチリ巻いてもらう。





ちんちん痛い!!!


でもすごく引き締まった気持ちになる!!!





外に出るともはや人で揉みくちゃ。


向こうのほうでヤクザと警察が口論している。


その横を裸たちが、


「ヨッシャー!!ゴルァー!!」


と駆け抜けていく。




て、ていうかどうやって参加すればいいんだ!?!?


気合いは充分だけどどこに行けばいいかわからん!!!

  
みんな友達や同僚なんかと団体で出てるのでどんどん先に行ってるけど、ヨソ者の俺はどうやって行きゃあいいのかわからずまごついてしまう。


美香はすでに観客席のほうに行ってて俺1人。



ええい!!もういいや!!とにかく人の流れに乗るぞ!!!


勇気をふりしぼって走り出した。




と、そのとき誰かが腕をつかんだ。



「お兄ちゃん、こんなのつけてたらまずいよー!!外してきて!!」



見ず知らずの小学3~4年生の男の子が俺を捕まえて叫んでる。


腕につけたブレスレットや指輪が他のハダカたちを傷つけてしまうので全部はずさなきゃいけないのだ。



「お兄ちゃん、僕が持っとくけぇ、はよ外して!!」



「え、ええ?ど、どうしよ!!!」



「早く外して!!僕が持っとくけぇ!!」



「え、あ、いや、じゃ服のところに置いてくるよ!」



地元の子なんだろうか。

どさくさ紛れの泥棒だろうか。


とにかく焦りながら服のところに置きに戻り、もう一度寺に向かって走った。










仁王門をかけぬけ境内に突入すると、すでに本堂の前には巨大な肉の塊と化したハダカたちが蠢いていた。


何千人いるんだ!?!?



無我夢中でそのハダカの群れに突っ込んだ。




顔面に肘テツや頭突きをくらいながらもグイグイと中に割り込み、根性で結構奥深くまで入ってきた。


だが、ここまでくるともはやほんの少しの隙間もなく、圧迫されて手が全く動かせない。


体が浮く!!!!



立ち込める蒸気。

酒とヤニのにおい。



絶叫とワッショイ!!が耳に痛いほど響き、肌がこすれ合って火傷しないようにと天井から浴びせかけられる冷水がすごく気持ちいい。



絶対取ってやる!!!



ギラギラと目を開き、俺も「ワッショイ!!」を叫び続けた。





この中にいます。










どれくらい経っただろう。



それはいきなりだった。



本堂の軒下、4mぐらい上の屋根裏みたいなとこの隙間から、お坊さんが何人か顔を出した。


お坊さんの1人が提灯を出し、クルクルまわすと、ハダカたちが一斉に絶叫、絶叫、絶叫!!!





その瞬間!!







全ての照明が消えた!!!!





暗闇の中で、お坊さんが遠くの方に何か黒っぽいものを投げたのが見えた。


叫び声しか聞こえない中で、とにかく肉塊の中に沈まないようもがき続けた。







次の瞬間、照明がつき、ほとんどのハダカたちがキョロキョロと的を探す。



後ろを見ると、1人の男がうつぶせに倒れ、周りのハダカたちが踏んづけないよう、男を取り囲んだ。



「ないないっ!!ここにはないぞー!!!」



誰かが叫び、周りのハダカの視線が逸れた瞬間だった。


倒れていた男がすごい速さで立ち上がり、ハダカの間を走り抜けた。


はっ!!と思った途端、周りの男たちがすごい形相で逃げた男を追いかけた。



「えっ!!どーしよ!!どーしよ!!」



すでに渦が何箇所かに分かれており、本気組とまごつき組とあきらめ組に分かれていた。



「こんなとこで諦めるか!!」



宝木は2本と聞いていたので、近くの一番でかい渦に全身で突っ込み、とにかく中心に向かってもがき続けていたその時!!!









隣のハダカの肩辺りに、なんか木が乗ってる。







えっ?何?


…………いいのこれ?




なんとか手を伸ばし、20cmぐらいのその木の枝をつかんだとき、正面のおっちゃんと目が合った。



ヒーーー!!!

逃げろおおおおおおおおお!!!!



ソッコーで後ろを向き、なんとか渦の外に出ようともがくが全然動けない!!!

密度がすごすぎて押し返されて動けない!!!!



ふんどしの腰巻の部分に木の枝をねじ込み、力の限りに肉塊をかきわけ、渦の外に出た。










バラバラと散らばってるあきらめ組にさりげなく混じり、「はぁーダメじゃん。」みたいな表情を無理矢理作りながらも、心臓バクバク。



(やっべぇーー!!これ絶対宝木だよー!!やっべー!!!)



雨が降り、地面はドロドログチャグチャになり、男たちの白足袋は茶色に変わっている。


警官たちが並んだ規制線の外には、何万人もの人の群れが、傘をさし、こっちを覗き込んでいる。










どれくらい経ったか。




しばらくすると、ハダカたちがゾロゾロと門をくぐり、外に戻り始めた。


渦はすでにバラけており、狂気の争奪戦が落ち着いたようだった。



俺も流れに乗って外に出、美香と待ち合わせてた場所に走る。


外人さんたちが「オーイェー!!」と俺に笑いかける。









人ごみの中からやっと美香を見つけ出し、周りの人に見つからないよう、腰巻きの中に隠していた木をさりげなく見せる。



「ウ、ウソ…………ウソー!!!」



2人で興奮する気持ちをなんとかこらえ、消防団の人に近づく。



「あのー、この祭っていつになると終わるんですかねー。」



「あ?んーそりゃ宝木を取った奴が決まればだよ。」



「あーそうですかー。で、その宝木はどこに持ってくものなんですか?」



「ん、そこの商工会議所やけど。」



「どーも!!」



ダッシュで商工会議所へ走った。



建物の周りには、今年の福男を一目見ようという人だかりが、今や遅しと宝木の到着を待ちわびている。




(やべーどーしよー…………)




嬉しさと気まずさがあった。



500年以上も続く伝統の祭りをよそ者の俺が終わらせてしまっていいのか?


ふんどしの中にコソコソと隠しゴールするなんて男らしくないんじゃないか?



あーでも行かなきゃ。


俺が行かなきゃ祭りは終わらない。


そうだ、俺はやったんだ。


宝木をゲットしたんだ!!!!


やったぜコノヤロウ!!!!






すると会場の方から、1人のハダカを担ぎ上げた男たちがこっちに突進してきた。


観客の群れの中央で男たちは止まり、担ぎ上げられたものすごくゴツい男が、ふんどしの中からまるで刀でも抜くかのように宝木を取り出し、高々と掲げた。


わぁー!!!と湧き上がる観客たち。



そしてその男は、会議所の中に設置された米の入った枡にその宝木を堂々と突き立てた。



これで、今年の福男1人目が決定。





あ、あ、あれ…………?



お、俺の持ってるものって何?





今見た宝木はリレーのバトンぐらいの大きさだったのに、俺の持ってヤツ、ヒョロッ!!


枝っキレやん!!!!





話を聞くと、2本の宝木の他に、200本の枝宝木なるものも投げられたんだそう。



あ、そ、そ、そうですか…………


これどう見ても枝宝木ですよね…………



うん…………


そりゃこんなデカいお祭りのシメを俺ができるわけ…………ないよな…………






でもまぁ何も取れなかったよりはましか。


9000分の200だ。


汗だくで泥まみれになり、美香と大笑いしながら観客の群れの中を歩いた。






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