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福岡。ベルトコンベアーとダンボール







リアルタイムの双子との日常はこちらから







「はい!!◯◯サービスの◯◯です!!」



「◯◯君!!明日の◯◯君と連絡ついたー!?」




嵐のように忙しく職員さんが動き回る事務所の中、バイト希望者10人くらいで面接のビデオを見る。




「はい!!それではオアシス運動いきますので、みなさん、ちょっと立ってください!いきますよー!!オハヨウゴザイマス!!」



「オハヨウゴザイマス!!」



「アリガトウゴザイマス!!」



「アリガトウゴザイマス!!」



「シツレイシマシタ!!」



「シツレイシマシタ!!」



「スミマセンデシタ!!」



「スミマセンデシタ!!」



「はーい、とってもいいですねー。じゃあもう1回いきますねー。」



結局それ3回言わされ、個別に面談した後、事務所を出た。


沖縄のゆるい面接とは違い、都会の忙しい事務的な感じに疲れてしまう。




ここは福岡市の天神。


専門学校時代の友達の家に転がり込み、すぐに求人案内でバイトを見つけて天神の面接会場にやってきたんだけど、久しぶりの大都会にどうもビビってしまう。


それからもう1件面接を受けに行ったんだけど、こっちの会社は明日からでも働けるとのことだった。











早速次の日からバイトが始まった。


朝6時に部屋を出て自分の車で天神に向かい、会社で俺と同じバイト生を1人車に乗せる。



「俺、プロで音楽やってるんスけどー、インディーズのバンド達に曲を提供したりしてるんですよー。あ、それとDJもやってるんスけどねー、うんたらかんたら。」



「へーすごいねー。ふーん。」



1つ歳下の男のウザい自慢話にテキトーに相槌を打ちながら車を走らせた。










東区にある大きな倉庫に着くと、すぐに荷物の仕分け作業が始まった。





ベルトコンベアーの脇に並び、次々と流れてくる衣類や食品の入ったダンボールを品物ごとに分けていく。


誰でもできる簡単な仕事だ。






15時の休憩になるとさっきの自称DJが話しかけてきた。



「今日のバイト、15時までって聞いてません?」



「あぁ、そう聞いてるけど。」



「オレ、ちょっと聞いてきますね。」



DJがこの倉庫の主任みたいな人に話かけている。



「あっ、もう帰っていいみたいっスけど。残れれば残っててほしいって言ってますね。」



「んーどーしよーかなー。」



「今帰っても日給あんまり変わんないっスよ。」



「いや、俺は最後までやるよ。」



「あーそうですか。」



今日うちの会社からやってきたのは4人。


DJともう1人が帰り、俺と北海道出身の中山さんって人が2人で残った。



「僕は北海道出身でさー、もういいだけ遊んだし、やることやってきたし、20代の前半から店長やってたからねー。」



同じ自慢話でも、中山さんの話はそんなに嫌じゃなかった。









17時にバイトを終えて2人で会社に向かい、今日のバイト代をもらった。


たったの5800円。


ふざけんなよ…………少なすぎるだろ…………


朝6時から動いて帰るの20時だぞ?


これだけ拘束されて5800円て…………



いやぁぁぁ…………

派遣会社ってヒドい対偶だわ…………



「金丸さん、明日もありますけど、どうしますか?」



「…………いきます。」



それでもバイトできるだけマシかと続けることにした。











やってらんねぇなぁと思いながら友達の家に帰っていると、道路ぎわに「作業員募集!!」と書かれた看板が立ってるのを見つけた。


おお!!これいいんじゃないか!?



すぐに車を停め、横にある事務所に入ってみた。



「すいませーん、表のカンバン、随時行ってるんですか?」
 


「何か経験ある?」



「鳶を1年半やってました。」



「へー、ちょっと座って。」



事務所の中にはビビるくらいハゲたオッさんがいた。


テレビで見たような、昭和の雰囲気が漂う事務所。


旅をしてる途中で、1週間ほど働きたいんですと話をすると、いろんな情報を教えてくれた。



「ウチで働いてもいいけど、短期でたくさん金を貯めたいんだったら博多中央埠頭に朝行ってみなよ。そこのファミリーマートの前に朝6時ごろ行くとね、いっぱい人がいるよ。そこにね、建築業者の車が来て、その日欲しい人数を引っ張って行くのね。履歴書とか何もいらないから。名前がわかって、若かったら仕事はあるよ。ただかなりきついよ。でも1日1万以上はもらえるから。体力に自信あるなら、そっち行った方がいいかもね。港だったら車停めるとこはいくらでもあるからね。」



そんな履歴書もいらないような仕事があるんだ。


なんか都会って怖いな。







ハゲのオッちゃんと話をしていると、仕事を終えた会社の人がいっぱいやってきて、いろんな所に電話をして人の足りないところを探してくれた。



「よし、明日ウチに来る?仕事あげるよ。」



「ほんとですか!!あ、でも明日は派遣の方に行かなきゃいけないので、明後日でいいですか?」



「派遣?いいよ、いいよ、そんなの行かないで。どーせ安いんだろ?いーんだよ、行かなくて。派遣なんてそんなもんなんだよ。なっ、明日うち来いよ。」



「いや…………もうOKって言ってあるんで、それはできないです…………」



「うーん、そうか、よし!!じゃあ明後日来いよ。」



「はい!!わかりました。」



ここは建築現場に人員を回す会社らしく、ここなら少なくても1日7千円はもらえるとのことだった。









約束通り、翌日は派遣のベルトコンベアーバイトをこなした。




おととい、中山さんと最後まで残ったことで気に入ってもらえたらしく、この前と同じ人をお願いしますと指名されたようだった。



黙々とダンボールを運び続けた。






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