こんにちは!神田です。
日本はまだ花粉が激しいでしょうか。
死ぬほど花粉症な私は、日本の春に恐怖感を持っています。
3月いっぱいくらいでいつもおさまるから、なんとかその時期を避けて帰国できるかなーとそんなことばっかり考えています。
毎年毎年、今年の花粉は去年の100倍!!!とか言われてるもんで、もうそろそろ減ってもいいのではないかと。
今年もみんなの苦しんでる姿をfacebookとかで見かけるので、きっと今年もひどいんでしょう。
おわり
2018年3月9日(金曜日)
【中国】 深圳
「ここから山を抜けて向こう側に行くと深圳の古いダウンタウンがあって、あっちの方に行くと新しい市街地が広がってるんだ。この山がダウンタウンとの隔たりになっていてね、昔はゲートがあって、簡単に向こう側には行けなかったんだよ。」
昼前にマンションを出て、ジミー君とウーピンちゃんと4人で深圳の街にドライブに出かけた。
ジミー君たちのマンションがあるエリアからダウンタウンに行くには大きな山が立ちふさがっていて、そこのトンネルをくぐって街に行く形になる。
このダウンタウンエリアは経済特区に指定されていることから、今では自由に出入りできるけども、数年前までは入るために中国人であっても身分証の提示が必要だったらしい。
不思議な街だなぁ。
「ここが深圳の目抜き通りだよ。東西に伸びていて、ふたつの市街地を繋いでいるんだ。」
山を貫くトンネルを抜けると、綺麗に区画整備された整然とした街並みが現れる。
街路樹が並び、アスファルトの道が伸び、道路脇にはズゴンズゴンと巨大なビルがそびえ立っている。
近代的なデザインのビルディングが空を削り、数百メートル級の高層タワーもいくつか見える。
これから数年後までにさらに500メートルを超えるような巨大ビルが建設されていく予定なんだそうだ。
ジミー君いわく、深圳の歴史はわずか30年ほどなんだそう。
それまでは寂しげな漁村程度の場所だったらしいんだけど、文化大革命後の政策により経済特区に指定されてから急速に発展し、現在ではなんと上海、北京に次ぐ中国第3の都市になっているんだそう。
全然知らんかった!!
成都とか南寧とか西安とか広州とか、他にも名だたる巨大都市が存在する中国で深圳が第3位なんだ!!!
人口は1500万人で、香港と接している地理的な要因もあって、金融業や新興ビジネスなどで最先端の成長を遂げているらしい。
たった30年かぁ…………
すげぇなぁ…………
それにしても文化大革命ってものについてあまり詳しくなかったのでネットで調べてみたんだけど、たった40年前にものすごいことが起きてたんだなぁ。
俺たち外国人からすると中国は伝統的なものの宝庫のように見えるけども、実は1966年から1976年までの間に起こった文化大革命によって封建的なものが徹底的に弾圧され、破壊されたんだそう。
古くから存在する伝統、文化、風習は悪しきものとされ、毛沢東率いる紅衛兵と呼ばれる学生運動集団によって否定され、迫害され、数多くの文化人や政敵が殺され、食人なんかも行われたらしい。
宗教もまたその例外ではなく、中国全土で寺院が破壊され、チベットでは数多くの僧侶が殺されたりしたという。
有名な毛沢東は革命というものについてこう発言している。
「革命は客を招いてごちそうすることでもなければ、文章を練ったり、絵を描いたり、刺繍をしたりすることでもない。そんなにお上品で、おっとりとした、みやびやかな、そんなにおだやかで、おとなしく、うやうやしく、つつましく、ひかえ目なものではない。革命は暴動であり、一つの階級が他の階級を打ち倒す激烈な行動である。」
指導者がこう言えば、そりゃもう苛烈になるしかない。
中国全土で破壊行為が横行し、この10年間に約1億人もの被害者が出たんだそう。
とんでもねぇ時代だな。
日本の学生運動も結構大変なものだったって聞くけど、比べ物にならないくらいの混乱だったんだろうなぁ。
こうした歴史を知った上でこれまでの中国の旅を思い返してみると、どことなく随所にそういった傷跡があったような気がする。
無機質な、ハリボテ感のある新しい街並み。
抑制されたような雰囲気。
こんなに歴史のある国なのに、他の国に比べて伝統的なものが自然に目につく場所にあまりなく、排除されていたような気がしていたのはこういうことが背景にあったからなのかもしれん。
頭悪いからよくわからんなぁ。
原理主義って言葉の意味が分からんなってくる。
資本主義を否定するのに封建的なものも否定して、毛沢東はどこに向かおうとしてたんだろ。
深圳の近代的でモダンな街並みを見ていると、中国がこれまでさまざまな大波を乗り越えてここに辿り着いているんだということに感慨深くなる。
中国のネット規制について中国の人に聞くと、この国は人口も多いし、ある程度情報を操作して中国の中で中国流の情報でやってたほうが人々が乱れない、という考えの人もいる。
情報を操作しないと中国では小さな火花でもすぐ爆発して大火になるんだそう。
なんだかこうやって中国を旅して、人々と触れ合ってる中でその話を聞くと、妙に納得できてしまう自分がいる。
BMWの窓から高層ビルディングを見上げる。
中国は古いしきたりや人々の思想、そして現代社会の発展の狭間で、今まさにどんどん形を変えていってる。
「それじゃあランチを食べに行こうか。ここのビルだよ。」
ショートのトレンチコートにハットを被り、丈の短いズボンにオシャレな靴下で革靴をキメたジミー君。
ゆる巻きのフェミニンな髪型にヴィトンのバッグを持ったモダン極まりないウーピンちゃん。
そんな2人とやってきたのはここ。
いや、セントレジスやん。
無職が1番来たらいかんとこやん。
無職コードで立ち入り禁止とかやってるとこですよね?
ちょ、ジ、ジミー君、僕らバッグパッカーなもんで、やっていいことと悪いことがあるっていうか、本当オシッコ漏らしそうなんですけどトイレどこですか?
ていうか無職のオシッコでトイレ汚してもいいですか?
いやぁ!!すんませんダメですよね!!
わかりました!!草むらはどこですか!!?そこでトイレ済まして来ますもんで!!
ヨーロッパで1年と2ヶ月ほど車中泊暮らしをしていましたもんで、外でするのはお手の物!!
インドだったら道端でもいいんですけどね!!それはさすがにアレなんで!!
なんなら地平線を見渡す荒野にポツンと穴が空いててそこでするっていうアフリカ系のやつでも僕はオッケーっす!!!
ビビるほど神の領域。
ほ、ほへ…………
ジ、ジミー君…………
な、なんてとこ来てるの…………?
95階……?
高さ430メートル…………?
昭和新山より高いやん…………
「フミたちがバンコクでルーフトップバーに行ってたよね。それでここを思いついたんだ。ホラ、あの川の向こう側はもう香港だよ。」
全面ガラス張りで360°深圳の街を見渡すことができるんだけど、まぁとてつもない大都会。
あのバンコクの街並みに引けを取らないすさまじい発展度合い。
そしてこのセントレジスの高さが半端ない。
さっきまで地上から見上げていたビル群を上から見下ろすと、めっちゃ小さく見えてくる。
なんかもう、あまりにもビルが地面を埋め尽くし過ぎてて目が変になってきた。
全部オモチャみたいに見えてくる。
巨人になって足でドバアアアアア!!って崩しながら歩きたくなってくる。
そんな深圳の大都市のすぐ横を流れている川。
あの対岸はもう香港なんだそう。
香港側を見ると緑豊かな自然が広がっていて、川を挟んであまりにも変化がすごくて変な感覚だ。
でも香港は深圳よりもさらに巨大な世界の金融都市なんだよなぁ。
「昔は香港の金持ちが深圳にマンションを買って、そこに深圳女性の第2夫人を持っていたんだ。でも今は深圳も急成長して、給料にも差がなくなってきて、深圳の金持ちが香港に第2夫人を持つような時代になったんだよ。」
本当すげぇなぁ…………
この前までいた貴州の山奥が同じ国とは思えないくらいの超大都会だよ…………
高いところが怖いウーピンちゃん。可愛い。
「さぁ、それじゃあランチにしようか。言っとくけどフミたちが深圳にいる間はお金のことは気にしたらダメだからね。2人はゲストなんだから、2人にお金を使わせるつもりはないから。」
ぐああああああああああああああああああ!!!!!
ジミー君ウーピンちゃん!!!!
ありがとうすぎる!!!!!!
本当ありがとう!!!!
それじゃあ庶民派食堂にレッツゴーだね!!!!
美味しいホイコーロー食べながらおばちゃんと会話してたら足元ゴキブリが走る系とか最高だよね!!
っていうかなんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
もうすっごい!!!!
すごすぎる!!!!
こんなブュッフェ見たことない!!!!
信じられないくらい豪勢な料理がズラーーーーツと並んでて、品数もパナすぎる!!!!
鍋やらスープやら炒め物やら肉も魚も寿司もお好み焼きまである!!!!
ええ!?!?どれ!!どれからイク!?!?
え!?ちょっと待って!!待ってええ!?!!にへえええええええええええええええええええええええええ!!!!
あまりの品数と美味しそうな料理の数々にパニックを起こしながらとりあえずトイレ。
ふぅ、落ち着け…………
ただのブュッフェじゃないか、そうただのブュッフェだよ、
セントレジスという五つ星ホテルの95階で中国の金融センターを見下ろしながらインターナショナルブュッフェを食べるだけじゃないか。
美々津のテトラポットの上でカップラーメン食べてた時とさほど変わらないよね。
カップラーメンの肉片を落として、あ、もったいね、つってフナムシに取られる前に拾って食べてたじゃないか。
そうそう、そんなもんだよ。
さぁ、気持ちを落ち着けてゆっくり食べようじゃないか。
あー、美々津の灯台が懐かしいな。
っていうかやっぱすげええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!
すっげ!!どれ食べればいいかわかんねえええええええええええええ!!!!
「カンちゃん大変です!!!僕はもうなんかなんだろう!!何かおかしい気分です!!!なんかもうファミコンとかしたい!!!」
「ブツブツ…………まずはお寿司からとって…………次にお肉とお魚と…………でも最後にデザートもいって…………その前にサラダも欲しいから………ブツブツブツブツ…………」
大変です、神田さんが別の世界に旅立たれております。
これはいけません。
うひゃおおおおおおおおおお!!!!
人間の仕業とは思えないほど山盛りにして食べまくるううううううううううううううううううううう!!!!!
このくらいの盛りつけで2皿で限界でした。
デザートのケーキとジェラートをたくさん食べました。
めっちゃくちゃ美味しかったああああああああああああああ…………
超が20個くらいつく贅沢ランチをご馳走になって、それからザラに服を見に行ったり、ドライブしてハーバーエリアにお散歩に行ったりとめっちゃ優雅な昼下がりの時間。
こんなのあった。
道端にポンと置いてあるこの電話ボックスみたいな箱。
これなんとカラオケボックスだった。
すげぇ!!!こんな感じであるの!?
ちょっと歌ってみようよとジミー君が中に入り、スマホのwe chatで20分のお金を払ってくれ、4人でカラオケ。
日本の曲を歌おうってなって、ジミー君が入れてくれたのはホウライって曲。
漢字では後来って書いてホウライ。
え?誰の曲?
すると聞いたことのあるピアノのイントロが流れる。
「ホーオライ~、」
あ!!キロロの未来やん!!
面白い!!あの歌い出しの、ホーラ~、がホーオライ~ってなってるんだ!!
実はキロロって中国でめっちゃくちゃ人気で、いたるところで流れてるのを聞く。
日本語のオリジナルだけじゃなくこっちの人が歌ってる中国語のカバーも。
あとはルクプルとかも人気で、こうした優しいバラードが中国人の琴線に触れるんだろうなぁ。
狭いボックスの中、4人でホーオライ~って歌った。
中国語と日本語を混ぜながら。
ジミー君とウーピンちゃんがワインの試飲会を開催してる図書館カフェに行って、めっちゃオシャレな空間の中で久しぶりにすごく美味しいコーヒーを飲んで、アフタヌーンブレイク。
こんなところでワインの試飲会をやってるんだなぁ。
オシャレにもほどがあるやろ、この2人。
本当、田舎の痰吐きまくってた人たちと同じ国民とは思えんなぁ。
日本のガイドブックあった。
日本全国版のやつにメイドカフェとか乗ってるんやね。宮崎1個も載ってなかったのに!!
「よし、そろそろ今夜のパーティー会場に向かおうか。」
車に乗り込んで、渋滞する夕方の深圳を走り、やってきたのはこれまためっちゃオシャレなカフェ。
こ、ここ?
え?コワーキングスペースとかに使われるような最新のスタイルのカフェ?
ちょっとなんか…………イメージと違うんですけど…………
昨日ジミー君が言ってた話では、フミたちの旅の話を聞きたがってる友達が集まるから、そこでみんなでワイン飲みながらちょっとギター弾いて歌ってくれたら嬉しいなって感じだった。
えっと…………もっとなんかこう…………ホームパーティ的なイメージだったんだけど…………
ま、まぁでもカフェでみんなで集まってお喋り会みたいな感じだよね!!
ジミー君もラフなパーティーだから、リラックスしてねって言ってたし、そんな気負わなくていいよね!!!
さぁーて!!今夜はワイン飲んで中国人の友達たくさん作って、なんなら中国の可愛いらしい萌え系女子に俺のボジョレーヌーボーを後ろからカベルネソーヴィニヨンして10秒くらいでピノノワール!!!!
ブフォ!!!!!
な、なんじゃこりゃあああ!!!!!!!
ほ、本気丸出しのイベントじゃねぇか!!!!
なにこの信じられないほどキモい笑顔!!!!
「ちょ!!ジミー君!!!!な、なんてことしてんの!?!?」
「ははは、ちょっとしたサプライズだよ。全部僕がデザインしたんだよ。」
お店の中のモニターにもジミー君が作ってくれた旅の画像が写ってる!!!
奥のイベントスペースもなんじゃこりゃああああああ!!!!!!
テーブルに置かれた俺たちの旅の写真の数々!!!!
並べられたワインの数々!!!!
めっちゃオシャレなケーキやサラダの軽食類!!!!!
ただのオシャレパーティー、フューチャリング俺!!!!!
待って待って待ってえええええええええ!!!!!
なんも考えて来てねぇし!!!!!
ええ!?ちょっと待って!!マジでなんも用意して来てないよ!!!!!??
「大丈夫だよ。みんなそれぞれにフミに質問すると思うけど、それに普通に答えてくれたらいいから。はい、マイクはこれね。」
「ええええ!?と、とりあえずアルコールください!!緊張で僕のマイクがとても小さくなっておりまする。」
「フミ君、最初に歌ってそれから話をしたらいい感じだと思うよ。」
「え?このキューピーマヨネーズはなにを自分は部外者みたいな顔をしてらっしゃるんですか?」
「私は隅っこのほうで見守っております。頑張ってくださいませ。」
「ナオちゃん、ナオちゃんも一緒に前でお話してくれると嬉しいな。」
「えええええええええ!!!私もおおおおおおお!!!!??」
激本気のイベントやん!!!!
しかもなんと入場料あるやん!!!!
50元(840円)!!!!!!
責任重大!!!!!
そしてイベントを企画したジミー君とウーピンちゃんのメンツを潰さないためにも有意義なものにしなければならない!!!!
入場ステッカーなんて凝ったもんまで!!!
「か、カンちゃんどうしよう!!!なに話せばいいかな!!!イスラエル人に顔射されそうになった話!?エクアドル人とポーランド人がドミトリーでセックスしようとしてた話!?アメリカ南部でヒッチハイクしてたら乗せてくれたジジイがしゃぶらせてくれないか?って言ってきた話!?ダメだ!!下ネタしか浮かんだこない!!!!」
「下ネタはどうだろ…………中国だし…………」
そうこうしてる間に19時を過ぎてパラパラとお客さんがやってきた。
俺たちと同年代の人たち、少し年上の感じのご夫婦、でも多いのは大学生の若者たち。
ジミー君が紹介してくれると、みんな恥ずかしそうに握手してくれる。
さすがに深圳の人たち。しかもジミー君たちの友達なのでみんな英語ペラッペラだ。
「フミ、そろそろちょっと歌ってみる?」
ニコニコしながらそう言うジミー君。
ふぅ…………頑張ります!!!
都会の中国の人たちに何が喜んでもらえるかわからないけど、これまで中国の路上でやってきたことをやるだけだ。
とりあえずまずはレットイットビー。
そして大学生の中に俺とセッションしたいっていうことでギターを持ってきてる子がいたので、その彼と一緒に時の流れに身を任せをやった。
たくさんの拍手をもらえて一安心。
よかった…………
その大学生の子が旅をイメージして作ってきたんだという曲を演奏してくれ、ある程度場が和んだところでお客さんは30人ほどに。
そしてここからトークスタート。
プロジェクターで旅の画像が映し出されるスクリーンの前に立ち、とりあえず自己紹介と簡単な旅の流れを話す。
英語でもまぁ良かったんだけど、お客さんの中に日本語が分かる女性がいて、その方に中国語に翻訳してもらいながら進めていく。
ていうか翻訳してもらいながら喋るの難し!!
ウケを狙うタイミングとかが翻訳を挟むのでズレてしまって、え!?ここで!?っていう場所で笑いが起きたりして何が面白いのかわからない!!!
下ネタを中国女性の口から説明させるわけにはいかないので、なるべく軽めのストーリーを中心に紹介させてもらった。
ふぅ、日本でやってたトークライブを思い出すなぁ。
そこからは会場の人たちからの質問タイム。
「今まで行った国でどこが良かったですか?」
「オーストリアかメキシコかトルコか中国!!!」
「お金は本当に路上パフォーマンスで足りるんですか?」
「はい、できます。そして旅人は色んな節約方法を知ってます。例えばみんな中国のホテルはいくらだと思いますか?」
「200元(3400円)くらいだと思います。」
「そう。でも安いところは60元(1000円)であります。インドだったら300円で泊まれます。ヒッチハイクもできるし、なんなら野宿だってできるし、旅はたくさんの節約方法があるので、そういうことを駆使して旅をしていきます。」
「僕たちでもフミさんみたいなお金を稼ぎながらの旅ができますか?」
「中国の人が他の国に行くときビザ関係がどうなのかわからないのですが、例えば中国の人はドイツに行くときにビザは要りますか?」
「もちろん必要です。」
「そうかー。でも詳しくはわからないですが、例えばワーキングホリデーというものがあります。各国で短期の仕事をしてお金を稼いで旅する方法。他にはみなさんがパソコンが詳しかったらネットで稼ぎながら旅をすることもできます。あともうひとつ、現在日本人で旅先の路上で漢字を書くパフォーマンスをして稼ぐ人たちがいます。これなんか中国人のみなさんだったらバリバリできることなので試す価値はあると思います。」
「長い旅はとても大変なことだと思うのですが、それを続けてやりきるのに何が必要ですか?」
「んー、パッションだと思います。情熱を持って、やりたいと思うことに熱中する気持ち。」
「フミさんにとって音楽とはなんですか?」
「んー、なんだろうなぁ。難しいなぁ。自分を表現する方法かな。」
「えー!!友達じゃないですか!?」
「キャプテン翼か!!いやー、友達ではないかな。どっちかっていったら息子です。」
こんな感じで大学生たちの質問は、若者らしい、アドベンチャーに対するアグレッシブなものが多い。
でも逆に俺たちと同じかそれ以上の世代になると、やはり、子供は作る予定はあるのですか?ご両親はどのように思ってますか?などの家族系の質問になってくる。
日本と同じだなぁ。
いや、世界中の人たちがしてくる質問と同じだよな。
まだ見ぬものに憧れる若者と、すでにあるものを守りたい大人たち。
みんな同じ人間だ。
女性からのカンちゃんへの質問タイムもありつつ、次は俺たちから中国人に質問はありますか?ということになった。
おおおおおらああああああああああ!!!!
質問死ぬほどあり過ぎて怖いわ!!!!!
今までどんだけビビらされてきたと思ってんだ!!!!
「はい!!!!素朴な質問です!!!!!本当にただの素朴な質問です!!!!中国の人はどうして痰を吐くんですか?」
「え?」
「なにが?どういうこと?」
「痰?なんのこと?」
みんなキョトン顔をしている。
ちょ!!なにその反応!!!!
なにその、そんなことしないけど?みたいなキョトン顔!!!!
後ろのほうにいる欧米人の男性だけ、クックックと笑いをこらえている。
「痰を吐く?そんなこと中国人はしないと思いますよ?」
「ちょちょちょちょ!!!!!俺が今まで見てきたの幻覚!?それともアレ痰じゃなくてガム!?ガムでもダメやけど!!!電車の中でもめっちゃ吐いてました!!」
「電車の中で?そんなことしないと思うけど…………」
「うん、人が痰を吐くところなんか見たことないわ。」
マジびびった。
どういうこと?!って本当驚いた。
欧米人の彼に質問を振ったら、そうだねー、俺はみんなヘルシーのためにやってるんだと思うよ!!とおどけながら言っていた。
うーん、こりゃ俺が空気を読まない質問をしてしまったということか。
後からジミー君に聞いたら、みんなやるよね、知ってるよ、と言っていた。
ここは大都会の深圳。みんな田舎の人みたいにそこまで痰吐きはしない。
それにこういう公衆の前で中国人のマナーについて否定するようなことを言うのは、みんな憚られたということだ。
みんな知ってることだけど、公には言わないってこと。
ワッハッハー!!やるよねー!!あれは本当ダメだよねー!!みたいに、ラフに軽い感じで場を和ませようと思ったんだけど、こんな反応だったもんだからそこからの質問が出てこなくなった。
次はどこの国に行くんですか?と聞かれた時も、香港って言おうとして言葉を飲み込んだ。
ジミー君と話してるときに、ジミー君は香港もマカオも台湾も中国の一部だよと言っていた。
厳密に言えば3ヶ国とも中国の一部だけど、日本人の俺からしたらどれも独立した国というイメージ。世界には台湾を国と認めている政府だってある。
でも中国人は当たり前の当たり前に全部同じ国だと思ってる。
ここで俺が、国じゃないんですか?なんて言ったらトラブルの種になりねない。
いやぁ、世界中みんな同じ人間ではあるけども、国際的な認識の違いはどこにでもあるんだよなぁ。
センシティブな問題だよなぁ。
中国で旅の話するのってなかなか大変だ。
勉強しないといけないことはまだまだたくさんある。
そこからは頭をフル回転させながら色々なことに気を配って、言葉を選び、なんとか質問タイムは終了。
そして最後にまた3曲演奏させてもらって、ステージを終えた。
ふぅ、結構頑張ったー。
それからもみなさんとそれぞれお話をさせていただき、とても和やかな雰囲気。
みんないい人たちだよなぁ。
中国はまだまだ閉鎖的な国だとは思うけど、こうして触れ合っていると、みんな先進国の人たちとなんら変わらないオープンな心を持っている。
中国はどんどん進化して開放的になってきている。
それに今日来てくれたような都会の人たちは、すごく洗練されていて、距離感や空気の読み方がとても上手。
また田舎のほうだときっとこうはいかないんだろうなぁ。
変な質問しちゃって申し訳なかったな。
時間になり、大学生のみんなや来てくれた方たちと固い握手をして見送った。
彼ら中国の次世代を担う人たちの中に、ほんの少しでも自由な生きかたの可能性を示すことができたかな。
きっとこれから、もっともっと中国は新たな文化を取り入れて、モダンな強い国へと進化して行くはず。
それが退化と捉える人もいるかもしれないけど。
文化大革命は42年前に終わった。
暗黒の時代を乗り越え、経済成長を遂げながらも豊かな文化が礎にあるこの大国を、俺は今心から好きと言える。
そんな旅をさせてくれた中国に感謝。
こんなこと書くと中国を好きだなんて、って顔をしかめる日本人がいるのも事実。
でも声を大にして言いたい。
中国の旅は最高。
貴重な時間を割いて集まって下さったみなさん、本当に本当にありがとうございました。
祭りの後の片付けをして、荷物を車に積み込んだらみんなで打ち上げのご飯に行った。
ジミー君の古い友達のアメリカ人、そして仲間たちと楽しくご飯を食べ、ビールを飲み、なかなか酔っ払ってしまった。
後半の記憶が薄いなぁ。
でも最高に楽しかった。
「フミ、今日はありがとうね。今日がフミたちの中国の旅のいいエンディングになったなら嬉しいよ。」
「ありがとうジミー君。最高に楽しかったよ。これで心置き無く日本に向かえるよ。」
ジミー君、ウーピンちゃん、中国にこんな友達ができたこと、すごく嬉しいよ。
ありがとう。
みんなと別れ、車でジミー君たちのアパートに帰ってきた。
酔っ払いながらシャワーを浴び、また明日ねとジミー君たちに言ってベッドに入る。
電気を消す。
暖かい布団が気持ちいい。
そして寝る前にメールチェックをしようとiPhoneのメールフォルダを開いた。
暗い部屋に明かりがともる。
そこには1通のメールが来ていた。
ブログの読者さんからのメールだった。
そのメールの件名を見ると、大理角落客桟、という文字が書いてあった。
え?と思ってメールを開く。
そこにはこういう内容が書かれてあった。
「いつもブログを楽しく拝見させていただいております。大理でのカンさんとの再会が叶わなくて本当に残念でした。私は以前北京に留学していたことがあり、少し中国語がわかります。そこでどうにかカンさんのことを探せないかと、ネット検索をしてみました。そして2015年の情報で、カンさんらしきかたの記事を見つけました。」
酔いが一瞬にして覚めて、添付されていたリンクを開いた。
目を疑った。
リンクの読み込みが終わると2015年の記事が出てきて、角落客桟を売りに出す、という内容とともに、最後に韓という名前と電話番号が書かれてあった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
水戸のホテルをアゴダでとってくださった方がいました!!!!
大工町、だったかなぁ、よく水戸の飲み屋街で歌ってました。
駅前の寂れた雰囲気とか、北関東の繁華街の雰囲気とか、好きだったなぁ。
どうもありがとうございます!!